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戦況にアンゼリカは違和感を覚え、俺達は東へ西へと駆けまわる
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※
戦いが始まって暫く、陣営の後列に控えていたアンゼリカは違和感を覚えていた。
ソレは最初に攻撃を仕掛けてきたのが魔獣だけだったという事。
その事を即座に気付いたアンゼリカは、部下の者達に命じて戦場に魔族がいないかを確認させた。
「姫様の言う通り、魔族の姿はありません。すべてが魔獣の群れです」
戻った部下達の報告に、彼女はやはりかと目を細める。
第一陣は魔獣の群れを突進させてくる。普通の戦場とて、最初は歩兵達の戦いから始まるが、魔族の姿が全く見えないというのは、少し妙に思える。自分のように後続に隠れている可能性もあるが、それも確認できてないという事なので更に不可解だ。
「よし。我らは今から戦場を見回り、魔族の姿を探す。必ずどこかへ潜んでいる筈だ。それを探しだし総大将を討つ。幸い、戦線は我が方の兵、騎士、および傭兵達の奮戦で有利に進んでいる。今の内に、敵の策略を見抜き、一気に勝利を収めるぞ!」
「はッ!」
アンゼリカの号令の下、近衛の騎士や兵達は一斉に行動を開始した。
この魔獣の数、恐らく踊り子の娘ティーカの証言通り、転送の魔方陣が使われているのであろうことが伺える。
その処理は、あの漆黒の光を操るマドノソーマ達がしてくれる筈。
彼らの働きに応える為にも、わらわはわらわの仕事をする。
必ずやこの戦い、勝利してみせる。だから死ぬなよ。マドノソーマ、ミリ、ティーカ。
馬で駆けだしながら、アンゼリカは心の中でそっと念じた。
※
「オラオラ、人間様のお通りだぜ! 邪魔だ、化け物~!」
最初の魔方陣があった場所から東の森へと駆けこんだ俺達は、既に大量に湧いた魔獣達の歓迎を受け、彼らが攻撃に移る前に攻撃を開始した。
全速力で走りながら、並み居る魔獣達を片端から殴り飛ばし、道を作っていく。そのまま結構な距離を進んで、進行方向の魔獣達はすべて薙ぎ払い、その他の奴らは一先ず無視。
「おそらく、このまま進めば魔方陣はあると思います」
「だね。魔獣達はみんな、ちょうどあたし達が向ってる方角から来てるし。発生源は向うだ」
「おし、このまま一気に突っ切るぞ! 遅れるなよ、二人とも」
目的地に近づきつつある事を悟り、俺は更にやる気を出して、腹立たしい記憶を思い出し、漆黒の光を燃やす。
「オラオラオラオラオラオラ!」
そうして、怒涛の連打を繰り出し、次々とやってくる魔獣達を屠る。気分は何処ぞの少年漫画の主人公だ。殴ってるのは力ある幻影じゃなくて俺自身だけど。
そう思い、大木を迂回して更に森を奥へ奥へと進むと、急に森が途切れて開けた空間に出くわす。
そこは、初めてティーカと会った場所に似た広さのだだっ広い空間だった。
その中心に、先ほど見たのと同じくらいの大きさの巨大な魔方陣がある。魔方陣は禍々しい赤黒の光を放ちながら、ゆっくりと自転していた。そこから、絶えず魔獣達が光と共に出現している。
「おし、見つけたぜ! ぶっ壊れちまえ!」
それを見るや否や、俺は右拳に全力で力を送り込み、そのまま全力で走り出す。その進撃を阻もうと、新たに出現した魔獣が俺に襲い掛かるが、そんなものはお構いなし。全身に漆黒の光を纏った状態で突進し、全員まとめて薙ぎ払うと、魔方陣の中央まで跳躍して先ほどと同じく全力で右拳を叩きつけた。
轟音が大地を揺らし、バリバリと火花を放って抵抗する魔方陣。だが、それも長くはもたず、甲高いガラスの壊れたような音を鳴らして綺麗さっぱり消滅した。
それを確認し、即座に手を緩める俺。同時に周囲を確認すると、ミリとティーカが手際よく残った魔獣達を片付けたところだった。
