常識破りの破壊者

柴崎 時雨

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竜車に轢かれた通りすがりの学生

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「ヴァレン・ノート、君には龍血リュウケツ学園に行ってもらいたい」


突然のことにヴァレン・ノートは戸惑う。

そして、その発言をした銀髪の30代に見える男の方を見て、まさかなと思いながらも聞く。

「あー、クビってことか?」

「いや、そんなわけないじゃないか!」

やや食い気味に否定し、さらに続ける。

「むしろ君には長期休暇を与えたいと思ったのだ、なんせ君はそんなだが17だろう?まだまだ学生の年齢じゃないか、それなのにこんな老骨と一緒に働いてるなんて、僕が君の歳だったら逃げ出してるね」

「なるほどな、まぁたしかにこんなおっさんと働くのは嫌だけど、学校かぁ…」

「いや、そこは否定して欲しかったんだけどなぁ」

少し悲しそうな上司の顔には余裕の表情がある。

「ははは、まぁ冗談だって、よし、じゃあ分かった、取り敢えずは休暇は貰うよ、それでいつからなんだ?」

「明後日から頼む」

「そうか、分かった」

急な話にも、ヴァレンは無理だとは言わない、それが1の余裕だからだ。

________________________________________

そして約束の日になり、俺は転移結晶で自宅から今後使う新しい家へと転移した。

「よし、これでいいか。さて、そろそろ遅れるから行くか」

時間を確認し、俺は全ての荷物を下ろし、制服に着替え、家を出た。

外に出ると、目の前には狼型の獣人や羊型の獣人、そして普通の人間など様々な種族が行き交っていた。

(流石、この世界グァースの中でも1番大きい、最大級の都市パーディンだ、亜人の数も結構いるな)

少し、歩き広場の端に出た瞬間

「おい、そこのあんちゃん!危ねぇぞ!」

いきなり呼ばれ、振り向くと串焼きの屋台の大柄なおっちゃんが慌てた顔でこっちに向かって叫んでいた、すると途端に体が吹き飛ばされる。

そして、骨が軋む音が響き、広場の中央まで飛ばされた。

「なんか、ガキを轢いた気がするが、気の所為か」

ヴァレンを吹き飛ばしたのは、大きな竜車だった、そしてピンとした髭を生やした、貴族のような男が窓から顔をひょこりと出し、ヴァレンの方を覗いていた。

周りの人間はその貴族に対して何を言うわけでもなく、目を伏せていた。

しかし、1人だけ違った、さっきの屋台のおっちゃんだけは反抗した。

「おい、あんたが偉いのは知ってるが、なんであの子を轢いたんだ!人の命をなんだと思ってやがる!」

だが、貴族は何も言わずその男を見ていた。

ただただ軽蔑の眼差しを向けていた。

「おい、こいつを捕らえろ」

ただ一言言っただけで、竜車の中からは2人の武装した男が出てきて、瞬く間におっちゃんを拘束し、地面に押さえつけられる。

「ぐっ、くそがぁ」

そして、貴族の男も竜車から降り、腰に提げていた剣を抜いた。

「平民如きが、調子に乗った罰だ、死ね!」

そしてその剣がおっちゃんの首に触れる瞬間に止まった。

そこには貴族の腕を掴んでいる、無傷のヴァレンがいた。

「はぁぁ、ったく清々しい朝でこんな広場だから油断していた、まさか突っ込んでくるとはな、音は聞こえてたんだが轢いてくるとは思わなかったぞ」

「さっきのあんちゃん!?無事だったか!」

「おっちゃんありがとな、あんたはすげぇ優しい人だ」

首をグキりと鳴らし、そして肩も回す

「んな!き、貴様はなぜ生きておる!」

「生きてちゃ悪いか?まぁとりあえず、悪人には制裁をだな」

そして、ヴァレンがその貴族の鳩尾に1発拳をめり込ませると、貴族は泡を吹いて倒れた。

途端におっちゃんを拘束していた武装した男達はおっちゃんを横に転がし、自分たちは身構える。

だが遅かった。

既に2人の鳩尾にも突きが入っていた、男二人の着ていた鎧には陥没した後があり、2人は崩れ落ちた。

「あ、あんちゃん、めちゃくちゃ強いな…助かったよ、だけどこいつらを敵に回しちまったら」

周りの人達も、驚いてはいるものの、喜んでいる様子はない。

そりゃ、そうか貴族の権力は大きい、反抗したなんてバレたら大変なことになるからな。

そしておっちゃんも狼狽えている、ヴァレンはおっちゃんの肩に手を置き。

「おっちゃん、俺を庇ってくれてありがとな、あとは任せといてくれ」

そう言って、ヴァレンは小型の通信機を起動させ、どこかに連絡をした、そしてヴァレンは3人を竜車に乗せる。

すると、直ぐに転移結晶で黒いマントの2人組が現れ、一瞬で竜車ごと再度転移し、消えた。

街の人もおっちゃんもその様子を呆然と見ていた。

そして、おっちゃんが驚いた顔でヴァレンを見る。

「あんちゃん一体あんたは…」

「えーと、竜車に轢かれた通りすがりの学生ってところだな」

ヴァレンはニコリと微笑んだ。

スルト広場の鐘が鳴った。

(しまった、遅刻寸前じゃないか!せっかく余裕もって家を出たんだがなぁ…)

「じゃあ、おっちゃん、俺、学校だからまたな!」

そしてヴァレンは、その場を後にし学校へ急いだ。


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