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第15話 ジーフクリード
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ジーフクリードは顔を歪める。逢いたくない人間に逢ってしまった。
「……誰だ?」
ひそめた声でナイトくんが訊ねてくる。どう説明した物かな。
「ギガントさん。
今は親の仕事を継ぐ勉強で学校は通わなくなったけど。
去年まで子供達のリーダーだったんだ」
「……ああ」
軽くナイトくんは頷き、納得した風情を出している。
「ああ、って!
そんな簡単に納得しないでよ。
イロイロ事情も有るし、僕も言いたい事たくさんあるんだってばさ。
あのギガントってば体格良いだろ。
去年まで学校通ったなんて信じられないくらいだよ。
ナニ食ってたらそんなデカクなるんだよ!
チクショウ、親が金持ちだからか。
金持ちだと体格までよくなんのかよ。
だけど背が高いだけじゃなくて横にもデブってるからなー。
良いもん食いすぎだっつーの。
辺境で働いてる人達、太ったりしないから。
デブなんてオマエらマックス親子くらいだからな。
身体がデカいだけでも無くてさ。
子供達の中にはアイツの親に雇われてる立場の人の子供もいんの。
だから逆らえないの。
しかもあのギガントってばさ、それを分かってて脅しに来るクズ野郎なの!」
「……テメェ、ジーフクリード!
聞こえてっぞ!」
ジーフは他の人には聞こえない小声でナイトに喋っていた。のだが、話すウチに本人の言った通り言いたい事がイロイロ有ったのだろう、ドンドン話し声が大きくなっていたジーフなのであった。
あうっ、なんてこった?!
ナイト・マーティンの後ろに隠れるジーフ少年である。
「別にそこまで説明されなくてもだいたい分かる。
つまりサル山のサル大将になりたいサルなのだろう」
言ったのは勿論ナイトである。
ナイト、なんてセリフを?!
それってば核心突きすぎ!
ホントのコト言ったら、小物で心根の狭い人は怒っちゃうもんなんだよ!
と言い出したいのをジーフクリードは堪える。
ギガントは明らかに激高しているし、その後ろからは凶器を持った戦士姿の男まで近づいてくるのだ。
「坊ちゃん、どうかしましたか?」
「ああ、お前ら丁度良い。
このガキどもによ、ちょっと剣の稽古でも見せてやってくれねぇか。
こいつら、男の子だろ。
真剣に興味が有るらしいぜ」
どうやらギガントは剣の稽古と言う名目で少年を戦士にいたぶらせるつもりなのだ。子供相手にと責められたら子供達の方からねだったのだとでも強弁するのだろう。
デレージアには見過ごす事は出来ない。
「ギガントさん、ここで何をしていらっしゃるんですか?
ここはピートロさんの畑の裏手です。私たちは頼まれて柵の修繕をしに来たんです」
「デレージアちゃん、それはもういいぜ。
柵の修理なら俺達が終わらせた」
「なんですって?
何故貴方たちが……」
「ああ、ピートロの奴はな。
俺の親父の下に入る事に決めたらしいぜ。
だからここの畑もよ。
もうピートロのモノじゃねぇ。
ウチのモノって事になる」
「…………!!!
ピートロさん、何故?」
「へっ、デレージアちゃんよ。
農業で食っていくってのはお嬢さんが思うよりも大変なんだぜ。
一人じゃ心細いんだろ」
「ギガント……まさか脅したんじゃ……」
「おいっ、人聞きの悪い事言うんじゃねぇ。
それよりも……
デレージアちゃんよ、柵の修繕は終わってる。
ちょいと俺とキミの将来の事に関してでも話し合わねぇか」
「将来ですって……」
ギガントは馴れ馴れしく近付いて、デレージアの肩に手を回すのである。顔を嫌らしく歪めて最悪の言葉を語りだす。
「そうさ。
村長の爺さんはもう年寄りだ。
近いうちに亡くなるのは目に見えている。
そうすると、次の村長になるのは誰だ!?」
「…………くっ」
「普通なら、その息子になる所だがよ。
知ってるぜ、デレージアちゃん。
親父さん、辺境暮らしがイヤになって都へ逃げ出しちまったんだってな。
可哀そうにな。
ひでぇ奴だぜ。
こんな可愛い娘を置いて行くなんて。
だけど安心しろよ、デレージアちゃん。
俺がその分可愛がってやる」
「なに言ってるの?!」
「爺さんがくたばった後、村長になるのは……まぁウチの親父だな。
この村の半分近くはウチの親父に雇われてる。
だけどなぁ、半分は越えてねぇ。
それじゃ、反対意見も多いかもしれねーよな。
だからよ、俺とデレージアちゃんが婚約するってのはどうだ?
するとよ、俺も村長の孫って事になる。
つまりウチの親父もあの村長の親戚だ。
反対意見はぐっと減るわな。
しかも親父の後は俺が継ぐんだ。
つまり村長の孫娘の旦那、デレージアちゃんの最愛の人である俺様がさ。
どうだ、どこっからも文句の来ない将来の展望だろうが」
「…………!!!!」
ジーフクリードは小声で喋ってしまう。
「……うっわー、引くほど嫌なヤツー!
