恋する心をさとってください!

梅村香子

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最終話



「ふみちゃん……」
「ん……?」
「ふみちゃんを全部、俺のものにしていい?」

(俺……全部、柊真のもの……?)

「そう。それで、俺は全部ふみちゃんのものだよ」
「っ……っぁ」

再び唇を奪われ、歯列をねっとりと舐められる。

(あ……舌、舌が……っ)

未知の感覚に身を固くすると、背中を撫でられながらソファに押し倒され、ぬるりと舌が口腔内へと入ってきた。
頬の裏の柔らかい粘膜から上顎の隅まで余す所なく舐め尽くされて、舌を絡め取られる。

「ん……っふぁ……」

尋史は夢中で義弟の背に腕を回した。
唾液があふれて、淫らな水音と互いを求める熱い吐息が周囲を満たす。

「キス、気持ちいいね……」

濡れた声に、ぞくぞくと背筋に劣情が這う。
腰の奥に熱が宿りはじめ、欲望と羞恥で言葉なんか紡ぐどころではない。
それなのに、恋の声は素直に柊真へと心の内を明かしてしまう。

(気持ちいい……もっとしたい……柊真の唇ほしい……キス、はやく……)

「あっ……いやだ……よ、よむな、だめっ」

恥じらいながら淫欲を吐露する義兄の初心ないやらしさに、柊真は身震いした。

「ふみちゃんの声、全部聞かせてよ。中も外も……一言も漏らさず聞きたい」
「と、とうま……ぁんっ」

噛みつくようにキスをされて、混ざり合った二人の唾液を口内でかき回された。
身体が熱い。
頭の中がとろけて、下肢がじんじんと熱情に脈打つ。
腰を柊真に擦りつけたくなるのを必死に我慢していると、伸びてきた手が器用にシャツを脱がしていく。

「ふみちゃんはどこもスベスベだね……気持ち良くて、一度触れたら離せなくなる」

肌を撫で擦られながら瞬く間に服をむかれて、下着一枚を残すのみとなった。

「きれい……ふみちゃん。きれいだよ。ずっと、ずっとこの体に触れるのを夢見てた」

柊真の大きくしなやかな手が首筋から鎖骨を辿り、胸の頂きを掠めて、腰を撫でる。

「ぁっ……ん……」
「ここ……膨らんでるね……グレーのパンツだから濡れてるのがよく分かる」
「や……っ!」

尋史の中心はゆるく勃ち上がり、すでに先走りの蜜を布に滲ませていた。
濡れた下着を指でつつかれ、尋史は両手で中心を隠して目尻を紅くした。

「隠さないで。ふみちゃんが気持ちよくなってる所、見たいよ」
「だ、だめだって……あぁっ」

手の隙間から下着をつかまれ、抵抗空しく足から引き抜かれた。
産まれたままの姿になった義兄を、柊真は隅々までうっとりと眺めた。
どれだけ、この身体を暴く妄想をして自らの欲望を慰めた事か。
それが現実のものとなり、快感に蕩けはじめた極上の身体が、柊真の目の前に横たわっている。
当然だが己の妄想は塵のようなものだった。
きゅっと男らしく締まりつつ柔らかい尋史の体は、どこに触れても心地良く。
きれいな絹肌は羞恥と快感で薔薇色に染まっている。
無駄なくついた筋肉は、義兄をより魅力的にしていて。
呼吸と共に上下する胸の尖りは劣情を静かに煽ってくる。

そして――。

柊真はごくりと生唾を飲み込む。
震えながら上を向くペニスは、鈴口をヒクつかせながら愛液を止めどなく流していた。

ああ――。

義兄の身体の、何と清廉でいやらしい事か。
己の中心が痛いほどに高ぶる。
柊真の中で淫欲と恍惚感がぐちゃぐちゃに混ざって、尋史の美しい身体を勢いのままに貪り尽くしたい衝動に襲われた。

「と、とうま……。恥ずかしいから、見続けるのはやめてくれ……」

夢中になって義兄に視線を這わせていると、尋史が蚊の鳴くような声で言った。

(俺だけ裸なのも、恥ずかしすぎる……)

「ごめん、ごめん。目の前に裸のふみちゃんがいるなんて、あまりの奇跡に感動してた」

柊真は尋史の右手を取って指先に口付けると、それを己の胸元に押しつけた。

「俺の服はふみちゃんが脱がせて……?」

尋史の指をシャツのボタンにいざないながら、柊真は微笑む。

「全部、はぎとっていいから」
「そ、それは無理……」

尋史はゆっくりと身を起こすと、上手く動かない手でシャツのボタンを外しはじめた。
自分でも毎日のようにしているのに、人のものになるだけで全く感覚が違ってくる。
舐めるような視線は、変わらず尋史の体を這っていて。
恥ずかしさに指が震えて、小さなボタンが全然外せない。
幼子のように手間取っているのに、柊真は無言でこちらを眺めているだけ。
意地悪な義弟だ。

