レベル0の俺がレベル100のあいつに勝つ方法

はやしかわともえ

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ビシャールダンジョン

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クランニ(平介)はふわり、とダンジョン内に降り立っていた。

「アーツメイジ、光よ!アナリスタ、中を解析」

2体のモンスターが指示に従う。タイムも指示を出してほしかったらしい。クランニ(平介)にずずい、と近寄ってきた。

「タイム、ちょっと待っていて。アナリスタが先に解析をするからね」

タイムがしょんぼりした様子で下がっていく。

「主」

アナリスタが解析を終えたらしい。声を掛けてくる。

「何か分かった?」

「はい。この中はビシャールそのもの…のようです。長時間いた場合、奴に取り込まれる可能性があります」

「うーん、やっぱり。ありがとう、アナリスタ」

「はい」

平介は上に向かって叫んだ。

「先輩!皆さん!時間があまりありません!行きましょう!!」

「分かった!すぐ行く!!」

航たちが次々に降りてくる。平介はアナリスタの解析結果について皆に説明した。

「えぇ、つまりここってビシャールの体の中なのー?」

エマがげげ、と辺りを見渡す。

「そうなります。急ぎましょう」

一行は奥に向かった。

「口から入ったってことは出口って…」

「やめて、ワタルくん。あたしは突き破ってでも外に出るんだからね?」

エマの決意は固そうである。ビシャールの体内でありながらダンジョンでもあるここでもモンスターが湧いてくる。クレナイたちに揉まれたのが良かったのかそこまで苦戦しなかった。

「あ!またあの石像!」

エマが指を差す。そこには見覚えのある石像があった。

「あたし、謎解きとかさっぱりなのよね」

「エマはなんでも力ずくだもんね」

「もー!ホームズ!余計なこと言わないの!」

むう、とエマが膨れる。それで一行の雰囲気が少し和らぐ。エマの存在はこのパーティでかなり大きい。

「とりあえず石像にヒントがあるはずですよ」

クランニ(平介)は石像に近付いた。文字が刻まれているので読み上げる。

「光を当てよ」

「なんだそりゃ?光なんてここには…あ」

航が何かを拾い上げる。それは手鏡だった。

「これでアーツメイジの光を当てればいいんじゃないのか?」

「やってみましょう」

平介がアーツメイジに指示を出し、光を鏡に向かって放出させた。それを航が上手く操って像の持つ宝珠に鏡から反射された光を当てる。

その瞬間、奥からモンスターが現れた。剣と盾をもったリザードマンが2体。鎧を着込んでおり、なかなか強力そうだ。

「2段構えか…」

平介が悔しそうに言う。

「平介、ここは任せろ」

「任せます」

「俺もやる」

航とホムラが剣を抜く。
リザードマンの素早い動きに皆が翻弄される。じわじわと体力を削るが、時間稼ぎをされているとしか思えない。ビシャールはダンジョンに入って来た者を取り込みさえできればいいのだ。
時間さえ経てば戦わずして、エネルギーを自動で取り込むことが出来る。

「強いな」

「やな感じだよね」

航の言葉にエマが頷く。

「ワタルさん、エマ、僕がやる」

ホームズが詠唱を始める。

「僕たちを足止めなんて出来ないことを証明する!行けっ!ギガフレア!!!」

リザードマンらが一撃で倒れる。

「さぁ、時間はないんだ!先に進もう!」

ホームズの呼びかけに一行は先を急いだ。
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