「こっちは片付いたよ!」
「よっしゃ! 後は森の外に向かった魔獣共を片端から滅していけば一先ず終わりだ!」
嬉しそうに飛び跳ねるミリに答え、俺は二人と伴ってすぐその場から離れ、森の外に向かった魔獣達を後ろから撃滅すべく走り出した。
程なく走る魔獣達の背が見えると、俺は手のひらに小さな光の砲弾を発生させ、そのまま前を行く魔獣達の背中目掛けてぶっ放した。
一直線に飛来した砲弾は、魔獣の背中を綺麗に捉え、何体かを同時に巻き込んで消滅する。それを見届けてから、俺達は更に走るペースを上げ、今度は魔獣達の背中を完全に捉えた。
「行くぜ、化け物!」
瞬間、俺は一足飛びに距離を詰め、まだ俺達に気付いていなかった魔獣達を一匹、二匹と消滅させる。更に、その前を行く魔獣達がこちらに気付いて振り返るのと同時に砲弾を放って屠った。
それから、俺達は森の外へと抜け出そうと、全速力で駆ける。
「今度は西の森から魔獣出現!!」
そんな兵士の叫びが聞こえたのは、そんな時だった。俺は走りながら、奥歯を噛む。
「今度は西の森から? しつけぇぞ、ちくしょうめ!」
「やはり、思った通り一つ魔方陣が壊れると、次の魔方陣が現れる仕組みのようです。これは一つ一つ壊して次が現れない事を祈るしかなさそうです」
素っ頓狂な俺の叫びに、ティーカが冷静に答える。彼女の言う通り、出現した魔方陣を一つ一つ破壊して、次が出現しない事を祈るよりほかは無さそうだ。あの魔方陣、他の人でも破壊は出来なくも無さそうではあるが、そもそも兵士達や騎士達、それに傭兵達ではあそこまで辿り着く事が出来るかが怪しい。
「ったく。魔方陣は俺達で壊すしかないか。出来る限り味方の援護をしつつ、西の森に向うぜ」
「リョーカイだよ! あたしが先に行って加勢してくる」
「悪い。頼んだ!」
素早くミリに答えると、彼女は任せろと言わんばかりに腕を振り上げ、すぐに軽やかに跳躍して木々を蹴りながらあっという間に遠ざかっていった。
それから、俺とティーカで森の囲みを突破し、森を出ると戦場は先ほどまでとは打って変わって混戦模様だった。見渡す限りの平原ではどこでも魔獣と人間との壮絶な戦いが繰り広げられている。
「魔方陣壊す前に、まずここらを掃除だ! 行くぜ!」
俺は気合の叫びと共に、手近なところで苦戦を強いられている兵士達の元へ飛び出す。そして、傷を負って今にも倒れそうな兵士達を狙うマッドネスビーストの爪目掛けて、拳を叩きつける。
爪と拳が振れた瞬間、ビーストの手首から先は完全に消え去り、けたたましい悲鳴が上がる。
「おらぁ!」
体制の崩れたビーストの顎に、俺は渾身の拳を叩き込んでビーストを消滅させてから、兵士達に向き直る。
「大丈夫か?」
「あ、ああ……すまん。助かった」
「良いって事よ。助け会うのが人間の良いところ、だろ? 怪我大丈夫か? 下がった方がいいぜ」
「ああ、問題ない。だが、少し下がらせてもらう。ここは任せる」
俺が笑いかけると、兵士達は頭を下げ、互いに肩を抱き合ってヨタヨタと本陣へと歩いていく。
それを見送り、俺はすぐに周囲を見回し、戦いの状況を確認する。
「えいや~~!」
その視界の先、俺達より平原の中央辺りで、ミリが宙を駆け巡りながら魔獣達に強烈な拳や蹴りを浴びせていた。彼女は巧みに地を駆け、宙を舞いながら、軽やかな動きで魔獣達を翻弄。時にはその動きを利用して、カウンター気味の一撃を叩き込んだり、そのまま遠くまで投げ飛ばして魔獣達を撃退していった。
おぉ~。
今までずっと俺ばっかり戦ってて気付かなかったけど、ミリもやるな。
伊達に獣人の村でも魔獣達と渡り合っていなかったらしい。確か獣人拳法免許皆伝とか言ってたしな。
と、見とれてる場合じゃなかった。俺もさっさとこの辺りの魔獣を片付けて、西の森に向わないと。