「もう自分で脱いで。その方が早いから……」
「何で? 別に急いでないよ」

そう言って、優しく引き寄せられて唇が重なった。

「んっ……あぅ……ふぁ」

すぐに舌を吸われて、唾液を奪われる。
濃厚なキスと上半身を執拗になぞる愛撫に、ボタンから手が離れてしまう。

「だめだよ……ふみちゃん。ちゃんと脱がせてくれないと」

口付けの合間、唇に囁かれる。

(こんなキスされながら触られたら、何もできない……っ)

再びシャツに手を伸ばすが、ボタンに指が届かない。

「何もできなくなるの? ふみちゃんかわいい……」
「と、とうまぁ……っぁん」

キスと愛撫が気持ち良くて、腰をもぞつかせながら柊真の胸にすがりつく。

「しょうがないなぁ。じゃあ、一緒に脱がせてね」

その前に、と柊真がソファから立ち上がる。
背中と膝裏に腕を回され、素早く横抱きにされた。

「ベッドに行こう」
「えっ……わっ……!」

軽々と抱き上げられ、部屋の奥にあるベッドに下ろされる。
冷たいシーツの感触に体を震わせると、太腿を撫でられた。

「二人の体温で、すぐに熱くなるよ」

そう言って、柊真はシャツのボタンを一つ外した。

「ほら、ふみちゃんも」
義弟の胸元に手を伸ばせば、そのまま指が重なる。
四つの手で、ゆっくりと残りのボタンが外されていく。

「今度はふみちゃんからキスして?」
「ん……」

甘い声に誘われるがままに、唇を寄せた。
繰り返し啄まれて、身体がとろける心地になる。

(キス……好き……とうま……大好き……腰の奥、ジンジンする……)

脳内に響く魅惑的な声に、柊真は心を鷲掴みにされて握りつぶされそうな心地になった。
まだこれからだというのに。
心の声を聞きながら交わってしまったら、理性など一瞬で吹き飛んで、二度と身の内に戻って来ないのではないだろうか。
全てのボタンを外してシャツを脱ぐと、次はベルトのバックルに手をかけた。
急いでないと言いながら、義兄の身体を前に待てのできない犬になっている。

(……柊真の裸……格好いい……スタイルいいな……うらやましい)

「ふみちゃんこそ、きれいな体……。俺を誘ってる」

下着一枚になった柊真は、改めて尋史の手をとった。

「あと一枚」
「あ……」

逞しい下肢を包む黒い下着。
柊真の欲望はしっかりと勃ち上がって布を押し上げていた。
尋史の心に喜びが湧きあがる。
柊真も興奮してくれているのだと思うと、早く全てを見たくてたまらなくなる。
煽られる欲望の赴くまま、下着に指をかけて布をずり下ろす。
しかし、膨らんだ起立が引っかかって上手く脱がせられない。

「焦らしてる?」
「してない……っ」

少し力を強くして布を引くと、柊真の興奮した欲望が勢いよく目前に現れた。
己のものより随分と立派なそれに、顔が熱くなる。

(こんな……柊真の……大きすぎる……)

「ふみちゃん……っ」

一糸まとわぬ姿になった義兄弟の身体が隙間なく重なった。

「っあ……ん……」

尋史の鎖骨に唇が這い、首筋を舐め上げられる。

「ふみちゃん……ふみちゃん……」

うわごとのように名を呼ばれ、肩から胸をねっとりと舐めつくされる。

「これ、さくらんぼみたい……」
「やっ……ぅあぁ……」

淫らな水音を殊更大きく響かせながら、柊真が乳首を赤子のように貪りはじめた。
胸なんて性感帯として考えた事もないのに。
強く吸われる度に、自分の中心がヒクついて快感の蜜をこぼしているのが分かる。

「もう、吸うのやめ……っ」
「やめないよ。こんなに気持ちよさそうなのに……ほら、こんなになって」

柊真の指が、濡れそぼった尋史のペニスに絡んだ。

「っ! んぁっ……はぅぁ……とうまっ」

欲しがっていた刺激を与えらえて、腰に渦巻く快感が大きく膨らんだ。

(自分でさわるのと全然ちがうっ……きもちよすぎて……あ……乳首吸われながら、先っぽつつかれるのすきっ……!)

