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第29話 年上の女性?
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「ふむ、とりあえず片付いたな」
ナイト・マーティンは剣を鞘に仕舞いながらつぶやく。
剣はなにやら父親に対する文句をまだブツブツ言っているようだが、気にしない。本来武器とは喋らないものだ。
この辺境の村にモンスターが入り込んで来てしまった。その元凶であるところの人狼は誰だ?は退治した。良くは分からないが、この怪しい剣が魂を吸い取ったとか言うタワゴトを言っており、その結果として狼の頭部を着けた外套《マント》はボロボロと崩れて消えていった。
呪われた装備に操られていた二人の戦士は倒れている。地面にひっくり返って意識が無い。
ハンプティが彼らの頭を揺さぶると目を覚ました。
「ハッ! 俺らは何を?」
「なんだって表で寝てたんだ、俺達?」
「キミ達、意図した行動では無いかもしれないが、キミらのした事は重罪だ。
見張り番の杭をほじくり返し、柵を壊して無効化し、多数のモンスターを村に招き入れた。
この件によって起きた損害はキミらに賠償責任が生じるだろう」
「なんとぉっ?!」
「うっそぉん?!」
「……でもハンプティさん、彼ら操られてたんでしょ。
呪われた装備に操られてたって言ってたじゃない」
「そうだ、それだよ!」
「俺達いきなり訳が分からなくなって……」
「フン、問題はそれが立証できるかだな。
呪われた装備は崩れ去りもう無い。
あの狼の毛皮の外套《マント》に人間を乗っ取る力があったかは誰にも判断できない事だ。
間違いないと言える事はキミら二人が柵を破壊する行動を取った上、それを止めようとした私達を凶器を持って襲った、と言う事実。
これに関してはジーフクリード少年にギガント、そして甲種役人である私を含め証人が複数いる」
「なんとなんとなんとぉぉっ?!
「うそうそうそうっそぉぉん?!」
「と言う訳で後片付けに協力したまえ。
素直に協力するなら、私も犯罪行為に関して口添えしよう。
無罪放免はさすがに難しいが、軽い処罰で済むように取り計らおうではないか」
「へへぇーーー! お役人様、仰る通りに致します」
「お役人様の言う事ならなんでもしますんで、ここはひとつ」
「ウム、物分かりが良くてよろしい。
ではこの柵の修理。
それから、村に入り込んでしまった邪悪犬《エビルドッグ》の討伐。
身を粉にして働くように」
さくさくとハンプティ・ダンディが指示を出していく。非常事態を脱すれば頼りになりそうな男なのである。
そのハンプティは乱れた前髪をかき上げながら宣言する。
「ちなみに言っておくが!
私は頭脳労働者なので肉体労働は手伝わない!!」
「ええええーーーっ?!
そこ声に出して宣言するトコロ?」
「さすが、役人ーーーっ?!
俺達には想像も出来ない精神構造だぜーっ!」
「……そう言えば聞いたことがあるぜ。
デッカイ街の役人と言えば、
自分の目の前で、年老いた老婆が30分以上も場所が分からなく困っていてもよ。
私の担当じゃありませんので!
つって見捨てる事の出来る精神構造じゃ無いと務まらないんだってよ」
「30分以上もお婆ちゃんが困ってるのに見捨てる?!
スゲェ!
俺ならそんなお婆ちゃん見ただけで泣いちゃう自信が有るぜ。
デカイ街の役人ぱねぇ!」
「いや、その話には明らかな誤解と偏見に満ちているぞ。
と、言っても確かに担当の違う案件に安易に口を挟めないのは事実ではあるのだが……
しかし、そんな事実は一切無い、と言い切れるかと言うと、そこがまた難しい処であってだな……」
「ほら! やっぱり事実なんだ!!」
「ぱねぇ! 役人ぱねぇえええええーーー!!」
そんなハンプティ達は放って置き、ナイト・マーティンはジーフ少年に話しかける。
「ジーフ、無事か」
「ああ、ナイト、ありがと。
ケガもしてないよ」
「そうか、村長の家まで送ろうか。
アンネトワットやデレージアも送って来た」
「あっ、そうなんだ。
ちゃんと逢えたんだね」
「ジーフを送ったら俺は急いで家に帰らないと……」
「あれ、モンスターの討伐手伝わないんだ、意外?!
……ああゴメン、やれって意味じゃ無いよ。
僕ら子供だもの、隠れてる方が正しいよね」
「……家に妹を一人置いてきている。
早く帰る方が良いと判断する。
村は……移動がてら目に着いたモンスターは始末した。
一角兎《ホーンラビット》はまだいるだろうが、邪悪犬《エビルドッグ》はもうそんなに数は多くない筈だ」
「そっか、ソフィアちゃん、まだ一歳だっけ。
じゃ、早く帰った方がいいよ。
モンスターは大丈夫。
自警団の人もいるし、あの戦士の二人もハンプティさんが上手く使うでしょ。
なら平気」
「そうか、ならばジーフだけ送っていくとしよう」
「ん……僕も大丈夫だよ。
ほら、一応男だしさ。
ハンプティさんの後ろに隠れて帰ればいいよ」
「そうか…………
いや、やはり送らせてくれ。
ジーフに何か有ったら、俺は後悔する」
「……あれ、ナイトなんかカッコ良くなってない?
