49 / 100
釣りの極意
しおりを挟む
航は店に入り、すっかり言い慣れてしまったこの言葉を発した。もちろん、「ここからここまでくれ」である。
現実世界ではまず無理な話だ。平介とエマ、ホームズにそれぞれ買ったばかりの竿を渡す。
「え、あたしたちの分まで買ってくれるの?」
「ありがとうございます!ワタルさん!」
「先輩、いつも買ってもらってありがとうございます」
「あぁ。皆装備したら湖に行こう。何が釣れるんだろうな?鯉か?確か鯉の洗いって美味いんだよな?」
「多分先輩は…いえ、楽しみですね」
平介が何か言いかけたが途中でやめた。航はずっと、皆と釣りがしたかったので、特に気に留めなかった。意気揚々と湖に向かう。そこには他の釣り人がいた。
「お、お兄ちゃんたちも釣り?いいねえ、若い女の子と一緒なんて」
釣り人の1人が話しかけてくる。
「ここは何が釣れるんですか?」
平介の問いに、釣り人は笑った。
「ここで釣りしてる連中は、皆、主狙いよ」
「ヌシ…ですか?魚ですよね?」
「もちろん。俺も何度かヌシがもうすぐ釣れるっていう場面に遭遇したけど、結局釣れなくて」
「それは釣りたいな」
航はワクワクしている。そのワクワクは平介にもよく分かったので、早速釣りを始めた。
「えー、なにこのウヨウヨしてるやつ」
エマが餌を見て青ざめている。もちろん生き餌だ。
「エマ、慎重にね」
「ひいい」
エマが悲鳴を上げながらなんとか餌をつける。
そして水面に向かって竿を垂らした。しばらくして、ぴくぴくと反応したのは平介の竿である。
平介は糸を巻き始めた。かなり重たい上に暴れているようだ。
「平介!大丈夫か?」
「大丈夫です。必ず釣り上げます」
平介が戦っている間に、エマの釣り竿もヒットを知らせる。
「エマ!糸を巻いて!早く!」
「分かった!」
エマが糸を巻き始める。そんなことをしている間にホームズの竿も当たりが来た。
「入れ食いだね!」
「本当だな!ホームズは釣りの経験があるのか?」
「うん、お父さんが釣り好きだったんだ」
「へー。道理で慣れてると思ったよ」
航の竿が揺れている。航は糸を巻き始めようとして出来なかった。余りにも重たいのである。
「い、一体何が食い付いたんだ?」
まだ針が引っかかっているのか、航の竿がしなっている。
「くそ、なんとか糸を巻かないと…」
その瞬間、水飛沫が飛んできた。ぐわあっと大きなナマズが顔を出してきたのである。航の竿の針はもう外れたようだ。
「あいつは?!」
「主だ!!アッシラーだ!!!」
現実世界ではまず無理な話だ。平介とエマ、ホームズにそれぞれ買ったばかりの竿を渡す。
「え、あたしたちの分まで買ってくれるの?」
「ありがとうございます!ワタルさん!」
「先輩、いつも買ってもらってありがとうございます」
「あぁ。皆装備したら湖に行こう。何が釣れるんだろうな?鯉か?確か鯉の洗いって美味いんだよな?」
「多分先輩は…いえ、楽しみですね」
平介が何か言いかけたが途中でやめた。航はずっと、皆と釣りがしたかったので、特に気に留めなかった。意気揚々と湖に向かう。そこには他の釣り人がいた。
「お、お兄ちゃんたちも釣り?いいねえ、若い女の子と一緒なんて」
釣り人の1人が話しかけてくる。
「ここは何が釣れるんですか?」
平介の問いに、釣り人は笑った。
「ここで釣りしてる連中は、皆、主狙いよ」
「ヌシ…ですか?魚ですよね?」
「もちろん。俺も何度かヌシがもうすぐ釣れるっていう場面に遭遇したけど、結局釣れなくて」
「それは釣りたいな」
航はワクワクしている。そのワクワクは平介にもよく分かったので、早速釣りを始めた。
「えー、なにこのウヨウヨしてるやつ」
エマが餌を見て青ざめている。もちろん生き餌だ。
「エマ、慎重にね」
「ひいい」
エマが悲鳴を上げながらなんとか餌をつける。
そして水面に向かって竿を垂らした。しばらくして、ぴくぴくと反応したのは平介の竿である。
平介は糸を巻き始めた。かなり重たい上に暴れているようだ。
「平介!大丈夫か?」
「大丈夫です。必ず釣り上げます」
平介が戦っている間に、エマの釣り竿もヒットを知らせる。
「エマ!糸を巻いて!早く!」
「分かった!」
エマが糸を巻き始める。そんなことをしている間にホームズの竿も当たりが来た。
「入れ食いだね!」
「本当だな!ホームズは釣りの経験があるのか?」
「うん、お父さんが釣り好きだったんだ」
「へー。道理で慣れてると思ったよ」
航の竿が揺れている。航は糸を巻き始めようとして出来なかった。余りにも重たいのである。
「い、一体何が食い付いたんだ?」
まだ針が引っかかっているのか、航の竿がしなっている。
「くそ、なんとか糸を巻かないと…」
その瞬間、水飛沫が飛んできた。ぐわあっと大きなナマズが顔を出してきたのである。航の竿の針はもう外れたようだ。
「あいつは?!」
「主だ!!アッシラーだ!!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる