あやかしよりまし

葉来緑

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二日目

妖が憑いた少女

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小鳥の鳴き声と共に目を覚ます。
目覚まし時計より早く起きた。
寝覚めも良く、カーテンをあけて朝日を差し込ませる。
天気も良く、空は澄み渡っていた。 
こんな日は朝から良い気分になる。
洗濯日和だ。
布団でも干そうと、洗濯物と布団を持って下の階に下りる。

布団を干し、洗濯機をまわす。 
そのまま朝食の準備に台所へと向かった。 
「おはよー♪ 修一郎、今日はいい天気ねー♪」 
台所に妙にハイテンションな楓姉がやってきた。
「こんな日は何か良い事ありそうねー楽しみだわあ、むふふ♪」 
相変わらず片手はお菓子で塞がっている。
「また朝っぱら……くどそうなお菓子を食べてるな。良い事って……?」
「座敷わらしの事よー、幸運が舞い込むと信じてるわ。修一郎も友達できるといいわねえ」
昨日のやりとりを思い出す。
いくら言い伝えがあるとは言え、そんなに都合の良い話があるだろうか?
「……ああ、楓姉もはやく新しい彼氏が出来ると良いな」 
嫌味には嫌味で返すことにした。 
「あーー!! そうよそうよ! そっち方面の事すっかり忘れてたわー!!
でも大丈夫! 商売繁盛すれば恋愛成就するわよ!!」
楓姉に嫌味は全く通じず、自己完結して豪快に笑い飛ばされた。 
「……朝っぱらからテンション高いな。また寝てないのか?」 
楓姉は絵本を描いて生計を立てている。
徹夜作業は茶飯事だ。 
「んー? 寝たわよー? 5分くらい? あんまり寝ると起きれなくなるからねぇ……まあその分、残りの作業は楽よ」
「5分って……まどろんだだけじゃないのか?」
「しかし商売繁盛も困りものよね。この調子じゃ受けてもこなせるかなあ。願い事……変更手続きできないかしら」
何だかわけのわかない事を楓姉はぶつぶつとつぶやいている。
あまり気にせず朝食の準備をすることにした。
自分の弁当も作らなくてはいけない。
今日は時間に余裕があるので凝ったのできそうだ。
昨日の仙台牛の余りでサイコロステーキなんか作ってみる。
他にも惣菜なども作る。
冷蔵庫の食材は豊富で、信じられないくらい豪勢になった。

昨晩のハヤシライスのルーは綺麗になくなって片付けられていた。
楓姉は夜食をとらない。
寝ている間に他の妖達が食べてしまったのだろう。
ご飯は残っていたので味噌汁と焼き魚を作る。
料理が出来る頃には、楓姉はいつの間にか席についていた。
自分の分をもくもくと食べている。
朝食を食べると眠くなるのか、どことなくとろんとしてきた。

あれだけお菓子を食べていても朝昼晩食事はちゃんととる。
妖達は夜行性が多く、朝食にはあまり姿をみせない。
洗濯を済ませ、登校時間が来たので出かける準備をする。

玄関では吽狛が待っていた。
いつも通り吽狛を肩に乗せて玄関の引き戸を開けた。


────……いない。
今日の通学路は、とてもさっぱりしたものに感じた。
普段なら妖たちが徘徊しているからだ。
ほとんどの妖は、吽狛の威嚇により追い払えるが、
それにも限界がある。
運が悪いと妖達の集会に遭遇し、遠回りを余儀なくされる。
ひどい時には、学校の中にまで憑きまとわられる事さえある。
妖が見える事と、惹きつけやすいと言う事が、
外出する際の最大の悩みの種だった。


通学路を抜け、学校に到着する。
今日は妖に遭遇することはなかった。
いつもより余裕がある時間帯だ。
登校して来る生徒達も見慣れない顔ぶればかりだった。

「おはよう」

────隣を一人の女生徒がこちらにお辞儀をして、通り過ぎていく。
「お、おはよう」
反射的に挨拶を返すが、ついどぎまぎしてしまった。
一瞬、視界に入った彼女の横顔に────つい、見蕩れてしまったからだ。
整った顔立ちに艶のある長い黒髪がなびく。
身のこなしは気品に満ちて、優雅だった。
その女生徒は、通り過ぎる生徒の全てに愛想良く挨拶をしながら、昇降口へと向かって行く。
「綺麗な……子だな」
思わず、ぼそりと呟いた。
胸が高鳴る────こんな気持ちはは初めてだ。
清楚で良いところのお嬢様といった雰囲気だった。
クラスメイトじゃない。
おそらく隣のクラス────Aクラスの生徒だ。
うちの学校は成績優秀者は全員Aクラスにまとめられている。
クラス同士の交流はあまりない。
文字通りに位が違うと言う感じだった。

