医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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746話 夏・不調

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 夏の汗を拭い、着替えさせた。

夏が動けそうにないため、導尿しようと戸棚を開けたが、あいにく切らしていた。

書斎のパソコンから処方を入力し、送信する。

それから看護部長に電話をかけた。

「すみません、心療内科のナースの山本さんに、持ってきてもらいたいものがあるんですが、伝えていただけますか? 今、電子カルテに処方を送ったので確認してほしいんです。膀胱留置カテーテルセットを2セット、血液検査一式、生食、それから……」

念のため、多めに頼んだ。

「はい、わかりました。理事はそんなに悪いのですか?」

看護部長の声には、深い心配が滲んでいた。

「うーん、今のところはまだはっきりしないけど、反応が鈍いし、お腹の音も弱い。もう一晩様子を見ます。明日も同じなら、レントゲンやエコー、それにCTを撮るつもりです。すみませんが、よろしくお願いします」

しばらくすると、莉子から電話があった。山本さんが頼んだものを持ってきてくれたらしい。

「今行くよ」

階下へ降りると、山本さんが両腕いっぱいに抱えて待っていた。

「山本さん、わざわざすみません。今から血液を採取するので、少し待っていてもらえますか?」

「はい、わかりました」

上へ戻り、夏の点滴をしていない方の腕から血液を採取する。

再び階下へ降り、山本さんに手渡した。

「申し訳ないのですが、これを検査に回してもらえますか? 結果は電子カルテで確認しますね」

山本さんは受け取ると、すぐに戻っていった。

ふう……。ため息をついていると、莉子がそばに来た。

「春ちゃん、夏は大丈夫なの?」

「うん、大丈夫だよ。でも、昔と比べると、ずいぶん身体が弱くなったよね。後期研修で身体を壊したのが、まだ尾を引いている気がする」

持ってきてもらった医薬品や道具を4階へ運び、すぐに夏の導尿を行った。

管を入れると、「ああっ……」と少し痛がったが、そのまままた眠ってしまう。

少しでも元気なら嫌がるはずなのに、目も開けずに眠り続けるなんて……。

それに、尿が異常に溜まっていた。これでも目を覚まさないのか?

 普通ならとっくに起きてトイレに行くはずだろう。

水が飲めるか試してみよう。

「夏、水を飲むか?」

耳元で問いかけると、かすかにうなずいた。

頭を少し起こし、吸い飲みの先を口に入れてやる。

しかし、ツーと口の端からこぼれてしまう。

仕方ない。口に含み、口移しで飲ませると、今度はゴクンと飲み込んだ。

「夏、あと2回飲むよ」

再び口移しで2回飲ませる。

結局、その晩は不安で一睡もできずに付き添い、看病を続けた。

朝方になってようやく熱が少し落ち着いた。それでもまだ38度2分ある。

電子カルテに血液検査の結果が届いていた。確認すると、白血球が異常に多い。

身体のどこかで炎症が起きているようだ。

看護部長に電話し、二人とも今日は仕事を休むことを伝え、フォローをお願いした。

続いて医局部長にも連絡し、なんとか今日の診療を振り分けてサポートしてもらえないか頼んだ。

夜中にも何度か聴診をしたが、お腹の音は依然として弱いままか、時々聞こえなくなった。

まずい。今日の午後、レントゲンとエコー、それにCTで検査しよう。

看護部長に連絡し、予約を入れてもらった。

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