美しの王女と死の帝王

クイーン・ドラゴン@アヤメ

文字の大きさ
1 / 15
第1章 復活の帝王

プロローグ

しおりを挟む

血と肉と土のにおいが辺りに広がった戦場の跡地に血を撒き散らした骸の山の上で一人の漆黒の髪の男が立っていた。
体に返り血をべっとりと付けているその男の視線の先には、若く美しい黄金の髪の男がいた。その腰には長剣が帯剣してある。
黒髪の男は金髪の男を警戒した瞳で見る。
金髪の男は鞘から長剣を抜いた。それを見て黒髪の男も血に濡れた漆黒の刀と純白の刀を持った。
「覚悟しろ、『死の帝王』!」金髪の男はそう黒髪の男に叫び、突進してゆく。黒髪の男も無言で、金髪の男へと突進した。
剣と刀がガキィンと音を立ててぶつかりあった。弾いては、攻撃し、攻撃しては、弾かれるという攻防が続いた。
最初に膝をついたのは、黒髪の男だった。金髪の男が来る前に万の軍を蹴散らした黒髪の男も疲れには勝てなかったのだ。
「ぐッ…あ、はぁはぁ…」黒髪の男は肩で息をし、ちらりと金髪の男を見上げた。
「これで終わりだ、『死の帝王』。あの世で己の所業を悔やむがいい。」金髪の男はそう黒髪の男に言った。
「……これで、終われると思うなよ?」黒髪の男はそう言うと金髪の男に放射状の炎を吹きかけた。
 慌てた様に金髪の男は、それを避ける。その間に、黒髪の男はスゥっと立ち上がり、金髪の男を倒すために、刀を振り上げた。
疲れの見えた黒髪の男に遅れを取るほど金髪の男は弱くは無かった。だが、金髪の男が簡単に勝つことが出来るほど黒髪の男も疲れは無かったのだ。
 そこで、金髪の男は奥の手とも呼べる術を行使した。金髪の男は短く詠唱をすると右手を黒髪の男の前に突き出した。右手に溢れんばかりの光が集まっていく。
「な、なんだと?」黒髪の男はその術を知っているらしく、驚いたように叫んだ。
 金髪の男から発せられた光は優しく辺りを包み込んだ。光が終息すると辺りに散らばっていた骸は一つも無くなり、代わりに巨大な石柱に磔にされた黒髪の男が項垂れていた。金髪の男が先ほど使った術は封印と浄化の術だったのだ。
「…後悔…するな…よ?この…俺を封印…したのだ。この先…数百…年の…間、平和は続くかも…しれん。だが、いずれ…俺は…復活する。…その時代…俺に…対抗できる奴が…いると…いいな。」そう黒髪の男が言うと固く瞼を閉じた。

その後、金髪の男は黒髪の男が封印された土地に城を建て、王になった。この物語はそれから数百年後の話である。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

兄様達の愛が止まりません!

恋愛
五歳の時、私と兄は父の兄である叔父に助けられた。 そう、私達の両親がニ歳の時事故で亡くなった途端、親類に屋敷を乗っ取られて、離れに閉じ込められた。 屋敷に勤めてくれていた者達はほぼ全員解雇され、一部残された者が密かに私達を庇ってくれていたのだ。 やがて、領内や屋敷周辺に魔物や魔獣被害が出だし、私と兄、そして唯一の保護をしてくれた侍女のみとなり、死の危険性があると心配した者が叔父に助けを求めてくれた。 無事に保護された私達は、叔父が全力で守るからと連れ出し、養子にしてくれたのだ。 叔父の家には二人の兄がいた。 そこで、私は思い出したんだ。双子の兄が時折話していた不思議な話と、何故か自分に映像に流れて来た不思議な世界を、そして、私は…

処理中です...