欲望を素直に告げる心の声に、柊真はいやらしく口角を上げた。
要望通りに、乳首を強く吸いながら鈴口を指でいじってやると、細い腰が跳ねあがった。
優しい丸みのカリ首を撫で擦り、裏筋を指の腹で強めに摩擦する。
収縮する鈴口のくぼみから絶え間なくあふれる愛蜜に促され、しごく手の動きがどんどん巧みになっていく。

「だ、だめっ……きもちいいの……きちゃって……ああっ」

自慰とは比べものにならない快感が放出を願って下肢に襲いかかる。
激しく擦られ、根本の膨らみを揉まれ、カリ首を甘く弄られて。

(どうしよ……こんなの、知らない……どんどんきて、とまらないっ)

「気持ちいいのがきちゃって、とまらないの?」
「……っ」

快感に翻弄されている心の中を声に出されて、今更ながら激しい羞恥が胸に広がる。
心の声は勝手に頭の中に入ってくる。
だから、覚に解いてもらわない限り、尋史の心の中は筒抜けだ。
分かっているけど。
こんな未曾有の快感にどっぷりと浸かる心を読まれ続けるなんて、気持ちがもちそうにない。

「とうま、おれ、心の中、むり……はずかしい……」
「こんなに腰、揺らしてるのに?」
「ひゃっ……」

ぎゅっと中心を握られ、腰が戦慄く。
柊真の手を愛蜜まみれにしながら、どうしようもなく甘い声が唇からもれて止まらない。
裏筋から亀頭をすべるように擦られ、絶頂に向けてしごき上げられる。

「んあっ、こするの、はげしっ……ああっでる、でるからっ……っ!」

全身を蕩かせている快感が腰の奥に集まって、爆発寸前まで膨れ上がる。

「とうまぁ……あ、あっ…ひぅ……んぁっ」
「そのまま、俺の名前呼びながら出して」

シーツに尻を擦りつけ腰を揺らめかせて。
頂きに向かい、鋭く欲望が駆け上がる。

「ぅぁ、っあ、あ、んああっ……とうま、とうまっ……とうまぁ……あ、んんっ!」

頭の中が真っ白になって、尋史は義弟の名を繰り返しながら白濁を勢いよく放った。

「いっぱい出たね……」

自分の手に伝う精液を見ながら、柊真は嬉しそうな顔をした。

「今度は、こっちも一緒に気持ち良くなろうか」
「え、あ……な、に……っ?」

両足に手をかけられ、そのまま体を丸めるように膝を胸に押しつけられる。

「やっ、これやだっ……! とうま、はなして……!」

尻を上にして、大きく腰と足を曲げたまま抱き寄せられ。
己の恥部が天井を向いて、全てが柊真のすぐ目下にさらされた。
白濁と先走りの蜜に濡れて艶めくペニスに、ヒクつく陰嚢。
桃色の柔らかな会陰はふるふると震えていて。

「ふみちゃんのここ……おいしそうだね」

大胆に開いた尻の谷間の奥に、きゅっと閉じられた紅梅色の後孔。
会陰と共に震えるそれに刻まれた皺の一つ一つを脳味噌に焼きつけながら、柊真は己の劣情を隠しもせずに凝視する。

「そんなとこ、じっくり見るなよ……へんたい……ぅっ」
「ふみちゃんとセックスするのに、紳士でいられるほうがおかしいよ」

柊真は、顔のすぐ側まで引き寄せた義兄の秘口に息を吹きかけた。

「あ、んん……っ」

自分でも見た事のない場所へ。
ふわりと撫でるような感触に、後孔が勝手にピクピクと収縮したのが分かった。
その全てを柊真に見られている。
ありえないほど恥ずかしくて、熱情など霧散してしまいそうなのに。

(……ひっくりかえって、柊真に恥ずかしいとこ差し出して……。もっと嫌だって思わないと。だって、こんな、こんなの……っ)

尋史は両手で顔を覆った。

「全然嫌じゃないでしょ? 恥ずかしい格好して興奮しちゃった?」

柊真の言葉を否定できない。
とんでもない体勢をさせられておきながら、己のペニスは再び頭をもたげているのだ。

「あ……ぅっ」

義弟の視線になぶられて、はしたない欲が見る間に勃ち上がっていく。
透明な愛蜜が鈴口からあふれ、長い糸を引きながら、ゆっくりと尋史の胸に滴り落ちた。

「……っふみちゃん、エロすぎ……っ」

柊真は我慢できずに、目の前で慎ましく収縮する後孔にむしゃぶりついた。

「んああっ……やめっ、そ、そんなとこ、っん、はっぅ」

じゅるじゅると派手な水音を立て、尻の狭間を舐めすすられる。
秘口の皺の数をかぞえるような舌の動きに、尋史はたまらず柊真の頭に手を伸ばして髪をかき乱した。
過ぎた羞恥と、それすらも気持ちいいと感じてしまう浅ましい己の身体。
そんな淫らな自分を全て食らい尽くそうとしてくる、愛しい、愛しい義弟――。

