95 / 102
その6 危険な瞳
第93話 冷たい声
しおりを挟む
「やっぱり
アンタの父親の砂船乗り、アンタのコト好きじゃ無いんだわ」
「……そんなコト無い……
あたし、あたしエウロペのコトもっと勉強する。
そうすればお父さんのコトがもっと分かるわ」
「エウロペねー。
お隣のヴェーダ国を攻めてるって言う野蛮な国ね。
アンタの父親も、船旅に出てるなんて言って。
そのままエウロペに帰っちゃって、もう帰ってこないんじゃないの」
「そんなコト無い。
そんなコト絶対無いの。
だって……」
そう言うエステルちゃんはまた大きくなっている。
もう小さい子供じゃない。
12歳のエステルちゃんにほとんど変わらないまでに成長している。
「あたし、エウロペの言葉も勉強したわ。
商隊には入れなくても。
護衛団の砂船に乗れるの。
ルドラ神様の加護も受けたわ。
船に良い風を吹かせる事も出来るのよ
これでお父さんを追って行けるわ」
「カミサマ?
エウロペの神は唯一神なんだよ。
他の神なんてバケモノみたいなモノさ」
「ええっ?!
だって……神様よ。
12大神の一人。
三つの貌を持つ偉大なるお方」
「三つの貌か。
身体から三個も頭が生えてるのは私たちから見ると気持ち悪いかな」
アントナンさんに似た声が響く。
「そんな……
じゃあ、あたしなんのために……」
「父さん、お父さん。
何処までもこの砂の海をあなたを追って行ける。
そう思っていたのに……
だから努力して来たのに……」
「エステル」
「お父さん?!」
「もうお父さんじゃない。
俺はもうエウロペに帰る事にしたよ。
こんな砂の国ともオサラバだ」
ライールさんに似た声。
だけどエステルちゃんへの愛情にあふれたあの声じゃない。
冷たい響きの声が聞こえて来る。
「……なんで?!
なんでお父さん!」
「それは……エステル、お前がキライだからさ」
「……!……」
「ヘレーナの手前、ガマンして来たけどね。
もうまっぴらさ」
「ヒドイ!
ひどい、お父さん。
なんでそんな事言うの?」
「それはね……
エステル、お前がバケモノだからさ。
神々だって。
三つの貌を持つ神。
どう考えたってバケモノじゃないか。
そんなのの力を借りるなんて。
なんてキモチワルイ!」
「そうだ。
おれは騙されてたんだ。
エステル、お前はカワイイ顔をしてみせてるだけのバケモノ」
「……ひどい……
お父さん、あたしバケモノじゃない……」
そう言うエステルちゃんの声は小さい。
力の無い響き。
ライールさんに似た冷たい声。
それが辺りに大反響する、大きな周り中を打ちのめすような響きなのに。
エステルちゃんの声は小さい。
アンタの父親の砂船乗り、アンタのコト好きじゃ無いんだわ」
「……そんなコト無い……
あたし、あたしエウロペのコトもっと勉強する。
そうすればお父さんのコトがもっと分かるわ」
「エウロペねー。
お隣のヴェーダ国を攻めてるって言う野蛮な国ね。
アンタの父親も、船旅に出てるなんて言って。
そのままエウロペに帰っちゃって、もう帰ってこないんじゃないの」
「そんなコト無い。
そんなコト絶対無いの。
だって……」
そう言うエステルちゃんはまた大きくなっている。
もう小さい子供じゃない。
12歳のエステルちゃんにほとんど変わらないまでに成長している。
「あたし、エウロペの言葉も勉強したわ。
商隊には入れなくても。
護衛団の砂船に乗れるの。
ルドラ神様の加護も受けたわ。
船に良い風を吹かせる事も出来るのよ
これでお父さんを追って行けるわ」
「カミサマ?
エウロペの神は唯一神なんだよ。
他の神なんてバケモノみたいなモノさ」
「ええっ?!
だって……神様よ。
12大神の一人。
三つの貌を持つ偉大なるお方」
「三つの貌か。
身体から三個も頭が生えてるのは私たちから見ると気持ち悪いかな」
アントナンさんに似た声が響く。
「そんな……
じゃあ、あたしなんのために……」
「父さん、お父さん。
何処までもこの砂の海をあなたを追って行ける。
そう思っていたのに……
だから努力して来たのに……」
「エステル」
「お父さん?!」
「もうお父さんじゃない。
俺はもうエウロペに帰る事にしたよ。
こんな砂の国ともオサラバだ」
ライールさんに似た声。
だけどエステルちゃんへの愛情にあふれたあの声じゃない。
冷たい響きの声が聞こえて来る。
「……なんで?!
なんでお父さん!」
「それは……エステル、お前がキライだからさ」
「……!……」
「ヘレーナの手前、ガマンして来たけどね。
もうまっぴらさ」
「ヒドイ!
ひどい、お父さん。
なんでそんな事言うの?」
「それはね……
エステル、お前がバケモノだからさ。
神々だって。
三つの貌を持つ神。
どう考えたってバケモノじゃないか。
そんなのの力を借りるなんて。
なんてキモチワルイ!」
「そうだ。
おれは騙されてたんだ。
エステル、お前はカワイイ顔をしてみせてるだけのバケモノ」
「……ひどい……
お父さん、あたしバケモノじゃない……」
そう言うエステルちゃんの声は小さい。
力の無い響き。
ライールさんに似た冷たい声。
それが辺りに大反響する、大きな周り中を打ちのめすような響きなのに。
エステルちゃんの声は小さい。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
7
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる