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第四章カマヤロウ考察編
考察8:カマヤロウ、融合する
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光に包まれて消えていくテスター。これは、間違いなくスキル試用者が死んだ時に起こる現象だった。
「肉ちゃんの勝利です!ホーガンイチバーン!」
「何してんのよぉ!」
アレックスは肉ちゃんの後頭部にジャンピングチョップする。肉ちゃんの全身がボヨンボヨンと揺れた。
「何か問題でもありましたか?敵なんですよね?」
「いきなり殺す事は無いでしょ!」
「ああ、多分死んでませんよ。彼はエルダーリッチですから!あの光って消えたのは不死の証です」
その理屈だと、肉ちゃんもクレイムもリブもリッチになってしまうのだが、肉ちゃんはテスターと違い死んだ事が無いので間違いに気付いていない。
「そういう事よりも!情報!彼何か言いかけていたでしょ!」
「ええ。ジェニファーとかいう増援が来る事を言ってました。なので、隙だらけのテスターさんを取り敢えず壇ノ浦落としが正解ですね。敵が二人同時に来たら、いくら肉ちゃんでも皆さんを守りながら戦え…ホラ来ました!肉ちゃんの中に隠れてください!」
突如肉ちゃんの腹部が口の様に開き、あっという間にアレックスを飲み込んだ。
「肉ちゃん!パパに何をするゴブ!」
「ごめんなさい、取り敢えず中に!」
「ゴブ!?」
「ぬぅ!?」
アレックスに続き、リブとクレイムも肉ちゃんのお腹に埋められていく。三人を取り込んだ肉ちゃんは、即座にその場から転がり移動する。すると、さっきまで皆が立っていた辺りに氷の柱が現れた。
「やはり壇ノ浦落としで正解でしたか。もし、肉ちゃん達が話し合いに乗っていたら、テスターさんごと氷漬けにするつもりでしたね?」
肉ちゃんは上空から攻撃を放った存在、ジェニファーに問う。
「御名答なのだ。まあ、テスターにはその事は伝えてなかったけどなのだ。で、話は変わるけど、君もクレイムと同様スキルを使うやーつなのだ?」
「肉ちゃんはホーガン流の当主です!スキルは添えるだけ!」
肉ちゃんの自己紹介を聞き、ジェニファーの頭に血管が浮き出た。
「そうなのだ、クロウ・ホーガン、そう、思えばあいつが来てから色々おかしくなったのだ」
「むやっ?初代様を知りジェニファーと言う名前…、もしかして本物の天狗様ですか?」
肉ちゃんもジェニファーの正体に気付く。ちなみに、肉ちゃん的にはレーゼが偽天狗である。
「ホーガンの子孫、お前だけはマジで殺したいけど、どうせ死なないからせめて半殺しにして捕らえるのだ」
再び氷のブレスが肉ちゃんを襲う。肉ちゃんは転がり回避しようとするが、激太りと三人を体内に入れたせいで動きが鈍り、完全には避けきれず右足が凍りついてしまう。
「フンヌッ」
肉ちゃんは即座に右足を自切して、全身が凍るのを回避。血を噴き出しながらジャンプし、空中にいるジェニファーに襲いかかる。
「ホーガン流、泣き所砕きーっ!」
「遅いのだ」
当たりさえすれば大ダメージ確実な一撃だったが、肉ちゃんの今の素早さはジェニファーを大きく下回る。脛を狙った一撃は空を切り、肉ちゃんは着地と同時に顔を歪める。
「うわーん!千切れた足が思ったより痛いですっ!」
「流石に見てて可哀想なのだ。もう諦めてサンドバッグになるのだ」
「ノーセンキュー!ホーガン流にはギブアップの文字はありません!普通に攻撃して当たらないならバフをかけるのみですっ!」
そう言い、肉ちゃんは印を結びながら精神集中の呪文を唱える。
「南無八幡大菩薩ー!とおっ!」
さっきより素早く跳躍し、再度同じ軌道で脛を狙う。しかし、それでもジェニファーからすれば容易く回避出来る速度の攻撃だった。
「だから、無駄な、のだっ!?」
