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モデルがやってきた
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数日後、レシュカから店に電話があり、ヒメリの店「ベーカリー・リフィール」の出店が正式に決まったことを伝えられた。
フェスティバルの宣伝用のチラシを町の役所に取りに来て欲しいとレシュカから頼まれたので、これから店の準備を終えたら行くつもりでいる。
しっかり宣伝が出来るように、チラシ置き場も作ろうとヒメリは考えている。沢山の人がフェスティバルに来てくれたらいい。
ヒメリは明日に必要な生地を捏ねながら、フェスティバルにどのパンを提供するか考えていた。この店で一番売上がいいのはカリーパンだ。ヒメリ特製の野菜が溶けるまで煮込んだカレーがとても美味いと評判なのだ。
他にもチョコレートクリームがぎっしり詰まったコロネであったり、ふんわり柔らかなクリームパンも人気がある。レシュカから出店する店の設備を聞いたところ、ショーケースとガスコンロ1台だと聞いた。それならばクリームパンをもっと美味しく改良して、カリーパンと2種類提供すればいいかもしれない。
「ヒメリ、フェスティバルのことか?」
にまにましながらメニューを考えていたらクロードに笑われてしまった。
「分かりますか?」
「ヒメリは分かりやすいからな」
んーと、クロードが唸っている。その言葉が少しショックなヒメリだ。昔から嘘を吐くと周りにすぐバレていたが、それは成長した今も変わっていなかったらしい。そこでヒメリはペテルギウス三世のことを思い出していた。
「あの、クロードさん。フェスティバル時に警察は動いてくれるんですか?」
「あぁ。軽くだけど警察が町の警備にあたることになった。当日何もないに越した事はないからな。当日まで、しばらく俺なりにあいつを追ってみる」
「クロードさんだけで?」
クロードは笑って首を横に振った。
「俺は盗賊だ。あれこれ器用な仲間が何人かいる。大丈夫。皆、今は普通に働いている」
クロードの言葉にヒメリはホッとした。だが、ペテルギウスがどんなことをしてくるか分からない以上、油断は禁物である。
ヒメリが明日の仕込みを終える頃、子供たちが帰ってきた。
二人共、困ったような顔をしている。
ヒメリはすぐにその理由を悟った。
すらりとした女性がやって来たからである。
彼女は黒い帽子を被りサングラスを掛けていた。ヒメリは彼女に笑い掛けた。
「久しぶりだな、ヒメカ」
「お兄ちゃんのバカ!!」
ヒメカと呼ばれた女性がヒメリの肩をポカポカ叩く。ヒメリは彼女を抱き締めた。
「本当に久しぶりだな」
「うん。本当にそう。あたし、お兄ちゃんがいなくて寂しかった」
「大丈夫だ。父さんも母さんもいるんだし」
「そうゆうことじゃないでしょ!」
「まあまあ」
スバルとオリオが二人を困ったように見つめている。ヒメリはヒメカを手で示した。
「この子は俺の妹のヒメカ。モデルをしてるんだ。すごいだろ?」
「うん、すごいよ。綺麗だし」
スバルがコクコクと頷いている。
「モデルさんってことは芸能人?すげー!」
オリオがぴょこん、と跳ねた。
「ヒメカ、急にどうしたんだ?マネージャーさんは?」
「あたし、怒ってるんだからね!」
ヒメカが椅子に足を組んで座り、ぷいっと横を向いた。何かあったのは間違いない。
「とりあえず、話を聞くから一緒に来てくれ。これから町に用事があるんだ」
「お、スバル、オリオ。お帰り」
クロードが奥からやってきて、ヒメカはヒメリの背中に隠れた。
「誰なの?一体なにがあったのよ、お兄ちゃん!」
「後で話すよ。クロードさん、妹と町に行って来ます」
「あぁ。気を付けてな」
ヒメリは隣にヒメカを乗せてバンを走らせた。
フェスティバルの宣伝用のチラシを町の役所に取りに来て欲しいとレシュカから頼まれたので、これから店の準備を終えたら行くつもりでいる。
しっかり宣伝が出来るように、チラシ置き場も作ろうとヒメリは考えている。沢山の人がフェスティバルに来てくれたらいい。
ヒメリは明日に必要な生地を捏ねながら、フェスティバルにどのパンを提供するか考えていた。この店で一番売上がいいのはカリーパンだ。ヒメリ特製の野菜が溶けるまで煮込んだカレーがとても美味いと評判なのだ。
他にもチョコレートクリームがぎっしり詰まったコロネであったり、ふんわり柔らかなクリームパンも人気がある。レシュカから出店する店の設備を聞いたところ、ショーケースとガスコンロ1台だと聞いた。それならばクリームパンをもっと美味しく改良して、カリーパンと2種類提供すればいいかもしれない。
「ヒメリ、フェスティバルのことか?」
にまにましながらメニューを考えていたらクロードに笑われてしまった。
「分かりますか?」
「ヒメリは分かりやすいからな」
んーと、クロードが唸っている。その言葉が少しショックなヒメリだ。昔から嘘を吐くと周りにすぐバレていたが、それは成長した今も変わっていなかったらしい。そこでヒメリはペテルギウス三世のことを思い出していた。
「あの、クロードさん。フェスティバル時に警察は動いてくれるんですか?」
「あぁ。軽くだけど警察が町の警備にあたることになった。当日何もないに越した事はないからな。当日まで、しばらく俺なりにあいつを追ってみる」
「クロードさんだけで?」
クロードは笑って首を横に振った。
「俺は盗賊だ。あれこれ器用な仲間が何人かいる。大丈夫。皆、今は普通に働いている」
クロードの言葉にヒメリはホッとした。だが、ペテルギウスがどんなことをしてくるか分からない以上、油断は禁物である。
ヒメリが明日の仕込みを終える頃、子供たちが帰ってきた。
二人共、困ったような顔をしている。
ヒメリはすぐにその理由を悟った。
すらりとした女性がやって来たからである。
彼女は黒い帽子を被りサングラスを掛けていた。ヒメリは彼女に笑い掛けた。
「久しぶりだな、ヒメカ」
「お兄ちゃんのバカ!!」
ヒメカと呼ばれた女性がヒメリの肩をポカポカ叩く。ヒメリは彼女を抱き締めた。
「本当に久しぶりだな」
「うん。本当にそう。あたし、お兄ちゃんがいなくて寂しかった」
「大丈夫だ。父さんも母さんもいるんだし」
「そうゆうことじゃないでしょ!」
「まあまあ」
スバルとオリオが二人を困ったように見つめている。ヒメリはヒメカを手で示した。
「この子は俺の妹のヒメカ。モデルをしてるんだ。すごいだろ?」
「うん、すごいよ。綺麗だし」
スバルがコクコクと頷いている。
「モデルさんってことは芸能人?すげー!」
オリオがぴょこん、と跳ねた。
「ヒメカ、急にどうしたんだ?マネージャーさんは?」
「あたし、怒ってるんだからね!」
ヒメカが椅子に足を組んで座り、ぷいっと横を向いた。何かあったのは間違いない。
「とりあえず、話を聞くから一緒に来てくれ。これから町に用事があるんだ」
「お、スバル、オリオ。お帰り」
クロードが奥からやってきて、ヒメカはヒメリの背中に隠れた。
「誰なの?一体なにがあったのよ、お兄ちゃん!」
「後で話すよ。クロードさん、妹と町に行って来ます」
「あぁ。気を付けてな」
ヒメリは隣にヒメカを乗せてバンを走らせた。
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