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レイナ
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ジリリリリというけたたましい音が家中に響き渡る。通信魔導具が鳴っているのだ。レヴェルは慌てて受話器を取った。
「はい、レヴェルです」
「レヴェルお兄ちゃん、レイナなの」
レヴェルは向こう側の気配を探ってみた。レイナだけだと色々問題がある。
「レイナ…ちゃん?周りに大人のひとはいる?」
レヴェルが躊躇いながら尋ねると、レイナは代わると言った。
「申し訳ありません、レイナお嬢様の従者のものです。詳しくは私からお話致します」
レヴェルはその声に聞き覚えがあった。この間のグランドバザールにレイナと一緒にいた男性だろう。レヴェルはドレッサーの寸法、色など詳しく尋ね、細かくメモした。
「申し訳ありません。お嬢様に一度変わります。どうしても希望したいことがあるようなので」
レイナに代わったようだ。
「お兄ちゃん、ドレッサーの鏡にね、ユニコーンをつけてほしいの」
ユニコーン?とレヴェルは考えて答えに行き着いた。
額に角を持つ馬型の聖獣だ。
「いいよ、分かった」
「ありがとう。じぃに代わるね」
「レヴェル様、誠に申し訳ありません。依頼の方、よろしくお願い致します」
「承知しました。引き渡し場所はフラワータウンの商人ギルドになります。完成したらご連絡します。よろしくお願いします」
「はい、畏まりました」
レヴェルは受話器を置いた。
「レヴィ、大丈夫か?」
「緊張したぁ…でもちゃんとメモしたし作れるね!」
「あぁ」
あ、とレヴェルは思っていた。
「ねぇライダ、ユニコーンってどんなやつ?描いてくれない?」
「分かった」
ライダがすらすら紙にユニコーンを描くのをレヴェルは隣から見ていた。ライダの筆は迷うことなく可愛らしいユニコーンを生み出していく。レヴェルはふと思い出していた。幼い頃からこうして自分はライダの隣にいたことを。
「こんな感じだ」
ライダが描いたばかりの紙を手渡してくれる。
「わぁ、ありがとう。可愛いね」
「役に立てたなら良かった」
レヴェルは早速ドレッサーを作り始めた。材料はもちろんキリの木だ。鏡は素材屋で買ってきたものを使う。色はラベンダーを指定されている。レイナの母親が好きな色らしい。レヴェルはこつこつ作業した。ふと気が付くと日が傾き始めている。おそらくライダも作業に熱中しているだろう。こんなところは2人ともよく似ている。レヴェルは部屋を出てキッチンに向かった。一応冷蔵庫を開けてみる。キリ村の冷蔵庫は電力をあまり使わないように工夫して作られている。おかげでサイズも小さい。
「俺に作れるもの…たまごがあるしオムライスとか?」
米は飯ごうを使って炊く。
「レヴィ、何か作るのか?」
「あ、ライダ。お疲れ様。オムライス作るから」
「昼も弁当を買ってもらったし、俺が作ろう」
「ありがとう。じゃあ片付けは任せてね?」
「あぁ」
ライダが調理を始めるのをレヴェルは見ていた。
「ライダ、依頼の進捗はどう?」
「あぁ、依頼されたものは全部婦人用でな。ワンピースとスカートだ。布は持ち込んでもらったから、あとは仕立てるだけなんだ」
「ライダは作業早いもんね。俺も明後日には終わりそう」
「終わったらバザールのものも作らないとな」
「本当だ。大忙し」
「キュイ!」
エメラルドがやって来た。昼寝が終わったらしい。
「エメラルド、起きたの?」
「キュウ」
エメラルドは少しずつ大きくなってきている。レヴェルが抱えるのも難しくなってきた。
籠のサイズもだんだん窮屈になってきているようだ。今では籠から出て眠っていることも増えている。レヴェルは気が付いた。
「待って、エメラルド。翼が?」
エメラルドが得意そうに翼を広げてみせる。エメラルドの背中には立派な翼が生え揃っていた。
「エメラルド、もしかして飛べるの?」
「キュ?」
「飛ぶ練習が必要かもしれないな」
ライダが言う。レヴェルは嬉しい気持ちと少し寂しい気持ちが同時に湧いた。複雑な気持ちに自分で驚いていると、ライダに手を掴まれた。
「レヴィ、飛ぶ練習に付き合ってやろう」
「う、うん」
エメラルドと共にレヴェルたちは家の外に出た。キリ村を出て少し歩くと崖の上に出る。
「キュウ!」
「いきなりこんなところから飛ぶの?危ないんじゃ」
レヴェルは崖の高さに驚いてしまった。それでもエメラルドはやる気満々である。
「エメラルド、やってみろ」
「キュウ!」
エメラルドが翼を広げる。そしてそれをはためかせた。風が起きる。ざあああと木々が揺れた。エメラルドは小さいが備え持つドラゴンの力は強い。
「キュー」
ふわり、とエメラルドが浮かびあがる。ライダが言った。
「エメラルド、お前は自由だ。好きなところにいろ」
「キュウ!」
エメラルドは頷き、そのまま飛び去ってしまった。
「エメラルド!元気でね!」
レヴェルは思い切り手を振った。
「レヴィ、帰ろう。エメラルドのことだ。ちょっと遊んだら帰ってくる」
「そっか、そうだよね」
