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期末試験
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(緊張する…)
俺は今、講義室の前にいる。
今日から一週間、期末試験だ。これが終われば長い夏休みに入る。
でも、瑠馬先生のゼミは休み中もあるから気は抜けない。
(どうやら研究というものに休みはないようだ)
ガッツリ課題のレポートも出ている。
やれやれ、夏休みもなんだか忙しそうだな。
周りの生徒もテキストや授業で取ったノートを改めて見直したり、こちらにも緊張が伝わってくる。
(皆緊張してるのは一緒か)
俺は一度深呼吸をした。
今回の試験に向けて、俺はかなり勉強したつもりだ。
だってそうじゃなきゃ瑠馬先生を始め、講義をしてくれた先生方を裏切ることになってしまう。
分からない問題や疑問にはしっかり答えてくれる先生達だ。
俺がちゃんと理解できているか、ここで試すんだ。
(頑張ろ)
時間が来て試験は始まった。
✣✣✣
「ぐぁー!試験疲れたー!」
「俺も疲れたよ」
瑠馬先生の研究室に向かおうとしていたら裕太が来たので一緒に行くことにした。
「あ、そうだ」
俺は背中に背負っていたリュックを下ろして中からあるものを取り出した。
「はい、遅くなったけど、誕生日プレゼント」
「わー!うまかぼーじゃん!!
やべ!チョコレートもある!贅沢!ありがとうなー!」
「いえいえ」
裕太に渡したのは駄菓子の大袋だ。
ディスカウントショップで山盛りに積まれて売られているやつである。
「妹さん、なんかしてくれたのか?」
裕太が照れたように笑う。
こりゃあなにかあったな。
「それがさ、いきなり二人で出かけようって言われて、映画を見たんだ。俺が前に見たいって言ってたやつでさ」
「なんか妹っていいな。家は姉ちゃんだから」
「え?いいじゃん、お姉さん」
裕太は何も分っていない。
俺は姉ちゃんの顔を思い出した。
優しい時もあるけど、大抵怒られている気がするぞ。
「失礼しまーす」
いつの間にか研究室に着いていた。
「やぁやぁ、二人共!
試験お疲れ様だね!」
瑠馬先生はコーヒーを飲んでいたようだ。仕事が一段落付いたのかな?
「先生もお疲れ様です!」
裕太が元気に返事している。
「うん、元気そうで何よりだよ。そうそう、二人に夏休みのゼミ日程を渡しておくね」
「ありがとうございます」
瑠馬先生がプリントを渡してくれた。俺達は各自それを眺める。
(思っていたよりゼミの日程は少ないな…でも)
研究は夏休み中に完了するように動くという内容が書かれている。
つまり。
「各々で手分けして調べなきゃってことですか?」
「さすがたっくん、よく分かってるね。君達にはいろは唄の基本を押さえてほしいんだよ」
「わー、拓哉。よろしくな!」
「うん、こちらこそ」
俺達は拳をぶつけ合った。
基本であればそう難しい話じゃない。
「うんうん、仲が良くて何よりだよ。そうだ、コーヒー飲むかい?」
「あ!俺、次の時限試験なんでそろそろ行かないと!失礼します!!」
あ、と言う間に裕太は走って行ってしまった。
「ふむ。裕太くんは言語専攻だったね。たっくんは?」
「俺は午後からです」
瑠馬先生が目を輝かせた。
こんな時は何かある。
「たっくんに相談なんだけど、夏休み、一緒に旅行に行かないかい?