あらためて彼女の姿を思い浮かべる。
……しかしそれ以上に気になった点が別にある。
────彼女には妖が憑いていたという事だ。
その妖には、ふさふさとした毛並の中に、あらゆるモノを見通しそうな大きな眼があった。
どういう種類の妖かはわからない。
ただ……見たところ、害はなさそうな感じだ。
妖には様々な種類がある。人間に害を為すものもいれば益をもたらすものもいる。
妖を見抜く眼は、害意があるかそうでないかはわかる。
明らかな害がない以上は不干渉と決めていた。

────だが……むしろ彼女の妖は弱ってる様にみえた。
こういった妖が疲弊している状態を、稲生家の家訓では“気枯(けが)れ”ていると教わっている。
妖は周りにある良くない感情や、憑いている人間の疲労でどんどん気枯れていく。
力の弱い妖はそのまま消えてしまったりする。
逆に良くない方向に力をつけるタイプもいる。
こうなったら厄介だ……その影響は憑かれた本人にも及ぶ。
彼女に憑いた妖は大人しく、害が無いように見えた。
“気枯れ”た妖は“気生(きよ)め”れば元気になる。
本当は憑かれている本人が、その疲弊の原因になっている問題を解消すれば、それは“気生め”になるのだが────あの様子では弱っていく一方だろう。
「……何とかしてあげたいな」
彼女の後姿を見ながら、またもや思わずそう呟いた。
そんな自分の感情に驚いた。
妖が憑いている人間なんて他にも大勢見てきている。
他人の妖に干渉しても、良い事なんて一つもなかった。
不干渉と決めていたはずだった。
だが……なぜだか彼女には不思議な魅力を感じていた。



教室につき、一限目の授業の準備をする。
まだHRまで余裕があるのでしばらく本でも読みながら時間を潰す事にした。
しばらく読書に夢中になっていると、目の前の椅子が動く。
「よぉ、修一郎、ずいぶんと今日は早いじゃねえか?」
前の席のクラスメイト、猫柳行人(ねこやなぎゆきと)が登校して来た。
高校入学の頃から席が隣同士で、初対面の頃からずいぶんと人懐っこく話しかけて来たので、こちらも気軽に話せるようになった。
「……今日はいつもと違って通学中に邪魔がはいらなかったからな」
「? 何だそりゃ? 怪しげな勧誘でもされてるのか?」
妖に遭遇するいつもは更に10分か20分かかる。
そのために早めに家を出るのだが、その時に限って妖が多く、いつも遅刻ギリギリになってしまっていた。
「なあなあ、それより今日の四限目の課題やってきたか?」
と、いつも通りの催促を猫柳はしてきた。
「……ああ、でも丸写しはするなよ」
俺は猫柳にノートを差し出す。
俺も成績は良い方ではないから、仮に間違ってた場合、同じ間違いを写されても困る。
「おおサンキュー! いやー、持つべきものは友だなあー! お礼に昼休み、コーヒー牛乳おごるぜ」
と猫柳は課題の写しに入った。
まあこちらとしては飲み物代が浮く分ありがたい。
俺は本の続きを読むことにした。

「ん……?」
ふと窓の外に眼をやると、走ってくる女生徒の姿が見えた。
同じクラスの八橋 美生(やつはしみお)だ。
時刻を見ると予鈴三分前────遅刻ギリギリだ。
校門が締まる直前でダイブする。
ギリギリセーフ────だが、そのままバランスを崩し、派手にすっ転んだ。
その瞬間、転んだ拍子に下着が見えた。
彼女はあわててスカートを元に戻し、こちらを真っ赤になりながら睨みつける。
同じように外を見ていた男子の間で歓声があがった。
見えただの見えないだので盛り上がってる。
「おお!? 何だ何だどうした!?」
周りの様子に驚いた猫柳は作業を中断し、周りを見回す。
「また生八橋がパンツを披露してくれたんだよ」
クラスメイトは彼女の事を生八橋と呼んでいる。
だから自分も真似て、そう呼んでいた。
「何ぃ!? 美生が!? しまった……俺とした事が見逃すとは!」
今更窓にへばりつくが、もう手遅れだ。
悔しそうに、机を叩く。
「修一郎、今度見つけたら写真に撮っておいてくれよな!」
「いや、それ犯罪だろ……だいいち生八橋にバレたらどんな目に遭わされるかわかりゃしない」


