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9・骸骨のダンジョン

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「ここが骸骨のダンジョン」

3人は崖の縁にある洞窟にいる。大きく口を開けた様が骸骨の頭の形に似ていることからそんな名前が付いたようだ。

「ここが最古のダンジョンか」

遊技が呟く。そう、このダンジョンは遺物のダンジョンの中でも最も古いとされている。
遊戯と遊技は存在こそ知っていたが、来たことはなかった。漆黒からまだ力不足だから入るなと止められていたのだ。

「漆黒、聞こえるか?」

遊技が耳に手を当てる。デーモンの情報収集能力を憑依させたのだ。

「見えている。よりにもよってそこか」

漆黒の声は苦々しい。

「お前のことだ。引き返せって言うんだろう」

遊技の言葉に漆黒は数瞬沈黙した。

「漆黒くんが長考なんて珍しいね」

ふふっと遊戯がはやし立てるように言うと漆黒が笑った。

「今のお前達なら面白いデータが取れるかもしれないな。ノカがいる今なら」

「いちいち嫌味っぽいなあ。どうせ僕達だけじゃ弱いって言いたいんでしょ」

遊戯がやれやれと肩をすくめる。

「ふっ、お前達のことは信頼しているがな」

遊戯と遊技は顔を見合わせた。

「漆黒、お前、熱があるんじゃないか?」

「大変だ、病院に行った方が」

「お前達、分かっていてふざけてるだろう」

漆黒の言葉に遊戯と遊技は笑い出した。

「分かった。面白いデータを取って来る」

「任せてよね。いこ、ノカくん」

「うん」

三人はダンジョン内に足を踏み入れた。中は薄暗く寒かった。地面はところどころ凍り、太い氷柱が天井から伸びている。遊技がデーモンの一体、マロンを召還した。彼女は光を宿すデーモンだ。遊技の肩に彼女はちょこんと腰かける。彼女がいるだけでかなり明るい。

「あらあら遊技様、お宝をお探し?」

「まあそんなところだ。力を貸してくれないか?マロン」

マロンが楽しげに笑う。

「よくってよ」

「ティラ、君もおいで」

遊戯も先ほど召還した犬型のデーモン、ティラを再び呼んだ。この薄暗い中、モンスターに後ろを取られれば生死に関わる。マロンの光とティラの嗅覚はここで役に立つ。

「わあ、二人共すごいなあ」

「ノカ、ここはもう敵陣だ。気を緩めるなよ」

「分かった」

三人はモンスターと何度か戦い、下の階に繋がる階段を下った。とにかくノカが並外れて強い。遊戯と遊技の力が劣っているわけではない。ノカの力がずば抜けて強すぎるのだ。

「すごいな、お前」

「もしここのダンジョンをクリアしたら、僕も魔界に住んでいい?」

「なんだ急に?別にいいに決まってる」

遊技が首を傾げた。ノカが小さくやったと叫んだ。

「二人共、来るよ」

遊戯がティスを召還する。その召喚は淀みない。

「おや、遊戯様。どうやら相手はノカ様をさらった犯人のようですよ」

ティスが魔力を固めて相手に投げつける。

「ジャス!お前も来い!」

遊技もジャスを召還した。ズウウンとジャスが巨体を現わす。

「遊技、やつらを仕留めればいいのか?」

「ああ。頼む」

二体のデーモンは相手に苦戦しているらしい。デーモンたちのダメージは当然遊戯たちに反映される。正直な所、押されている。

「二人共、僕にやらせて」

ノカが前へ出る。それだけで相手は怯んだ。ノカが翼をはためかせ、魔法をぶつける。

「僕の家族をよくも」

「グギャッ」

ノカの一撃で相手は沈んだ。


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