ゾンビと魔法少女と外宇宙邪神と変身ヒーローと弩級ハッカー、あと俺。

Scene28 悶える闇の妖精と俺の湖の畔

第164話

「ホントかしら」

キャンディーは疑いのマナザシ。

俺はシアカテルの肩を抱いてる。
闇の妖精は何だか操り人形の様になってる。

『ダークブラスト』を使ったまま。
杖を湖に向けている。
その杖からは今も光が放射され、湖の水を熱しているのだ。

シアカテルは俺の身体から流れ込む魔力を『ダークブラスト』に変える機械のよう。
目を閉じ、身体に力が入っていない。
俺が支えてやらなければ、倒れ込みそうだ。
ホトンド意識も残っていない様子。

俺の方は彼女の身体を支えるだけ。
勝手に魔力は俺の身体から彼女へ流れ込む。
何もやる事が無い。

ホントに意識が無いのだろうか。
俺は彼女の肩を支えながら黒い肌のヒップを軽く撫でる。
次いで胸元にも手を伸ばす。
ホントウに意識が飛んでる様だ。

「バカバカ、何やってんよ」
「彼女の身体を支えているだけだ」

キャンディーが目ざとく、俺の手の動きを捉える。
意識の無い女性に触れてもつまらないな。
今度意識の有る時にゆっくり触ろう。

奥多摩湖の水は干上がりつつある。
ボコボコと泡を立て、沸騰している水。
もうもうと煙が立ち込め、熱い空気が周囲を覆う。
夜空には星が見えていたのだが。
雲に隠れてきている。

しかし雲は流れて行ってしまう。
星の光が見えてはまた雲に遮られる。

「雲ってどの位の速度で動くんだろうな」
「時速四十カラ五十キロメートルト言ワレテイマス。
　地上カラハ動イテイナイ様ニ見エテモ実際ニハ移動シテイル。
　出来テハ消エルヲ繰リ返シテイル。
　上空ノ風ノ状態ニヨッテハ時速百キロヲ越エル速度デ移動スル事モ有ルソウデス」

ならば東京中に広がるな。

「円花たちの居る逗子までの距離はどの位だ？」
「直線距離ナラ百キロト少シデショウカ」

「ちょっと少し寒くなって来たわよ」

キャンディーが五月蝿い。
冬の山なのだ。
日が落ちれば寒いに決まっている。
しかし、先ほどまで辺りには蒸気が立ち込めていた。
近くの湖が熱で沸騰していた。
以前と同じスチームサウナ状態。
かなりの温かさだったのだが。
近場の水はほぼ蒸発。
遠くに深い位置にはまだ水が残り、蒸気を発しているが。
こちらを温めるほどではない。

キャンディーはミニスカサンタスタイル。
蒸気の熱が過ぎ去れば、寒いだろう。

「こんなもんだろう。
　もう湖の水は9割がた蒸発したようだ」

機械的に魔法を放つシアカテルに魔力を送るのを止める。
闇の妖精は疲れ果てたように倒れた。

「あら、これ」

キャンディーが言う。
上空から白いモノが降ってくる。
雪か。
雪が空からは振り出していた。