HRの鐘が鳴り、先生が先に来るか、生八橋が先に来るか賭けた。
────確率は五分五分だ。
皆それぞれ席に着き、教室の扉が開く。
「みんなおはよー♪」
────生八橋が先だった。
……と思ったが担任に襟を掴まれ、借りてきた猫状態のまま教室に入ってくる。
「はやく席につけ」
「あうう……遅れてすみません」
解放され、あわてて席に着く生八橋。
教室に笑いの渦が巻き起こる。
生八橋は照れながら、周りに愛想笑いを振りまいていた。
彼女はとても明るい性格で男女問わず人気がある。
遅刻の常習犯ではあるが無欠席の彼女のいつもの光景だった。


────昼休みに入り、猫柳は購買部へと出かけていった。
一人残された自分は、今朝作った弁当を用意した。
猫柳が帰ってくるまで待つことにする。
待っている間、猫柳が課題に描いた落書きを消す。
……すごく迷惑な行為なのだが、落書きの内容がシュールで面白いので許してしまっている。
ただ提出用の場合、ちゃんと消さないと罰を被るのは俺だ。
「ちょっと修ちゃん! 何で今日は早いの!? 校門ダッシュの時一人だと心細いじゃない!」
生八橋が声をかけてきた。
……確かに俺は生八橋の次に遅刻の常習犯でもある。
登校中は、かなりの確率で生八橋と遭遇する。
何度か遭遇する内に、微妙な戦友のような連帯感が生まれていた。
ただ脚は俺のほうが早いので、ぎりぎりの時は大抵、生八橋のみ遅刻扱いだ。
そのせいか対抗意識を持っているらしい。
「まあ待てよ、俺は遅刻自体は殆んどないんだ。いつもぎりぎりか少し早い。いつもぎりぎりか少し遅い生八橋と一緒にするな」
「こらぁ! あたしの事を苗字で呼ぶなぁー!」
────生八橋は自分の事を苗字で呼ばれるのを嫌う。
考えるまでもなくその理由は、有名銘菓のせいだろう。
「良いじゃないか、俺の姉ちゃんは大好きだよ。生八橋も八橋も」
「うぅ……それ、フォローになってないから! 美生(みお)って呼んでよ。だいたいあたしの苗字は八橋だってば!」
別に意地悪で苗字で呼んでいる訳じゃない。
ただ女の子を下の名前で呼ぶのは照れくさくて何だか抵抗がある。
「じゃあ“おたべ”でいいか?」
「もっと嫌!」
「よぉ、パンツ女」
その時、猫柳が戻ってきた。
手には俺の分のコーヒー牛乳もある。
「な、なななな!! あんた見たの!? みーたーのーねー!?」
ぐぐぐ、と生八橋は猫柳の首を絞め上げる。
「どうしてそう地雷を踏む様な事を……」
呆れてため息が出た。
「む、むぐぐッ! ち……ちがう、違う!! み……見たのは修一郎だって! 俺は見れなかったんだよ!!」
────地雷に巻き込まれた。
ギッ! と、こちらを睨む生八橋。
手は猫柳の首を絞めたままだ。
「…………修ちゃん、見たの?」
「さ……さあ、知らないなあ。猫柳、俺を巻き込むのは止めろよ」
俺は平静を装い、弁当を開ける。
その弁当を生八橋は奪った。
「これは拝観料としていただくわ! 代わりにこれあげる!」
目の前に生八橋が出したのはコンビニ弁当だった。
“鶏そぼろ弁当380円”と書いてある。
「おい……ちょっと待て」
唖然としていると生八橋はもう食べだしていた。
「おいっしー! やっぱ修ちゃんの弁当は最高っ! この煮物なんて良く味が染みてるし、良くこんなの作れるねー? 修ちゃんきっと良いお嫁さんになれるよっ♪」
「そ……そうか? う、うーん。ただ一般的な調理法で作ってるだけだけどな」
自分の料理が褒められるのは悪い気はしない。
楓姉のアドバイスの賜物だろうか。
この味はこうした方が良いとか、塩味が一欠けら足りないとか具体的な事を言ってくるから地味に上達はしていってるのかも知れない。
だがそんな事を考えている内に────俺の弁当の半分はもう食べられてしまっていた。「……容赦ないな」
仕方なくコンビニ弁当を食べる事にした。
「あー、俺も修一郎の弁当狙ってたのになあ……」
購買部のパンをかじりながら猫柳が愚痴る。
「明日から三人分作ってきてくれよ」
「あ、それいい♪」
モグモグさせながら生八橋も相槌を打つ。
「……お前らいい加減にしろ」
ただでさえ普段は姉の食事だけではなく、妖の世話もしている。
昨日みたいに楓姉が作ってくれると楽なのだが、
それは儚い期待というやつだろう……。