そう思い、ミリが戦っているところへ飛び込み、ちょうどミリに蹴り飛ばされた魔獣を拳を叩きつけて消滅させ、彼女の隣に並ぶ。
「ソーマ。遅かったね」
「悪い。こんなに足が遅いんじゃ、俺もまだまだ鍛え方が足りないな。さて、じゃあ即効でこの辺りの奴らを片付けて西の森の魔方陣を破壊しよう。ティーカ、魔方陣のありそうな方角は分かるか?」
「魔獣達はここから一直線に駆けだしてきていますので、まっすぐ進めば魔方陣にぶつかる筈です」
その答えに、俺は小さく頷くと、全身の周囲360°に小さな砲弾を形成する。
「おし、そんじゃ一気にここいらを片付けて突っ込むぜ。二人とも、準備は良いか?」
「うん。いつでもオッケーだよ」
「急ぎましょう」
二人の答えに満足し、俺は周囲に溜めた砲弾を解き放った。砲弾は四方八方に飛び、その直線状にいた魔獣達の体を貫いて飛び、そこから縦横無尽に曲がって周囲にいる魔獣達の体を根こそぎ貫いてから消滅した。
よし、上手く行った。遠隔操作で同時に四方八方へ散る相手の体を貫通する砲弾。ホーミングしながら俺の敵と定めた相手へ飛んで行って破壊する攻撃。コントロールが上手くいってよかった。
「よし、そんじゃ行くぜ」
周囲一帯の魔獣の半分以上を屠り、俺はミリとティーカを伴って今度は西の森へと入った。
西の森は、先ほどの森同様に魔獣が嫌という程湧いて出た。それを進路場にいるすべてを殴り飛ばして消滅させ、俺は先へ先へと進んでいく。そうして、東と同様に少し開けた場所に出た。そこは東のように広い空間ではなく、比較的迫めで、岩やら石やらごつごつしたものが散乱していた。
だが、その広場の中央に魔方陣はあった。岩など段差が生じる障害物も無視して、魔方陣は空中に浮かびあがり、ぐるぐると回っている。
俺は先ほどまでと同じく右拳に力を集中して、魔獣が未だに湧き続ける魔方陣めがけてその力を一気に解放した。
宙に浮いた魔方陣を直接殴りつけると、やはり赤黒い火花がバチバチと幾つも乱舞したが、やがて抵抗を失って魔方陣は転送されかけていた魔獣を巻き込んで盛大に破壊された。
「よし! これで三つ目だ。もういい加減、終わってくれ」
わずかに疲れを感じ、ついつい口からぼやきが出る。が、休んでいる暇はない。またいつ新しい魔方陣が現れるか分からない上、まだまだ魔獣は五万といるのだから。
「ほんと参るよな。壊しても壊しても、別の場所に出てきやがるんだからよ~」
ただ、ついつい文句が口を吐いてしまう。それも仕方ない話かもしれないが、泣き言は全部が終わってからでも遅くない。今はとりあえず、現れた敵を一秒でも早く殲滅しなければ。
「ともかく戻ろう。また敵が増えたせいで、皆も苦戦してる筈だから」
「OK。急ごう。皆がやられちゃう前に」
「できれば被害者は出したくありません。速やかに加勢しなくては」
口々に言って、俺達は再び駆けだした。
そこでふと疑問が浮かぶ。あれ? まだ魔獣としか戦ってないな。魔族は何処にいるんだ?
※
一方その頃、アンゼリカ姫は行く先々で魔獣を屠りながら、未だ姿を見せない魔族達を探して戦場のあちこちを転戦していた。
が、懸命の捜索も空しく、魔族達の姿は何処にも見当たらなかった。
切り伏せた魔獣の血で汚れる愛剣を布で拭いながら、アンゼリカは一秒でも早く敵の総大将を見つけ出さねばと焦りにも似た感情を顕わにして探し続ける。
「やはり、こちら側にも魔族の姿はありませんでした」
「こちらも。魔族達は影も形も見当たりません。魔獣がこれだけの数いるというのに」
「我が方もかなりの損害が出ています。味方の兵士達には死者こそいないものの、重傷者多数。傭兵達も何人かは本陣に撤退してきたようです」
部下達が口々に告げる言葉を、アンゼリカはやはり焦燥感にかられながら聞いていた。
なぜだ?
