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11.赫羅の襲撃
しおりを挟む私がBランクになって、数週間がたった。
Bランクになってから、私は依頼を一回も行っていない。
ナーガの劣化種の特別報酬を大量に貰ったし、服や日用品を買いに行きたかったからだ。
その他にも、ほとぼりが冷めるまで待っている、という面もある。
そして、もう一つ。
食事のこともあった。
この世界の食事は、美味しいのだが、味付けがシンプルで、日本の料理を知っている私としては、あとひと味と思う場面が多々あった。
ただ、醤油や味噌、何といっても米が無かった。
仕方なく、西洋料理を作って我慢している。
ロディアスに言わせれば、王族と貴族にも味わえない贅沢らしいけど。
今日は、ロディアスに近くの綺麗な川で魚を取ってきて貰い、捌いて、ムニエルにして食べた。
その時、ロディアスが不意に窓へと顔を向け、遠くをジッと見つめた。
「どうしたの?」私はロディアスの行動を不思議に思い、声をかける。
『……赫羅の気配を感じる。それも、大量に。群れているようだ。』ロディアスは、表情のわかりにくい竜の顔を、険しく変化させて、私に言った。
「……赫羅が群れるなんて、聞いたことないわ。本当に群れるの?」私は、半信半疑でロディアスに聞く。
『嗚呼、群れる。ただ、数百年に一度だけだがな。数百年周期でかなり強力な個体が生まれ、赫羅を統率するのだ。生まれた強力な個体の赫羅は、女王赫羅や王赫羅と呼ばれる。その周期によって、雌雄が変化するため、纏めて王族赫羅と呼ばれるのだ。』ロディアスはそう教えてくれた。
「距離を教えて欲しいわ。どれぐらいの日数でつくかしら?」私も表情を険しくして、ロディアスへ問う。
『そうだな。距離は42キロメートル以上。今のスピードでいけば、夜にはこの街へ着く。人間どもがこの街に逃げ込んでいるから、夜になる前に休んで次の日から進み出すのだろう。かなり、人間くさいやり方をするものだな。』ロディアスはそう考察も交えて教えてくれた。
もう、ギルドには緊急討伐依頼は出ているかもしれない。
「ロディアス、ギルドへ行きましょう。このまま、人が死ぬのは許さないわ。」私がそう言うと、ロディアスは真面目な顔をして、頷いた。
ギルドへ行くと、次々と怪我人が運び込まれていた。
負傷者は、かなりいるらしく、死者もそれなりにいるようだった。
「ナギサ様。良いところにいらっしゃいました。緊急事態でしたので、お呼びしようと思っていたのです。赫羅の群れがーー」
「知ってるから、来たのよ。負傷者の手当てをした方がいい?それとも、明日に向けての作戦会議かしら?」私が受付嬢の言葉を遮って、受付嬢に指示を仰ぐ。
「それでしたら、会議室へご案内します。ギルドマスターや高ランク冒険者の皆様が明日に向けて、作戦を練っていますので、ナギサ様がいらっしゃったら、そこへご案内するように仰せつかっております。」私は、受付嬢の言葉に軽く頷くと、歩き出した受付嬢の後ろに付いて行き、会議室に入る。
会議室の中には、歴戦の勇士のような厳つい男や魔術師のようなローブを着た女がいる。
「やっと、この街にいる高ランク冒険者が全員揃ったようだな。しかも、最後に来たのは、新人さんかよ。」柄の悪い細身の男が言う。
見た目に反し、得物は、大剣のようだった。
「最後に来てごめんなさいね。代わりに、赫羅の群れに付いての情報を提供できるけれど?」私が言うと全員の目の色が変わった。
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