自由を求めて僕らは

RyugaMaki

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駆け抜けた先2

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「!…時間稼ぎは上手くいったみたいだな」

カイはそう言って足を止めた。レンとコウの二人も同じく足を止める。三人の視線の先には手榴弾の煙が消えかけ、状況判断をしている兵士たちの姿。
こいつらを殺せば自由になれる。カイはもう一度決意を改めた。

「お前たち!そこで何をしている!」
兵士たちが三人の姿を確認し、銃口を向ける。カイは被っているパーカーのフードを深く被りなおした。そして手をひらひらとさせ、笑った。

「どーもクソ兵士さん。俺たちは今からお前らを殺して国の外に出る。そのためにここに来たんだよ。交代した兵士どもはもう殺した。あとはお前らだ」
「っ!撃てぇ!!殺せ!!反逆者は皆殺しだ!!」

兵士たちは一斉に発砲する。カイたちはそれを避け兵士たちに向かっていく。
コウがいち早く兵士たちにたどり着き、殴りかかる。兵士たちの視線がコウに向いた瞬間、カイたちも兵士に切りかかった。

兵士の数は先ほど戦った交代後の兵士の数に比べて少なかった。しかしこちらの方が腕の立つ兵士が多いようだった。三人とも苦戦している。

バァンッ!!

「っあ、!」
レンの足に一発の銃弾が掠った。そのままバランスを崩してしまう。その隙を兵士たちは見逃さない。レンにとどめを刺そうとする。

「レン!!!」
カイはとっさにレンに切りかかろうとしていた兵士に持っていたナイフを投げた。それと同時に兵士の気を少しでも逸らすためにレンの方へ走った。
カイが相手をしていた兵士はまだ残っている。その一人が撃った銃弾がカイの腕を掠めた。
「ッつ」

カイの投げたナイフが兵士に当たった。その兵士は怯み、周りの兵士たちはこちらに向かってくるカイをどうにかしようと狙いをカイに変更した。レンはその一瞬で体勢を立て直し、カイが兵士に殴り掛かった瞬間、ナイフを持ち直し兵士に切りかかる。

レンが相手をしていた兵士はすぐに片付いた。カイが兵士の気を引いてくれていたからだ。カイが兵士の気を引きレンが後ろからとどめを刺す。二人のチームワークはとても良い。ずっと一緒にいた相棒なだけあって、息はぴったりだった。

カイは数ヵ所傷を負ったが、大した傷にはなっていない。レンの足も、何とか大丈夫そうだ。

「カイ!後ろ!!」

カイがもともと相手をしていた兵士たちがカイに向けて剣を振り下ろす。一瞬出遅れたカイだったが、ギリギリでかわした。
「っあっぶな、」

レンのことで頭がいっぱいで、後回しにした自分の相手だった兵士の存在を忘れていた。すぐさま気持ちをリセットし、兵士たちに向き直る。

「…やっべ…」
兵士に向かって構えたところで、自分の手にナイフが握られていないことに気が付いた。レンを助けるために投げてしまったからだ。予備のナイフはあるが出している間に撃たれでもしたらひとたまりもない。拳銃はあるが精度が低いうえに弾数も残り少ない。カイは焦った。

ふとレンの姿が目に入る。カイはニヤッと笑った。そして拳銃を兵士に向けてそのまま兵士のいる方へ走り出した。

「!?」
予想外の行動に兵士たちは動揺する。そして距離を取ろうと後ろに下がる。しかしカイはすぐに距離を詰めてきた。その手には拳銃も持ってはいなかった。

「レン!!」
「ラジャー!!」

カイが叫ぶと、レンがカイに向かって何かを投げた。カイが受け取ったそれは、カイが先ほどレンを助けるために投げたナイフ。カイはナイフを掴んだそのままの勢いで兵士を次々と切った。レンもそれに加勢する。
不意を突かれた兵士たちは簡単に倒すことができた。最後の一人を倒し、二人は目を合わせ少し笑った。

コウの方を見ると、あと一人の相手をしているところだった。勝ちを確信し、カイは笑った。
「コウの加勢に行こう。まぁいらねぇと思うけど」
そう言ってコウのもとに走ったところで、コウは兵士にとどめを刺した。

「…勝ったな」
コウが嬉しそうにそう呟いた。カイはコウの目の前で足を止めると、拳をコウの胸辺りに当てた。

「あぁ、俺たちは自由になれるんだ…!」
「カイ、やったね…これで兄さんたちの夢が叶えられる」
「そうだな…早く門から外に出よう。兵士たちが異常に気付いてこっちに来るかもしれない」

カイは拳銃を拾い上げ、ホルダーにしまう。

「ここから無事出られてからが俺たちの勝利だ。早く行こう」
「うん!」
「おう」

三人は門に向かって走り出す。三人とも自分たちの勝ちを疑わなかった。希望に満ち溢れていた。それが間違いとも知らずに。



「っあ、ぐ、」

一発の銃声と共に耳に入って来たのは声。兵士を殺した時と同じ、とどめを刺された時の、人間の声。

「コウ!!!!!!!!」

レンの絶叫が聞こえた。振り向いた視界に映ったのは、倒れていくコウの姿。それがやけにスローモーションで見えた。
一瞬何が起こったのかわからなかった。しかしコウに駆け寄ろうとするレンの姿と、その向こうにいる数人の兵士の姿が視界に映った瞬間、全てを理解した。
コウがやられてしまった。殺されてしまった。
このままでは、三人とも死んでしまう。

「ああぁっ!!!」

カイは言葉にならない感情を声に出して叫び、ギリっと歯を食いしばった。そして、もう一度口を開いた。

「レン!!!!走れ!!!!」
「!っでも!コウが!!コウがぁ!!!」
レンはカイの顔を見る。その顔はぐしゃぐしゃで、見れたものじゃない。カイは揺らぎそうになる想いを振り切って叫んだ。

「約束しただろ!!!俺たちは、夢を叶えるんだよ!!絶対に!!俺たちだけでも!生きんだよ!!!走れ!!!このままじゃ三人とも死ぬぞ!!!それでもいいのか!!!!」

そしてカイは門の方へと振り返り、一人走り出した。最悪一人でも。そんな気持ちで。


「あああぁぁあああああああぁぁぁぁあ!!!!!」

後ろから泣き叫ぶ声と、こちらに走ってくる人の気配を感じた。レンだ。カイは大きく息を吸い込んだ。

「コウ!!!!絶対に夢を叶えて戻ってくるからな!!!約束だ!!!」

そのまま二人は門までたどり着き、門を開き、外へ出た。
国の外へ出た感動なんてものは微塵もなくて、ただひたすら、遠くへと走り続けた。




「はぁ、…はぁ…」

二人が足を止めたのはもうどれくらい時間が経ったかわからないくらいの頃で、もう兵士が追ってきている気配はなかった。
周りには何もなかった。カイはその場に崩れ落ちた。レンも同じように座り込む。

二人の頭の中に、さっき起こったことが鮮明に流れてくる。
受け止めきれない現実を、本当にこれが現実だと認識すると、カイは泣き叫び、レンはショックのあまり気を失った。

想像もしてなかった現実は、二人に容赦なく、襲い掛かっていった。
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