奴らはなぜ、戦場に姿を現さない。
魔獣達との戦いで、結構な損害は出てしまったが、現状では戦いはかなり優勢に進められている。
このまま魔獣達を上手く全滅させられるのも時間の問題かもしれない。
魔族達は何を狙い、今姿を現さないのだろう。
そう思った矢先である。
アンゼリカはふと、ある事に気付いた。
それは戦場の隊列。最初にきっちりと組んだ筈の隊列は大きく崩れ、既に戦術の体をなしていないほどだった。
北から東から、西から、襲い掛かる敵を懸命に倒す彼らは、もはや自分がどのような隊列を組んだか分からなくなっているような有様だ。
これは……まさか。
自身の脳裏に嫌な予感が過ぎる。最初は真正面から、ついで左右側面からの攻撃でもはや隊列は意味をなさなくなった。大軍相手でも真正面であれば受け止めきれるであろうと言っていた、だが、現実は左右の森から時間差で現れた魔獣によってかなりの傷を負った者達がいる。
この隊列の乱れ、何かしらの意図を感じる。
皆、思い思いに目の前の敵を倒す事だけに集中している。魔獣とはそれほど危険な存在であり、少しでもよそ見をすればやられる。敵の数があまりに多くて、皆隊列を組むどころの話ではない。
このまま新たな敵が押し寄せたら、この場はどうなるか。考えるまでもない。
「やられた……伝令! すぐに皆の者に伝えよ。急ぎ隊列を組みなおせと!」
「隊列? この状況でですか?」
「バカ者! 未だ本命である魔族どもも現れていないのにこの乱戦状態、もしも魔族がどこかに潜んでいたらひとたまりもないわ!」
アンゼリカは部下に激しく言い放つ。まったく誤算だった。自分たちのひざ元であるこの大平原に、これほどの罠を仕掛けていようとは。
やってくれるな、化け物どもめ!
「ほぉ。人間にも賢い者はいるのだな」
そんな声がしたのは、その時だった。それも彼女が立つ上空から。
慌てて見上げると、そこには人に似た二足歩行の化け物がいた。
全身紫色の肌、禿げ上がった頭に生える二本の角、異様に筋骨隆々な四肢に手足の先から生える刃物のような爪と巨大な口に生える鋭い歯。そうして、獰猛そうな殺気をまき散らす真っ赤な瞳。かつその背中には巨大な翼を生やしている。
それは紛れもなく、魔族。それも、昨日空から宣戦布告を行った総大将。
彼らは突如上空から姿を現した。アンゼリカに話しかけてきた、魔人の出現を皮切りに数十体の魔族が上空から戦場を見下ろしていた。
「なッ!!?」
「驚いたか? 驚いたであろう。これは我ら魔族に伝わる秘術、姿隠しよ。この術で、貴様らに気付かれる事無くここまで辿り着けたわ」
「貴様、魔族の将、ヴェリアルだな!」
アンゼリカは腰の愛犬を抜き放ち、最初に現れた魔族に向って叫ぶ。
「ほぉ~。我が名を知っているとは恐れ入る」
「閣下の勇名は、我らの大陸のみならず人間の大陸にも轟いておられるようですな」
ゆっくりと下降しながらニヤリと口角を吊り上げて笑うヴェリアルに、緑色の肌をした痩躯の魔族が声をかける。
おそらくコイツが、アグレスか。
アンゼリカは心の中で呟き、油断なく馬上からヴェリアルに剣の切っ先を向ける。
「協力者がいるのでな。貴様らの事など、すべてお見通しだ。よくもおめおめと姿を現せたものだ! 化け物ども」
「化け物とは不敬な。貴様ら如き矮小な者どもなど、我ら誇り高き魔人の餌食となるしかないというのに」
「何が誇り高きだ、血に飢えた獣めが! ここで会うたが百年目。わらわの剣の錆にしてくれるわ!」
「ほぉ。蛮勇を振るうか。よかろう! 貴様はこの私、魔軍勇将のヴェリアルがじきじき血祭りにしてくれるわ。だが、その前に! 我が誇り高き同胞の兵達よ! これより聖戦の終幕を奏でよう! 人の断末魔で、この宴を最高潮に盛り上げるがいい! かかれ!」
ヴェリアルが号令を下すと、上空にて待機していた魔族達が一斉に急降下を始める。狙うは今も魔獣達と戦っている兵士達。彼らは突如現れた新たな敵に、慌てて対処し始める。