「と、とうま、あっ……し、舌が、ん、ああっ……」

舌先が、散々舐められてふやけた秘口にずるりと食いこむ。
唾液にまみれた皺が少しずつ伸びて、柊真の熱い舌を体内へといやらしく誘った。

「痛くない……?」
「あ、んんっ……いたくな、けど……っへんなかんじで……あ、んぁっ」

体内を舐められる初めての感覚に、脳内が沸騰しそうになる。

「ん、あ、っうぁ、んん……っ」

時間をかけて舌で解されて、未知の感触が徐々に甘いしびれに変わっていく。
くすぶる熱が腰の奥をじりじりと焼いて、もどかしい快感が下肢に広がる。
発散できない情欲に、尋史は頭をシーツに擦りつけながら何度も義弟の名を呼んだ。
秘口から垂れた柊真の唾液が会陰から陰嚢へと流れ、完全に勃起したペニスを伝う。
先端まで辿り着いたそれは、愛蜜と混ざり合い絡まりながら尋史の白い胸にこぼれ落ちていく。

(あ、どうしよ……奥が、奥がうずうずする)

「奥が? どこかな?」

当然のように心の声を聞いた柊真が歌うように問う。

「あ、ちがっ……ちがうからっ……ん、はぁ」

心の声を否定しても、柊真の愉悦が増すだけだ。
戦慄く尻たぶを一撫でされると、心地良い刺激にぬかるむ後孔に、探るように指が入ってきた。

「ん、あぅ……あ、あ、なかっ……んぁあ」

舌よりも奥を指であやされて、腰が大きく揺れる。
肉筒を拡げるようにゆっくりとかき回され、深く濃い快感に身体が支配されていく。

「ふみちゃんの中、柔らかくて熱くて……指が引き込まれる」

粘膜のうねりに合わせて、挿入される指が徐々に増やされる。

「や、あん……ぅあ、ゆびが……ん、あっ」

バラバラに動かされる指が淫らなぬかるみを擦り撫でて、前立腺を掠めた。
その途端に、尋史の下肢に火花が散る。

「んああっ、そこ、だめ、あ……やぁっ」
強烈な快感に、尻を柊真に差し出したまま身悶える。

「ここ……ふみちゃんのいいとこだね」

あまりにも鋭利な快楽に戸惑う尋史を無視して、柊真の指は前立腺を容赦なく攻め立てる。

「っだめ、とうま……こするの、ああ……はぁっあ、んっ」

淫欲のツボを押され続けて、尋史は口を閉じる事も忘れて喘いだ。
濡れたペニスは腰の動きに合わせて大胆に揺れている。

「ふみちゃん、指と口でもう一回イってよ」
「んえ……?」

言葉の意味を理解する前に、尋史のペニスが柊真の口に咥えられた。
淫幹に舌が這い、亀頭を吸われる。
尋史は唾液を垂れ流しながら悲鳴に近い声を上げた。
口淫をされながら、後孔には三本の指が食い込んでいる。
襲いかかってくる快感は凄まじいもので。

「と、とうまぁっ……りょうほう、むり、むりぃっ、ああんっ……んふぁ」

唇で強くしごかれ、前立腺を指の腹でまさぐられ、残っていた少しばかりの理性が吹っ飛ぶ。

(きもちいい、きもちよすぎて……腰の奥が溶けそう……っ!)

義弟の指と舌に翻弄されて、絶頂が恐ろしい強さでやってくる。

「んんっ、で、出るからっ……くち、はなして……と、とうまっ……」

駆け上がる快感を前に、懸命に柊真を下肢から離そうとするが、執拗な唇はペニスに吸いつくばかり。
ぐりぐりと前立腺を押し擦られれば、尋史はなす術もなく快楽の際に立たされた。
頭の中が射精欲一色になり、中心に向かって熱がほとばしる。