放課後になり、猫柳とともに陸上部の部室へと向かう。
猫柳は短距離の選手で脚はかなり速い。
部活にも熱心で、先輩達とも仲が良い。
猫柳は中学から陸上をやっているらしく、大会の経験もあるらしい。
俺の方は形ばかり在籍しているものの、あまり熱心な部員ではない。
ただ体力作りと────精神の安定の為にやっているだけだった。
長距離を黙々と走ると充実し、嫌な気分を忘れて精神的に安定する。


────これは傍らにいる吽狛にとっても良い事だった。
俺の精神と守護霊獣の吽狛は密接な関係にある。
それは吽狛が、俺の心が作り出した妖だからだ。
妖が見える血筋の稲生家では、幼少時に妖から身を守るために強力な守護霊獣を自らのイメージで作り上げる。
これは単純だが深い作業で、本能に近い部分を意図的に抽出するものだ。
姿は楓姉の作った阿狛と似た、狛犬になった。
精神から作りだされたものである以上、吽狛は俺の精神状態──心の動きに大きく影響される。
俺の心が病めば、吽狛もまた病んでしまう。
それが“気枯れ”るという状態だ。
ゲームで例えるなら自分という心を視覚化した、ステータス画面の様な存在だった。
(楓姉の阿狛がすっかり丸くなったのも、楓姉の心が丸くなったからだろうか……?)

そんな詮無い事を考える頭の中も、走りこみを続けていると真っ白になってしまう。
ジョギングにも中毒するという話を聞いた事あるが、実際に続けて慣れてくるとゴール直前のドーパミンは癖になるものだった。


「お疲れー」
部活の練習は、滞りなく終わった。
上下関係も厳しくなく、居心地の良い部だった。
「稲生は長距離、かなり速いよな? 今度正式に大会に選手登録しておくか?」
「いえ……俺は半分幽霊部員みたいなもんですから」
先輩は気さくに話しかけてくる。
だが、こちらは気の利いた答えが言えなかった。
「先輩、修一郎は人混みが極端に苦手らしいんです。秋の新人戦までには治しときますんで様子を見させて下さい」
そんな時、いつも猫柳がフォローをしてくれる。
陸上部なら個人練習に打ち込めると言って、勧誘したのは猫柳だ。
だが競技大会のような人の思念が集まる場所には妖が出現しやすい。
集団行動に挑むのはまだまだ難しかった。

「なあ修一郎、たまには皆と繁華街で遊んで帰らないか? そんなんじゃ後々苦労するぜ?」
「……悪いな、繁華街はちょっと……厳しい」
「んー、まあ仕方ねえか。じゃあ俺も一緒に帰るぜ」
猫柳の気遣いが心苦しかった。
着替えた後、そのまま猫柳と帰宅の準備をする。
部室からは校内廊下を通らないと帰れない。
なんとも不便な作りだと思う。
仮に妖が廊下に鎮座していたとしても、回り道ができないのだ。
今は妖はいない。
そう思い、ちょうど図書室の前を通りかかろうとした時────図書室から一人の女子生徒が出てきた。
その長い黒髪と綺麗な顔立ちには見覚えがあった。
────今朝、挨拶をされたあの子だ。
顔以外名前もわからない。
図書室で勉強してたのだろうか。
落ち着いた雰囲気で、いかにも優等生といった感じだった。

────しかし、彼女に憑いている妖は相変わらず“気枯れ”ている。
このままでは確実にこの妖は弱り……消えていく危うさを感じた。
またもや胸が高鳴る。
何とかしてあげたいと思い────迷った。

あれこれ悩んでいる内に、彼女はこちらの脇を通り抜けそのまま通り過ぎていく。
彼女が通り過ぎた後、気になって少し振り返った。
すると彼女も一瞬こちらを振り返った気がした。
(……気のせいだろうか?)
胸が高鳴りが止まらない。
「……悪い、忘れ物した。先に行っててくれ」
「ん?そうか。じゃあ校門のところで待ってるわ」
引き返し、教室に戻るフリをしつつ彼女を追いかける。
何とかしてあげたいと言う感情────それは彼女に対してか妖に対してかわからない
再び彼女とすれ違う。

そしてそのまま──吽狛を使い、彼女の妖を奪い取った。

善意とはいえ、やっている事は強奪に近い。
相手に気付かれる事もないのだが……なんとなくバツが悪い。
そのまま振り返らず教室に入った。


教室に入り、彼女の妖を確認する。
毛むくじゃらの身体の中の眼は、力なくこちらを見ている。
思ったとおり相当に弱っていたようだ。
宿主のところに帰りたがってる素振りも見せたが……ろくに抵抗もせず、大人しくしている。
妖を連れて、教室を出て行きそのまま校門に向かう。
────もう廊下には、彼女の姿はなかった。
そのまま猫柳と合流し、途中までは一緒に帰路に着いた。
いつもの分かれ道で猫柳と別れる。
「じゃあな修一郎。明日は遅刻すんなよ?」
「ああ、お前こそ課題たまには自分でやって来いよ」
他愛もない挨拶のあと猫柳と別れた。
だが俺はそのまま帰らずに────神社に向かって歩き出した。


