ゲーマー白雪姫は今日も最強です。

はやしかわともえ

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9・キャラクターデザイン

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「…綺麗」

「翼さん、ちょっと休憩しない?」

ハッと翼が顔を上げると、大地がマグカップを手にやって来た。翼は今日休みで、ずっとタブレットで色々な動画を見ていたのだ。同性でパートナーの大地も同じく休みだった。今まで作り置きのおかずを作っていたらしい。

「大地君、ありがとう」

「どういたしまして」

渡されたマグカップを手に持つと、じんわり温かい。翼は息を吹きかけて冷ましながら飲んだ。甘いカフェオレにホッとする。

「美味しい」

「翼さん専用ブレンドだからね」

ふふ、と大地に笑いながら言われて、翼はくすぐったい気持ちでいっぱいになった。

「何観てたの?」

大地が隣に腰掛けてきたので、翼はタブレットを渡した。

「雪さんのゲーム配信だよ」

「レースゲームかぁ。雪…さんってこの間会った人?」

「そうだよ、雪さんはいつもヨッピーを使ってるんだけど、コース取りが綺麗で、本当に上手なの」

ヨッピーというのは青色の恐竜だ。可愛らしいキャラクターである。

「ゲームが好きな翼さんからしたら雪さんは神ってことなんだね」

「うん、神。俺も憧れたなぁプロゲーマー」

「え?翼さんの元々の夢ってもしかして」

「うん、プロゲーマーだったけど、ゲームの練習毎日10時間出来ないなぁって。まだ絵の方はなんとかなったから」

「そうだったんだ。確かに10時間練習は大変そうだね」

「人によると思うけど、多分俺はそれくらい練習しないと厳しい世界だと思う」

「雪さんはすごい人なんだね」

にこにこしながら言う大地に翼は大きく頷いた。

「それでね、大地君。今ロイヤルソードは大きなコンテンツになって来たし、雪さんをサポーターにしようかなって」

「え?もう決まってるの?」

秘密だよ、と翼は笑った。

「もう衣装のデザインも出来てるし、後は雪さんがオーケーくれれば話が進むんだけど」

うーん、と翼は腕を組み唸った。大地がすかさず言う。

「それは大丈夫…じゃないかな?雪さん、ロイヤルソードにかなり課金してくれてるんでしょ?」

「廃人かなって初めは思ってた。でもあんなに可愛い雪さんに俺の考えた衣装着てもらうとか嬉しすぎて」

「翼さんも着れば?」

大地がニヤニヤしながら言う。どうやら冗談のようだが、翼は断固拒否した。

「雪さんに似合うように作ったんだから、それはだめ」

「翼さんも負けないくらい可愛いのに」

「本当?」

嬉しくなって見上げると、大地が笑う。

「あ、でもやっぱり俺が衣装を着るのは違うな。俺はあくまで裏方なんだから」

「翼さんは徹底してるんだねぇ」

そんな時、電話が鳴る。慌てて翼が出ると、雪がロイヤルソードのサポーターになることが決まったという知らせだった。

「良かったね、翼さん」

「うん!明日雪さんに会えるよ!」

「明日?そりゃまた急だね」

「ロイヤルソードは今が売り時だから頑張ってもらわないと」

「なるほど。商品の賞味期限、やっぱりあるもんね」

「大地君、さすが経営者だよね」

「一人で大丈夫?乗り換え調べないとね」

「ありがとう、大地君」



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