「んああっ、イく……イっちゃ……っっぁ!」

尋史は義弟の口内へと二度目の吐精をした。
柊真は全てをじっくりと嚥下すると、残滓を求めて尿道口に再びしゃぶりつく。

「とうま……のんだのか……?」

義兄のペニスを味わい尽くして、柊真はゆっくりと口を離した。

「……嫌だった?」
「や、じゃないけど……そんなの飲むもんじゃ……」
「俺にとっては飲むもんだから。ごちそうさま」

柊真は己の唇を舐めて笑みを浮かべると、尋史の腰をベッドに下ろした。

「あ……」

視界に現れた柊真の雄は、ぎちぎちに勃ち上がっていた。
熱く滾っている淫根は、見ているだけで身体が快感に焼かれる心地がする。

「ふみちゃん……」
「ん……あ、あ……っ」

我慢を続けた義弟の亀頭が、ゆっくりと会陰に擦りつけられる。

「……俺、もう限界。ふみちゃんが欲しくてたらまない」

興奮した獣の視線が尋史の心を射止める。

「お、俺も……柊真が欲しい」

深い快楽に浸かって潤む瞳で、懸命に愛しい義弟を見上げる。

「ふみちゃん……っ」

柊真は悩ましげに眉根を寄せると、尋史の後孔に雄の欲望を押しあてた。

「あ、あ、なかに……んぁっ……ぅあっっ」

秘口の皺をいっぱいに伸ばして、猛った起立が尋史の体内に侵入してきた。
指とは全く比較にならない灼熱が少しずつ中を満たし、義弟と深く交わっていく。

「……っふみちゃんの中、すごい……熱くて柔らかいのに、きゅっと締まって……っ」
「い、いうなっ……ぁっん……はあっ、あ、っあ」
「……っキツ……もってかれそう……」

気持ちよさそうに目を細めて、柊真は腰を進める。
粘膜同士が擦れ合って、柊真と交わっている生々しい実感が胸に押し寄せてきた。

(俺……柊真と一つになってる……こんなの、中が柊真でいっぱい……)

「俺もふみちゃんでいっぱい……っ幸せすぎて、本当に夢じゃないかって……」
「夢じゃない……全部、夢じゃないから、んっぁ」
「嬉しい……。ふみちゃん……っ……奥まで挿入ったよ」

秘口を限界まで広げて。
柊真の起立を根本までくわえ込んでいる。
深く交わって、義弟の欲望で貫かれている。
それが、どれだけ幸せな事か――。

「柊真……柊真、キスして……」

両手を伸ばすと、すぐに唇が下りてきた。

「ん……っふぁ、んむ……あ、んぁ……」

唾液をすすり奪われ、絡んだ吐息が唇をいやらしく撫でては消えていく。
濃厚な口付けを交わしながら、柊真が少しずつ抜き差しをはじめた。

「……んぅ……あ、っう……ああっ……」

敏感な粘膜を擦り上げながら何度も秘口を穿たれると、圧迫感がどろりと溶けて濃厚な快楽の兆しが腰の奥で芽生えるのを感じた。

もう何年も会っていなかった義弟。
意地と後ろめたさで心の奥に封じていた記憶の中に柊真はいて。
あえて思い出さないようにしていた存在だった。
今までも、これからも、互いの人生はかすりもしない。
自分には全く関係のない男だと思っていた。
それが、覚の力によって大きく変わってしまった。
柊真は信じられない事に、尋史に恋をしてくれていたのだ。
職場まで隣同士にする熱烈さで。
それらを知った時、最初は驚き、動揺するばかりだった。
しかし、柊真の優しさや一途さを身をもって知るうちに、己の心にも恋の灯りがともってしまった。
少し前まで、恋なんてはるか遠くのおとぎ話のように思っていたのに。

今は、こんなにも――。

「とうまっ……んああっ、ん、っあ……なか、こすれて、すごい……っ」

抜き差しがどんどん速くなり、尋史はたまらず柊真の胸に強く抱きついた。

(大きいの……奥までとどいて……ビリビリする……もっと、ゴリゴリしてっ……!)

「ふみちゃんの気持ちいいとこ、全部聞こえて最高に興奮する……。ねぇ、奥ゴリゴリされるの好き?」
「……っ」

とろけたぬかるみの奥を甘く突かれて、尋史は背筋を震わせた。
恥ずかしくて口を閉じるのに、恋の声は真面目に想いを伝えてしまう。

(奥、突かれるの、好き……もっと、いっぱい……ぐちゃぐちゃ……きもちいいっ)

「かわいい。いいよ。好きなら、いっぱい突いてあげる」

尻たぶを鷲掴まれ、最奥に義弟の亀頭が突き刺さる。

「う、あああっ……だ、だめ、とうまっ」
「心の中、ちゃんと聞こえてるよ」
「や、やだぁっ……ん、あうっ、んぁっ」

だめだ。
何も考えたくない。
全てが柊真に筒抜けになってしまう。
これ以上恥ずかしい思いはしたくないのに。

(浅いとこも、先っぽで擦られるのイイっ)
(乳首もジンジンしてきもちいい……!)

