自由を求めて僕らは

RyugaMaki

文字の大きさ
9 / 19

カイの彼女

しおりを挟む
一方その頃、カイは自分の部屋である人物を待っていた。

「カイいる?」
「おう」

コンコンとノックして入ってきたのは、カイの彼女であるレナだった。

「どうしたの?話があるって」
「ちょっとな。まぁこっち」

カイは彼女を自分の座っているソファーに座らせた。カイはレナの方をあまり見なかった。ずっと、どこかに遠くを見つめていた。

「お前長々話すの嫌いだろ?だから内容だけ言うと…俺、国の外へ出ることにしたんだ」
「えっ…?」

バッと顔をこちらに向け、悲痛な顔をするレナ。カイは彼女と目を合わせることができなかった。
誤魔化すように、話を続けた。

「レンとコウの3人で行くんだ。俺達の、ジュン兄達の夢を叶えに行く。上手くいったら、必ずここに帰ってくる。…あいつらには言ってねぇけど、ここに帰ってきたら、兵士達をこの国から追い出す。俺達は自由になるんだ」
「でも、今までだってみんな…」

いつも気の強い彼女が嘘のようだった。涙目で、弱々しい声でカイに気持ちを訴えようとしていた。

「死ぬ気は全くない。…ただリスクは高いだろ?だから、話をしておきたかったんだ」
「………」

カイを見つめる彼女の瞳は、涙目ながらも何か強いものを感じられた。ただ、口を開こうとはしなかった。

「……あー…楽しかったよな、今まで。昔からお前は俺に突っかかって来てさ、何だこいつーって思ってたけど、お前が俺のことを好きって知って俺もお前が好きになってってさ」
「……」
「恋人っぽいこと全然できなかったけど、本当にお前とした他愛もない話が楽しかったよ。まぁ…こんな事言うのもなんだけど、お前と出会えて良かった」

カイは頭の中で、沢山の言葉を出しては繋げて、口から零した。
もう会うことがない訳ではない。それなのに、カイの口からは、最後のお別れのような言葉しか出てこなかった。
それは言葉に出さなくとも、カイがもう帰ってこないような、そんな雰囲気をお互い察しているようだった。

その2人を包む空気は、カイがいくら話そうとも、沈黙を避けられないようにした。


「……」
「…ねぇ、本当に国の外に行くの…?」
「…行くよ」
「なら、止めないよ」
「えっ……」

想像もしていなかった言葉を返され、カイは目を見開いた。

「だってカイ、昔から自分の決めたこと、変えたり諦めたりしない。今のカイ、絶対変わらない時のカイだから…。それに、いつかはカイが国の外へ行こうとするって、思ってた。私、カイの彼女でしょ?彼女が、彼氏のこと応援しなくてどうするの…。……私、待ってるよ…カイが、戻って、来るのっ…」

彼女は、この言葉を言うのにどれだけの言葉を飲み込んだのだろう。プルプルと身体を震わせ、歯を食いしばって、涙を必死に堪えているのがよくわかった。
そんな状態で必死にカイへ言葉を送る彼女は、とても綺麗だった。

「ありがとう…。ごめんな?…ごめん」
「謝んないで。…私、止めない。止めないよ…?でも、でも…生きて、…帰ってきて…」

レナの言いたい事は痛いほどにわかった。カイはギリッと歯を噛み締めた。

「…そのつもりではいる。でも、絶対じゃないことだけは、…わかって欲しい」

カイには裏切るかもしれない約束はできなかった。その代わりに、彼女を強く抱き締める。いや、抱きしめたかったのだ。
カイの中には、レナを置いていきたくない気持ちと、自分の決意が渦巻いていた。


あともう一つ。ずっとカイが悩んでいたこと_____…。



「…カイ、…泣いてるの?」
「っ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処理中です...