2人は家路についた。エメラルドはこれからたくましいドラゴンに成長するのだろう。レヴェルはそれを信じている。
「はい、レヴェルです」
「レヴェルお兄ちゃん、レイナなの」
レヴェルは向こう側の気配を探ってみた。レイナだけだと色々問題がある。
「レイナ…ちゃん?周りに大人のひとはいる?」
レヴェルが躊躇いながら尋ねると、レイナは代わると言った。
「申し訳ありません、レイナお嬢様の従者のものです。詳しくは私からお話致します」
レヴェルはその声に聞き覚えがあった。この間のグランドバザールにレイナと一緒にいた男性だろう。レヴェルはドレッサーの寸法、色など詳しく尋ね、細かくメモした。
「申し訳ありません。お嬢様に一度変わります。どうしても希望したいことがあるようなので」
レイナに代わったようだ。
「お兄ちゃん、ドレッサーの鏡にね、ユニコーンをつけてほしいの」
ユニコーン?とレヴェルは考えて答えに行き着いた。
額に角を持つ馬型の聖獣だ。
「いいよ、分かった」
「ありがとう。じぃに代わるね」
「レヴェル様、誠に申し訳ありません。依頼の方、よろしくお願い致します」
「承知しました。引き渡し場所はフラワータウンの商人ギルドになります。完成したらご連絡します。よろしくお願いします」
「はい、畏まりました」
レヴェルは受話器を置いた。
「レヴィ、大丈夫か?」
「緊張したぁ…でもちゃんとメモしたし作れるね!」
「あぁ」
あ、とレヴェルは思っていた。
「ねぇライダ、ユニコーンってどんなやつ?描いてくれない?」
「分かった」
ライダがすらすら紙にユニコーンを描くのをレヴェルは隣から見ていた。ライダの筆は迷うことなく可愛らしいユニコーンを生み出していく。レヴェルはふと思い出していた。幼い頃からこうして自分はライダの隣にいたことを。
「こんな感じだ」
ライダが描いたばかりの紙を手渡してくれる。
「わぁ、ありがとう。可愛いね」
「役に立てたなら良かった」
レヴェルは早速ドレッサーを作り始めた。材料はもちろんキリの木だ。鏡は素材屋で買ってきたものを使う。色はラベンダーを指定されている。レイナの母親が好きな色らしい。レヴェルはこつこつ作業した。ふと気が付くと日が傾き始めている。おそらくライダも作業に熱中しているだろう。こんなところは2人ともよく似ている。レヴェルは部屋を出てキッチンに向かった。一応冷蔵庫を開けてみる。キリ村の冷蔵庫は電力をあまり使わないように工夫して作られている。おかげでサイズも小さい。
「俺に作れるもの…たまごがあるしオムライスとか?」
米は飯ごうを使って炊く。
「レヴィ、何か作るのか?」
「あ、ライダ。お疲れ様。オムライス作るから」
「昼も弁当を買ってもらったし、俺が作ろう」
「ありがとう。じゃあ片付けは任せてね?」
「あぁ」
ライダが調理を始めるのをレヴェルは見ていた。
「ライダ、依頼の進捗はどう?」
「あぁ、依頼されたものは全部婦人用でな。ワンピースとスカートだ。布は持ち込んでもらったから、あとは仕立てるだけなんだ」
「ライダは作業早いもんね。俺も明後日には終わりそう」
「終わったらバザールのものも作らないとな」
「本当だ。大忙し」
「キュイ!」
エメラルドがやって来た。昼寝が終わったらしい。
「エメラルド、起きたの?」
「キュウ」
エメラルドは少しずつ大きくなってきている。レヴェルが抱えるのも難しくなってきた。
籠のサイズもだんだん窮屈になってきているようだ。今では籠から出て眠っていることも増えている。レヴェルは気が付いた。
「待って、エメラルド。翼が?」
エメラルドが得意そうに翼を広げてみせる。エメラルドの背中には立派な翼が生え揃っていた。
「エメラルド、もしかして飛べるの?」
「キュ?」
「飛ぶ練習が必要かもしれないな」
ライダが言う。レヴェルは嬉しい気持ちと少し寂しい気持ちが同時に湧いた。複雑な気持ちに自分で驚いていると、ライダに手を掴まれた。
「レヴィ、飛ぶ練習に付き合ってやろう」
「う、うん」
エメラルドと共にレヴェルたちは家の外に出た。キリ村を出て少し歩くと崖の上に出る。
「キュウ!」
「いきなりこんなところから飛ぶの?危ないんじゃ」
レヴェルは崖の高さに驚いてしまった。それでもエメラルドはやる気満々である。
「エメラルド、やってみろ」
「キュウ!」
エメラルドが翼を広げる。そしてそれをはためかせた。風が起きる。ざあああと木々が揺れた。エメラルドは小さいが備え持つドラゴンの力は強い。
「キュー」
ふわり、とエメラルドが浮かびあがる。ライダが言った。
「エメラルド、お前は自由だ。好きなところにいろ」
「キュウ!」
エメラルドは頷き、そのまま飛び去ってしまった。
「エメラルド!元気でね!」
レヴェルは思い切り手を振った。
「レヴィ、帰ろう。エメラルドのことだ。ちょっと遊んだら帰ってくる」
「そっか、そうだよね」
2人は家路についた。エメラルドはこれからたくましいドラゴンに成長するのだろう。レヴェルはそれを信じている。
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