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【7】オッドアイ
【7】オッドアイ……⑥
しおりを挟む「ーーなんだ、あれは」
「俺の親戚とか。寒いから入れてやってもいい?」
「それは構わないが……」
「元々、ミアの目の『何か』の除去手術をするつもりで、向こうを出たんだ。研究所から俺の助手をしてもらうエースを連れてきてる」
「ミアは助かるのか!?」
「当たり前だ!俺を誰だと思っているんだ」
アルマが窓を開け合図を送ると、バラバラと地上へ降り立った鳥人たちは大聖堂の入り口から入って来た。それぞれが大きな白い翼を持ち、身体は人間の恰好をしている。
「アルマの親戚……」
シャノンは呆気に取られてしまった。アルマと付き合いは長いが、親族までは知らなかった。おそらく皆、ベータなのだろう。シャノンに跪いて挨拶した後、アルマに患者であるミアのことを確認していた。
さすがにヴァジムとアントン、エレオノーラたち、ここの獣人たちもその様子に驚いている。ここら辺で、鳥人を見ることがあまりないからだ。
「まるで天井絵のようだな」
本人たちはまったく気にしていないが、邪魔になりそうなほど大きな翼が背中に生えている。翼がぶつかりそうになれば、一方が上部に羽をあげ、行動になんら支障はない様子だった。皆、アルファのアルマと違って、人の姿にはなれないのだろう。
「お前、バカにしてるだろ」
「してない。驚いてるんだ」
「曼陀羅華を主成分とする麻酔薬を使っての手術だ。今から環境を整える。ここの明日の日の出は何時だ?」
「七時前」
「明日は、晴れだ。飛んでくるまでに雨を降らせるような分厚い大きな雲はなかった。その時間から始める。朝陽が一番に当たる場所は?」
「この窓だ」
アルマが方位を確認して、大きめの鏡を用意してくれと言った。
「ミアはかなりの量の出血をしているから、念のため、お前の血液を採らせてほしい」
「なぜ」
「手術中にも出血が止まらなかったら、お前の血をミアに輸血する」
「大丈夫なのか」
「忘れたか?俺たち獣人は、人間のために生きてるって。獣人の血なら、どの人間にも適応する。しかも『魂の番』なら、より安全だ」
「そうだったのか……」
「すごくエロティックだと思わない?」
「ーーどうだろうか」
「わからねぇの?」
「ああ」
「細胞レベルで愛し合えるんだぜ?」
「僕にはまったく意味がわからないが、1リットルでも2リットルでも必要なら、いくらでも抜いてくれ」
「スケベだねぇ、シャナは。ミアだったら、ぜったい分かってくれるのに」
「……」
アルマが口元を隠して笑っていた。
獣人は人間を支え、助けるための存在。
まさか、そんなことまで可能だとはシャノンは知らなかった。
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