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【9】花火と金平糖
【9】花火と金平糖……⑮
しおりを挟む「シャナ……ッ」
「膝、閉じないの」
「だって」
「痛い?」
ミアは首を横へ振り、手の甲に筋をたてながら必死にシーツを掴んでいた。シャノンがアヌスに入り込んだ指を少しでも奥に進めようものなら、ずり上がり自分の意思とは反して身体が逃げてしまう。頭がゴツッと壁にぶつかって驚いたミアは、泣きそうな顔でシャノンを見つめた。
「やっぱり、今日はやめておこうか」
「やめないで!」
「ミアの身体、こんなに緊張してるじゃない」
「……なのです」
ぼそぼそと話すミアの小さな声が聞き取れず、シャノンが獣の耳をピクピクと動かしている。
「気持ち良すぎて、……おかしくなりそうなの」
シャノンが少しだけ困った顔をしている。
はしたないと思われただろうか。
いつもの自分が保っていられなくてどうしようもないミアは、真っ赤にした顔を隠した。背中に腕が回り、身体が浮いたかと思うと膝の上へ乗せられてしまい、もうどこにも逃げ場がない。
「ミアにいいもの貸してあげるよ」
「良いもの?」
よいしょっとシャノンが、ふかふかの尻尾を手に取りミアの胸に預けた。
「好きでしょ?」
「好き……」
緊張で強張っていたミアの顔に、笑みがこぼれる。尻尾を抱き締めながら見たシャノンは、頬を紅潮させ浅い呼吸を繰り返していた。
「シャナ、大丈夫ですか」
「うん、大丈夫。ミアのフェロモンに酔ってるだけだから」
「フェロモン、出てますか」
「さっきからミアが『好き』って言うたび、ぶわって香ってくるんだ。この匂い、本当に好きで堪らない。こんなこと、聞いたことないよ」
ミアの喉元にシャノンが歯を立てる。じゃれてる程度の痛みで、くすぐったくて首をすくめるとミアの手元から尻尾が離れ、手を伸ばすとまた戻って来る。シャノンがそれを面白がって尻尾遊びを繰り返していると、ミアから緊張がほどけて行くようだった。
「ミアは、本当に可愛いな」
「あ……、ん」
弛緩した身体の奥まで一気に差し込まれた指がゆっくりと引き抜かれ、その途中で何かをかすめた。
「ここか」
ミアの腰をグッと掴んだシャノンが、そこを狙いすましたように何度も指先で突いてくる。
「な……ッ、ダメです、そこばかり」
「気持ちいいんでしょ?」
「や……」
「凄いね、ミアの身体は。きちんと気持ち良くなれるように準備できてるんだ」
完全にフェロモンに当てられてしまった様子のシャノンはミアの制止を振り切り、指先でそこを引っ掻くようにして激しく抜き差しを繰り返す。
「ミア、聞こえる?」
ミアのアヌスから溢れる愛液がグチュングチュンと音を立て、シャノンの股座まで濡らしていた。快感が背骨に沿って這い上がってくるような感覚に、ミアは唇を戦慄かせている。
「シャナッ、そんな激しく……ッ」
ベッドから滑り落ちた片足が、爪先までピンと糸が張ったように力が入ってしまい、尻尾を抱き締めながらミアは目をギュっとつむった。
「あ……ッ、あッ、何か来る」
昼間、シャノンと見た海のようだった。大きな波が引き込まれてそうなほど熱を貯めながら限界まで立ち上がり、脳天を突き抜けようとしている。
「待……ッ、いやぁぁ」
次の瞬間、シャノンの腕の中でミアは身体を波打たせた。ガクッと力が抜け、喉を震わせている。
「……シャナのバカ。待ってって言ったのに」
しばらく何も言えなかった。こんなに激しい刺激を、快感を得たことがなかったミアは全身が痙攣し、声が上擦っていた。
シャノンから、反応はない。
いつもの彼だったら、こんな時は優しい声色で包み込んでくれるのに。もしかしたら、なにかおかしなところがあったのか、声が我慢できなかったミアに引いたのか……。ミアはシャノンの顔を見るのが怖くて、目を開けられなかった。
(ああ……)
青臭い匂いが、あたりに漂っている。アヌスから溢れた愛液がこんな妙な臭いで、気分を悪くしたのかもしれない。
「ごめんなさい……ッ」
強く抱きしめられ、ミアは驚いてしまった。おそるおそる目を開け、尻尾の隙間から見上げたシャノンが呆然とした表情を浮かべている。
「シャナ……?」
「ごめん、いろいろびっくりしちゃって」
「ごめんなさい。あんな音がするくらい濡れてしまって、驚かせてしまったのですね」
「違うよ!ミアが前をいじってないのにイッたかと思ったら、僕が……、あの、何もしてないのにミアの身体が跳ねたの見て射精、してしま……いまして」
シャノンが、ミアの中から引き抜いた手を目元に当て天を仰いでいる。が、フェロモンと同じ匂いのする愛液にまみれた指先にまた興奮してしまったようで、美味しいと言いながら指をしゃぶっている。
「シャナ、やめて」
「どうして」
ミアの背中はドロドロで、そこに岩のようにゴツゴツしている物が当たっていることに気がついた。
「ヒャッ」
ベッドへうつ伏せで寝かせられ、シャノンがミアの股の間に割って入って来て尻を左右に広げた。かと思うと、指とは違う生ぬるい感触の柔らかいものが挿入され、ミアは気をやったばかりでまたすぐにでも達してしまいそうだった。
「ダメ!そんなところ」
「美味しい。もっと欲しい」
シャノンが舌をアヌスへ入れてきたのだ。
(嘘……)
指よりも滑らかに中で蠢いている。頭ではやめて欲しいと思っているのに、無意識にシャノンが舐めやすいように尻を突き出してしまっていた。ジュルジュルと舐め啜る音が聞こえ、ミアは恥ずかしくて枕を被って耳を塞いだ。
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