ゲーマー白雪姫は今日も最強です。

はやしかわともえ

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6・新参者

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「おい、待てよ!待てったら!!」

大会も無事に終わり、雪は帰ろうと会場を出た。その後を追ってきた者がいる。くるり、と雪は振り向く。

「なんだ?俺はこれから帰って、カレーライスを作らなくちゃいけないから忙しいんだ」

「か…れ?…え?」

追ってきたのは予想通り零夜で雪はにやっと笑う。

「そうだ。お前も何か食うか?腹減ってるだろ?」

「そ…うだけど…じゃなくて!!」

「確かあっちにモッテリアがあったな。行こう」

雪は零夜の手を掴み歩き出した。零夜は色々騒いでいたがついに観念したのか、静かになる。店に入りハンバーガーをセットで頼んだ。

「む!やっぱりここのチーズバーガー美味い」

もっもっ、と雪がハンバーガーに齧り付いてると、零夜がはぁ、とため息を吐いた。

「白雪姫さん、俺はあんたの敵で…」

「今はゲームしてないぞ?」

ぐ、と零夜が詰まる。

「くっそ…こんな可愛いとか聞いてないぞ…」

零夜が何やら独り言を呟いているが、雪はチーズバーガーに夢中で聞こえていなかった。

「ポテト美味いぞ」

「…あ、はぁ…えーと、ちゃんと食べますけど…」

「オニオンリングとナゲットも食え」

「え…姫は食べないんスか?」

「食べるけど、全部は食べ切れない!」

どん、と言い張ったら、零夜はぽかんとしている。

「いや、えーと…じゃあもらいます」

おずおずと零夜が手を伸ばし、ナゲットを一つ掴む。雪は再び、チーズバーガーに取り掛かった。
むぐむぐと噛み、飲み込む。

「む、マスタードしか付けない派?」

「え?、あ、まぁ、そうッス」

「零夜は大人なんだなあ」

「っ…!」

雪が彼を見上げると零夜が顔を赤くする。

「とにかく早くバーガー食ってください」

「ん、分かった」

零夜をチームに入れたい。雪はいつの間にかそんなことを思い始めていた。

「なぁ、零夜。連絡先交換しないか?」

「え!白雪姫の連絡先…?」

「あぁ。お前、もっと強くなれると思うんだ。うちは厳しいからな。飯は俺が作るから無料だし、悪くない案件だと思うけど」

「な…白雪姫の手料理…」

零夜の顔は真っ赤だ。

「俺の手料理は嫌か?あ!人が握ったおむすびが食べられないとか?」

「そんなことはないっス。むしろ姫の作ったカレーライス食いたいです」

「お、ならこのまま家に来いよ。作るの手伝ってくれたらエビフライ付けるぞ」

「エビフライ…」

零夜は行くと雪に告げてきた。雪は零夜を連れて自宅のあるマンションに戻ってきた。

「ここが姫のうち…」

「ちょっと散らかってるけど、ゲームする環境はばんぜ…」

雪は零夜に抱き締められていた。

「零夜?急にどうした?」

「姫、俺…その…あんたのこと」

「雪、そいつ誰だ?」

ドスの聞いた声が頭上から降ってきて、零夜はひいと飛び退いた。

「宵、俺勝った!」

「あぁ、動画観てたよ。よく頑張ったな」

よしよしと宵に頭を撫でられて雪はご機嫌だ。

「で、この小僧は?」

「あぁ、新しく仲間になる零夜だ!これからビシバシ鍛えるつもりなんだ」

「雪のビシバシはキツイからな。ま、死ぬことはないから頑張れよ、新人」

「は、はぁ」

「あー、そうそう。雪は俺のだから手は出すなよ。もしなんかあったら俺は容赦しないからな」

「ひっ!」

零夜がガタガタ震えている。

「宵は優しいから大丈夫だぞ、零夜」

どこが!と言いたい零夜だったが、結局言えなかった。
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