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【2】最果ての絶望
【2】最果ての絶望……⑩
しおりを挟むそんなことが、飽きずに数日つづいた。
初めての事ばかりで戸惑っていたミアは人間にはない、たおやかなホッキョクギツネに夢中だった。
頭の片隅で、この行為が異常なのは感じていた。ただ、これは間違いなどではなく何か見えない力で導かれた、そんな根拠のない確信があった。
この土地に来て何日経ったのか、分からない。体の芯に入り込んだ熱は冷めず、もうずっと燻ったままだ。
「……ごめんなさい。私はまた」
ふたつの香気が染み付いた自身の脱ぎ捨てた下衣の匂いを嗅ぎながら、ミアはホッキョクギツネを誘い込むように淫らに腰を揺らしていた。
アルファのはずなのに、ミアは棘が抜けたようにしおらしく変化している。巨獣に鼻先で身体を返されてもされるがまま、尻を高くつきあげる。
小さな背中に覆いかぶさり、ホッキョクギツネは細いうなじの匂いを嗅いでいる。彼の股間はずっと膨れあがったままだ。骨のある陰茎は固く、茎元の亀頭球と呼ばれる瘤は充血し、ミアの中に入ることを熱望している。
ともすれば、一瞬で柔肌に穴をあけてしまうほどの鋭い牙をむき出しにしたホッキョクギツネはミアのうなじに甘く歯を立て、大きく身震いをした。
「……なかへ来て、ください」
熱を帯びた吐息とともに、遊びに飽きない子供のような顔をしたミアが誘っている。
すっと浮かぶ背骨をたどった舌先は、尾てい骨から双丘のはざまへ下りる。それまで舐め啜るだけだったホッキョクギツネが、今夜はミアのアヌスを舌先でこじ開けようとようとしていた。
「あぁぁ……!」
何度目かで先端をプツリと挿入し、ホッキョクギツネはミアの中を味わい始めた。滑った舌に、ミアはビクンと反応している。
「こんなことまで……、ありがとう」
ミアは恥じらいながらも、腰は勝手に動く。快感にむせび泣き、衝動を抑えきれないようだった。
それも仕方ないかもしれない。
まだ一度も達しておらず、その快楽の先を知らされずに、ずっと熱を解放できていなかったのだから。
「いや……ッ、なんか来る」
ミアの痩せた臍の下あたりまで、舌が入り込んでいるのが外から見てもわかる。中でゴリュッとしこる場所を擦られ、ミアは目を見開いた。それまでとは違う感覚に脚が突っ張り、浅い呼吸を繰り返している。
「ああッ」
さんざん焦らされ続けたせいだ。
ホッキョクギツネが腹の下に差し入れたふかふかのしっぽに沈み込んだミアの小さな肢体は、激しく波打ち、痙攣していた。
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