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900話 夏輝サイド・莉子との出会い
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お兄さんから急ぎの連絡があって、すぐに帰るように言われた。
「KAI君が、うちに来るんだって」
えっ?まさか…マジか?
半信半疑だったけど、お兄さんは嘘をつかない人だから、覚悟を決めて帰宅した。
そして目の前に現れた彼は、画面で見るよりもさらに整った顔立ちをしていた。
俺も見惚れてしまった。あの圧倒的なオーラ、半端ないって。
最初はみんな緊張していたけど、彼の自然体な雰囲気が空気を和らげてくれた。
彼のことはネットである程度調べていた。だって、強力なライバルだから。
あのお兄さんに「お兄さんって呼んでいい?」なんて、誰が言えるんだよ?
普通は無理だよ。お兄さんは「気にするな」って言うけど、自分のことをわかってないんだ。
だって、自覚がない。自分がどれほど美しくて魅力的かなんて、わかってないんだよ。
だから莉子も俺も、時々怒るんだ。
「ぶっちゃけ話してきていいよ」と、お兄さんが言った。
――俺たちの家族関係を何も知らないKAI君に、すべて話していいってことだ。
それはきっと俺がライバル視してきたKAI君と、分かり合ってほしいというお兄さんの思いやりなんだよね。
「KAI君、俺の部屋においでよ」と、4階へ連れて行った。
長い廊下を見て「すげえ広いな~」とKAI君が驚いていた。
「手前が莉子の部屋で、真ん中がお兄さんの書斎兼寝室、奥が俺の部屋だよ」
「へえ~、そうなんだ。俺、本当に泊まっていいの?迷惑じゃない?」
「平気だよ。布団を運ぶから手伝って」
ドリンクを一旦部屋に置いてから、クローゼットから布団を出し、一緒に運んだ。
俺の部屋を興味津々な様子で眺めていた。
「やっぱり本がすげえなあ。さすが医者だね」
「KAI君、本を読むの好き?」
「うん、好きだった。昔はよく読んでた。でも今の仕事をするようになって、時間がなくなっちゃってさ」
「毎日忙しいだろ?それでも作曲とか作詞とか、ちゃんとやってるじゃん。あれはすごいよ」
「ええ…それほどでも。仕事だからやってるだけだよ」
「ところでさ、さっきから気になってしょうがないんだけど…夏って、莉子さんと兄妹なの?すごく仲がいいし、で、お兄さんって…莉子さんの旦那さんって感じなのかな?」
「全然違うよ。ぶっちゃけ……俺はお兄さんの第二夫人かな」
「はぁ?……いや、待って。混乱して頭働かない。どういうこと?」
「じゃあ、最初から説明するけど……10年くらい前の話になるよ。長いよ?」
「へぇ?ははっ、いいよ、覚悟した。だって泊めてくれるんでしょ?時間はたっぷりある」
「俺、大学の1年のとき国文科にいたんだ。テニスのプロを目指してアメリカに留学したけど、ケガしちゃってさ。 それで学校の先生になろうと思って国文科に入った。だから1年遅れ。
そこで出会ったのが莉子。目がぱっちりして、細くて儚げで…すごく惹かれた。
でも身体が弱い子で、ある日学校のトイレで倒れちゃったんだ。誰かが助けを呼んで、みんなで駆けつけて、部室に運んで――
莉子のお兄さんが医者だからってヘルプの電話をして、来てくれたのが今のお兄さん」
「はあ…確かに長くなりそうだ。ふっ、俺ドリンクもらうわ」
「でさ、そのお兄さんが長身で、めちゃくちゃ綺麗で…。こんな人いるんだって思ってるうちに、莉子を診察して注射して…そのまま抱きかかえて車まで運んで行ったんだよ。みんなが見惚れたんだよ。
俺、それ見て衝撃を受けたんだよ。莉子を守るためには、医者じゃなきゃダメだって。
多分、それを見てた周りの奴らもみんな同じこと思ったと思う。莉子は大人気で、ライバルも多くて大変だった」
「まあ…確かに莉子さん、可愛いもんね。それはわかる。でも、なんで結婚しなかったの?」
「そんな入る隙はなかったよ。お兄さんは莉子の義理のお兄さんで、莉子が入学した時から一緒に暮らしてるんだ。
元々、お父さんが再婚した相手の連れ子で、出会った時には莉子がまだ8歳だったんだって」
「KAI君が、うちに来るんだって」
えっ?まさか…マジか?