与えられる気持ち良さに、心は従順に反応してしまう。

「ふみちゃん。次はどこがいい? 全部聞かせて……?」
「はぁぅ、あ……とうまっ……んあぁ」

剥き出しになる欲求を全て拾われて、身の内が怖ろしいほど満たされていく。
嵐のような快感に、尋史は背をしならせて淫らな声をまき散らした。
前立腺も容赦なく穿ち擦られれば、もう何が何だか分からなくなる。

(もう、おかしくなる……からだ、おかしくなるよ……っ)

肉筒の奥の奥まで激しくえぐられ、狂乱の涙を流して腰を震わせる。
ペニスは淫らがましく熱を帯びて、蜜を振りまきながら大きく揺れていた。

「とうま……むりっ……」
「嘘はだめだよ」
「ちがっ……んあっ」

前立腺に亀頭が擦りつけられ、シーツの上で髪を振り乱す。

「あぁぁっ、い、やぁ……ああん、っふぁ、んっ……あぁ! そこ、だめぇ……うっ、あんっああ……っ!」

自身から薄い白濁が飛ぶ。
しかし、気持ち良さは深くなる一方で。
強烈な快感が身をさいなみなぶって、それが消えずに募っていく。
逃れられない淫欲の中、尋史は四肢を義弟に絡みつかせて、泣きながら己に食いこむ雄の猛りをぎゅっと締めつけた。

「ふみちゃん……っ」

終わらない絶頂に身もだえる義兄に、柊真は狂おしいまでの執着と欲望を感じた。
八年前に出逢ってから、ずっと尋史に恋焦がれてきた。
距離をとる義兄を追いかける形で職場を隣にして。
姿を見たら、それだけで心躍らせて。
でも、積極的に声をかけに行く事はできなかった。
好きで好きでたまらなかったから。
どうしても、遠くから見つめる以上の行動にうつれなかった。
もし、義兄弟として上手く交流を深められたとしても、すぐに恋心が悲鳴をあげるのは確実。
男同士で、義兄弟で。
この恋心は決して叶うものではないと思っていた。
もしこの気持ちがバレてしまったら、嫌悪されて、下手をすれば憎まれる事にだってなるかもしれない。
そんな恐ろしい流れになるぐらいなら、隣から静かに見つめて、ひっそりと恋心と共に暮らしていた方がいい。
心の奥底では偶然に会えるのを期待しつつも、ただ見ている事を選択したのだ。
結局、尋史と再会して目を見て声を聞いてしまえば、全くもって恋心を抑えるなんてできなかったのだが。
何事も積極性を好む自分が、義兄への想いだけは心の中に秘めようと決意していた時も一度はあったのだ。

それが今は――。

己の下で、求めて止まなかった義兄が後孔に雄の猛りを突き刺され、乱れに乱れている。
柳眉を寄せ、身に余る快感に美しい瞳を潤ませて。
流れる唾液を拭う事もできずに、全身を薔薇色に染め、必死にしがみついてくる。
何度も欲望を吐き出したペニスは健気に揺れて尿道口をヒクつかせていた。
柊真は劣情の奥から強烈な幸福感がせり上がってくるのを感じた。
何度も思い描いたいやらしい義兄が現実のものとなり、己に組み敷かれている。
肉筒は容赦なく柊真の猛りを食い絞り、絶頂へと誘惑してきて。
淫欲にまみれた恋の声は、強力な興奮剤となって柊真の頭をしびれさせる。
今までの妄想を大きく塗り替える義兄の艶姿は、初心で可憐なくせに、淫らで貪欲で。
全てが柊真の心に爪をたて、掻き毟るように情欲を煽り立ててくる。

「ふみちゃん、ふみちゃん……好き……好きだよ」

熱情をぬかるみに擦りつけ最奥まで穿ち尽くしながら、柊真は快楽にとろける瞳を見つめた。
誰よりも、何よりも愛しい義兄。

「愛してる。俺にはふみちゃんだけ……」
「柊真……っ」

尋史の目から、快感とは違った涙が流れる。
心をいっぱいにするのは歓喜だった。

「好きになってくれてありがと……俺も柊真が好きだ……っ」

深く繋がったまま強く抱き合うと、まるで世界に二人きりのような気がしてくる。

(柊真……好き、好き、大好き……愛してる)

「ふみちゃんっ」

二つの声で愛を告げる尋史に、柊真は熱烈に口付けた。

「んむぅ……ぁん……っふぁ」
「ふみちゃん……中に出していい……?」

前立腺を攻められて甘く鳴きながら、尋史は何度も頷いた。

「ん、きて……とうまのほしい……んぁっ、あ、ああっ!」

一層、激しくなるピストンに、尋史はシーツの上で身をよがらせた。

(ぜんぶ、ぜんぶ……からだ、きもちいい。ああ、またくる、大きいのきちゃう……!)

