レベル0の俺がレベル100のあいつに勝つ方法

はやしかわともえ

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釣りの極意

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航は店に入り、すっかり言い慣れてしまったこの言葉を発した。もちろん、「ここからここまでくれ」である。
現実世界ではまず無理な話だ。平介とエマ、ホームズにそれぞれ買ったばかりの竿を渡す。

「え、あたしたちの分まで買ってくれるの?」

「ありがとうございます!ワタルさん!」

「先輩、いつも買ってもらってありがとうございます」

「あぁ。皆装備したら湖に行こう。何が釣れるんだろうな?鯉か?確か鯉の洗いって美味いんだよな?」

「多分先輩は…いえ、楽しみですね」

平介が何か言いかけたが途中でやめた。航はずっと、皆と釣りがしたかったので、特に気に留めなかった。意気揚々と湖に向かう。そこには他の釣り人がいた。

「お、お兄ちゃんたちも釣り?いいねえ、若い女の子と一緒なんて」

釣り人の1人が話しかけてくる。

「ここは何が釣れるんですか?」

平介の問いに、釣り人は笑った。

「ここで釣りしてる連中は、皆、主狙いよ」

「ヌシ…ですか?魚ですよね?」

「もちろん。俺も何度かヌシがもうすぐ釣れるっていう場面に遭遇したけど、結局釣れなくて」

「それは釣りたいな」

航はワクワクしている。そのワクワクは平介にもよく分かったので、早速釣りを始めた。

「えー、なにこのウヨウヨしてるやつ」

エマが餌を見て青ざめている。もちろん生き餌だ。

「エマ、慎重にね」

「ひいい」

エマが悲鳴を上げながらなんとか餌をつける。
そして水面に向かって竿を垂らした。しばらくして、ぴくぴくと反応したのは平介の竿である。
平介は糸を巻き始めた。かなり重たい上に暴れているようだ。

「平介!大丈夫か?」

「大丈夫です。必ず釣り上げます」

平介が戦っている間に、エマの釣り竿もヒットを知らせる。

「エマ!糸を巻いて!早く!」

「分かった!」

エマが糸を巻き始める。そんなことをしている間にホームズの竿も当たりが来た。

「入れ食いだね!」

「本当だな!ホームズは釣りの経験があるのか?」

「うん、お父さんが釣り好きだったんだ」

「へー。道理で慣れてると思ったよ」

航の竿が揺れている。航は糸を巻き始めようとして出来なかった。余りにも重たいのである。

「い、一体何が食い付いたんだ?」

まだ針が引っかかっているのか、航の竿がしなっている。

「くそ、なんとか糸を巻かないと…」

その瞬間、水飛沫が飛んできた。ぐわあっと大きなナマズが顔を出してきたのである。航の竿の針はもう外れたようだ。

「あいつは?!」

「主だ!!アッシラーだ!!!」
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