ジェニファーの反応が一瞬遅れる。回避行動の瞬間、不自然な突風がジェニファーの動きを阻害し、肉ちゃんの動きを加速させた。肉ちゃんのワガママボディから生えたアレックスの右手から出た風が原因だと気付いた時には、既に背後を取られ、背中の羽をへし折られていた。
「そうか、異様に痛がったり、妙な詠唱をしていたのは本命の詠唱を隠す為なのだ?」
「ハイっ!守護る為に取り込んだ魔術の人が、何かいい感じのを唱えてたのでそれに賭けてみました!いい仕事しますねえ!」
着地後、肉ちゃんの右胸がうごめきアレックスの顔が露出する。
「私個人の魔術では堕天使を倒すのはとても無理だけど、その助けとなる事は出来るわ」
「ありがとうございます!この戦いの間、よろしくお願いいたします!」
右胸のアレックスに礼をすると、今度は左胸がゴワゴワとうごめき、リブの顔が露出した。
「怖いけど、リブもスキルで援護するゴブ!」
「ハイ!一緒に天狗様を倒しましょう!」
肉ちゃんは戦闘狂だが、タイマンには拘ってはいない。初代ホーガンからして、聖女とタッグで魔王軍を倒しまくっていたのだ。今のホーガンも、必要に応じて仲間と共闘する。
「見たか、堕天使ジェニファー。これが人の力、お前が失望し見捨てた人の絆がお前を倒すのだ」
肉ちゃんのお腹に浮き出たクレイムの顔が得意げに語る。なお、彼自身はこの戦いで全く役に立たない、正真正銘のお荷物である。
「お前らみたいな人間がいてたまるかなのだ!」
「ゲップー!ここにおるやろがいです!さあ、夢にまで見た天狗様との戦いです!楽しい楽しい殺し合いです!」
「これだからホーガンと関わり合いたく無いのだ!」
羽が折れ、地上戦を余儀なくされたジェニファーは、それても肉ちゃんをスピードで上回り戦いを有利に進めていた。しかし、決定打が撃てない。試用者の不死性や肉ちゃんの一発を恐れ戦いは長引いていた。
(埒が明かないのだ。テスター、はよ戻ってくるのだ)
(鑑定する度、肉ちゃんのステータスが低下してるゴブ。やっぱり無理してるゴブ。しのぶさん、はよ戻ってくるゴブ)
堕天使と人間、両陣営が同じ考えに至った時、彼らが望む増援が現れた。
こちらに向かって来る、強い魔力を持った存在。その名は…。
「お待たせ。助け要る?」
「肉ちゃんの勝利です!ホーガンイチバーン!」
「何してんのよぉ!」
アレックスは肉ちゃんの後頭部にジャンピングチョップする。肉ちゃんの全身がボヨンボヨンと揺れた。
「何か問題でもありましたか?敵なんですよね?」
「いきなり殺す事は無いでしょ!」
「ああ、多分死んでませんよ。彼はエルダーリッチですから!あの光って消えたのは不死の証です」
その理屈だと、肉ちゃんもクレイムもリブもリッチになってしまうのだが、肉ちゃんはテスターと違い死んだ事が無いので間違いに気付いていない。
「そういう事よりも!情報!彼何か言いかけていたでしょ!」
「ええ。ジェニファーとかいう増援が来る事を言ってました。なので、隙だらけのテスターさんを取り敢えず壇ノ浦落としが正解ですね。敵が二人同時に来たら、いくら肉ちゃんでも皆さんを守りながら戦え…ホラ来ました!肉ちゃんの中に隠れてください!」
突如肉ちゃんの腹部が口の様に開き、あっという間にアレックスを飲み込んだ。
「肉ちゃん!パパに何をするゴブ!」
「ごめんなさい、取り敢えず中に!」
「ゴブ!?」
「ぬぅ!?」
アレックスに続き、リブとクレイムも肉ちゃんのお腹に埋められていく。三人を取り込んだ肉ちゃんは、即座にその場から転がり移動する。すると、さっきまで皆が立っていた辺りに氷の柱が現れた。
「やはり壇ノ浦落としで正解でしたか。もし、肉ちゃん達が話し合いに乗っていたら、テスターさんごと氷漬けにするつもりでしたね?」
肉ちゃんは上空から攻撃を放った存在、ジェニファーに問う。
「御名答なのだ。まあ、テスターにはその事は伝えてなかったけどなのだ。で、話は変わるけど、君もクレイムと同様スキルを使うやーつなのだ?」
「肉ちゃんはホーガン流の当主です!スキルは添えるだけ!」
肉ちゃんの自己紹介を聞き、ジェニファーの頭に血管が浮き出た。
「そうなのだ、クロウ・ホーガン、そう、思えばあいつが来てから色々おかしくなったのだ」
「むやっ?初代様を知りジェニファーと言う名前…、もしかして本物の天狗様ですか?」
肉ちゃんもジェニファーの正体に気付く。ちなみに、肉ちゃん的にはレーゼが偽天狗である。
「ホーガンの子孫、お前だけはマジで殺したいけど、どうせ死なないからせめて半殺しにして捕らえるのだ」
再び氷のブレスが肉ちゃんを襲う。肉ちゃんは転がり回避しようとするが、激太りと三人を体内に入れたせいで動きが鈍り、完全には避けきれず右足が凍りついてしまう。
「フンヌッ」
肉ちゃんは即座に右足を自切して、全身が凍るのを回避。血を噴き出しながらジャンプし、空中にいるジェニファーに襲いかかる。
「ホーガン流、泣き所砕きーっ!」
「遅いのだ」
当たりさえすれば大ダメージ確実な一撃だったが、肉ちゃんの今の素早さはジェニファーを大きく下回る。脛を狙った一撃は空を切り、肉ちゃんは着地と同時に顔を歪める。
「うわーん!千切れた足が思ったより痛いですっ!」
「流石に見てて可哀想なのだ。もう諦めてサンドバッグになるのだ」
「ノーセンキュー!ホーガン流にはギブアップの文字はありません!普通に攻撃して当たらないならバフをかけるのみですっ!」
そう言い、肉ちゃんは印を結びながら精神集中の呪文を唱える。
「南無八幡大菩薩ー!とおっ!」
さっきより素早く跳躍し、再度同じ軌道で脛を狙う。しかし、それでもジェニファーからすれば容易く回避出来る速度の攻撃だった。
「だから、無駄な、のだっ!?」
ジェニファーの反応が一瞬遅れる。回避行動の瞬間、不自然な突風がジェニファーの動きを阻害し、肉ちゃんの動きを加速させた。肉ちゃんのワガママボディから生えたアレックスの右手から出た風が原因だと気付いた時には、既に背後を取られ、背中の羽をへし折られていた。
「そうか、異様に痛がったり、妙な詠唱をしていたのは本命の詠唱を隠す為なのだ?」
「ハイっ!守護る為に取り込んだ魔術の人が、何かいい感じのを唱えてたのでそれに賭けてみました!いい仕事しますねえ!」
着地後、肉ちゃんの右胸がうごめきアレックスの顔が露出する。
「私個人の魔術では堕天使を倒すのはとても無理だけど、その助けとなる事は出来るわ」
「ありがとうございます!この戦いの間、よろしくお願いいたします!」
右胸のアレックスに礼をすると、今度は左胸がゴワゴワとうごめき、リブの顔が露出した。
「怖いけど、リブもスキルで援護するゴブ!」
「ハイ!一緒に天狗様を倒しましょう!」
肉ちゃんは戦闘狂だが、タイマンには拘ってはいない。初代ホーガンからして、聖女とタッグで魔王軍を倒しまくっていたのだ。今のホーガンも、必要に応じて仲間と共闘する。
「見たか、堕天使ジェニファー。これが人の力、お前が失望し見捨てた人の絆がお前を倒すのだ」
肉ちゃんのお腹に浮き出たクレイムの顔が得意げに語る。なお、彼自身はこの戦いで全く役に立たない、正真正銘のお荷物である。
「お前らみたいな人間がいてたまるかなのだ!」
「ゲップー!ここにおるやろがいです!さあ、夢にまで見た天狗様との戦いです!楽しい楽しい殺し合いです!」
「これだからホーガンと関わり合いたく無いのだ!」
羽が折れ、地上戦を余儀なくされたジェニファーは、それても肉ちゃんをスピードで上回り戦いを有利に進めていた。しかし、決定打が撃てない。試用者の不死性や肉ちゃんの一発を恐れ戦いは長引いていた。
(埒が明かないのだ。テスター、はよ戻ってくるのだ)
(鑑定する度、肉ちゃんのステータスが低下してるゴブ。やっぱり無理してるゴブ。しのぶさん、はよ戻ってくるゴブ)
堕天使と人間、両陣営が同じ考えに至った時、彼らが望む増援が現れた。
こちらに向かって来る、強い魔力を持った存在。その名は…。
「お待たせ。助け要る?」
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