竜は歌い、舞い降りる

クイーン・ドラゴン@アヤメ

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幼少期編

六話 

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私はシーアお兄ちゃんに精霊さんが見えることを言った。

な、なんでそんなに、驚いてるの?

あ、そういえば精霊さんは、選ばれないと姿を見ることはできないんだっけ。

「お、お嬢様は、精霊様に選ばれたのですか?」

シーアお兄ちゃんが聞いてくる。

えー、どうなんだろう。

「シルフィーネ、わたし、えらばれたの?」

困ったときの精霊さん頼みよろしく聞いてみた。

『べつに、そういうことじゃないわよ。精霊は選ばれた者にみえるんじゃないの。見える素質をもっていれば、誰にでも見えるのよ。ただ、見る素質がある者が極端に少ないの。私が知ってる限りでは…そうね、あなたのお母さまとティアマト様ぐらいよ。他にもいるんでしょうけど、私は興味がないから知らないわ。』

シルフィーネは答えてくれる。

そっかぁ。

私は選ばれたわけじゃないんだね。

「選ばれたんじゃないって。みえる素質がないと、みえないんだって。」

シーアお兄ちゃんにそう私は答えた。

「お嬢様は見える素質がおありなのですね。」

シーアお兄ちゃんはそう関心する。

「あのね、おかあさまも、ティアマト様もみえたんだって。」

私は、シーアお兄ちゃんが関心するのが嬉しくて、そう言った。

「王妃様も……?」

シーアお兄ちゃんは、心底驚いたように、呆然と呟いた。

びっくりすることを聞いて、信じられない、というように呆然と。

私は、不安になる。

なにか、言ってはいけないことを、言ってしまったのかもしれないと。

「シーアお兄ちゃん?………言っちゃ、だめだった?言わなかったことにしなきゃいけない?」

私は、シーアお兄ちゃんの金の瞳を覗き込んだ。

「いえ、べつに何でもないですよ。ご存命だった頃の王妃様を知っていますが、そんな素振りは一切見たことがなかったもので。王には、報告することになるとは、思いますがね。」

そうシーアお兄ちゃんは言った。

とりあえず、安心したな。

言っても大丈夫だったみたい。

「しんにゅう者のことがあるから、戻っておとうさまに知らせないと。シーアお兄ちゃんがいったん戻っておしえる?わたし、おとなしくしてるから。」

シーアお兄ちゃんに、言った。

金の瞳を一生懸命に見る。

『貴方の心配はいらないわ。私たちがちゃんと守っておくから。』

シルフィーネもそう言った。

「シルフィーネもわたしを守ってくれるって言ってる!!だから、シーアお兄ちゃんはもどって。」

私は、シーアお兄ちゃんにシルフィーネが言っていることを教えた。

「本当ですか、精霊様。」

シーアお兄ちゃんは、シルフィーネに聞いた。

とても真剣に。

『ええ、もちろんよ。私達にとってもこの子は宝だわ。この子を守る為には、この森は必要不可欠なの。侵入者を早く排除しなければ、この森は枯れてしまう。この子はまだ、この森に守られているの。森がなくなれば、この子を守れなくなるのよ!!だから、いきなさい。』

シルフィーネは、言った。

半分以上シルフィーネが言ってることは、分からないけれど、シルフィーネが必死なのは伝わった。

シルフィーネはシーアお兄ちゃんの頬を撫でる。

シーアお兄ちゃんは、頬を撫でたのが風だった。

だけど、不自然な風。

それをシーアお兄ちゃんは、是と受け取ったようだった。

「分かりました。お嬢様、絶対にここから動かないと約束できますね?」

シーアお兄ちゃんは、そう私に聞いてくる。

心配性だなあ。

私も命がおしいから、うごかないのに。

「うごかないよ、約束する!!」

私は頷きながら言った。

____グルルルルッ

何処からともなく、聞こえる獣の鳴き声。

『…遅かったみたいね。侵入者よ。』

シルフィーネ、それ本当?

「シーアお兄ちゃん、とりあえずここから、はなれよう!私も少しはとべるから!」

私は焦りながら、言った。

すごく、こわい。

助けて、お父様。
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