いや元々カッコいいんだけどさ。
……………………
あれあれあれれれれっ?
デレージアさんと逢ったんだっけ。
うわー男の子がいきなり成長したと言ったら!?
デレージアさんと……!?
何かあったの!?
子供から男に成長しちゃうようなナニカが起きちゃったの!?
デレージアさんと言えば少し抜けてるとは言え、僕等より年上の金髪美人女子。
年上の女性に何か教えて貰って大人になっちゃったのーーっ!?!?」
「いや、デレージアとは何も無い」
「デレージアとは……って事は……!?!?
アンネトワットーーっ?!
アンネってば大人しそうに見えて大胆なの?!
可愛くて気の弱い美少女そうに見せていて、実は大胆なのっ?!
「落ち着け!
確かに年上の女性に教えられたが……
それは俺の個人的な話だ。
語るような事では無い」
「年上の女性に教えられたーーーーーっっ!!!!!!
なんて事、それも僕の知らない女性?!
そっかナイトくんもこの村に来る前には別の場所で暮らしていた筈だし……
その時の昔の女性ーーーっ?!
昔のオンナが現れたの?
デレージアさんとアンネとナイトの三角関係のように思わせておいて。
その実本命は昔の女性との恋物語こそがメインテーマだったのーーーーっ?!?!」
なんとなく一行は弛緩している。
まだ村に侵入してしまったモンスターはいる。村の中ではモンスターと自警団が争っている筈であって気楽にしていい程の状態では無いのだが。
元凶である人狼は誰だ?《ルー・ガルー》は崩れて去った。見張り番の杭を埋め直し、柵さえ修理してしまえば、問題は無い。後はゆっくりと入り込んでしまった邪悪犬《エビルドッグ》を倒して行けば良い。
解決の筋道が見えたのである。
しかし、ナイトの手の中で囁くモノがいるのである。
「小僧!
いや新しい持ち主!
気を着けるんじゃ。
とんでもない力が……?!
凄まじい魔力《マナ》……大気が震えておるようじゃ!
それも怒りに満ちておる。
これは……この力は……
このチンケな村くらいは吹き飛ぶ力じゃぞ!
数百年の長きに渡り勇者と呼ばれるような男達を主人に、おぞましきモンスターと闘って来たワシじゃが!
こんな凄まじい力に出くわした経験は無い!!!!!」
ナイト・マーティンは剣を鞘に仕舞いながらつぶやく。
剣はなにやら父親に対する文句をまだブツブツ言っているようだが、気にしない。本来武器とは喋らないものだ。
この辺境の村にモンスターが入り込んで来てしまった。その元凶であるところの人狼は誰だ?は退治した。良くは分からないが、この怪しい剣が魂を吸い取ったとか言うタワゴトを言っており、その結果として狼の頭部を着けた外套《マント》はボロボロと崩れて消えていった。
呪われた装備に操られていた二人の戦士は倒れている。地面にひっくり返って意識が無い。
ハンプティが彼らの頭を揺さぶると目を覚ました。
「ハッ! 俺らは何を?」
「なんだって表で寝てたんだ、俺達?」
「キミ達、意図した行動では無いかもしれないが、キミらのした事は重罪だ。
見張り番の杭をほじくり返し、柵を壊して無効化し、多数のモンスターを村に招き入れた。
この件によって起きた損害はキミらに賠償責任が生じるだろう」
「なんとぉっ?!」
「うっそぉん?!」
「……でもハンプティさん、彼ら操られてたんでしょ。
呪われた装備に操られてたって言ってたじゃない」
「そうだ、それだよ!」
「俺達いきなり訳が分からなくなって……」
「フン、問題はそれが立証できるかだな。
呪われた装備は崩れ去りもう無い。
あの狼の毛皮の外套《マント》に人間を乗っ取る力があったかは誰にも判断できない事だ。
間違いないと言える事はキミら二人が柵を破壊する行動を取った上、それを止めようとした私達を凶器を持って襲った、と言う事実。
これに関してはジーフクリード少年にギガント、そして甲種役人である私を含め証人が複数いる」
「なんとなんとなんとぉぉっ?!
「うそうそうそうっそぉぉん?!」
「と言う訳で後片付けに協力したまえ。
素直に協力するなら、私も犯罪行為に関して口添えしよう。
無罪放免はさすがに難しいが、軽い処罰で済むように取り計らおうではないか」
「へへぇーーー! お役人様、仰る通りに致します」
「お役人様の言う事ならなんでもしますんで、ここはひとつ」
「ウム、物分かりが良くてよろしい。
ではこの柵の修理。
それから、村に入り込んでしまった邪悪犬《エビルドッグ》の討伐。
身を粉にして働くように」
さくさくとハンプティ・ダンディが指示を出していく。非常事態を脱すれば頼りになりそうな男なのである。
そのハンプティは乱れた前髪をかき上げながら宣言する。
「ちなみに言っておくが!
