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番──つがい
29 ……したい
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北の森を抜けると、懐かしの我が家が見えた。いつのまにか、ここが帰りたい場所になっていた。
植物に覆われた緑の小さな家。ただの植物だと思っていたのに、この家が襲撃されたときにはツルを伸ばし、ぼくたちを守ろうとしてくれた。
「久しぶり!また会えてうれしいよ!」
ぼくは家に抱きついて、再会を喜んだ。懐かしい木の香り、植物の青い香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
家の中には、焼けてしまったはずの、本棚やベッドが、ほんとうに元通りになっていた。ここだけ時間が巻き戻されたように。
都で渡されたお弁当を食べてお茶を飲み、少し落ち着いたところで、ネロが静かに話し始めた。
「周、あらためてお帰り……またこうして過ごすことが出来るなんて、夢みたいだ。
オレの話聞いてくれる?」
「うん。かしこまってなに?」
「……おまえに拾われてから……仔猫のときから、ずっと大好きだった。飼い主に対する気持ちじゃなくて……オレは周を自分だけのものにしたいし、おまえの唯一になりたいと、猫のくせに……ずっとそう思ってた。
おまえが事故で亡くなって、神様がオレを部屋から解放しに来たとき、無理やりお願いしたんだ。
周をオレの番にしてくださいって。
それで、自分がこの姿になるなんて考えもしなかったんだけどさ……周、ずっとずっと愛してる……オレの番になってください――」
テーブルごしに、ネロがそっと手を伸ばし、ぼくの両手を包んだ。
いつもはマイペースな彼が、懇願するような、少し弱気な表情を浮かべている。そんなネロは初めてだ。それにしても顔がよい。
気恥ずかしさに逃げ出したくなったけど、ぼくはぐっと耐えた。
「うん……ぼくもネロが好き。大好き。愛してる。番の意味はまだよくわからないけど、でも、ネロが望むならいいよ。
ここまでついて来てくれて、ほんとうにありがとう。
これからも、ぼくと、ずっと一緒にいてください」
「うん……うん……、あまねと、ずっといっしょ……」
ネロの顔がくしゃくしゃになって、金色の瞳から大粒の涙が転がるようにテーブルに落ちた。
気づけばぼくも泣いていて、しばらくふたりで見つめあったまま、泣き続けた。
だっていろいろあったもん。今ここにこうやっていられるのは奇跡だ。
雨の中、出会った仔猫が――異世界で恋をして、一生を誓う相手になるなんて思いもしなかった。
「……周、……したい」
そういえば、この前、ネロからのキスを寸止めしたんだった。
「うん、……いいよ」
ぼくは目を閉じて、少し唇をとがらせながら、いつでもキスできるようスタンバイした。照れる。
とたんに、体がふわっと浮いて、気づけばベッドの上だった。
「はぅぅ……周が、いいよって言った……」
ネロの目が、ぼくを射抜くようにじっと見る。肉食獣が獲物をとらえるような、真っ直ぐで真剣な視線だった。
「ちょっ!キスじゃないの?」
「オレ、キスだなんて言ってない。周、してもいいよって言った……」
そのぷん!とむくれた表情の中に、強情でやんちゃな、あの仔猫の面影を見つけた。きゅん。ぼくの胸の中に、彼への愛しさがいっぱいにふくれあがった。
「うん……うん……。わかったよ、ネロ。」
その言葉を聞くなり、ネロはニヤリと笑って、がぶりと噛みつくようなキスをした。あ、はめられた!食べられちゃう!これからどうなるんだろう。ネロの執拗なキスに翻弄されながら、ぼくはこの先は考えずに、身を任せることにした。
ネロのキスは、とても気持ちよかった。
柔らかな唇が、ぼくの顔についばむようなキスの雨を降らせ、首すじから胸元へと少しずつ降りていく。
ざりざりの舌で胸の頂きをなめ上げられた瞬間、ぼくの体にびりりと快感が走った。
「……っ!」
ネロはその反応にすかさず気づき、そこをねぶるようになめながら、もう片方を指でこね始めた。ぼくの蕩けた顔を見て、彼の目が弧を描く。
「あまね、気持ちよさそうな顔してる。かわいい……」
「やだぁ、ネロ見ないでよ……んっ」