どう見ても都に居るって言うマフィアの一員だよね。
村の権力と美少女どっちも手に入れようって言う最悪の思考。
アレが11歳ってんだからビックリするわー。
年齢誤魔化してない?
実は成人してんじゃ無いの。
デレージアさんの1歳上、誰も信じないよね。
だいたいギガントなんて名前ある?
ギガントって巨人て意味でしょ。
自分の息子にデカ男って着けるようなもんでしょ。
どういうセンスなのさ。
デカ男だよ、デカ男。
僕だったら恥ずかしくて通りを歩けないよね。
そんな変な名前だからデッカくなったの?
背も高いし、横幅もデカイ。
多分その辺の大人より体重重いよね。
ギガントって名前にふさわしくなろうとしてんの?
だったらさ、デカスケベコンジョーワル、って名前にした方がいいよ。
すでにその名前の通りの人間だって、みんな分かってるから」
しかし、ジーフが話しかける相手はそれを聞いていなかった。
修繕した跡のある柵に近付き、それを観察しているのである。
「なんだ子供、そこは俺達が直したぞ」
「俺らの修理に文句でもあんのか」
鉄鎧を着た二人組の戦士。マックス家に雇われてる元冒険者の二人であった。
「……この柵は何故壊れた?」
「知らんな。
一角兎《ホーンラビット》がほじくり返したんだろ」
「俺達が来た時には地面がほじくられ、杭が抜けかけていた。
補修して地面に打ち込んだのさ」
「一角兎《ホーンラビット》か……」
弱モンスターの代表とも言われる。脅威度合いの低さでは巨大蚊《ビッグモスキート》も似たようなものだが。巨大蚊《ビッグモスキート》はそれでも空を飛ぶ。倒すには弓矢の様な飛び道具が必要。
一角兎《ホーンラビット》は角があって突進してはくるものの、その攻撃力は大した事が無い。戦士では無い村人でも注意すれば受け止められる。その間に別の農民が棒で打てば倒せるのだ。戦闘の訓練をした事の無い村人でも対処できるモンスター。
ナイトは柵の外を見回す。暗く鋭い目、ナイトの眼つきの悪さを良く知っているジーフでも引いてしまう程の険しさであった。
「どうしたのさ、ナイト?
この村の外に一角兎《ホーンラビット》が出るのはもう分かってるじゃない。
何度も目撃されてるし、キミのお父さんも何頭か倒したって聞いてるよ」
「……ああ。
一角兎《ホーンラビット》はいるのだろう。
しかし目に見えるモンスターだけが居るとは限らない……」
「……誰だ?」
ひそめた声でナイトくんが訊ねてくる。どう説明した物かな。
「ギガントさん。
今は親の仕事を継ぐ勉強で学校は通わなくなったけど。
去年まで子供達のリーダーだったんだ」
「……ああ」
軽くナイトくんは頷き、納得した風情を出している。
「ああ、って!
そんな簡単に納得しないでよ。
イロイロ事情も有るし、僕も言いたい事たくさんあるんだってばさ。
あのギガントってば体格良いだろ。
去年まで学校通ったなんて信じられないくらいだよ。
ナニ食ってたらそんなデカクなるんだよ!
チクショウ、親が金持ちだからか。
金持ちだと体格までよくなんのかよ。
だけど背が高いだけじゃなくて横にもデブってるからなー。
良いもん食いすぎだっつーの。
辺境で働いてる人達、太ったりしないから。
デブなんてオマエらマックス親子くらいだからな。
身体がデカいだけでも無くてさ。
子供達の中にはアイツの親に雇われてる立場の人の子供もいんの。
だから逆らえないの。
しかもあのギガントってばさ、それを分かってて脅しに来るクズ野郎なの!」
「……テメェ、ジーフクリード!
聞こえてっぞ!」
ジーフは他の人には聞こえない小声でナイトに喋っていた。のだが、話すウチに本人の言った通り言いたい事がイロイロ有ったのだろう、ドンドン話し声が大きくなっていたジーフなのであった。
あうっ、なんてこった?!
ナイト・マーティンの後ろに隠れるジーフ少年である。
「別にそこまで説明されなくてもだいたい分かる。
つまりサル山のサル大将になりたいサルなのだろう」
言ったのは勿論ナイトである。
ナイト、なんてセリフを?!
それってば核心突きすぎ!
ホントのコト言ったら、小物で心根の狭い人は怒っちゃうもんなんだよ!
と言い出したいのをジーフクリードは堪える。
ギガントは明らかに激高しているし、その後ろからは凶器を持った戦士姿の男まで近づいてくるのだ。
「坊ちゃん、どうかしましたか?」
「ああ、お前ら丁度良い。
このガキどもによ、ちょっと剣の稽古でも見せてやってくれねぇか。
こいつら、男の子だろ。
真剣に興味が有るらしいぜ」
どうやらギガントは剣の稽古と言う名目で少年を戦士にいたぶらせるつもりなのだ。子供相手にと責められたら子供達の方からねだったのだとでも強弁するのだろう。
デレージアには見過ごす事は出来ない。
「ギガントさん、ここで何をしていらっしゃるんですか?