私は頭脳労働者なので肉体労働は手伝わない!!」
「ええええーーーっ?!
そこ声に出して宣言するトコロ?」
「さすが、役人ーーーっ?!
俺達には想像も出来ない精神構造だぜーっ!」
「……そう言えば聞いたことがあるぜ。
デッカイ街の役人と言えば、
自分の目の前で、年老いた老婆が30分以上も場所が分からなく困っていてもよ。
私の担当じゃありませんので!
つって見捨てる事の出来る精神構造じゃ無いと務まらないんだってよ」
「30分以上もお婆ちゃんが困ってるのに見捨てる?!
スゲェ!
俺ならそんなお婆ちゃん見ただけで泣いちゃう自信が有るぜ。
デカイ街の役人ぱねぇ!」
「いや、その話には明らかな誤解と偏見に満ちているぞ。
と、言っても確かに担当の違う案件に安易に口を挟めないのは事実ではあるのだが……
しかし、そんな事実は一切無い、と言い切れるかと言うと、そこがまた難しい処であってだな……」
「ほら! やっぱり事実なんだ!!」
「ぱねぇ! 役人ぱねぇえええええーーー!!」
そんなハンプティ達は放って置き、ナイト・マーティンはジーフ少年に話しかける。
「ジーフ、無事か」
「ああ、ナイト、ありがと。
ケガもしてないよ」
「そうか、村長の家まで送ろうか。
アンネトワットやデレージアも送って来た」
「あっ、そうなんだ。
ちゃんと逢えたんだね」
「ジーフを送ったら俺は急いで家に帰らないと……」
「あれ、モンスターの討伐手伝わないんだ、意外?!
……ああゴメン、やれって意味じゃ無いよ。
僕ら子供だもの、隠れてる方が正しいよね」
「……家に妹を一人置いてきている。
早く帰る方が良いと判断する。
村は……移動がてら目に着いたモンスターは始末した。
一角兎《ホーンラビット》はまだいるだろうが、邪悪犬《エビルドッグ》はもうそんなに数は多くない筈だ」
「そっか、ソフィアちゃん、まだ一歳だっけ。
じゃ、早く帰った方がいいよ。
モンスターは大丈夫。
自警団の人もいるし、あの戦士の二人もハンプティさんが上手く使うでしょ。
なら平気」
「そうか、ならばジーフだけ送っていくとしよう」
「ん……僕も大丈夫だよ。
ほら、一応男だしさ。
ハンプティさんの後ろに隠れて帰ればいいよ」
「そうか…………
いや、やはり送らせてくれ。
ジーフに何か有ったら、俺は後悔する」
「……あれ、ナイトなんかカッコ良くなってない?
いや元々カッコいいんだけどさ。
……………………
あれあれあれれれれっ?
デレージアさんと逢ったんだっけ。
うわー男の子がいきなり成長したと言ったら!?
デレージアさんと……!?
何かあったの!?
子供から男に成長しちゃうようなナニカが起きちゃったの!?
デレージアさんと言えば少し抜けてるとは言え、僕等より年上の金髪美人女子。
年上の女性に何か教えて貰って大人になっちゃったのーーっ!?!?」
「いや、デレージアとは何も無い」
「デレージアとは……って事は……!?!?
アンネトワットーーっ?!
アンネってば大人しそうに見えて大胆なの?!
可愛くて気の弱い美少女そうに見せていて、実は大胆なのっ?!
「落ち着け!
確かに年上の女性に教えられたが……
それは俺の個人的な話だ。
語るような事では無い」
「年上の女性に教えられたーーーーーっっ!!!!!!
なんて事、それも僕の知らない女性?!
そっかナイトくんもこの村に来る前には別の場所で暮らしていた筈だし……
その時の昔の女性ーーーっ?!
昔のオンナが現れたの?
デレージアさんとアンネとナイトの三角関係のように思わせておいて。
その実本命は昔の女性との恋物語こそがメインテーマだったのーーーーっ?!?!」
なんとなく一行は弛緩している。
まだ村に侵入してしまったモンスターはいる。村の中ではモンスターと自警団が争っている筈であって気楽にしていい程の状態では無いのだが。
元凶である人狼は誰だ?《ルー・ガルー》は崩れて去った。見張り番の杭を埋め直し、柵さえ修理してしまえば、問題は無い。後はゆっくりと入り込んでしまった邪悪犬《エビルドッグ》を倒して行けば良い。
解決の筋道が見えたのである。
しかし、ナイトの手の中で囁くモノがいるのである。
「小僧!
いや新しい持ち主!
気を着けるんじゃ。
とんでもない力が……?!
凄まじい魔力《マナ》……大気が震えておるようじゃ!
それも怒りに満ちておる。
これは……この力は……
このチンケな村くらいは吹き飛ぶ力じゃぞ!
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