るくNote（るくのおと）

瑠紅のこと

瑠紅のこと⑦肝試し～紫の光の正体は？

　正月旅行は楽しかった。何年かぶりに訪れた旅館は広すぎて、風呂巡りにかなりの距離を歩く羽目になったが、それでもせっせと自然が作り出した野趣溢れる洞窟風呂に通った。館内にコンビニが出来ていたこと、食事がバイキング形式になっていたことには、時代の流れと共に合理性を感じた。この広大な施設を維持していくのは大変だと思うが、この先、何年も営業を続けて欲しい。
　初日の出も拝めたし、世界遺産に登録された地区内のご神体とされる滝には虹が架かっていたし、吉兆目白押しの旅だったが、ホントにいいことあるのかなあ？とマイナス思考の瑠紅は、沈み始めている。いかん、いかん。2月から新しい職場でスタートを切るというのに。下見に行ったときに見た、異動先の向かいにあるでっかいスーパーの品揃えが良かったので、職場で辛いことがあったらそこで発散しようと心に決めている。100均や洒落た飲食店もあるし、通勤電車の路線上には立ち寄るところも沢山あるし、「シティ派になっちゃうぞ！」って気分を上げたいところだが、「結局、面倒くさがって途中下車しないんだろうな……」なんて、考えに支配される。ホント、ネガティブな奴。でもこーいうのって、突き詰めると面白いかもと思って、マイナス思考のヒロインが出てくるお話を書き始めた。周りに瑠紅が理想とする世話焼きなイケメンを配したので、書いていて楽しい。きわどい描写もあり。ある程度、書き上がったらwebに投稿しようと思っている。アルファポリスかどうかは分からないけど、結局、面倒くさくてそこに落ち着くんだろうな。（←出ました！マイナス思考）求人広告、見て、楽しんでるしな。賃貸住宅の広告も見てる。どんなとこなんだろうな、なんて思いながら。
　で、話は戻って、今の職場は今月限りなので、思い切って職場の周りを探検してみた。記憶が定かではないのだが、1年ちょっとはいたはずで、でも、暑いとか寒いとか面倒くさいとかで、寄り道を一切していない。駅と職場の往復ばかりで、道中にある店に立ち寄ったことがないのだ。なので、目の前を横切る鉄道の高架の向こう側に行ったこともなかったのだが、この前、遂に行ってきた。夜、その先に青とマゼンタに近い紫の光が見えることがあり、何があるのか気になっていた。だが、時々、そっちに行く人に聞くと「何もありませんよ」との答え。でも、その夜も光が見えたので、その人が「見てきます」と言ってくれた。「一緒に行きます？」とも言ってくれたのだが、マイナスな発想なら幾らでも出来る瑠紅は怖かったので、断った。
　その翌日。その人が言うには、「青いライトがあって、赤いのと混ざって紫になるんですよ～」。何のことやら分からない。で、「一緒に行くんで行きましょう」といってくれたので、もう一人と三人で、夜、こわごわ肝試しに行ってきた。で、その正体は？やはりライトだった。
　その鉄道の高架下を通ってすぐのところに踏切があり、その際に二カ所、青いライトがつけられていて、踏切の警報器が鳴り、赤いライトが点滅すると、その二つの色が混ざってマゼンタがかった紫色になる。少し離れたところから見た方が、紫色が分かるので、そこを通る人間は逆に気がつかなかったらしい。何とも不思議な現象。でも、一体、何で青ライト？
　すぐに思い当たった。これ、飛び込み防止用だろ。以前、「街灯を青に変えたら犯罪が減った」というニュースを聞いたことがある。つまり、色々と思い止まって貰うために設置されたものなのだ。「ここ、以前飛び込みがあって、幽霊が出るところなんだ～」などと勝手に想像を膨らませて、キャアキャア言いながら帰ったが、踏切に青い照明をつけているところなんて初めてだったので、驚いた。これでもう、怖くない。でも、もう行くこともないだろう。新しい職場で、新しい仲間に恵まれるといいな。今の職場は、結構、楽しかった。色々とありがとう。