レベル0の俺がレベル100のあいつに勝つ方法

はやしかわともえ

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ランクマッチ

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2人がスタジアム内に入ると、すでにバトルが始まっている。中は歓声に溢れていた。その熱気に、航はだんだん緊張してきた。

「先輩、リラックスですよ!俺の出番まで間もなくなので行ってきます!」

「あぁ!平介頑張れよ!」

航の出番までは少しありそうだ。観客席に向かうことにする。席はほとんど埋まっていたが、一番後ろの隅の席に座ることが出来た。モニターでバトルの様子が分かる。いよいよ平介の出番がやって来た。歓声の中、平介が手を振りながらスタジアムに出てくる。

(あいつ、楽しんでるなあ)

航はそんなことを思いながら相手を見た。いかにもパワー系といった様子である。平介は今、見た目はかよわい女の子だ。どうやって戦うのだろうと少し不安になりながら航は見守った。平介は早速モンスターを召喚している。防御の硬いゴーレムに後衛を守らせて遠距離から魔法を当てていく作戦らしい。

(単純だけど、地味にやだよな)

平介の作戦は確かに効いている。何度も相手は突っ込んでこようと試みたが、平介は相手の動きを読むのが上手かった。

「行きますよ!アイスメイジ!」

平介の指示に魔法使いが氷魔法を相手にぶつける。その瞬間、冷気が会場を包んだ。寒さに震えながらも航は闘技場の様子を見る。そこには氷漬けになった敵が現れた。

「勝者!クランニ!」

「やったー!勝ったー!」

ぴょこぴょこ跳ねながら平介が喜んでいる。周りの歓声もますます高まった。
次はいよいよ航の出番である。どうしようと思いながらも闘技場に向かった。

「先輩!ファイトですよ!」

すれ違った平介に励まされ、航は頷いた。先輩として格好悪い所は見せられない。闘技場に向かうと、大剣を背負った赤髪の男が既にいた。ここからでも分かる。相手は強い。気迫がすさまじかった。

「楽しませてくれよ。遊び人」

「その台詞そっくりそのまま返すぜ」

2人がそれぞれ構える。航はふと、相手の能力値を見て驚いてしまった。彼はすでにレベル100に到達している。

(面白いじゃねーか)

航は負けを確信したが、やるだけやってやろうと気合いを自分に込めた。試合が始まった。
航は先手必勝とばかりに相手の懐に飛び込み、アイスソードで斬り掛かった。もちろん男の大剣であっさり受け止められる。ギリギリと鍔迫り合いになったが、力では相手の方が明らかに上だ。
航は体力が削られる前に後ろに跳んだ。

「お前、選ばれたんだな」

「お前じゃない。ワタルだ」

「俺はスサ。ワタル、お前は俺以外に負けるなよ」

スサの攻撃は凄まじい。航は必死にアイスソードで受け止めて致命傷になるのをギリギリ防いだ。

「レベル0でここまでやれるなんてな。俺の本気を見せてやらなくちゃな」

スサが詠唱を始める。詠唱しながらも航の攻撃を受け流している。

(俺との相手は詠唱ありきでも余裕ってわけかよ)

スサの詠唱が終わった瞬間、大剣だった剣に禍々しいオーラが宿った。

「行くぜ。ワタル」

そこからはスサの猛攻撃を食らい、航は敗北した。
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