神社に着き、一礼をした後に鳥居をくぐる。
────ここは無人の古びた社だ。
手入れもあまりされず、ところどころ朽ちている。
人気はなく、一人で石段を歩く。
神楽殿を通り過ぎ、泉が湧き出ている場所まで辿り着いた。
「ここら辺でいいかな……」
毛むくじゃらの妖を適当な場所に座らせる。
泉で清めた両手で、妖の体を掴んだ。
そして丁寧に体をほぐしていく。
────“気枯れ”た妖は体のあちこちが歪んでいる。
これに活力を戻す────“気生め”るためには様々な方法があるが、
ここのように神聖で清らかな場所に滞在させるだけでも充分に効果がある。
ここは古びてはいるものの、土地自体がかなり澄んでいた。
加えてコリをほぐす様な要領で、妖の歪みを治していく。
……想像以上に歪みが酷く、大変な作業ですっかり日も暮れてしまった。

だが、月明かりが差し込んできた。
月の光が妖を照らす────それにより作業の効果は倍増した。
疲弊しきっていたこの毛むくじゃらの妖は次第に活力を取り戻していく。
妖は気持ち良さそうにしていた。

「……よし、ここまで気生めれば大丈夫だろう」
……結局2時間近くかかってしまった。
だがその甲斐あってすっかり毛むくじゃらは元気になったようだ。
だが元気になっても、大人しいままだ。
もともと大人しいタイプなのかも知れない。
「だいぶ気枯れてたなー……。彼女、よっぽどこいつに気にいられてるんだろな」
妖の中には守り神のように、ひたすら憑いている人間を守り続ける類のものがいる。
────この妖は彼女を守っていた。
そう確信した。
この妖の存在を憑人(よりまし)である彼女は気付いてはいない。
こんな状態になってまでも彼女に憑いていたのだ。
そんなこいつを俺が褒めてやらずに誰が褒めるというのだろう。
「お疲れ様……よく今まで頑張ったな」
微笑みかけ、労いの言葉をかけた。

その時────近くで草を掻き分ける音がした。
近くに誰かいるのだろうか?
「?」
周囲を見渡す。
日はすっかり沈んでいた。
こんな時間に神社を訪れる人間なんてほとんどいない筈だ。
「……気のせいか」
おおかた野良猫の類だろう。
「それにしてもすっかり夜になってしまったな。家に帰ろう」
吽狛に毛むくじゃらを背負わせて出口へと向かう。
月明りは見守るように照らし続けていた。


「おかえりなさい」
家に着くと、紅葉が出迎えてくれた。
……何だか新鮮だ。
普段は楓姉が現れて、何かしらちょっかいを出してくる。
この邪気な無い表情は、妙に安心感を与えられた。
「ただいま紅葉。ずいぶん遅くなってしまったけど夕食は? 楓姉が作ってくれたりとかしたか?」
「楓はいま、いっぱい」
「……いっぱい? ああ、いっぱいいっぱいって事か。どうしたんだろう? 
今日で入稿は終わりって聞いてたし、朝は余裕がありそうだったけどな……?」
ひとまず靴を脱ぎ玄関にあがる。
「その子どうしたの?」
紅葉は俺の連れてきた毛むくじゃらの妖に興味を持った。
「ああ、この妖はね……」
事情を説明する。
それを聞くと、紅葉は優しく毛むくじゃらの頭を撫でた。
緊張気味だった毛むくじゃらの表情は柔らかくなった。
紅葉はどうやらすべての妖と相性が良いらしい。


