大丈夫だよ おばあちゃん

大丈夫だよ おばあちゃん

　七歳の時、交通事故が両親を奪った
私を引き取る時、おばあちゃんは、
お日様のような柔らかい笑顔で、
「大丈夫だよ」と言ってくれた。
おばあちゃんは、どんな時でも
「大丈夫だよ」と私に言い続けた。

　転校先では、すぐに、いじめられた。
暗い顔の私を見て、おばあちゃんが
「何かあったのかい」と聞いてきた。
おばあちゃんに言ってもしょうがないと思い、
「何もない」と答えた、おばあちゃんは、
お日様のように柔らかく笑いながら、
「雪ちゃんがひどいことされてたら、おばあちゃん嫌なの、雪ちゃんが学校で嫌なことされてたら、
おばあちゃんが、その子達の所に行って、
「雪ちゃんにひどいことしないでっ」て言って、
雪ちゃんを悪い子達から守るように、学校の先生達にお願いしてくるから、お願いだから、何か嫌な事があったらすぐにおばあちゃんに言ってちょうだい」と言ってくれた。
私はグズグズ泣きながら、いじめられている事を
話した。
おばあちゃんは、お日様のように柔らかく笑いながら「学校に行くのが嫌だったら、おばあちゃんの所に居ればいいんだからね」と言ってくれた。

翌日、私が教室に着くと、おばあちゃんが居て、
担任の56歳の先生と私をいじめている三人の男の子を正座で並べて、どこにそんな力があるのか、
四人の体のスレスレを竹刀で叩き、爆発のような音をさせながら、あのおばあちゃんとは思えない、
文字通り、鬼のような顔で、怒鳴り散らしていた
「忘れるなよっっっ、
雪ちゃんにひどい事したらなあっっ、
竹刀で全身ぶち抜いたるからなっっっっっ、
お前らの近所中と親の仕事場に行って、
「この家の子はいじめをする卑怯な子で、親はそれが駄目だと教えられません」って言いまくって、
お前らとお前らの親に死ぬ程、恥かかしたる、
ちょっとでもひどい事したら、すぐやるからな。
おいっ糞じじい、脚崩すなっっ、そもそもお前が
しっかりしときゃあ、雪ちゃんはこんな泣き虫の弱虫共にいじめられずに済んだんだろうがぁぁぁぁ、
ちゃんと見とけやあぁぁぁぁぁぁ
知らなかったなんて嘘の言い訳、通すか、
教育の仕事してるもんが、子供の前で、平気で嘘ついて、お前に教師の資格なんかないわ、すぐ辞めて
自分の冷や汗でも舐めてろっっっっっ」
そこまで一息に言うと、教室に居るみんなの方を向いた、その時私と目が合って
「大丈夫だよ、雪ちゃん」と
いつものお日様のような柔らかい笑顔で、言ってくれた。
「みんな雪ちゃんのおばあちゃんは怖いと思うかもしれないけど、それは悪い子にだけだからね、
雪ちゃんはとっても良い子だから、みんな遊んであげてね、それと、いじめられている子が居たら、
見てるだけじゃ駄目よ、いじめっ子なんて三人だけじゃない、みんなで力を合わせれば、簡単にやっつけられるわよ」みんなにいつもの笑顔でそう言って
おばあちゃんは校長室に向かった、
校長はいじめ防止に異様に力を入れるようになった。