ゲーマー白雪姫は今日も最強です。

はやしかわともえ

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13・ティーパーティ

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「雪さん、来てくれてありがとう。えーと、そちらは…？」

「あぁ、零夜って言うんだ。俺の仲間だよ」

翼がぱあっと顔を輝かせ、零夜の手をぎゅっと握った。

「知ってる！零夜君、こんな感じの子なんだ！普段配信でも顔出ししてないから。すごくイケメン！」

確か、雪と初めて戦った時も黒いマスクを付けていた。有人とはそういう部分でも通ずるものがあったのだろう。

「いや、全然イケメンとかじゃないんで」

翼のペースに零夜はたじたじである。

「あ、大地君が準備してるから早く行こうか」

翼はこっち、と二人を先導してくれた。

「あれ」

翼が目の前の雑居ビルを示す。

「え、ビルに住んでるんすか？」

「うん、3階建ての3階に住んでるの。大地君は２階で整体院を開いているんだ」

「すげえ…」

零夜の言葉に翼はくすぐったそうに笑った。3人はエレベーターに乗り込む。

「今日、大地さんはお仕事なのか？」

「うーん、院はお休みなんだけど、色々書類仕事があるみたい。朝からガンガンやっつけてた。でも雪さんが来るからって張り切ってたよ」

３階に到着し、ガラス張りのドアを抜けると、いよいよ居住スペースだ。

「いらっしゃい！」

中に入るなり、巨大な男がぬっと現れて雪は一瞬驚いた。彼が大地であるとようやく分かる。

「大地君、零夜君も来てくれたよ」

「え、翼さんがよく話してるあの子？」

うん！と翼が元気よく返事をする。

「二人共、今日は沢山食べていってくださいね」

大地に促され食卓に着くと、大地がお茶を淹れ始めた。眼の前にはスコーンやサンドイッチ、キッシュが並んでいる。

「え、これもしかして、手作りなんスか？」

「一応ね。ケーキもあるから」

「ケーキ…」

ごくり、と零夜が喉を鳴らす。

「食べよう。ゲームの話も聞きたいな」

四人はわいわい言いながら食べ始めた。

「サンドイッチがこんなに美味いなんて…」

「零夜、ゆっくり食え」

「ッス」

四人の話題は自然とロイヤルソードのことになる。

「この間のガチャ配信すごく面白かった。あるくんもいてくれたんだね」

「あるも結構やり込むタイプだから、ハマってるよ」

「いいなぁ。あるくんにも会ってみたい」

「翼さんたちも家に来てくださいよ」

「いいの？」

もちろん、と雪が頷くと翼がわあと顔を輝かせた。

「ならまたスケジュール調整しないとね。翼さん、ロイヤルソードのコミカライズが決まってるし」

「あのゲーム、漫画になるんすか？」

「一応他言無用で頼むよ」

「絶対に買います」

零夜はやはりファンを名乗るだけのことはある。翼の手がけた作品に詳しかった。

「零夜君詳しいなあ、すごい」

「翼さんの作ったキャラスゲーって当時思ったんす」

「嬉しいな」

翼がニコニコしている。いつの間にか西日が差し込んでいる。楽しい時間はすぐ過ぎ去るものだ。大地がスコーンをお土産に持たせてくれた。

「また来てください」

「翼さんたちも」

お互いに手を振り合って、別れた。

「翼さん美人過ぎる」

ぽつりと零夜が呟いたので雪は噴き出した。

「な、お姫様だったろ？」

「大地さん、翼さんのことめちゃくちゃ好きなんだなあって思いました」

「それは俺も思った。好きになる気持ちも分かるし」

「そうっすよね。ああ、俺も恋人欲しい」

「お前はまだ若いんだし焦るなって」

「姫に言われても説得力ねえ」

零夜の様子に雪は笑ってしまった。

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