もう片方の手が、ゆっくりとぼくの服を剥がしていく。愛撫を続けながら器用に動く指先は、靴下まで丁寧に脱がせて──気がつけば、ぼくは一糸まとわぬ姿で、ネロの下で吐息を漏らしていた。
植物に覆われた緑の小さな家。ただの植物だと思っていたのに、この家が襲撃されたときにはツルを伸ばし、ぼくたちを守ろうとしてくれた。
「久しぶり!また会えてうれしいよ!」
ぼくは家に抱きついて、再会を喜んだ。懐かしい木の香り、植物の青い香りを胸いっぱいに吸い込んだ。
家の中には、焼けてしまったはずの、本棚やベッドが、ほんとうに元通りになっていた。ここだけ時間が巻き戻されたように。
都で渡されたお弁当を食べてお茶を飲み、少し落ち着いたところで、ネロが静かに話し始めた。
「周、あらためてお帰り……またこうして過ごすことが出来るなんて、夢みたいだ。
オレの話聞いてくれる?」
「うん。かしこまってなに?」
「……おまえに拾われてから……仔猫のときから、ずっと大好きだった。飼い主に対する気持ちじゃなくて……オレは周を自分だけのものにしたいし、おまえの唯一になりたいと、猫のくせに……ずっとそう思ってた。
おまえが事故で亡くなって、神様がオレを部屋から解放しに来たとき、無理やりお願いしたんだ。
周をオレの番にしてくださいって。
それで、自分がこの姿になるなんて考えもしなかったんだけどさ……周、ずっとずっと愛してる……オレの番になってください――」
テーブルごしに、ネロがそっと手を伸ばし、ぼくの両手を包んだ。
いつもはマイペースな彼が、懇願するような、少し弱気な表情を浮かべている。そんなネロは初めてだ。それにしても顔がよい。
気恥ずかしさに逃げ出したくなったけど、ぼくはぐっと耐えた。
「うん……ぼくもネロが好き。大好き。愛してる。番の意味はまだよくわからないけど、でも、ネロが望むならいいよ。
ここまでついて来てくれて、ほんとうにありがとう。
これからも、ぼくと、ずっと一緒にいてください」
「うん……うん……、あまねと、ずっといっしょ……」
ネロの顔がくしゃくしゃになって、金色の瞳から大粒の涙が転がるようにテーブルに落ちた。
気づけばぼくも泣いていて、しばらくふたりで見つめあったまま、泣き続けた。
だっていろいろあったもん。今ここにこうやっていられるのは奇跡だ。
雨の中、出会った仔猫が――異世界で恋をして、一生を誓う相手になるなんて思いもしなかった。
「……周、……したい」
そういえば、この前、ネロからのキスを寸止めしたんだった。
「うん、……いいよ」
ぼくは目を閉じて、少し唇をとがらせながら、いつでもキスできるようスタンバイした。照れる。
とたんに、体がふわっと浮いて、気づけばベッドの上だった。
「はぅぅ……周が、いいよって言った……」
ネロの目が、ぼくを射抜くようにじっと見る。肉食獣が獲物をとらえるような、真っ直ぐで真剣な視線だった。
「ちょっ!キスじゃないの?」
「オレ、キスだなんて言ってない。周、してもいいよって言った……」
そのぷん!とむくれた表情の中に、強情でやんちゃな、あの仔猫の面影を見つけた。きゅん。ぼくの胸の中に、彼への愛しさがいっぱいにふくれあがった。
「うん……うん……。わかったよ、ネロ。」
その言葉を聞くなり、ネロはニヤリと笑って、がぶりと噛みつくようなキスをした。あ、はめられた!食べられちゃう!これからどうなるんだろう。ネロの執拗なキスに翻弄されながら、ぼくはこの先は考えずに、身を任せることにした。
ネロのキスは、とても気持ちよかった。
柔らかな唇が、ぼくの顔についばむようなキスの雨を降らせ、首すじから胸元へと少しずつ降りていく。
ざりざりの舌で胸の頂きをなめ上げられた瞬間、ぼくの体にびりりと快感が走った。
「……っ!」
ネロはその反応にすかさず気づき、そこをねぶるようになめながら、もう片方を指でこね始めた。ぼくの蕩けた顔を見て、彼の目が弧を描く。
「あまね、気持ちよさそうな顔してる。かわいい……」
「やだぁ、ネロ見ないでよ……んっ」
もう片方の手が、ゆっくりとぼくの服を剥がしていく。愛撫を続けながら器用に動く指先は、靴下まで丁寧に脱がせて──気がつけば、ぼくは一糸まとわぬ姿で、ネロの下で吐息を漏らしていた。
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