────楓姉はいっぱいいっぱいだと紅葉がいった。
だとすると夕食は作られていないと思われる。
廊下を進み、楓姉の部屋の前で立ち止まる。
木彫りのプレートがかけられており、“ノックせよ!”と落書きの様な絵が描いてある。
襖をどうノックしろと言うのだろう。
とりあえずプレートをノックした。
「楓姉、入るぞ」
「あー!修一郎やーっと帰ってきたんだー。入って、入って」
楓姉の部屋に入る。
ところどころにスケッチブックが散乱しており、足の踏み場がない。
「いやーおかえり! ……ねえちょっと聞いてよ修……────!?」
何を思ったか楓姉は立てかけてあった箒神を手にとり、俺に向かって振り下ろした。
凄まじい風とともに、傍にいた毛むくじゃらが吹っ飛ばされた。
「あんたまた変な妖を連れてきてー! これ以上は増やせないってあんたが言ったんじゃないのー!」
「ち、違う違う! これは……」
俺は楓姉に事情を説明する。
横目で吹き飛ばされた毛むくじゃらを確認すると、紅葉がしっかりとキャッチしてた。
「なーんだ、そういう事なの? もう、はやく言ってよー」
「……説明する暇はどこにもなかったと思うんだが」
楓姉は毛むくじゃらを受け取り、まじまじと見つめる。
「うん、害はなさそうね。大人しくてふさふさしてて可愛いわ」
基本的に楓姉は妖が好きだ。
気に入ってしまうと、すぐ家に棲まわせてしまう。
借り物なのだと言う事を、強く説明しておいた。
「それより楓姉、入稿終わったんじゃなかったっけ?」
「あー!そうよそうよ! 今日あの後3本も依頼があって……これはとても珍しくて凄いことなんだけどスケジュールはかなり濃密になっちゃってさー。……修一郎、悪いんだけど夕食作ってくれない? ……今晩は徹夜だわ」
……昨日は5分しか寝てないって言ってたような気がする。


とりあえず夕食を作ることにした。
冷蔵庫をみると、またもや食材はろくなものが残っていない。
食材の残りは、おおかた腹を空かせた妖に勝手に食べられたのだろう。
買い置きが出来ないのは、本当に面倒だった。
(……仕方ない、買い出しに行くか)
時計は20時を回ってる。
近くのスーパーは21時で閉店だ。
はやく準備して出なければ間に合わない。
「何か食べたい物あるかー?」
楓姉の部屋にも聞こえるように言う。
「何でもイイヨ~」
一番どうしようもない返事が返ってきた。



廊下では紅葉が毛むくじゃらの妖とじゃれあっていた。
「紅葉、何か食べたいものあるか?」
尋ねると、すぐに返事が返って来た。
「昨日のあれ」
「は? 昨日のあれってハヤシライスのことか? あれは無理だよ。あの味は楓姉にしか出せない」
「違う。それもおいしかったけど」
紅葉はふるふると首を振る。
「修一郎が作ってくれたやつ」
「? ……ってトーストとオニオンスープか!? あんなの料理でも何でもないぞ?」
「とても美味しかった」
軽食も良いところだ……妖の味覚はどうもわからない。
「まああんなので良ければいくらでも作るけれどさ、経済的だし」
そう言うと、紅葉は嬉しそうにうなずいた。
見かけは和風なのにパン食な事に苦笑した。


