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神隠しの正体
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「まあ、茶でも飲めや」
「はぁ…」
航と平介の前に置かれたのは抹茶だ。お茶請けの菓子もある。間違いなくようかんだ。
航は目の前で茶を点てているヒトを見つめた。頭からは耳が生え、9本の尻尾がゆらゆらと揺れている。体つきからして女性だろう。
「あの…」
「む、もしや、煎餅が良かったか?」
見当違いな言葉に航はいやいや、と首を横に振った。まずは自己紹介をしようと航はここで閃いていた。
「えーと…俺はワタルです。この子は」
「クランニです」
「うむ、そう言えば名前を名乗るのを忘れておった。ワシは妖狐。好きなように呼ぶがいい」
どうも妖狐のペースが摑めない航である。意に反し声を上げたのは平介だった。
「あの、妖狐さんが神隠しの犯人ですか?」
「む?」
平介の言葉に航もびっくりしてしまった。
「ちょ、平介!いくらなんでも聞き方が!」
「だってそれ以外考えられないですし」
「まあそうだけど!!」
「あはははは!!」
2人のやりとりを聞いて、妖狐が笑い出す。航と平介はハッと彼女を見つめた。
「2人とも可愛いことだ。他の子もつい可愛くてな、一緒にお茶をしたかったんだよ」
「妖狐さん…それならあなたがこちらに来れば」
妖狐が悲しげに首を振る。
「ワシはそちらには行けぬ。2人にだから頼むのじゃが、定期的にワシとお茶をしてくれんか?」
「え?!」
「ワシはこの世界の変異に気が付いておる。ワシに分かることはなんでも話そう」
「妖狐さんが力を貸してくれる?!それなら心強いです!」
「俺もお茶を飲むくらいなら。ただ、抹茶みたいなちゃんとした作法はからっきしで…」
航の言葉に妖狐がからからと笑う。
「良いのじゃ!可愛い子らよ。これをお前たちにやろう」
「これは…糸?」
航と平介の指に糸が絡みついた。きゅ、と軽くだが締まる。
「絆の糸じゃ。ワシと連絡が取れるからな」
「わぁ!便利ですね!」
「うむ、便利なのじゃ!して、子らよ。ワシに何が聞きたい?」
航と平介は見つめ合って頷いた。
「森羅万象を作ったスプリングの人たちは今どこに?」
「うむ。異世界の狭間に封印されておるわ。どうやらこの世界の者がスプリングに紛れ込んでいたようでな」
「それって異世界転生ってことですか?」
平介が興奮気味に尋ねる。妖狐は頷いた。
「あぁ。簡単に言えばそうなるな。だが、その者は因果をも運んでしまった」
「因果…」
「お前たちにとっては災厄だ」
「そんな…」
妖狐が笑う。
「大丈夫。まだ誰も傷付いていない。その前にこの世界を救えばいいのだから」
「世界を救うって、この世界を支配するやつとか見たことないんですけど」
航の言葉に妖狐は表情を暗くした。
「今はな。だが、その時は確実に来る。避けられない運命じゃ。だがお前たちならきっと大丈夫。ワシは信じておる!」
妖狐の笑みが貼りつけられたもののように感じられて、航は胸がざわついた。
「はぁ…」
航と平介の前に置かれたのは抹茶だ。お茶請けの菓子もある。間違いなくようかんだ。
航は目の前で茶を点てているヒトを見つめた。頭からは耳が生え、9本の尻尾がゆらゆらと揺れている。体つきからして女性だろう。
「あの…」
「む、もしや、煎餅が良かったか?」
見当違いな言葉に航はいやいや、と首を横に振った。まずは自己紹介をしようと航はここで閃いていた。
「えーと…俺はワタルです。この子は」
「クランニです」
「うむ、そう言えば名前を名乗るのを忘れておった。ワシは妖狐。好きなように呼ぶがいい」
どうも妖狐のペースが摑めない航である。意に反し声を上げたのは平介だった。
「あの、妖狐さんが神隠しの犯人ですか?」
「む?」
平介の言葉に航もびっくりしてしまった。
「ちょ、平介!いくらなんでも聞き方が!」
「だってそれ以外考えられないですし」
「まあそうだけど!!」
「あはははは!!」
2人のやりとりを聞いて、妖狐が笑い出す。航と平介はハッと彼女を見つめた。
「2人とも可愛いことだ。他の子もつい可愛くてな、一緒にお茶をしたかったんだよ」
「妖狐さん…それならあなたがこちらに来れば」
妖狐が悲しげに首を振る。
「ワシはそちらには行けぬ。2人にだから頼むのじゃが、定期的にワシとお茶をしてくれんか?」
「え?!」
「ワシはこの世界の変異に気が付いておる。ワシに分かることはなんでも話そう」
「妖狐さんが力を貸してくれる?!それなら心強いです!」
「俺もお茶を飲むくらいなら。ただ、抹茶みたいなちゃんとした作法はからっきしで…」
航の言葉に妖狐がからからと笑う。
「良いのじゃ!可愛い子らよ。これをお前たちにやろう」
「これは…糸?」
航と平介の指に糸が絡みついた。きゅ、と軽くだが締まる。
「絆の糸じゃ。ワシと連絡が取れるからな」
「わぁ!便利ですね!」
「うむ、便利なのじゃ!して、子らよ。ワシに何が聞きたい?」
航と平介は見つめ合って頷いた。
「森羅万象を作ったスプリングの人たちは今どこに?」
「うむ。異世界の狭間に封印されておるわ。どうやらこの世界の者がスプリングに紛れ込んでいたようでな」
「それって異世界転生ってことですか?」
平介が興奮気味に尋ねる。妖狐は頷いた。
「あぁ。簡単に言えばそうなるな。だが、その者は因果をも運んでしまった」
「因果…」
「お前たちにとっては災厄だ」
「そんな…」
妖狐が笑う。
「大丈夫。まだ誰も傷付いていない。その前にこの世界を救えばいいのだから」
「世界を救うって、この世界を支配するやつとか見たことないんですけど」
航の言葉に妖狐は表情を暗くした。
「今はな。だが、その時は確実に来る。避けられない運命じゃ。だがお前たちならきっと大丈夫。ワシは信じておる!」
妖狐の笑みが貼りつけられたもののように感じられて、航は胸がざわついた。
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