医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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907話 夏輝サイド・KAIの代わりに

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「はい、じゃあ音楽スタートするよ、いい?先生は白衣のままで踊ってね。他のメンバーもKAIがいると思って、一緒に踊ってよ」

RINの声が響いた。

イントロが流れ、俺は精いっぱい踊った。いつものように。

メンバーと踊るって、こんなに楽しいんだ!最高だよ。

自然と笑顔がこぼれていた気がする。

ライトが当たるから、客席なんて全然見えない。

まるで光の中に吸い込まれるみたいに、集中できた。

そして、最後のポーズを決めると音楽が終わった。

あちこちから歓声が上がり、パチパチと盛大な拍手が巻き起こる。

照れくさくなって、頭を掻いていた。正直、すぐにでも逃げたかった。

「すげえ~、もう代役は決まりだね!」

KAIが言った。何を言ってるんだよ…。

「う~ん。私の目に間違いはないねえ~これで行きましょう。KAIは歌だけでいいです。振りは代わりに先生が踊ってくれる。友情出演ってことで、ね?」

RINが決定した。

「KAIや他のメンバーも、それでいい?」

「はいっ!」

声が揃った。軍隊みたいだな。

「先生は司会者の流れに任せてください。それで構いません。――はい、リハーサルは終わりです」

「ねえ、あれは何の話?」

よく聞こえなかったので、KAIに尋ねた。

「え?忘れていいんだよ~。それよりごめん、トイレ行きたい」

「あっ、そうか。楽屋に戻ろう。尿瓶を頼んだけど、買ってきてくれてるかな…」

楽屋に戻ると、ちゃんと頼んだものが揃っていた。

カーテンを閉めて、部屋の鍵をかける。

車椅子のままで、トイレをすませてあげた。

「夏、ごめん、俺……恥ずかしいよ。こんなことまで頼んで、本当にごめんな……」

「いいよ。これも仕事だから気にしなくていい。
俺もさ、ついこの間なんだけど、病気になっちゃって……薬で腸を動かすから、一日中下痢まみれでさ。

それが毎日続いてたんだ。看護師さんが何度もオムツを交換してくれたしさ。

お兄さんなんか、仕事中も夜中も何度も替えてくれてさ。お尻が真っ赤にただれてて、みんなが薬を塗ってくれたしね。……俺は寝たきりで逃げ場もなくて。まあ、諦めるしかなかったよね」

「そうなのか?」

「うん。医者も看護師も慣れてるからさ、毎日のことだし。誰のお尻だろうと関係ないよ。ただ、病気を見逃さないように凝視するんだ。みんな造りは同じだよ」

そこへ、部屋をノックする音がした。

鍵を開けると、マネージャーの後藤さんと女性スタッフが二人入ってきた。

「ええっと、KAI君は着替えられるかな?あと、ヘアメイクもしたいんだけど」

「ええ?足が動かせないんですよ」

驚きつつ、俺は言った。

「ズボンも替える必要がありますか?それは無理だと思います。切って脱がすことはできるけど、新しく履かせるのは難しいです」

後藤「そうですか、……ホテルではそのまま寝る感じになりますよね?じゃあ、下半身はバスタオルか毛布で隠しますよ。上だけ着替えてましょうか?」

「はい、わかりました、ちなみに明日はホテルから東京へ車で移動ですよね?」

後藤「はい、そうです」

「じゃあ、ズボンは今日の夜に切って脱がして、帰りは寝間着のままで乗ってください」

後藤「分かりました。それでいきましょう」

それからKAIの上着を着替えさせてもらい、ヘアメイクも整えてもらっていた。

――ところが、俺にまでメイクをしようとしてきた。

「ええ?なんで俺まで?」

思わず言ってしまった。

KAIが笑いながら言った。

「夏、諦めろよ。さっき俺に、そう言っただろ?――ぷっ」

後藤さんが「すみませんねえ~」と苦笑していた。

なら、しょうがない。好きにしてもらうよ。

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