兄が届けてくれたのは

くすのき伶

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タカさんと、何があったんですか?

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「ああ、いや。なんか照れます。あの……話したかったら、どんなことでも話してください。僕は全部聞きたいので」

「じゃあお言葉に甘えて。タカ君には言ってないんだけどね、タカ君は……」

「タカさん、どうしたんですか?」

「うん。タカ君はさ、私を気にかけてくれたけど、私はタカ君の話を聞いてあげることはできなかったの。いろいろあって。それでね、たまに思うんだよね。……タカ君はさ、どうやって乗り越えたのかなって」

「兄の死を、ってことですか」

「あ、乗り越えるとは違うな。受け止めた……っていうのかな。私は、タカ君が気にかけてくれて話も聞いてくれてた。でも、タカ君はそういう人いたのかなって。辛さを吐き出せる人がいたのかなって。タカ君はいつも俺はいーんだよって自分のことあとまわしにしてたから」

「……」

「私はタカ君はたぶん、ギリギリのところにいる気がするんだよね。本人には言ってないけど……実は心配してる」

「ギリギリのところ……」

「うん。ヒロから前に言われたことがあって、私もそう思ってることがあるの。タカ君みたいな人が一番危ういってこと。いつもニコニコしてて、優しくて、気にかけてくれて。自分の感情を滅多に吐き出さない人。時間が癒やしてくれたり、誰かそういう人がいたならいいんだけど。それか、タカ君自身の心の状態が大丈夫ならいいの。でも……それは私の役目だったんだよ」

「何か……あったんですか?」

言葉を選んで

「……私は、だめだったの」

「……え?」

「私がいけないんだけど」

「……サエさん」

「……」

「サエさん、何があったんですか?」

「私、たぶんハルさんに任せたいのかもしれない。ごめん。あのね、」

その瞬間、サエのスマホの振動がテーブルを鳴らした。

「あれ、タカ君から電話だ。すごいタイミング」

「あ、どうぞ、どうぞ、出てください」

ありがとう、と言ってサエが電話に出る。

「もしもし。うん、大丈夫だよ。どうしたの?」

ハルが食べかけのアップルパイを食べる。

「今ね、すごいタイミング。ハル君といるの。……もしもし?聞いてる?」

電話口のタカの反応を察したハルは、通話中のサエに、トイレに行ってきますと合図を送り席をたった。

なぜだか気まずか感じてしまい、その場にいたくなくなった。

数分後、先に戻るとサエはタカとの通話を終えていた。



「あ、ハル君、おかえり。噂をすればって感じのタイミングだったね。びっくりした」

「ほんとですね。電話ってことは急用とかですか?」

「あ、ううん。世間話みたいなことだよ。大丈夫」

「そうですか」

ハルは、サエが電話の直前言いかけたことが気になっていた。

さっき言いかけたことは何ですか?と聞こうと息をすった瞬間、サエが言う。

「ところでハル君、ケーキを食べてるってことは……甘いもの好きだったりする?」

「えっ、あ、はい。好きです」

「よかった。あ、あのね、嫌だったら素直に断ってね!ハル君にケーキ作ってもいい?」

「え!僕に?ですか?」

「うん、そう!」

「いいんですか。ぜひ!嬉しいです」

「嫌です、なんて言えないよね。こんな聞き方してごめん笑」

サエがあははっと笑いながら言った。

「いやいや、食べたい。食べたいです!」

「あはは、ありがとう。タカ君とこの前このこと話しててね、ハル君に作ってあげたら喜ぶんじゃない?って言ってくれて。ごめんね私、まに受けてます」

「嬉しいです。喜んでます」

「あはは!優しいな~、でもヒロにしたみたいに無理やり沢山作ることはしないから安心してね」

「あはは。分かりました」

「苦手なケーキはある?」

「ないです。甘いもので苦手なのないです」

「了解。タカ君も誘って3人で食べようよ」

「あ、はい。是非」

ハルは笑顔で頷いた。
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