「さぁ! 人族の戦士よ! 貴様の首を掲げ、祭りの終焉としてやろう! 来い!」
「言われずとももとよりそのつもりよ!! だが、先にやることがある。聞け! 兵士達よ! 遂に我らの仇敵が現れた。これを討ち果たせば我らの勝利だ! 必ず勝ち、そして生き延びよ! 将の首はわらわがとる! 死力を尽くし、必ず勝利せよ!」
剣を掲げ、戦場にくまなく届くであろう大音声で叫ぶアンゼリカ。そうして彼女は馬を走らせ、ヴェリアルのいるところまで一直線で駆けだした。
「行くぞ! 覚悟せよ、ヴェリアル!」
戦いが始まって暫く、陣営の後列に控えていたアンゼリカは違和感を覚えていた。
ソレは最初に攻撃を仕掛けてきたのが魔獣だけだったという事。
その事を即座に気付いたアンゼリカは、部下の者達に命じて戦場に魔族がいないかを確認させた。
「姫様の言う通り、魔族の姿はありません。すべてが魔獣の群れです」
戻った部下達の報告に、彼女はやはりかと目を細める。
第一陣は魔獣の群れを突進させてくる。普通の戦場とて、最初は歩兵達の戦いから始まるが、魔族の姿が全く見えないというのは、少し妙に思える。自分のように後続に隠れている可能性もあるが、それも確認できてないという事なので更に不可解だ。
「よし。我らは今から戦場を見回り、魔族の姿を探す。必ずどこかへ潜んでいる筈だ。それを探しだし総大将を討つ。幸い、戦線は我が方の兵、騎士、および傭兵達の奮戦で有利に進んでいる。今の内に、敵の策略を見抜き、一気に勝利を収めるぞ!」
「はッ!」
アンゼリカの号令の下、近衛の騎士や兵達は一斉に行動を開始した。
この魔獣の数、恐らく踊り子の娘ティーカの証言通り、転送の魔方陣が使われているのであろうことが伺える。
その処理は、あの漆黒の光を操るマドノソーマ達がしてくれる筈。
彼らの働きに応える為にも、わらわはわらわの仕事をする。
必ずやこの戦い、勝利してみせる。だから死ぬなよ。マドノソーマ、ミリ、ティーカ。
馬で駆けだしながら、アンゼリカは心の中でそっと念じた。
※
「オラオラ、人間様のお通りだぜ! 邪魔だ、化け物~!」
最初の魔方陣があった場所から東の森へと駆けこんだ俺達は、既に大量に湧いた魔獣達の歓迎を受け、彼らが攻撃に移る前に攻撃を開始した。
全速力で走りながら、並み居る魔獣達を片端から殴り飛ばし、道を作っていく。そのまま結構な距離を進んで、進行方向の魔獣達はすべて薙ぎ払い、その他の奴らは一先ず無視。
「おそらく、このまま進めば魔方陣はあると思います」
「だね。魔獣達はみんな、ちょうどあたし達が向ってる方角から来てるし。発生源は向うだ」
「おし、このまま一気に突っ切るぞ! 遅れるなよ、二人とも」
目的地に近づきつつある事を悟り、俺は更にやる気を出して、腹立たしい記憶を思い出し、漆黒の光を燃やす。
「オラオラオラオラオラオラ!」
そうして、怒涛の連打を繰り出し、次々とやってくる魔獣達を屠る。気分は何処ぞの少年漫画の主人公だ。殴ってるのは力ある幻影じゃなくて俺自身だけど。
そう思い、大木を迂回して更に森を奥へ奥へと進むと、急に森が途切れて開けた空間に出くわす。
そこは、初めてティーカと会った場所に似た広さのだだっ広い空間だった。
その中心に、先ほど見たのと同じくらいの大きさの巨大な魔方陣がある。魔方陣は禍々しい赤黒の光を放ちながら、ゆっくりと自転していた。そこから、絶えず魔獣達が光と共に出現している。
「おし、見つけたぜ! ぶっ壊れちまえ!」
それを見るや否や、俺は右拳に全力で力を送り込み、そのまま全力で走り出す。その進撃を阻もうと、新たに出現した魔獣が俺に襲い掛かるが、そんなものはお構いなし。全身に漆黒の光を纏った状態で突進し、全員まとめて薙ぎ払うと、魔方陣の中央まで跳躍して先ほどと同じく全力で右拳を叩きつけた。
轟音が大地を揺らし、バリバリと火花を放って抵抗する魔方陣。だが、それも長くはもたず、甲高いガラスの壊れたような音を鳴らして綺麗さっぱり消滅した。
