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本編 第2章
第14話
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それが無性に恥ずかしくて、私はまた俯く。彼はなにも言わずにその葉を指で弄んでいた。
「なぁ、テレジア」
ふと、ラインヴァルトさまが私の名前を呼ぶ。静かに「はい」と返事をすれば、彼の指が私の髪の毛を梳いた。
今度は、葉なんてついていないのだろう。そのまま私の髪の毛を弄ぶかのように、指を通していく。
「俺のこと、好きになってくれる?」
……けど、いきなりのお言葉に戸惑う。
だって、そうじゃないか。いきなりそんなことを言われても……。
「……わからない、です」
本当は「無理です」って言いたかった。
好きになることが無理なんじゃない。このお人と添い遂げることが無理という意味だ。
「そっか」
彼は私の言葉に文句を言うこともなく、黙った。かと思えば、私の髪の毛を一房手に取る。
驚いてそちらに視線を向ければ、私の髪の毛に口づけるラインヴァルトさまが、見える。
(え……)
目をぱちぱちと瞬かせる。
私の髪の毛にそっと口づけたラインヴァルトさまは、いたずらっ子のような目で私を見つめてきた。
「可愛い」
囁くような声で、そう告げられる。
その声にこもった確かな熱に、胸がぎゅっと締め付けられる。鼓動がどんどん早くなって、いっそ苦しさまで覚えてしまう。
「今はさ。……唇には、出来ないから」
ラインヴァルトさまの指先が、私の唇をスーッと撫でた。撫でられた箇所が、まるでじんと熱を持ったような感覚に襲われる。
どんどん鼓動が早足になって、もうこのまま死んでしまうのではないか……と思ってしまうほどだ。
「真っ赤なテレジアも、最高に可愛い」
彼が私のことを見つめて、そういう。……真っ赤、なのか。
(ううん、それは、当然だわ……)
こんなにも熱烈に愛を告げられて、そうならないはずがない。ゲオルグさまは、そういうタイプじゃなかったし……。というか、むしろ嫌われていたし……。
「こんな表情をさせているのが俺だって思うだけで、すごく嬉しいんだ」
「わ、私、どんな表情しているのですか……?」
自分の表情がわからない。鏡でもあれば別なんだろうけれど……。
そう思いつつ、私はラインヴァルトさまを見つめる。彼は、唇の端を吊り上げた。
「めちゃくちゃ真っ赤。あと、すっごく可愛い表情」
「こ、答えになってないです……!」
すっごく可愛い表情って、どんな表情なんだろうか……。
私がそう思うよりも先に、ラインヴァルトさまが立ち上がられる。そのまま、流れるような仕草で私に手を差し出した。
「中庭を案内する」
「……は、はい」
彼の手に、私はおずおずと自らの手を重ねる。ぎゅっと握られた手が、熱い。
(まるで、どうにかなってしまいそう……)
いや、むしろ。
きっと、もうすでに私は。
――どうにか、なってしまっているんだろう。
そう、思ってしまった。
「なぁ、テレジア」
ふと、ラインヴァルトさまが私の名前を呼ぶ。静かに「はい」と返事をすれば、彼の指が私の髪の毛を梳いた。
今度は、葉なんてついていないのだろう。そのまま私の髪の毛を弄ぶかのように、指を通していく。
「俺のこと、好きになってくれる?」
……けど、いきなりのお言葉に戸惑う。
だって、そうじゃないか。いきなりそんなことを言われても……。
「……わからない、です」
本当は「無理です」って言いたかった。
好きになることが無理なんじゃない。このお人と添い遂げることが無理という意味だ。
「そっか」
彼は私の言葉に文句を言うこともなく、黙った。かと思えば、私の髪の毛を一房手に取る。
驚いてそちらに視線を向ければ、私の髪の毛に口づけるラインヴァルトさまが、見える。
(え……)
目をぱちぱちと瞬かせる。
私の髪の毛にそっと口づけたラインヴァルトさまは、いたずらっ子のような目で私を見つめてきた。
「可愛い」
囁くような声で、そう告げられる。
その声にこもった確かな熱に、胸がぎゅっと締め付けられる。鼓動がどんどん早くなって、いっそ苦しさまで覚えてしまう。
「今はさ。……唇には、出来ないから」
ラインヴァルトさまの指先が、私の唇をスーッと撫でた。撫でられた箇所が、まるでじんと熱を持ったような感覚に襲われる。
どんどん鼓動が早足になって、もうこのまま死んでしまうのではないか……と思ってしまうほどだ。
「真っ赤なテレジアも、最高に可愛い」
彼が私のことを見つめて、そういう。……真っ赤、なのか。
(ううん、それは、当然だわ……)
こんなにも熱烈に愛を告げられて、そうならないはずがない。ゲオルグさまは、そういうタイプじゃなかったし……。というか、むしろ嫌われていたし……。
「こんな表情をさせているのが俺だって思うだけで、すごく嬉しいんだ」
「わ、私、どんな表情しているのですか……?」
自分の表情がわからない。鏡でもあれば別なんだろうけれど……。
そう思いつつ、私はラインヴァルトさまを見つめる。彼は、唇の端を吊り上げた。
「めちゃくちゃ真っ赤。あと、すっごく可愛い表情」
「こ、答えになってないです……!」
すっごく可愛い表情って、どんな表情なんだろうか……。
私がそう思うよりも先に、ラインヴァルトさまが立ち上がられる。そのまま、流れるような仕草で私に手を差し出した。
「中庭を案内する」
「……は、はい」
彼の手に、私はおずおずと自らの手を重ねる。ぎゅっと握られた手が、熱い。
(まるで、どうにかなってしまいそう……)
いや、むしろ。
きっと、もうすでに私は。
――どうにか、なってしまっているんだろう。
そう、思ってしまった。
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