半信半疑だったけど、お兄さんは嘘をつかない人だから、覚悟を決めて帰宅した。
そして目の前に現れた彼は、画面で見るよりもさらに整った顔立ちをしていた。
俺も見惚れてしまった。あの圧倒的なオーラ、半端ないって。
最初はみんな緊張していたけど、彼の自然体な雰囲気が空気を和らげてくれた。
彼のことはネットである程度調べていた。だって、強力なライバルだから。
あのお兄さんに「お兄さんって呼んでいい?」なんて、誰が言えるんだよ?
普通は無理だよ。お兄さんは「気にするな」って言うけど、自分のことをわかってないんだ。
だって、自覚がない。自分がどれほど美しくて魅力的かなんて、わかってないんだよ。
だから莉子も俺も、時々怒るんだ。
「ぶっちゃけ話してきていいよ」と、お兄さんが言った。
――俺たちの家族関係を何も知らないKAI君に、すべて話していいってことだ。
それはきっと俺がライバル視してきたKAI君と、分かり合ってほしいというお兄さんの思いやりなんだよね。
「KAI君、俺の部屋においでよ」と、4階へ連れて行った。
長い廊下を見て「すげえ広いな~」とKAI君が驚いていた。
「手前が莉子の部屋で、真ん中がお兄さんの書斎兼寝室、奥が俺の部屋だよ」
「へえ~、そうなんだ。俺、本当に泊まっていいの?迷惑じゃない?」
「平気だよ。布団を運ぶから手伝って」
ドリンクを一旦部屋に置いてから、クローゼットから布団を出し、一緒に運んだ。
俺の部屋を興味津々な様子で眺めていた。
「やっぱり本がすげえなあ。さすが医者だね」
「KAI君、本を読むの好き?」
「うん、好きだった。昔はよく読んでた。でも今の仕事をするようになって、時間がなくなっちゃってさ」
「毎日忙しいだろ?それでも作曲とか作詞とか、ちゃんとやってるじゃん。あれはすごいよ」
「ええ…それほどでも。仕事だからやってるだけだよ」
「ところでさ、さっきから気になってしょうがないんだけど…夏って、莉子さんと兄妹なの?すごく仲がいいし、で、お兄さんって…莉子さんの旦那さんって感じなのかな?」
「全然違うよ。ぶっちゃけ……俺はお兄さんの第二夫人かな」
「はぁ?……いや、待って。混乱して頭働かない。どういうこと?」
「じゃあ、最初から説明するけど……10年くらい前の話になるよ。長いよ?」
「へぇ?ははっ、いいよ、覚悟した。だって泊めてくれるんでしょ?時間はたっぷりある」
「俺、大学の1年のとき国文科にいたんだ。テニスのプロを目指してアメリカに留学したけど、ケガしちゃってさ。 それで学校の先生になろうと思って国文科に入った。だから1年遅れ。
そこで出会ったのが莉子。目がぱっちりして、細くて儚げで…すごく惹かれた。
でも身体が弱い子で、ある日学校のトイレで倒れちゃったんだ。誰かが助けを呼んで、みんなで駆けつけて、部室に運んで――
莉子のお兄さんが医者だからってヘルプの電話をして、来てくれたのが今のお兄さん」
「はあ…確かに長くなりそうだ。ふっ、俺ドリンクもらうわ」
「でさ、そのお兄さんが長身で、めちゃくちゃ綺麗で…。こんな人いるんだって思ってるうちに、莉子を診察して注射して…そのまま抱きかかえて車まで運んで行ったんだよ。みんなが見惚れたんだよ。
俺、それ見て衝撃を受けたんだよ。莉子を守るためには、医者じゃなきゃダメだって。
多分、それを見てた周りの奴らもみんな同じこと思ったと思う。莉子は大人気で、ライバルも多くて大変だった」
「まあ…確かに莉子さん、可愛いもんね。それはわかる。でも、なんで結婚しなかったの?」
「そんな入る隙はなかったよ。お兄さんは莉子の義理のお兄さんで、莉子が入学した時から一緒に暮らしてるんだ。
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