「とうま、とうま……すき、すきっ……うぁ、あっ」
「ふみちゃん……二人で気持ちよくなろうね。愛してる……っ」

ものすごい勢いで最奥まで貫かれる。

「あぅ、んっ……あ、ああああぁぁ!」

全てが柊真で満たされ、とてつもない絶頂に意識が白く爆ぜる。
それと同時に、体内で柊真の欲望が弾けた。
その熱い感触に恍惚としている尋史のペニスから、透明な液がびしゃびしゃと小刻みに放たれる。

「……っ、ふみちゃん、潮吹いちゃったの?」

吐き出した濃い欲望を体内に塗りつけるように腰を動かしながら、柊真は雄くさい笑みを浮かべる。

「……ぅぅ……」

尋史は恥ずかしくて柊真から視線を逸らした。

(だって、訳わかんないぐらい気持ち良くて。こんな……)

「嬉しいよ。ふみちゃんが俺とのセックスで気持ち良くなってくれて」

柊真は尋史の顔中に唇を落とす。

「それに、俺も……訳わかんないぐらい気持ち良かった」

ゆっくりと柊真自身を引き抜かれて、尋史は息を詰めた。
あれだけ絶頂を極めたのに、身体の中にひっそりと快感が居残っているのを感じる。

「……さとちゃんにお礼言わないとね。最初は驚いたけど、読心能力のおかげで、ふみちゃんの恋人になれた」

体液まみれの体を厭わず、ぎゅっと強い力で抱きしめられて柊真の喜びが伝わってくる。
それが嬉しくて尋史も広い背に手を回した。
柊真の言う通りだ。
覚の能力のおかげで柊真の気持ちにも気付けて、結果的には恋が成就した。
それは、とても喜ばしいが。

「早く……能力解いてもらわないと……」

尋史は小さく呟いた。
柊真との交わりは、これ以上ないぐらい気持ち良く、幸福感に満ちあふれていた。
けれど、それ以上に心の内を明かしながらの情事がどれほど恥ずかしく、居たたまれない事か。
もう二度とごめんである。

「えぇ~? すごい気持ち良かったし、ふみちゃんは猛烈にかわいかったよ。これきりなんてもったいないよ」
「柊真がよくても俺がいやなの!」

強く抱きしめてくる義弟の腕から逃れようと、尋史は無駄な抵抗をした。
今だって恋の声がだだ漏れだと思うと、恥ずかしくて仕方ないのに。

「俺だって、心を読まれっぱなしだったんだから、少しはいいでしょ?」
「それは悪かったよ……。けど、こういう時に心の中を読まれるのは嫌だろ!」
「……こういう時って?」

わざとらしく質問してくる。

「ばかっ!」

離れようとする尋史を柊真の腕が軽々と阻んだ。

「分かったよ。明日すぐに解いてもらう。だから、もう一回……ね?」

答えを出す前に、腰を押しつけられる。
もう快楽に襲われて過ぎて体は重いのだが。
これは否定する権利もなさそうだ。

(一回で済むのか?)

わざと恋の声で聞いてみる。
ちゃんと聞き取ったらしい義弟、いや恋人は驚いた表情の後、幸せそうに破顔した。

「お互いが精根尽き果てるまでお願いします」
「それは無理!」
「そんな事言わずに」

尻を揉みしだかれると、濃厚なキスが尋史の唇に降ってくる。
居残っていた快感がその気になるのは、瞬きよりも簡単だった。


○○○


「あ。ここ、ロフトつきだって。さとちゃん楽しくてよくない?」
「僕、別にロフトではしゃいだりしないよ」
「あれ? 思ったより冷静だった」

賃貸情報誌のペット可のページをめくりながら、柊真が笑った。
今日は尋史宅でお家デートとしゃれ込んでいる。
柊真が手土産に手作りのカップケーキなんか持って来たものだから、覚は上機嫌になって尋史の分までほとんど食べてしまった。

(もう一つぐらいは食べたかったのにさ)

心の中で密やかに文句を言うと、覚が深碧の目を細めてジロリとこちらを見てきた。

「ベルギーチョコ……一つぐらいは食べたかったのにさ」
「それは、ごめんって!」

読心されたのをなじる事もできずに、尋史は頭を下げた。
先日、近所のケーキ屋でチョコレートフェアが行われた。
目玉商品はベルギーチョコレートをたっぷり使った美しいスイーツ達。
もちろん、覚はそのどれもを欲しがって。
最近はリクエストに応えていなかったので、今回は奮発してフェア限定のスイーツを全種類買うと約束したのだ。
しかし尋史はそれを大きく破ってしまった。
仕事の都合でフェア最終日しかケーキ屋に足を運べなかったのだが。
人気を甘くみていたせいで、尋史が行った時には全て売り切れていたのだ。
最終日の為にリベンジも叶わず。
謝り倒したのだが、しばらく覚は丸くなったまま口もきいてくれなかった。
そして今もって何かある度に、こうして皮肉られているというわけだ。