それを確認し、即座に手を緩める俺。同時に周囲を確認すると、ミリとティーカが手際よく残った魔獣達を片付けたところだった。
「こっちは片付いたよ!」
「よっしゃ! 後は森の外に向かった魔獣共を片端から滅していけば一先ず終わりだ!」
嬉しそうに飛び跳ねるミリに答え、俺は二人と伴ってすぐその場から離れ、森の外に向かった魔獣達を後ろから撃滅すべく走り出した。
程なく走る魔獣達の背が見えると、俺は手のひらに小さな光の砲弾を発生させ、そのまま前を行く魔獣達の背中目掛けてぶっ放した。
一直線に飛来した砲弾は、魔獣の背中を綺麗に捉え、何体かを同時に巻き込んで消滅する。それを見届けてから、俺達は更に走るペースを上げ、今度は魔獣達の背中を完全に捉えた。
「行くぜ、化け物!」
瞬間、俺は一足飛びに距離を詰め、まだ俺達に気付いていなかった魔獣達を一匹、二匹と消滅させる。更に、その前を行く魔獣達がこちらに気付いて振り返るのと同時に砲弾を放って屠った。
それから、俺達は森の外へと抜け出そうと、全速力で駆ける。
「今度は西の森から魔獣出現!!」
そんな兵士の叫びが聞こえたのは、そんな時だった。俺は走りながら、奥歯を噛む。
「今度は西の森から? しつけぇぞ、ちくしょうめ!」
「やはり、思った通り一つ魔方陣が壊れると、次の魔方陣が現れる仕組みのようです。これは一つ一つ壊して次が現れない事を祈るしかなさそうです」
素っ頓狂な俺の叫びに、ティーカが冷静に答える。彼女の言う通り、出現した魔方陣を一つ一つ破壊して、次が出現しない事を祈るよりほかは無さそうだ。あの魔方陣、他の人でも破壊は出来なくも無さそうではあるが、そもそも兵士達や騎士達、それに傭兵達ではあそこまで辿り着く事が出来るかが怪しい。
「ったく。魔方陣は俺達で壊すしかないか。出来る限り味方の援護をしつつ、西の森に向うぜ」
「リョーカイだよ! あたしが先に行って加勢してくる」
「悪い。頼んだ!」
素早くミリに答えると、彼女は任せろと言わんばかりに腕を振り上げ、すぐに軽やかに跳躍して木々を蹴りながらあっという間に遠ざかっていった。
それから、俺とティーカで森の囲みを突破し、森を出ると戦場は先ほどまでとは打って変わって混戦模様だった。見渡す限りの平原ではどこでも魔獣と人間との壮絶な戦いが繰り広げられている。
「魔方陣壊す前に、まずここらを掃除だ! 行くぜ!」
俺は気合の叫びと共に、手近なところで苦戦を強いられている兵士達の元へ飛び出す。そして、傷を負って今にも倒れそうな兵士達を狙うマッドネスビーストの爪目掛けて、拳を叩きつける。
爪と拳が振れた瞬間、ビーストの手首から先は完全に消え去り、けたたましい悲鳴が上がる。
「おらぁ!」
体制の崩れたビーストの顎に、俺は渾身の拳を叩き込んでビーストを消滅させてから、兵士達に向き直る。
「大丈夫か?」
「あ、ああ……すまん。助かった」
「良いって事よ。助け会うのが人間の良いところ、だろ? 怪我大丈夫か? 下がった方がいいぜ」
「ああ、問題ない。だが、少し下がらせてもらう。ここは任せる」
俺が笑いかけると、兵士達は頭を下げ、互いに肩を抱き合ってヨタヨタと本陣へと歩いていく。
それを見送り、俺はすぐに周囲を見回し、戦いの状況を確認する。
「えいや~~!」
その視界の先、俺達より平原の中央辺りで、ミリが宙を駆け巡りながら魔獣達に強烈な拳や蹴りを浴びせていた。彼女は巧みに地を駆け、宙を舞いながら、軽やかな動きで魔獣達を翻弄。時にはその動きを利用して、カウンター気味の一撃を叩き込んだり、そのまま遠くまで投げ飛ばして魔獣達を撃退していった。
おぉ~。
今までずっと俺ばっかり戦ってて気付かなかったけど、ミリもやるな。
伊達に獣人の村でも魔獣達と渡り合っていなかったらしい。確か獣人拳法免許皆伝とか言ってたしな。
と、見とれてる場合じゃなかった。俺もさっさとこの辺りの魔獣を片付けて、西の森に向わないと。