自転車を借りて、スーパーへと向かう。
そこまでの道のりは、通学路と違い妖にはほとんど遭遇しない。
10分程で、問題なく到着した。
閉店間際はろくに商品は残っていないが利点はある。
売れ残りの商品がどんどん値引きされていくのだ。
「紅葉の分はこれでいいとして……」
食パンとタマネギをかごに入れ、後は何を作るか迷った。
流石に晩飯がトーストとスープというわけにはいかない。
こう言う時は、弁当売り場の商品を見て、何を食べたいか連想する事にしている。
新商品の冷やし中華が入荷していた。
まだ六月だが、もうそんな季節になったのかと思い、それをメニューに決めた。
そうと決まれば早いもので、棒ラーメン、キュウリ、トマト、卵と食材を次々と買い物かごに入れていく。
「仕上げは蒸し鶏か……エビだな」
エビは高いが、彩りが豊かになる。
海鮮コーナーに行くと、1パックだけ残っていた。
……見ると半額のシールが貼ってある。
迷わず手に取ろうとする。
だがその瞬間───もうひとつの手がエビの冷凍パックを掴んだ。
「……!」
慌てて手を引っこめる。
こういう争奪戦は苦手だ。
大人しく譲ることにした。
見ると隣の相手も腕を引っ込めたようだ。
……こうなるとバツが悪い。
「どうぞ」
と、照れながら顔をあげた。
────だがその相手の顔を見た瞬間、思わず息を呑んだ。
「……え!?」
そこに立っていたのは、あの毛むくじゃらの妖が憑いていた女の子だった。
名前も知らない彼女────驚きのあまり声も出ない。
あらためて彼女の顔を見る。
整った可愛らしい顔立ちは、胸を高鳴らせた。
彼女の方もすごく驚いているらしく、顔を真っ赤にしてあたふたしている。
「あ、あの……っ!どうぞ……」
さささっ、と俺にエビの冷凍パックを譲る仕草をする。
だがこちらはしばらく呆然としていて、一生懸命目の前の状況を脳内処理している。
何とも言えない空気が、場を包んだ。
「や、やあ……今朝も会ったよな……?」
ようやく口が開く。
恥ずかしい事に、声が裏返っていた。
「う、うん。……こうして話すのは初めてかな? はじめまして……稲生君」
「え? 何で俺の名前を知ってるんだ?」
彼女に会ったのは今日が初めてだ。
名前を知られている理由を思いつかない。
「え? そ、それはその……ええと……」
彼女はしばらく考え込んでから口を開いた。
「ほ、ほら、あなた達────えっと、あと一人は……八橋さんだっけ? うちのクラスでも有名なの。いつもHRのチャイムぎりぎりで校門をくぐってくるから。」
くすくすと彼女は邪気のない笑顔で言う。
────理由はあったが、がっくりと力が抜ける。
……間に合ってるか間に合ってないかは瑣末な問題だった。
二人ともクラス間を越えて、悪目立ちをしていたようだ。
「下の名前は知らないけど……あ! 私は御堂紗都梨(みどうさとり)と言う名前なの。よろしくね、稲生君」
……御堂紗都梨……御堂。
忘れないように頭の中で反芻する。
「うん。俺は稲生修一郎だ。よろしくな、御堂」
こちらが挨拶すると、御堂はゆっくりと頷く。
「紗都梨で良いよ。御堂って何だか重たい響きでしょ?」
「い、いや……さすがに照れくさいよ。立派そうな良い名前じゃないか」
「……そうかな」
何故だろう、御堂は少し寂しげだった。
「それにしても御堂はこれから夕食か? ずいぶん遅いんだな」
「え? あ、うん。ちょっと事情があってね……。ふふ、それを言うのなら稲生君も同じじゃないの?」
御堂はいたずらっぽく微笑んだ。
学校での気高い雰囲気と違い、親しみやすい印象を受ける。
「まあ……俺の方もちょっと事情があってね。姉貴が仕事忙しくて俺が夕食を作ることになったんだよ」
本当はいつもの事なんだが、そんな事は理由にはならない。
「ふうん……稲生君はお姉さんと二人で暮らしなの? ご両親とかは?」
……家庭の事情を聞かれて困った。
両親が不在なのは妖が原因だ。
説明すると長くなるし、したところで信じて貰えるとは思えない。
「……あ! ま、まずい事聞いちゃったかな? ごめんなさい」
返答に困っていると、御堂に謝られた。
適当に、無理のない理由で答える事にした。
「……俺の両親は仕事で海外に長期出張中なんだ」
本当は海外になんて行っていない。
誤魔化すために、微妙に嘘をついた。
すると、御堂は困ったような仕草で頭を振る。
「ご、ごめんね。……言いにくいことを聞いて」
申し訳無さそうにうつむいている。
下手な嘘で、気遣わせてしまった。
「あ……うん。でも姉貴と二人暮しなんだ。気楽なもんだよ」
「そう、お姉さんと二人暮らしなんだね。でも男の子なのに料理を家族の分まで作るなんて、えらいね」
────御堂は学校での印象と違い、物腰も柔らかく気さくに会話をしてくる。
とりとめのない話をしていると閉店の放送が流れてきた。
「……いけない!はやく買わなきゃ」
御堂は慌てて買い物を再開する。
こちらは欲しいものは揃ったので、御堂の買い物に付き合うこととなった。
急いでいても、御堂は野菜などの品質や値段のチェックは怠らなかった。
新鮮な食材の見分け方も手馴れている。
意外と庶民的なその一面に、何だか安心してしまった。


買い物を済ませ、閉店と共に表に出る。
スーパーの看板の電灯が消えて、より一層辺りが薄暗くなる。
もうすっかり夜中で、街灯も少なかった。
「夜道は危険だぞ……一人で大丈夫か?」
女の子の一人歩きは危険に感じた。
「ううん、平気。私の家ってここのすぐ近くだから……心配してくれてありがとう」
御堂は丁寧に一礼をした。
「話せて嬉しかった。じゃあね、稲生君。また明日学校で」
そう言って御堂はにっこり笑って手を小さく振る。
俺もつられて手を振った。
若干、弱々しく感じた彼女の態度も、別れ際には落ち着きを取り戻していた。
その様子はとても元気そうに感じた。
彼女に憑いていた毛むくじゃらの妖の事を思い出す。
妖があんなに疲弊していたのに比べ、対照的だった。



