ゾンビと魔法少女と外宇宙邪神と変身ヒーローと弩級ハッカー、あと俺。

Scene18 スペース刑事見習いキャンディーと俺の地下通路

第108話

俺は通路を下って行く。
俺とスペース刑事ゲン、スペース刑事見習いキャンディー。

「なんだ、お前も一緒に行くのか」
「バカバカ、通信が困難て言ったでしょ。
　通信出来ないなら後方支援の意味なんて無いわ。
　一緒に行った方がマシよ」　
　
チラリと水着の女性キャンディーは俺を見る。

「それにこの現地の少年も行くんでしょ。
　アンタと二人じゃどんな目に遭うか。
　また報告書書かされるのはゴメンよ。
　アタシもついてくわ」

「自分を心配してくれてるんですか。
　キャンディーさんは優しい人ですね」

俺は好青年風に語り掛ける。
冬場に水着を着てくれる貴重な女性だ。
このくらいの機嫌は取ってあげるべきだろう。

「ま、まあトーゼンよ。
　危険も有るから、キミも注意しなさいよ」

キャンディーは少し顔を赤らめてるな。

「先ほど『外宇宙邪神』と言っていましたね。
　貴方達はそれを捕まえに来たんですか」

「まあ、そうだな」
「アイツらが悪さすると、幾つもの次元宇宙に悪影響が出るの。
　世界が不安定になっちゃうわ」

俺は簡単に説明する。
海辺の町にインスマス人、不気味な男達が増えてる。
彼等は神社や教会を襲ってる。

「フーン、現地の宗教施設か」
「あいつらも狂信の徒みたいなモノだもの。
　おかしくは無いわね。
　それに宗教施設はだいたい世界の安定に役立つ場合が多いわ」

「そうだな、それが破壊されれば住民の不安も増す。
　世界の浸食が進むってもんだ」

俺には理屈がイマイチ呑み込めないが。
彼等から見て自然な世界の侵食行動らしい。

「『Dagon』の実体化までさせてしまったのは相当マズイわよ。
　ハッキリ言って始末書ものよ。
　ゲンが書いてよね。
　あたしは知らないわ」
「今はそれどころじゃねーだろ。
　『Dagon』だけならまだいい。
　主神『Cthulhu』まで呼び出されてみろ。
　この辺りの空間はメタメタ。
　始末書どころか、降格だぞ」

「降格！
　どうすんのよ」
「だからここでインスマスどもを叩くんだろ」

「じゃあ急ぎましょ」

キャンディーに急かされ、足を早める俺とスペース刑事。