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Scene28 悶える闇の妖精と俺の湖の畔
第163話
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シアカテルとサイツォンは湖の淵で座り込んでいる。
サイツォンの奴は普段、疲れを見せない。
タフな巨漢なのだが、『ワイルドビーティング』は集中力を食うと言っていたな。
今日は茶屋でテストに何回も使わせた。
更に本来操れるレベルで無い高濃度にして膨大な魔力を駆使した『ワイルドビーティング』。
さすがの獣人王も疲れた様子を隠さない。
シアカテルはもっとグッタリしている。
その美しい黒い肌に汗を飛び散らせている。
顔は紅潮し、整った容姿が恐ろしく艶めいている。
俺はそのシアカテルに手を貸し、立ち上がらせる。
「シアカテル。
疲れてるかもしれんが、もう一度行くぞ」
「はっ?!
何をでしょう。
ええ、えええええええ?!」
俺は彼女の手を取り杖を握らせる。
片方の手は握りしめ、俺の身体から魔力を流し込む。
「あっ、いや。
許して、もう壊れちゃう。
ホントにダメなの。
お願い、お願い~」
再度、自分の身体に流れ込む魔力。
魔王の四将としてのキリッとした姿を忘れ。
闇の妖精は潤んだ瞳を俺に向ける。
幼児返りしたような言動。
シアカテルの整った顔が子供の様になる。
凄まじく魅力的では有るのだが。
「後は力技だけだ。
集中力も、精緻なバランスコントロールも要らん。
少しだけ踏ん張れ」
「ウソッ、うそです。
ガマン出来ないの。
助けて、お願い。
何でも言う事聞きます。
何でもしますから、お願い助けて」
俺の手にすがりつくシアカテル。
その手から魔力が流れ込んでいるんだがな。
自身の身体に流れ込むモノが強大過ぎて、知性が吹っ飛んでるのか。
すぐ傍にあったシアカテルの顔を上向けその唇に俺の口を重ねる。
「バカバカ、こんな時に何イチャついてんのよ」
キャンディーのプンスカした声が聞こえるが無視。
俺は唇を離す。
シアカテルの呆然としたような顔が目に入る。
少しは正気が戻ったようだな。
彼女の手を取り夜の湖の方へ向かわせる。
「シアカテル、『ダークブラスト』だ。
全ての魔力でこの湖を干上がらせてしまえ」
『ダークブラスト』
暗き熱風よ、全てを滅せ!
俺の言うままに闇の妖精は魔法を放つ。
その腕の杖から、放射される光。
湖の表面が瞬く間に沸き立つ。
「ええっ、せっかく水を呪いに抵抗する水に変えたんじゃないの?」
「なんのつもりだ」
キャンディーとサイツォンは驚きの声を上げる。
ジージーマインは納得する。
「水蒸気、水蒸気ハ上空デ雲ニナル。水ノ分量ガ多クナレバヤガテ雨ニナッテ地上ニ降リ注グ。『Glaaki』ノ呪イニ対抗スル雨ヲ降ラスオツモリ」
「だって、そんな確かに雨は降るかもしれないけど。
一度蒸発した水よ。
そんな効力を維持するワケが……」
キャンディーはイマイチ納得しがたいらしい。
俺も100%確証が有る訳では無いが。
何とかなるだろう。
魔力だ。
化学物質では無いのだ。
蒸発して消え失せると言うのなら。
『Glaaki』の棘の効力だって同じだ。
奥多摩湖から水はそのまま流れる訳では無い。
浄化槽を通り浄化された上で上下水道、多摩川へと流れるのだ。
唯の物質ならその時点で効力は無くすだろう。
『Glaaki』の棘はそれを越え、効力を発揮してる。
こちらとて魔王の四将の総力で作り上げた、その呪いに対抗する水。
蒸発、降雨のメカニズムを越えて効力を発揮してくれるだろう。
サイツォンの奴は普段、疲れを見せない。
タフな巨漢なのだが、『ワイルドビーティング』は集中力を食うと言っていたな。
今日は茶屋でテストに何回も使わせた。
更に本来操れるレベルで無い高濃度にして膨大な魔力を駆使した『ワイルドビーティング』。
さすがの獣人王も疲れた様子を隠さない。
シアカテルはもっとグッタリしている。
その美しい黒い肌に汗を飛び散らせている。
顔は紅潮し、整った容姿が恐ろしく艶めいている。
俺はそのシアカテルに手を貸し、立ち上がらせる。
「シアカテル。
疲れてるかもしれんが、もう一度行くぞ」
「はっ?!
何をでしょう。
ええ、えええええええ?!」
俺は彼女の手を取り杖を握らせる。
片方の手は握りしめ、俺の身体から魔力を流し込む。
「あっ、いや。
許して、もう壊れちゃう。
ホントにダメなの。
お願い、お願い~」
再度、自分の身体に流れ込む魔力。
魔王の四将としてのキリッとした姿を忘れ。
闇の妖精は潤んだ瞳を俺に向ける。
幼児返りしたような言動。
シアカテルの整った顔が子供の様になる。
凄まじく魅力的では有るのだが。
「後は力技だけだ。
集中力も、精緻なバランスコントロールも要らん。
少しだけ踏ん張れ」
「ウソッ、うそです。
ガマン出来ないの。
助けて、お願い。
何でも言う事聞きます。
何でもしますから、お願い助けて」
俺の手にすがりつくシアカテル。
その手から魔力が流れ込んでいるんだがな。
自身の身体に流れ込むモノが強大過ぎて、知性が吹っ飛んでるのか。
すぐ傍にあったシアカテルの顔を上向けその唇に俺の口を重ねる。
「バカバカ、こんな時に何イチャついてんのよ」
キャンディーのプンスカした声が聞こえるが無視。
俺は唇を離す。
シアカテルの呆然としたような顔が目に入る。
少しは正気が戻ったようだな。
彼女の手を取り夜の湖の方へ向かわせる。
「シアカテル、『ダークブラスト』だ。
全ての魔力でこの湖を干上がらせてしまえ」
『ダークブラスト』
暗き熱風よ、全てを滅せ!
俺の言うままに闇の妖精は魔法を放つ。
その腕の杖から、放射される光。
湖の表面が瞬く間に沸き立つ。
「ええっ、せっかく水を呪いに抵抗する水に変えたんじゃないの?」
「なんのつもりだ」
キャンディーとサイツォンは驚きの声を上げる。
ジージーマインは納得する。
「水蒸気、水蒸気ハ上空デ雲ニナル。水ノ分量ガ多クナレバヤガテ雨ニナッテ地上ニ降リ注グ。『Glaaki』ノ呪イニ対抗スル雨ヲ降ラスオツモリ」
「だって、そんな確かに雨は降るかもしれないけど。
一度蒸発した水よ。
そんな効力を維持するワケが……」
キャンディーはイマイチ納得しがたいらしい。
俺も100%確証が有る訳では無いが。
何とかなるだろう。
魔力だ。
化学物質では無いのだ。
蒸発して消え失せると言うのなら。
『Glaaki』の棘の効力だって同じだ。
奥多摩湖から水はそのまま流れる訳では無い。
浄化槽を通り浄化された上で上下水道、多摩川へと流れるのだ。
唯の物質ならその時点で効力は無くすだろう。
『Glaaki』の棘はそれを越え、効力を発揮してる。
こちらとて魔王の四将の総力で作り上げた、その呪いに対抗する水。
蒸発、降雨のメカニズムを越えて効力を発揮してくれるだろう。
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