「ただいまー」
「おかえりなさい」
帰宅すると、またもや紅葉に出迎えられた。
先程と違うのは傍に毛むくじゃらが居ることだろう。
さっきからずっと玄関で遊んでいたんだろうか。
毛むくじゃらは先程より元気になっていた。
それは紅葉のおかげなのかもしれない。
紅葉が傍にいると不思議と癒される気がする。
座敷わらしとしての力なのかもしれない。
活力が増し、物事がうまく進むように感じられた。
「ごめんな紅葉、お腹すいたろう? 今すぐ支度するからな」
腹が減って限界だった。



台所に入り、夕食の準備をする。
冷やし中華が色彩豊かになるように具材を盛り付ける。
そして最後に御堂に譲って貰ったエビを盛り付けた。
いつも夕食時にやってくる小人がやってこなかった。
「どうしたんだろう?」
遅くなり過ぎて、眠ってしまったのかもしれない。
何だかんだで食事が完成したときは22時になっていた。
「これじゃもはや夜食だな……楓姉ーできたぞー」
だが、返事はなかった。
「どうしたんだろう?」
他の妖達はすでに食事を食べ始めていた。

又三郎は自分の分は食べ終わり、こちらのエビを執拗に狙っている。
「猫がエビを食べると腰がぬけるぞ」
「そんなの迷信なんて信じられないニャ!」
「迷信みたいな猫又が何を言ってるんだ……」
「それにしてもこのエビ、女の匂いがするニャー? 美人の店員さんでもいるのかニャ? 今度連れて行くニャ!」
「……間違いなくつまみ出されるぞ」
又三郎は、こんなエビからも御堂の匂いを察したらしい。
恐ろしい嗅覚だ。

紅葉はトーストをかりかりとリスのように食べていた。


呼んでも来ないので楓姉の部屋に入る。
「楓姉? ………あ」
案の定、楓姉は机の上につっぷして居眠りをしていた。
漫画とかなら鼻ちょうちんが似合っている事だろう。
お菓子をくわえながらよだれを垂らしている呆けた顔だ。
とてもじゃないが嫁入り前の娘が見せる顔じゃない。
「……ん?」
見ると小人達が作業を手伝っている。
「さっきからいなかったのはこういうことか……」
楓姉は基本的に自分の仕事は自分でしてしまいたいタイプだ。
この小人達に手伝わせるという事は、余程の過密スケジュールと言う事になる。
「……おい、楓姉。どうせ寝るならちゃんと寝ろよ」
「んあ? ねて……ネテナイ! ネテナイヨー?」
(ああ、もうこれはダメだな)
無理矢理起こして、ベットに寝かしつける。
「ふう……しまったな。こんな事になるんなら冷やし中華にするんじゃなかった」
冷やし中華は麺がのびると台無しだ。
……まあこれは向こう見ずに依頼を受けた楓姉が悪いのだと思う事にした。
 ふと、小人の様子を見る。
────見ると、それはとても丁寧に綺麗に楓姉の作品をしあげていった。
「や、やるな……こいつら」
……完全に楓姉のタッチを複製している。
これはまた本人は複雑な気持ちだろうなあ。
楓姉が手伝わせない理由がなんとなくわかった気がした。



夕食も無事食べ終わり、楓姉の分はラップに包んで冷蔵庫にしまった。
片づけを済ますと、いつのまにか23時近くになってしまった。
「……今日は課題が無い分せめてもの救いだな」
風呂に入り、就寝の準備をする。
洗面所で歯を磨いてると紅葉がやってきた。
「修一郎、今日何か良いことあった?」
「ん……?」
今日の出来事を思い出す。
すると彼女の……御堂の姿が想い浮かんだ。
朝、初めて会って、今日だけで3回も遭遇してしまっていた。
……偶然にしては出来すぎている。
別れ際の微笑を思い出すと、再び胸が高鳴った。
口をゆすぎ、紅葉の質問に答える。
「あったよ」
笑ってそう答えると────紅葉は微笑み返す。
「良かった」
と紅葉は笑った。
紅葉のまともな笑顔を見るのは初めてかもかもしれない。
なんだか幸せな気分になった。
楓姉は紅葉……座敷わらしを福の神と言った。
「縁結び……か」
楓姉は仕事の依頼が大量に来たとか言ってたっけ。
商売繁盛もあながち偶然とも思えなくなった。
「……本当に福の神かもしれないな」

自室に戻り、布団に入り込んだ。
今日は気生めの作業で疲れてしまった。
いい加減にもう眠い。
まどろみながら今日の出来事について考えた。
思いがけない幸運は……なんとなく後が怖い気がした。
「……どうしても悲観的に考えてしまうな」
明日も学校だ。
深く考えるのはやめよう。
もう0時を過ぎ、深夜を回ってしまっていた。
「今日みたいに早起きすれば……また御堂に会えるんだろうか」
そんな事を考えながら深い眠りへと落ちていった。




《二日目終了 三日目に続く》
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