180 / 191
Scene.EX04 女社長七鮎川円花と俺のいない世界
第180話
しおりを挟む
「貴方が七鮎川円花さんですか。
あのすいません。
本当に僕、覚えてなくて……
何がなんだか」
それ以上何か言おうとする男性。
「分かりました。
お時間取らせてすいません」
わたしはキッパリ言って病室を後にした。
病室のネームプレートには『草薙』。
高校の校舎そばで倒れていたと言う男性。
わたしが通う高校の三年生。
草薙真悟。
ゾンビ事件の犠牲者として病院に運び込まれた。
しかし彼は何故か無傷だった。
肉体的外傷は全く見受けられない。
ただし。
記憶が無い。
高校に入学して以来の三年間の記憶が全く無い。
それ以前の記憶は有る。
だから、本人は草薙真悟と名乗った。
「よう、どうだった?」
病室の近くで待っていた逆が声を掛ける。
五古河逆【ごふるかわさからう】。
現在はわたし、七鮎川円花【ななあゆかわまどか】の護衛兼付き人の様なポジションにいる彼女。
わたしは逆に頭を振って見せる。
「あの人は……違うわ。
草薙先輩じゃない」
外見は。
高い背丈、均整の取れたスタイル。
彫りの深い顔立ち。
似ている。
いや、似ているというか本人なのだ。
その筈なのだけど。
表情が、その雰囲気が違うと告げている。
わたしの知っている真悟さんじゃない。
一見何処にでもいる好青年の様でありながら。
何にも臆する事の無い男性。
天性の威圧、誰もを従わせる王者の様な迫力。
そんな迫力が一欠けらも無い。
あの病室にいたのはただの気の弱そうなお坊ちゃん青年。
ゾンビ事件。
関東周辺をパニックに陥れたあの未曽有の怪事件は終息した。
時は12月24日。
クリスマスイブ。
関東に雪が降り注いだ。
ホワイトクリスマスを喜べる余裕の有る人間はいなかったでしょう。
しかし。
聖夜に相応しく、奇跡は起こったわ。
雪を受けたゾンビ達はみな動かなくなった。
ゾンビになったばかりの者には普通の人間に戻った者すら居ると言う。
そんな幸運な人間ばかりでは無い。
重傷者は多い。
ゾンビとなり暴れて、ケガを負った者達。
人間に戻ってもケガが全て治る訳では無い。
重傷で倒れた。
だが不思議と回復した者も多い。
重傷者が多数存在し、治療も手が行き届かない。
にも拘わらず、亡くなる筈の重傷者には助かった者が多い。
完全に死んでからゾンビとなったモノは唯の死体と化した。
ゾンビとなって回復しようの無い傷を負ったモノもそうだ。
身体が捥がれていたり、心臓に穴の開いたモノ。
人間に戻っても助かりようが無い。
動かない死体と化した。
犠牲者は多かったのだけれど。
それでも助かった者も大勢いたのです。
正に神の加護。
『聖夜の奇跡』そう呼ばれた出来事でしたわ。
けれども、わたしは知っています。
サンタクロースの仕業では無い。
あの人の仕業だと言う事を。
あのすいません。
本当に僕、覚えてなくて……
何がなんだか」
それ以上何か言おうとする男性。
「分かりました。
お時間取らせてすいません」
わたしはキッパリ言って病室を後にした。
病室のネームプレートには『草薙』。
高校の校舎そばで倒れていたと言う男性。
わたしが通う高校の三年生。
草薙真悟。
ゾンビ事件の犠牲者として病院に運び込まれた。
しかし彼は何故か無傷だった。
肉体的外傷は全く見受けられない。
ただし。
記憶が無い。
高校に入学して以来の三年間の記憶が全く無い。
それ以前の記憶は有る。
だから、本人は草薙真悟と名乗った。
「よう、どうだった?」
病室の近くで待っていた逆が声を掛ける。
五古河逆【ごふるかわさからう】。
現在はわたし、七鮎川円花【ななあゆかわまどか】の護衛兼付き人の様なポジションにいる彼女。
わたしは逆に頭を振って見せる。
「あの人は……違うわ。
草薙先輩じゃない」
外見は。
高い背丈、均整の取れたスタイル。
彫りの深い顔立ち。
似ている。
いや、似ているというか本人なのだ。
その筈なのだけど。
表情が、その雰囲気が違うと告げている。
わたしの知っている真悟さんじゃない。
一見何処にでもいる好青年の様でありながら。
何にも臆する事の無い男性。
天性の威圧、誰もを従わせる王者の様な迫力。
そんな迫力が一欠けらも無い。
あの病室にいたのはただの気の弱そうなお坊ちゃん青年。
ゾンビ事件。
関東周辺をパニックに陥れたあの未曽有の怪事件は終息した。
時は12月24日。
クリスマスイブ。
関東に雪が降り注いだ。
ホワイトクリスマスを喜べる余裕の有る人間はいなかったでしょう。
しかし。
聖夜に相応しく、奇跡は起こったわ。
雪を受けたゾンビ達はみな動かなくなった。
ゾンビになったばかりの者には普通の人間に戻った者すら居ると言う。
そんな幸運な人間ばかりでは無い。
重傷者は多い。
ゾンビとなり暴れて、ケガを負った者達。
人間に戻ってもケガが全て治る訳では無い。
重傷で倒れた。
だが不思議と回復した者も多い。
重傷者が多数存在し、治療も手が行き届かない。
にも拘わらず、亡くなる筈の重傷者には助かった者が多い。
完全に死んでからゾンビとなったモノは唯の死体と化した。
ゾンビとなって回復しようの無い傷を負ったモノもそうだ。
身体が捥がれていたり、心臓に穴の開いたモノ。
人間に戻っても助かりようが無い。
動かない死体と化した。
犠牲者は多かったのだけれど。
それでも助かった者も大勢いたのです。
正に神の加護。
『聖夜の奇跡』そう呼ばれた出来事でしたわ。
けれども、わたしは知っています。
サンタクロースの仕業では無い。
あの人の仕業だと言う事を。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる