18 / 62
『こぼれ話、金津新平くんと柿の木』
第18話
しおりを挟む
「柿ですか?」
「そう、柿の木」
言ってるのは餅子ちゃんと和泉さん。
なんと六郎さん家の庭に柿の実が成ると言うのである。
餅子ちゃんは聞きながらホントに東京の話か!などと思ってる。
「苗木で植えたんだよ。
玉江さんが買ってくれたの」
最初は和泉さんの腰の位置までしか無かった小さな苗木。
あれよあれよと育って、既に和泉さんの身長の倍以上。
桃栗三年柿八年。
そろそろ八年。
去年あたりからいい感じの柿の実が成りだしてるのだ。
「去年はカラスにやられちゃったんだ」
と言いつつ和泉さんの顔は少し引きつっている。
思い出してしまった。
柿の実が少しづつ緑から黄色へと色付くのをニマニマ眺めていた和泉さん。
それなのにある日、お家に帰ってきたら柿の実が全滅していたのだ。
都会の猛獣。
黒い天敵。
カラスである。
おのれ、アタシの可愛い柿の実ちゃんを。
和泉さんはバーサク。
「六郎さん、電気ショック買いましょう。
ワイヤー張って、電気通すんです。
イノシシ用のですからカラス位ぶっ殺せます」
「落ち着きましょう、和泉さん」
六郎さんが和泉さんの頭を撫でる。
ふーっ、がるるるる。
どうどう。
狂暴化した和泉さんを宥める六郎さん。
「そんな強力なの下手したら和泉さんだって危険ですよ」
他にもカラス避けはいろいろ有るでしょう。
そんな訳で今年はフクロウのくーちゃんが柿を護っている。
本物じゃない。
作り物。
リアルタッチのフクロウフィギュア。
更には昼間ソーラー充電。
夜は大きい目が光るというスグレモノ。
よしっ、くーちゃん頑張れ。
和泉さんはくーちゃんと名付けて応援。
フクロウのくーちゃん。
くーちゃんは和泉さんの期待に応えて働いた。
今年は柿の実が、緑から黄色へ更にオレンジ色へと成長したのだ。
「という訳で週末、収穫しようと思って。
少し貰って」
見える範囲で数えて見たらスゴイ量なのだ。
柿の実は50個を越えてる。
下手したら100個くらい有るかも。
100個の柿!
どう考えても和泉さんと六郎さんじゃ食べきれない。
「分かりました。
収穫手伝えって話ですね」
「あははは、
分かっちゃった」
和泉さんは笑ってゴマかす。
餅子ちゃんは納得。
まあいいか。
東京で柿の実が成るお家なんて珍しい。
光景を拝むだけでも話のネタになる。
「あのっ、良ければ僕もお手伝いしましょうか」
言い出したのは横でコッソリ聞いてた男性。
金津新平くん。
「えっ、いいの」
「はいっ、男手も必要かななんて。
僕でお役に立てれば」
「いいですよね、和泉さん」
餅子ちゃんは話を進めるモード。
金津くん、意外と積極的じゃん。
思案顔の和泉さん。
変った子だな。
せっかくの週末のお休み。
アタシだったら上司の家に行くなんて絶対ヤだけど。
金津くんはニコニコ顔。
ヤル気が溢れてる。
「そっか、金津くん。
柿が好きなのか」
「は、はいっ。
柿(崎)さんが好きです」
カッコの部分はモニョモニョ小さい声で答える金津新平くん。
「分かった、なら良いよ。
手伝って」
和泉さんは聞こえてない。
「そう、柿の木」
言ってるのは餅子ちゃんと和泉さん。
なんと六郎さん家の庭に柿の実が成ると言うのである。
餅子ちゃんは聞きながらホントに東京の話か!などと思ってる。
「苗木で植えたんだよ。
玉江さんが買ってくれたの」
最初は和泉さんの腰の位置までしか無かった小さな苗木。
あれよあれよと育って、既に和泉さんの身長の倍以上。
桃栗三年柿八年。
そろそろ八年。
去年あたりからいい感じの柿の実が成りだしてるのだ。
「去年はカラスにやられちゃったんだ」
と言いつつ和泉さんの顔は少し引きつっている。
思い出してしまった。
柿の実が少しづつ緑から黄色へと色付くのをニマニマ眺めていた和泉さん。
それなのにある日、お家に帰ってきたら柿の実が全滅していたのだ。
都会の猛獣。
黒い天敵。
カラスである。
おのれ、アタシの可愛い柿の実ちゃんを。
和泉さんはバーサク。
「六郎さん、電気ショック買いましょう。
ワイヤー張って、電気通すんです。
イノシシ用のですからカラス位ぶっ殺せます」
「落ち着きましょう、和泉さん」
六郎さんが和泉さんの頭を撫でる。
ふーっ、がるるるる。
どうどう。
狂暴化した和泉さんを宥める六郎さん。
「そんな強力なの下手したら和泉さんだって危険ですよ」
他にもカラス避けはいろいろ有るでしょう。
そんな訳で今年はフクロウのくーちゃんが柿を護っている。
本物じゃない。
作り物。
リアルタッチのフクロウフィギュア。
更には昼間ソーラー充電。
夜は大きい目が光るというスグレモノ。
よしっ、くーちゃん頑張れ。
和泉さんはくーちゃんと名付けて応援。
フクロウのくーちゃん。
くーちゃんは和泉さんの期待に応えて働いた。
今年は柿の実が、緑から黄色へ更にオレンジ色へと成長したのだ。
「という訳で週末、収穫しようと思って。
少し貰って」
見える範囲で数えて見たらスゴイ量なのだ。
柿の実は50個を越えてる。
下手したら100個くらい有るかも。
100個の柿!
どう考えても和泉さんと六郎さんじゃ食べきれない。
「分かりました。
収穫手伝えって話ですね」
「あははは、
分かっちゃった」
和泉さんは笑ってゴマかす。
餅子ちゃんは納得。
まあいいか。
東京で柿の実が成るお家なんて珍しい。
光景を拝むだけでも話のネタになる。
「あのっ、良ければ僕もお手伝いしましょうか」
言い出したのは横でコッソリ聞いてた男性。
金津新平くん。
「えっ、いいの」
「はいっ、男手も必要かななんて。
僕でお役に立てれば」
「いいですよね、和泉さん」
餅子ちゃんは話を進めるモード。
金津くん、意外と積極的じゃん。
思案顔の和泉さん。
変った子だな。
せっかくの週末のお休み。
アタシだったら上司の家に行くなんて絶対ヤだけど。
金津くんはニコニコ顔。
ヤル気が溢れてる。
「そっか、金津くん。
柿が好きなのか」
「は、はいっ。
柿(崎)さんが好きです」
カッコの部分はモニョモニョ小さい声で答える金津新平くん。
「分かった、なら良いよ。
手伝って」
和泉さんは聞こえてない。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
