790 / 996
793話 アニメ案内動画・披露会
しおりを挟む
木曜日の朝礼。
今日は莉子も来ている。――挨拶をしたいのだそうだ。
最初は、俺が壇上に立つ。
「おはようございます。待望の――菜の花クリニックの案内動画が完成しました!」
ここで、ワーッ!!という歓声が上がり、拍手喝采が沸き起こった。
歓声が一段落したところで、莉子が壇上に上がった。
「おはようございます。皆さんにご協力いただいて、とってもいいものが出来ました。首から下のアニメは、私が描きました。気に入っていただけると嬉しいです。後で、ゆっくりご覧になってくださいね」
また、わーっと拍手が起きた。
次に、夏が壇上に上がる。
「今日の昼休憩の時間に、テレビ画面でご覧ください。最初に駅から地下のバスを経由して、1階に入ります。お掃除スタッフの皆さんは、そのあたりで一斉に映りますので、ぜひ最初を見逃さないでください。
あとは、カフェやリハビリなど、下の階から順に上へと案内が続きます。
全体のルームツアーはおよそ7分です。
また、各診療科ごとの動画も合わせると、全体で約30分になりますので――どうぞごゆっくりご覧ください。
ご自宅でご覧になりたい方は、菜の花クリニックのホームページからも動画を見ることができます。
本当に、ありがとうございました」
また盛大な拍手が湧き起こる。
夏も、莉子も、笑顔がはちきれそうなほどで――本当にうれしそうだった。
「はい、それでは今日も頑張りましょう。――解散!」
スタッフたちも、みんな笑顔だった。
……これだけでも、もう“やってよかった”ってことだな。
莉子と夏には、心から感謝した。
* * *
昼休みになった。
莉子が「どうしても、みんなの反応が見たい」と言い出し、それは夏も同じだった。
――まあ、俺も見たかったんだけどね。(笑)
それで今日は、お弁当を6階の休憩室で食べることにした。
みんなが俺たちに気を使って、「テレビの前にどうぞ」と言ってくれた。
でも俺は、「最初に出てくる人たちが、一番前で見てください」と伝えたんだ。
それで、ドライバーさんや山野さん、お掃除やカフェのスタッフたちが一番前に座って、映像を見ることになった。
最初に、地下のバスのシーンが始まり――
そのあと、ドライバーや山野さん。
1階に入ると、真っ先に“お掃除カルガモ隊”が登場。
モップなどを手に持って、2名ずつ分かれてお掃除に向かう、かわいいアニメの動き。
「ああ~出てる~!」と、みんなが驚きながら画面を見つめる。
「うれしい……」と、涙ぐむスタッフもいた。
他の人たちも、「ええ~! かわいい!」と一斉に歓声をあげていた。
――この辺の“かわいらしさ”は、まさに莉子アニメの真骨頂だ。
時間にしたら、せいぜい1分くらいの短いシーン。
それでも、お掃除のスタッフたちがこんなに喜んでくれるなんて――嬉しいよね?。
「あれっ、莉子……?」
「うん……だって、私、もらい泣きだよ……」
ふっ――莉子の背中をそっとさすった。
夏も、隣で静かに微笑んでいた。
お掃除スタッフのシーンが終わると、次々にリハビリや外科などのシーンが続いた。
それに合わせて、スタッフたちはまるで“順番のゲーム”みたいに、席を交代しながら画面を見ていた。
その様子を、俺は後ろの方からずっと眺めていた。
――どんだけ仲の良いクリニックなんだよ、って思った。
ありがたいなあ‥‥‥。
「夏、うちは本当にいいクリニックだね。人に恵まれたよ」
そう言うと、夏は返事をしなかった。
横を見ると――
夏は、口を一文字に結び、涙ぐんでいた。
……しょうがないなあ。
夏の背中も、そっとさすってやった。
今日は莉子も来ている。――挨拶をしたいのだそうだ。
最初は、俺が壇上に立つ。
「おはようございます。待望の――菜の花クリニックの案内動画が完成しました!」
ここで、ワーッ!!という歓声が上がり、拍手喝采が沸き起こった。
歓声が一段落したところで、莉子が壇上に上がった。