取材で行きたい場所があるんだ」
「一緒に行っていいんですか?」
「うん」
瑠馬先生に耳元で囁かれる。
「きっと楽しいよ」
それにどきりとした。
瑠馬先生はやっぱりかっこいい。
「たっくん、僕は君が好きだ。
だから無理はしないでね」
「はい。気を付けます」
俺は研究室を後にして学習室に向かった。今日はいつもより生徒の数が多い。俺は隅の席に座った。
午後の試験も頑張るぞ。
俺は今、講義室の前にいる。
今日から一週間、期末試験だ。これが終われば長い夏休みに入る。
でも、瑠馬先生のゼミは休み中もあるから気は抜けない。
(どうやら研究というものに休みはないようだ)
ガッツリ課題のレポートも出ている。
やれやれ、夏休みもなんだか忙しそうだな。
周りの生徒もテキストや授業で取ったノートを改めて見直したり、こちらにも緊張が伝わってくる。
(皆緊張してるのは一緒か)
俺は一度深呼吸をした。
今回の試験に向けて、俺はかなり勉強したつもりだ。
だってそうじゃなきゃ瑠馬先生を始め、講義をしてくれた先生方を裏切ることになってしまう。
分からない問題や疑問にはしっかり答えてくれる先生達だ。
俺がちゃんと理解できているか、ここで試すんだ。
(頑張ろ)
時間が来て試験は始まった。
✣✣✣
「ぐぁー!試験疲れたー!」
「俺も疲れたよ」
瑠馬先生の研究室に向かおうとしていたら裕太が来たので一緒に行くことにした。
「あ、そうだ」
俺は背中に背負っていたリュックを下ろして中からあるものを取り出した。
「はい、遅くなったけど、誕生日プレゼント」
「わー!うまかぼーじゃん!!
やべ!チョコレートもある!贅沢!ありがとうなー!」
「いえいえ」
裕太に渡したのは駄菓子の大袋だ。
ディスカウントショップで山盛りに積まれて売られているやつである。
「妹さん、なんかしてくれたのか?」
裕太が照れたように笑う。
こりゃあなにかあったな。
「それがさ、いきなり二人で出かけようって言われて、映画を見たんだ。俺が前に見たいって言ってたやつでさ」
「なんか妹っていいな。家は姉ちゃんだから」
「え?いいじゃん、お姉さん」
裕太は何も分っていない。
俺は姉ちゃんの顔を思い出した。
優しい時もあるけど、大抵怒られている気がするぞ。
「失礼しまーす」
いつの間にか研究室に着いていた。
「やぁやぁ、二人共!
試験お疲れ様だね!」
瑠馬先生はコーヒーを飲んでいたようだ。仕事が一段落付いたのかな?
「先生もお疲れ様です!」
裕太が元気に返事している。
「うん、元気そうで何よりだよ。そうそう、二人に夏休みのゼミ日程を渡しておくね」
「ありがとうございます」
瑠馬先生がプリントを渡してくれた。俺達は各自それを眺める。
(思っていたよりゼミの日程は少ないな…でも)
研究は夏休み中に完了するように動くという内容が書かれている。
つまり。
「各々で手分けして調べなきゃってことですか?」
「さすがたっくん、よく分かってるね。君達にはいろは唄の基本を押さえてほしいんだよ」
「わー、拓哉。よろしくな!」
「うん、こちらこそ」
俺達は拳をぶつけ合った。
基本であればそう難しい話じゃない。
「うんうん、仲が良くて何よりだよ。そうだ、コーヒー飲むかい?」
「あ!俺、次の時限試験なんでそろそろ行かないと!失礼します!!」
あ、と言う間に裕太は走って行ってしまった。
「ふむ。裕太くんは言語専攻だったね。たっくんは?」
「俺は午後からです」
瑠馬先生が目を輝かせた。
こんな時は何かある。
「たっくんに相談なんだけど、夏休み、一緒に旅行に行かないかい?
取材で行きたい場所があるんだ」
「一緒に行っていいんですか?」
「うん」
瑠馬先生に耳元で囁かれる。
「きっと楽しいよ」
それにどきりとした。
瑠馬先生はやっぱりかっこいい。
「たっくん、僕は君が好きだ。
だから無理はしないでね」
「はい。気を付けます」
俺は研究室を後にして学習室に向かった。今日はいつもより生徒の数が多い。俺は隅の席に座った。
午後の試験も頑張るぞ。
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