そう思い、ミリが戦っているところへ飛び込み、ちょうどミリに蹴り飛ばされた魔獣を拳を叩きつけて消滅させ、彼女の隣に並ぶ。
「ソーマ。遅かったね」
「悪い。こんなに足が遅いんじゃ、俺もまだまだ鍛え方が足りないな。さて、じゃあ即効でこの辺りの奴らを片付けて西の森の魔方陣を破壊しよう。ティーカ、魔方陣のありそうな方角は分かるか?」
「魔獣達はここから一直線に駆けだしてきていますので、まっすぐ進めば魔方陣にぶつかる筈です」
その答えに、俺は小さく頷くと、全身の周囲360°に小さな砲弾を形成する。
「おし、そんじゃ一気にここいらを片付けて突っ込むぜ。二人とも、準備は良いか?」
「うん。いつでもオッケーだよ」
「急ぎましょう」
二人の答えに満足し、俺は周囲に溜めた砲弾を解き放った。砲弾は四方八方に飛び、その直線状にいた魔獣達の体を貫いて飛び、そこから縦横無尽に曲がって周囲にいる魔獣達の体を根こそぎ貫いてから消滅した。
よし、上手く行った。遠隔操作で同時に四方八方へ散る相手の体を貫通する砲弾。ホーミングしながら俺の敵と定めた相手へ飛んで行って破壊する攻撃。コントロールが上手くいってよかった。
「よし、そんじゃ行くぜ」
周囲一帯の魔獣の半分以上を屠り、俺はミリとティーカを伴って今度は西の森へと入った。
西の森は、先ほどの森同様に魔獣が嫌という程湧いて出た。それを進路場にいるすべてを殴り飛ばして消滅させ、俺は先へ先へと進んでいく。そうして、東と同様に少し開けた場所に出た。そこは東のように広い空間ではなく、比較的迫めで、岩やら石やらごつごつしたものが散乱していた。
だが、その広場の中央に魔方陣はあった。岩など段差が生じる障害物も無視して、魔方陣は空中に浮かびあがり、ぐるぐると回っている。
俺は先ほどまでと同じく右拳に力を集中して、魔獣が未だに湧き続ける魔方陣めがけてその力を一気に解放した。
宙に浮いた魔方陣を直接殴りつけると、やはり赤黒い火花がバチバチと幾つも乱舞したが、やがて抵抗を失って魔方陣は転送されかけていた魔獣を巻き込んで盛大に破壊された。
「よし! これで三つ目だ。もういい加減、終わってくれ」
わずかに疲れを感じ、ついつい口からぼやきが出る。が、休んでいる暇はない。またいつ新しい魔方陣が現れるか分からない上、まだまだ魔獣は五万といるのだから。
「ほんと参るよな。壊しても壊しても、別の場所に出てきやがるんだからよ~」
ただ、ついつい文句が口を吐いてしまう。それも仕方ない話かもしれないが、泣き言は全部が終わってからでも遅くない。今はとりあえず、現れた敵を一秒でも早く殲滅しなければ。
「ともかく戻ろう。また敵が増えたせいで、皆も苦戦してる筈だから」
「OK。急ごう。皆がやられちゃう前に」
「できれば被害者は出したくありません。速やかに加勢しなくては」
口々に言って、俺達は再び駆けだした。
そこでふと疑問が浮かぶ。あれ? まだ魔獣としか戦ってないな。魔族は何処にいるんだ?
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一方その頃、アンゼリカ姫は行く先々で魔獣を屠りながら、未だ姿を見せない魔族達を探して戦場のあちこちを転戦していた。
が、懸命の捜索も空しく、魔族達の姿は何処にも見当たらなかった。
切り伏せた魔獣の血で汚れる愛剣を布で拭いながら、アンゼリカは一秒でも早く敵の総大将を見つけ出さねばと焦りにも似た感情を顕わにして探し続ける。
「やはり、こちら側にも魔族の姿はありませんでした」
「こちらも。魔族達は影も形も見当たりません。魔獣がこれだけの数いるというのに」
「我が方もかなりの損害が出ています。味方の兵士達には死者こそいないものの、重傷者多数。傭兵達も何人かは本陣に撤退してきたようです」
部下達が口々に告げる言葉を、アンゼリカはやはり焦燥感にかられながら聞いていた。
なぜだ?