「おはようございます。皆さんにご協力いただいて、とってもいいものが出来ました。首から下のアニメは、私が描きました。気に入っていただけると嬉しいです。後で、ゆっくりご覧になってくださいね」
また、わーっと拍手が起きた。
次に、夏が壇上に上がる。
「今日の昼休憩の時間に、テレビ画面でご覧ください。最初に駅から地下のバスを経由して、1階に入ります。お掃除スタッフの皆さんは、そのあたりで一斉に映りますので、ぜひ最初を見逃さないでください。
あとは、カフェやリハビリなど、下の階から順に上へと案内が続きます。
全体のルームツアーはおよそ7分です。
また、各診療科ごとの動画も合わせると、全体で約30分になりますので――どうぞごゆっくりご覧ください。
ご自宅でご覧になりたい方は、菜の花クリニックのホームページからも動画を見ることができます。
本当に、ありがとうございました」
また盛大な拍手が湧き起こる。
夏も、莉子も、笑顔がはちきれそうなほどで――本当にうれしそうだった。
「はい、それでは今日も頑張りましょう。――解散!」
スタッフたちも、みんな笑顔だった。
……これだけでも、もう“やってよかった”ってことだな。
莉子と夏には、心から感謝した。
* * *
昼休みになった。
莉子が「どうしても、みんなの反応が見たい」と言い出し、それは夏も同じだった。
――まあ、俺も見たかったんだけどね。(笑)
それで今日は、お弁当を6階の休憩室で食べることにした。
みんなが俺たちに気を使って、「テレビの前にどうぞ」と言ってくれた。
でも俺は、「最初に出てくる人たちが、一番前で見てください」と伝えたんだ。
それで、ドライバーさんや山野さん、お掃除やカフェのスタッフたちが一番前に座って、映像を見ることになった。
最初に、地下のバスのシーンが始まり――
そのあと、ドライバーや山野さん。
1階に入ると、真っ先に“お掃除カルガモ隊”が登場。
モップなどを手に持って、2名ずつ分かれてお掃除に向かう、かわいいアニメの動き。
「ああ~出てる~!」と、みんなが驚きながら画面を見つめる。
「うれしい……」と、涙ぐむスタッフもいた。
他の人たちも、「ええ~! かわいい!」と一斉に歓声をあげていた。
――この辺の“かわいらしさ”は、まさに莉子アニメの真骨頂だ。
時間にしたら、せいぜい1分くらいの短いシーン。
それでも、お掃除のスタッフたちがこんなに喜んでくれるなんて――嬉しいよね?。
「あれっ、莉子……?」
「うん……だって、私、もらい泣きだよ……」
ふっ――莉子の背中をそっとさすった。
夏も、隣で静かに微笑んでいた。
お掃除スタッフのシーンが終わると、次々にリハビリや外科などのシーンが続いた。
それに合わせて、スタッフたちはまるで“順番のゲーム”みたいに、席を交代しながら画面を見ていた。
その様子を、俺は後ろの方からずっと眺めていた。
――どんだけ仲の良いクリニックなんだよ、って思った。
ありがたいなあ‥‥‥。
「夏、うちは本当にいいクリニックだね。人に恵まれたよ」
そう言うと、夏は返事をしなかった。
横を見ると――
夏は、口を一文字に結び、涙ぐんでいた。
……しょうがないなあ。
夏の背中も、そっとさすってやった。
5
あなたにおすすめの小説
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
月弥総合病院
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
朔望大学医学部付属病院/ White Dictator
御月様(旧名 僕君☽☽︎)
キャラ文芸
White Dictator______通称:『白衣の独裁者』
<ホワイト・ディクテイター>
⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯⎯
圧倒的な「実力」と「技術」で捩じ伏せ・現場を支配する凄腕たち。
___ ごく僅かな一瞬の隙も逃さない神手の集まり。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる