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8.ケイスラン迷宮の覇者
しおりを挟む『そうか。地球の転生者なのか……。』ロディアスはそう呟いた。
「何か知ってることでもあるの?私、湊っていう男の子と大河っていう男の子を探しているのだけど。」私がそうロディアスに言った。
ロディアスは驚いたように私を見つめ、寂しさを滲ませた深紅の瞳で私の瞳をじっと覗き込んだ。
『………いや、あの星の転生者が何度か来たことがあるんだが、そいつらの料理が美味いから思い出していただけだ。』とロディアスは何かを誤魔化すように言った。
ロディアスの漆黒の翼は震えて、ロディアスの瞳は知性と野性の狭間にある深い瞳をしている。
「何か知られたくないこともあるよね。」私はそうロディアスに言うと、ロディアスは何かハッとしたように私を見上げた。
『……なぎさ……。』ロディアスは嬉しそうな申し訳なさそうに私の名前を呼んだ。
「だから、私に地球言語を教えてね?」私がにっこりして言うと、『……………なかなか策士だな。』とロディアスは呆れたように言ったのだった。
こうして、私が地球からの転生者だと、ロディアスに教えた。
これが、後々大騒動に繋がるのだが、それはしばらく後のこと。
私は次の日、冒険者ギルドに行ってリクエストボードの前で依頼を見ていた。
私は昨日、冒険者登録したばかりだったので、Fランクからのスタートで、Fランクの場合、ランク的に1から2個上のランクであるE、Dランクの依頼しか受けることが出来ず、そのランクの依頼は、全く手ごたえがない依頼ばかりなのだ。
私的には、さっさとランクを上げたいところだ。
Dランクの依頼を悩んだ末に、討伐系の依頼をすべてクエストボードから剥がして受付へ持って行った。
受付嬢は新人の私が持って来たクエストの量に目を白黒させている。その数ザッと十数枚。その数すべてが討伐系クエストだから仕方ないとは思うけど。
「本当に行かれるんですか?」受付嬢は私にそう聞いた。
「泣いて帰ってくるぜ。こんな量、一日じゃ出来っこねぇからなぁ。」男の一人がそう私を見て大声で言った。どうやら昨日いなかった人らしい。
「あなた、誰?」私は、興味はなかったが、そう聞いた。
「聞いて驚け!俺はBランク冒険者のギィ・クルアーだ!!」とその男ギィはその場の人達に知らしめるように叫んだ。
その場には「あの?」とか「まじか。」などの驚きの声を上げている。
「知らないわ、そんな人。」私はそう言って、私は依頼に行こうとした。
「この俺を知らない、だと?」そうギィは言って私の前に立ちはだかった。
「ええ、知らないわ。私、常識に疎くて。」そう私は言った。
そして、その場を後にした。
依頼を達成するために、私はケイスラン迷宮に来ていた。すべての依頼がケイスラン迷宮の依頼だったからだった。
ちゃんと私の肩には、ロディアスの姿もある。
『ここは、新人でも楽な迷宮だといったな?』ロディアスは私に確認するように聞いてくる。
そう、このケイスラン迷宮は、FランクやEランク最高でもDランクの魔物モンスターしか出てこないらしい。
「ええ。最高でもDランクの魔物モンスターしか出てこないらしいの。はぐれ個体が多いらしいわ。」私がそう言うと、『はて、AランクもしくはBランクほどの実力を持つ個体がいる気配がするのだが。』と首をかしげて、呟いた。
「嘘でしょう?ここは新人も多くいるのよ?」私がそう言うと、『まだ、奥にいる。あまり動いていないな。』とロディアスは私に言った。
「どうしてかしら。」私が首をかしげると、通路の向こう側から数十ほどのゴブリンがやってきた。
ゴブリンはFランクの魔物モンスターで、村人でもくわ一つで倒すことができる魔物モンスターだ。だが、その魔物モンスターが数十匹も集まると、その脅威は、数ランクほど跳ね上がり、Cランクの脅威となるのだ。新人の冒険者では、太刀打ち出来ず、ゴブリンの群れを見つけるとすぐに逃げ出したのだろう。
『ゴブリンか。つまらないな。』ロディアスはつまらなさそうに呟くと、翼を広げて翼で風を巻き起こした。
そしてロディアスは、その風を利用し、風の刃を作るとすべてのゴブリンの頭を跳ね飛ばした。
ゴブリンの首から血が吹き出し、あたりを真っ赤な血の海へと変えた。
ゴブリンは自分に何が起こったかも分からずに死んだだろう、素早い攻撃だった。
私はナイフを使ってゴブリンの耳を切り落とし、アイテムボックスの中に入れた。
『討伐部位か。俺も手伝おう。』ロディアスはそう言って、再び風の刃を作って、すべてのゴブリンの耳を切り落とした。おかげで私は、ゴブリンの耳を拾うだけで済みそうだ。
これで、依頼の一つは終了した。
他の依頼には、コボルトやらオークやらスライムやらがいたりするけど、探索しながら、探していくことにした。
……全然、魔物モンスターが出てきません。
ゴブリンの襲撃から早、1時間ほど経っているけど全くと言っていいほど魔物モンスターが出てこない。
たくさんいるらしい、スライムさえも出てこないのである。
「ロディアス、なんでこんなに魔物モンスターがいないの?」私がロディアスに聞くと、『ん?気づいていなかったのか?入ってからAランクもしくはBランクの魔物の気配がすると言っただろう?だんだん、そちらへ近づいているのだ。雑魚の魔物どもは俺たちとは、逆の方向へと逃げているのだ。だから、魔物に遭遇しないのだろう。』とロディアスは私に言った。
「は、はやく言ってよ!!」私はロディアスにそう叫ぶように言った。
まわりには、ぽつりぽつりといつもある魔物モンスターの姿が、どこにもないことに困惑している冒険者たちが見える。
私はそっと奥に目を向けた。
ーーーギシャァァァァ!!
そう鳴き声が聞こえたかと思うと、奥からヌッと巨大な蛇のような魔物が現れた。
『ッ!!ナーガの劣化種だッ!!数百年ほど前に絶滅したと思っていたが、冬眠して生き残っていた奴がいやがった。なぎさ、周りの人間どもに逃げるように言え!!』ロディアスは少し興奮したように、翼をバタバタさせて言った。
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