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獅子王の部屋

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「おじゃまします」

獅子王の家は一戸建てのようだ。結構広い。キョロキョロしてたらあんまり見るな!と恥ずかしそうにされた。可愛い。獅子王の部屋は2階にあるらしい。獅子王に続いて部屋に入ったらベッドと小さな机、そしてテレビとゲーム機が置いてあった。獅子王が冷房をいれる。

「いい部屋じゃん。テレビ大きい」

「姉貴のお下がりだよ」

「え、獅子王、お姉さんいるの?」

「一応…」

獅子王がきまり悪そうに目線を泳がす。

「もしかして普段着てる服って…」

「姉貴が貸してくれるから」

獅子王のお姉さん、優しいな。

「あー、バイトしてえなー。そしたら服買えるのに」

「しちゃ駄目なの?」

「今は勉強に集中しろって。でも夏休みはしたいって交渉するつもり。とりあえずキョウはそこらへんに座っていてくれ。コップとか要るだろ?」

「うん、ありがとう」

お言葉に甘えてベッドの脇に腰を下ろす。獅子王がメイドさんになったら毎日通うよな。にしても、ベッド、カバーがピンクだなとかクッションがハート型だなとか色々発見がある。獅子王は本当に可愛いものが好きなんだな。僕はクッションを手に取った。ふにょふにょしてるな。なんだ、これ。

「お待たせー」

獅子王がお盆にコップを載せてやって来た。獅子王が笑う。

「そのクッション一生触ってられるよな」

「うん、気持ちいい」

獅子王がテーブルに買ってきたものを並べる。僕も通学カバンから弁当を取り出した。蓋を開けるといつものやつだった。ご飯には梅干しが載っている。保冷剤も包んであったけどほぼ溶けている。まだ冷たかったのが幸いだ。

「キョウの弁当美味そー」

「え?そうかな?」

「うん」

コップに買ってきたジュースを注いで二人で乾杯した。いわゆるお疲れ様パーティだ。こういうの初めてだから楽しいな。獅子王と弁当のおかずを交換する。

「わ、美味いな」

母さんが揚げた鶏の唐揚げは確かに美味しい。
僕も獅子王からちくわの天ぷらをもらった。獅子王といると、途端に世界がキラキラし始める。なんでつまらないなんて思っていたんだろう?って疑問に思うくらいには。獅子王を見るとニッと笑われる。好きだな。

弁当や買ってきた惣菜を食べ終わるとさすがにお腹いっぱいになった。ジュースも炭酸だったからな。お腹の中で膨らんだんだろう。

「腹いっぱいだな」

「うん」

僕たちの間に沈黙がおりる。獅子王が僕を見上げてきた。熱っぽい視線に僕もドキドキした。

「なあ、しようぜ」

「いいの?」

獅子王が真っ赤になる。

「いいに決まってるだろ」

僕たちはどちらからともなくキスをした。

「ん…ふ…っ…」

こうやって唇を重ねるだけでこんなに気持ちいい。それは僕が獅子王を好きだからだ。

「ベッド行く?」

「ん」

獅子王をベッドに押し倒す。獅子王のブラウスのボタンを外すと、中に白いキャミソールを着ていた。
本当に女の子みたいだな。

「んぅ…っ!」

獅子王の胸を舌で転がす。はじめはふにゃふにゃしてたのにだんだん固くなってくる。

「ん…ゃ…」

「嫌?」

「して…」

「獅子王、可愛いよ」

「っひ!」

指で乳首を弾くと獅子王がびくん、と体を弾ませた。そのまま指の腹でこりこり撫でる。

「んぅっ、つ、キョウ…」

「獅子王、気持ちいい?」

獅子王がこくこく頷いている。可愛いな。胸を弄りながら、鎖骨のあたりをキスする。

「ん!跡つけんな…っ!」

「見えないよ、大丈夫」

じゅ、と鎖骨を吸うと獅子王が体を震わせる。面白くなって、他の所にも吸い付いた。

「あ…キョウ、もう…ゃ」

良くなってきたみたいだな。僕は獅子王の下半身に手を伸ばした。

「苦しいでしょ?」

「ん」

するり、と獅子王の下着を脱がせるとそれは現れる。優しく握って扱いた。

「ア!んん!っや…」

「嫌じゃないでしょ?」

手を止めて聞くと、獅子王が頷く。

「ゃじゃな…い…っは」

獅子王の呼吸が荒い。それだけ苦しいんだろう。僕は獅子王の奥に手を向けた。

「ひ…そ、こ…」

「たまに入れて良い?」

「ん、入れて欲しい」

獅子王の精液で指を濡らして中に押し入れる。あれ?柔らかい?

「獅子王?もしかして自分でした?」

獅子王が真っ赤になる。そして頷いた。

「キョウとしたくて」

そう言ってもらえて光栄だな。

「一緒に気持ちよくなろうか」

「ん」

僕は獅子王を四つん這いにして、中に押し入った。

「ンンン!」

「苦しいよね、ごめんね」

「だ、いじょうぶ…」

強がる獅子王、可愛いな。まぁ僕もギリギリなんだけどね。

「動くね」

「っ…あぁあ!!ひ!」

ゆっくり探るように動くと、獅子王がシーツを掴んで喘ぐ。

「あ…ゃ…気持ちいいからっ!」

「ここ?」

「ひ…そこぉ…!」

冷房が入ってるはずなのに、暑い。獅子王とこうして繋がると僕はホッとする。自分は生きているんだってそこでいつも実感するんだ。

「っあ!あ!も、イクから…!」

「好きだよ、獅子王」

「お…れも!」

✢✢✢

した後は異様なくらい体が重たくなる。僕は獅子王と抱き合っていた。

「なんでするとこんなにダルいんだろ」

「本当だね」

僕が笑うと獅子王がノロノロ起き上がる。

「ジュース飲む」

「うん」

僕も起き上がった。

大人に隠れて僕たちは二人で一線を超えている。それは僕たちがまだ子供だからだ。獅子王はそうは思っていないだろうけど、僕はそう考えている。セックスが悪いわけじゃないけれど。

「キョウ、お前も飲むだろ?」

獅子王がジュースを注いだコップを渡してくれる。僕はありがたく受け取った。獅子王といると世界が色付く。灰色だった世界が一気に変わるんだ。食べ物だってすごく美味しくなる。それは獅子王という存在が成し得る魔法みたいなもの。

僕は無意識に獅子王を抱き寄せていた。

「キョウ?」

「獅子王、愛してる」

獅子王が真っ赤になっているな。でもこれは絶対に揺るがない真実だから。嘘つきの僕が言う唯一の真実なんだ。
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