「俺に話してくれてたら代わりに行ったのに」

事の顛末を知っている柊真が覚を撫でながら言う。

「多忙でフェアに行けないっていう話じゃなかったんだよ。尋史くんが油断せずに早い時間に買いに行ってくれたらよかったんだ。僕、早く行けって何度も言ったんだよ。それなのに、大丈夫って繰り返して結局は売り切れ。すごい楽しみにしてたのにさ」
「あんなに人気って思ってなかったんだ。本当に悪かったよ。次のフェアがあったら、朝一で行って沢山買ってくるから。許してよ、さとちゃん」

もふもふの体を持ち上げて腕に抱くと、居心地のよい体勢を求めて黒い毛がもぞもぞと動く。

「……来週から甘味の巨匠シリーズがコンビニで発売されるんだ。和菓子もいいよね」

小さなしっぽが、ふりふりと柔らかく腕を叩いた。

「分かった。分かりましたっ! 全種類買わせていただきますっ」

覚に全面降伏する尋史に、柊真が声を出して笑った。

「じゃあ、俺も参加するよ。コンビニスイーツも油断すると売り切れるもんね」
「本気で助かる。ありがと」

今度は協力者も得て、確実に入手できそうである。
覚は満足気に喉を鳴らして尋史の胸に顔を寄せた。
どうやら、ベルギーチョコレートの件は許してくれそうだ。

「引っ越したら、俺もさとちゃんのスイーツ要員に本格参入だね。今週末の内見、楽しみだな」

義兄と妖怪の様子を優しく見守りながら柊真が言う。
まだ恋人になって間もないというのに、義弟の誘いで一緒に暮らす話が進んでいる。
尋史は頷いただけなのだが、あっという間に不動産会社に内見の予約を入れていた。
さすがは速攻の男である。

「柊真は直感で、ここしかない! ってすぐになりそう」
「さすがに家はじっくりと比較検討するって」
「そうかぁ?」

義兄弟の笑い声が陽気に弾ける。
そんな楽しげな雰囲気の中、覚は静かに顔を上げた。

「ねぇ、柊真くん。本当に……僕も一緒でいいの?」
「え?」

突然の質問に柊真は首をかしげた。

「尋史くんは受け入れてくれたけど……心の中を読んでしまえる僕が一緒に暮らすの、嫌じゃない?」
「さとちゃんは、たまにしか読んでないでしょ?」
「そうだけど……。皆、心が読めるってだけで怖がるから」

尋史と出会うまで、あらゆる生き物から恐れられてきた。
悲しいが、読心の力がどれだけ恐怖をもたらすかは理解している。
最初は寛容に接してくれたとしても、次第に心をいつも暴かれているのではと不安になり、覚の前から消えていく。
その繰り返しだった。
柊真は優しい男だ。
この先、尋史への愛情と覚への恐怖の板挟みになって苦しまないとも限らない。
覚はためらいがちに柊真を見つめた。
その深碧の瞳は、悲しみと諦観と、そして何より柊真への思いやりに満ちていた。

「さとちゃん……ありがとう」

柊真は尋史の胸から覚を抱き上げると、ぎゅっと腕の中に包んだ。

「市川家の息子は、そんな小さい事は気にしません!」

大きな声で断言すると柊真は覚に微笑んだ。

「もし嫌な気持ちになったら、その時にまた考える。それでいいよね?」

もふりもふりと黒い毛をかき混ぜながら言うと、覚が嬉しそうに小さく頷いた。

「風の噂によりますと、ふみちゃんは大した事を考えていらっしゃらないようですし?」
「俺が言ったんじゃないぞ!」

大仰に不満顔を作る尋史の頬に口付けると、柊真は恋する瞳を輝かせた。

「俺はふみちゃんの事しか考えてないから。いつ読んでくれても、愛の証明にしかならないよ」

義兄に一途なエロ悪代官は、満面の笑みを浮かべるのだった。


END



最後までお読みいただき、ありがとうございました!

感想 1

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みんなの感想(1件)

なぎ
2021.02.23 なぎ

素敵なお話でした!
登場人物が全員いい人で本当に優しい気持ちになれる作品だと思います。
ありがとうございました!

2021.02.23 梅村香子

感想ありがとうございます!
本作のテーマの一つが優しさや思いやりなので、優しい気持ちになれるとおっしゃっていただいて嬉しいです。
こちらこそ、最後までお読みいただいて感想までおくってくださって本当にありがとうございました!

解除

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