奴らはなぜ、戦場に姿を現さない。
魔獣達との戦いで、結構な損害は出てしまったが、現状では戦いはかなり優勢に進められている。
このまま魔獣達を上手く全滅させられるのも時間の問題かもしれない。
魔族達は何を狙い、今姿を現さないのだろう。
そう思った矢先である。
アンゼリカはふと、ある事に気付いた。
それは戦場の隊列。最初にきっちりと組んだ筈の隊列は大きく崩れ、既に戦術の体をなしていないほどだった。
北から東から、西から、襲い掛かる敵を懸命に倒す彼らは、もはや自分がどのような隊列を組んだか分からなくなっているような有様だ。
これは……まさか。
自身の脳裏に嫌な予感が過ぎる。最初は真正面から、ついで左右側面からの攻撃でもはや隊列は意味をなさなくなった。大軍相手でも真正面であれば受け止めきれるであろうと言っていた、だが、現実は左右の森から時間差で現れた魔獣によってかなりの傷を負った者達がいる。
この隊列の乱れ、何かしらの意図を感じる。
皆、思い思いに目の前の敵を倒す事だけに集中している。魔獣とはそれほど危険な存在であり、少しでもよそ見をすればやられる。敵の数があまりに多くて、皆隊列を組むどころの話ではない。
このまま新たな敵が押し寄せたら、この場はどうなるか。考えるまでもない。
「やられた……伝令! すぐに皆の者に伝えよ。急ぎ隊列を組みなおせと!」
「隊列? この状況でですか?」
「バカ者! 未だ本命である魔族どもも現れていないのにこの乱戦状態、もしも魔族がどこかに潜んでいたらひとたまりもないわ!」
アンゼリカは部下に激しく言い放つ。まったく誤算だった。自分たちのひざ元であるこの大平原に、これほどの罠を仕掛けていようとは。
やってくれるな、化け物どもめ!
「ほぉ。人間にも賢い者はいるのだな」
そんな声がしたのは、その時だった。それも彼女が立つ上空から。
慌てて見上げると、そこには人に似た二足歩行の化け物がいた。
全身紫色の肌、禿げ上がった頭に生える二本の角、異様に筋骨隆々な四肢に手足の先から生える刃物のような爪と巨大な口に生える鋭い歯。そうして、獰猛そうな殺気をまき散らす真っ赤な瞳。かつその背中には巨大な翼を生やしている。
それは紛れもなく、魔族。それも、昨日空から宣戦布告を行った総大将。
彼らは突如上空から姿を現した。アンゼリカに話しかけてきた、魔人の出現を皮切りに数十体の魔族が上空から戦場を見下ろしていた。
「なッ!!?」
「驚いたか? 驚いたであろう。これは我ら魔族に伝わる秘術、姿隠しよ。この術で、貴様らに気付かれる事無くここまで辿り着けたわ」
「貴様、魔族の将、ヴェリアルだな!」
アンゼリカは腰の愛犬を抜き放ち、最初に現れた魔族に向って叫ぶ。
「ほぉ~。我が名を知っているとは恐れ入る」
「閣下の勇名は、我らの大陸のみならず人間の大陸にも轟いておられるようですな」
ゆっくりと下降しながらニヤリと口角を吊り上げて笑うヴェリアルに、緑色の肌をした痩躯の魔族が声をかける。
おそらくコイツが、アグレスか。
アンゼリカは心の中で呟き、油断なく馬上からヴェリアルに剣の切っ先を向ける。
「協力者がいるのでな。貴様らの事など、すべてお見通しだ。よくもおめおめと姿を現せたものだ! 化け物ども」
「化け物とは不敬な。貴様ら如き矮小な者どもなど、我ら誇り高き魔人の餌食となるしかないというのに」
「何が誇り高きだ、血に飢えた獣めが! ここで会うたが百年目。わらわの剣の錆にしてくれるわ!」
「ほぉ。蛮勇を振るうか。よかろう! 貴様はこの私、魔軍勇将のヴェリアルがじきじき血祭りにしてくれるわ。だが、その前に! 我が誇り高き同胞の兵達よ! これより聖戦の終幕を奏でよう! 人の断末魔で、この宴を最高潮に盛り上げるがいい! かかれ!」
ヴェリアルが号令を下すと、上空にて待機していた魔族達が一斉に急降下を始める。狙うは今も魔獣達と戦っている兵士達。彼らは突如現れた新たな敵に、慌てて対処し始める。
「さぁ! 人族の戦士よ! 貴様の首を掲げ、祭りの終焉としてやろう! 来い!」
「言われずとももとよりそのつもりよ!! だが、先にやることがある。聞け! 兵士達よ! 遂に我らの仇敵が現れた。これを討ち果たせば我らの勝利だ! 必ず勝ち、そして生き延びよ! 将の首はわらわがとる! 死力を尽くし、必ず勝利せよ!」
剣を掲げ、戦場にくまなく届くであろう大音声で叫ぶアンゼリカ。そうして彼女は馬を走らせ、ヴェリアルのいるところまで一直線で駆けだした。
「行くぞ! 覚悟せよ、ヴェリアル!」
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