ここはピートロさんの畑の裏手です。私たちは頼まれて柵の修繕をしに来たんです」
「デレージアちゃん、それはもういいぜ。
柵の修理なら俺達が終わらせた」
「なんですって?
何故貴方たちが……」
「ああ、ピートロの奴はな。
俺の親父の下に入る事に決めたらしいぜ。
だからここの畑もよ。
もうピートロのモノじゃねぇ。
ウチのモノって事になる」
「…………!!!
ピートロさん、何故?」
「へっ、デレージアちゃんよ。
農業で食っていくってのはお嬢さんが思うよりも大変なんだぜ。
一人じゃ心細いんだろ」
「ギガント……まさか脅したんじゃ……」
「おいっ、人聞きの悪い事言うんじゃねぇ。
それよりも……
デレージアちゃんよ、柵の修繕は終わってる。
ちょいと俺とキミの将来の事に関してでも話し合わねぇか」
「将来ですって……」
ギガントは馴れ馴れしく近付いて、デレージアの肩に手を回すのである。顔を嫌らしく歪めて最悪の言葉を語りだす。
「そうさ。
村長の爺さんはもう年寄りだ。
近いうちに亡くなるのは目に見えている。
そうすると、次の村長になるのは誰だ!?」
「…………くっ」
「普通なら、その息子になる所だがよ。
知ってるぜ、デレージアちゃん。
親父さん、辺境暮らしがイヤになって都へ逃げ出しちまったんだってな。
可哀そうにな。
ひでぇ奴だぜ。
こんな可愛い娘を置いて行くなんて。
だけど安心しろよ、デレージアちゃん。
俺がその分可愛がってやる」
「なに言ってるの?!」
「爺さんがくたばった後、村長になるのは……まぁウチの親父だな。
この村の半分近くはウチの親父に雇われてる。
だけどなぁ、半分は越えてねぇ。
それじゃ、反対意見も多いかもしれねーよな。
だからよ、俺とデレージアちゃんが婚約するってのはどうだ?
するとよ、俺も村長の孫って事になる。
つまりウチの親父もあの村長の親戚だ。
反対意見はぐっと減るわな。
しかも親父の後は俺が継ぐんだ。
つまり村長の孫娘の旦那、デレージアちゃんの最愛の人である俺様がさ。
どうだ、どこっからも文句の来ない将来の展望だろうが」
「…………!!!!」
ジーフクリードは小声で喋ってしまう。
「……うっわー、引くほど嫌なヤツー!
どう見ても都に居るって言うマフィアの一員だよね。
村の権力と美少女どっちも手に入れようって言う最悪の思考。
アレが11歳ってんだからビックリするわー。
年齢誤魔化してない?
実は成人してんじゃ無いの。
デレージアさんの1歳上、誰も信じないよね。
だいたいギガントなんて名前ある?
ギガントって巨人て意味でしょ。
自分の息子にデカ男って着けるようなもんでしょ。
どういうセンスなのさ。
デカ男だよ、デカ男。
僕だったら恥ずかしくて通りを歩けないよね。
そんな変な名前だからデッカくなったの?
背も高いし、横幅もデカイ。
多分その辺の大人より体重重いよね。
ギガントって名前にふさわしくなろうとしてんの?
だったらさ、デカスケベコンジョーワル、って名前にした方がいいよ。
すでにその名前の通りの人間だって、みんな分かってるから」
しかし、ジーフが話しかける相手はそれを聞いていなかった。
修繕した跡のある柵に近付き、それを観察しているのである。
「なんだ子供、そこは俺達が直したぞ」
「俺らの修理に文句でもあんのか」
鉄鎧を着た二人組の戦士。マックス家に雇われてる元冒険者の二人であった。
「……この柵は何故壊れた?」
「知らんな。
一角兎《ホーンラビット》がほじくり返したんだろ」
「俺達が来た時には地面がほじくられ、杭が抜けかけていた。
補修して地面に打ち込んだのさ」
「一角兎《ホーンラビット》か……」
弱モンスターの代表とも言われる。脅威度合いの低さでは巨大蚊《ビッグモスキート》も似たようなものだが。巨大蚊《ビッグモスキート》はそれでも空を飛ぶ。倒すには弓矢の様な飛び道具が必要。
一角兎《ホーンラビット》は角があって突進してはくるものの、その攻撃力は大した事が無い。戦士では無い村人でも注意すれば受け止められる。その間に別の農民が棒で打てば倒せるのだ。戦闘の訓練をした事の無い村人でも対処できるモンスター。
ナイトは柵の外を見回す。暗く鋭い目、ナイトの眼つきの悪さを良く知っているジーフでも引いてしまう程の険しさであった。
「どうしたのさ、ナイト?
この村の外に一角兎《ホーンラビット》が出るのはもう分かってるじゃない。
何度も目撃されてるし、キミのお父さんも何頭か倒したって聞いてるよ」
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