陰キャ(♂)ですが伯爵令嬢やってます!

はやしかわともえ

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シャオリィと魔力

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「シリウスさま!」

シャオリィが向こうで手を振っている。シリウスも振り返した。

「全然太っていないじゃないか」

シリウスの言葉にシャオリィは顔を赤くした。

「ダイエットしたんです。シリウスさまのこと押し潰したりしたら大変でしょう?」

シャオリィはやはりシャオリィである。シリウスはシャオリィを抱き締めていた。手紙だけではやはり物足りない。

「シリウスさま?」

「俺はシャオリィがいなきゃ無理だ」

「ふふ、俺もです」

2人はそっと触れるだけのキスをした。お互いが欲しいと思ったが、こんなところでいちゃつくわけにはいかない。2人は手を繋いで歩き出した。

「シャオリィ、喫茶店にでも入ろうか」

「はい」

2人が入った喫茶店はシリウスの通い慣れた店だった。少し薄暗くゆったりした音楽が流れている。ここでコーヒーを飲みながら読書をするのがシリウスの日常らしい。やって来た店員にシリウスは飲み物を注文した。

「シャオリィ、体調は大丈夫なのか?」

「はい。実は研究の延長でお薬を飲み続けることになったんです。意識を失うことも少なくなりました」

「よかった」

シリウスは心の底からホッとした。

「でもシリウスさまや兄様たちに会いたくて泣いちゃったりして」

シャオリィが恥ずかしそうに言う。その表情が可愛らしい。

「シャオリィ、大丈夫だよ。もう離ればなれにはならないからな」

「はい」

店員が頼んだ軽食と飲み物を運んできた。シリウスはコーヒー、シャオリィはココアだ。軽食はミックスサンドイッチである。2人はいただきますをして食べ始めた。

「で、結婚式のことなんだけど」

シャオリィがハッとなった。時は確実に過ぎ去っている。結婚式までもう間もない。

「シャオリィの衣装を決めたりしなきゃいけないんだ。あと、引っ越しもしなきゃだろ?」

シャオリィは頷いた。

「俺、頑張ります」

「シャオリィ、お前は十分頑張ってる。治験だって本当はすごく辛かったんじゃないか?」

シャオリィは困ったように俯いた。シリウスに隠し事は出来ない、そう思ったのだ。

「リィ」

シリウスが向かいから身を乗り出しシャオリィの胸に拳で触れた。

「無理はしない、そう約束してくれ」

「シリウスさま…」

シャオリィは涙を止めることが出来なかった。

「リィ、大丈夫だ。俺がいるよ」

「シリウスさま…ありがとうございます」

シリウスの優しさにシャオリィの心は温かくなった。この人となら夫婦としてもやっていける。そう確信できた。

「リィ、それで魔力のことなんだけど」

「…全然自覚ありませんでした」

シリウスは魔女から聞いた話をそのまま手紙に書いた。

「俺の母さんも魔力持ちだけど簡単な魔法なら使えるし」

「シリウスさまは?」

「いや、俺はからっきしだ」

「俺のうちは誰も魔力を持ってなくて」

魔力の有無は遺伝とは無関係だと実証されている。

「シャオリィ、このことは少し様子を見よう」

「そうですね」

シリウスは驚いた。シャオリィが眠らないことにだ。薬は確かに病気に効いているようだ。

「本当に眠らないんだな」

「はい。シリウスさまとずっとお話できて嬉しいんです」

「俺も嬉しいよ」

2人は笑い合った。
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