異世界で王城生活~陛下の隣で~

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 会場では勿論異世界人の話題で盛り上がっている。
 シリウスははっきりと妃候補だと言った訳ではないが、三大公爵の内の二公爵夫人と一侯爵夫人がユリカという異世界人の後ろ盾に着いたのだ。
 ましてや貴族最高位のマーキュリアス公爵夫人がだ。
 それは息子であるドミニク宰相も妃候補と認めているという事になるのではないか。
 など、いろいろな憶測が飛び交う中、ドレスに着替えた友梨香が再度シリウスにエスコートされ入って来た。

 貴族のご令嬢たちは、友梨香のドレス姿に驚き、言葉を無くすこととなる。
 先ほどは少女のように見えた異世界人がドレスを纏う姿は、それこそ天から召された聖女と言われて疑問を持つ者はいないと思うほど美しく輝いて見えた。

 先ほどマリアンヌと呼ばれていたのは、エドモンド侯爵家の令嬢でシリウスの王妃候補の筆頭にいる令嬢だった。
 自分がシリウスに一番近いところにいると自負しているマリアンヌは、異世界から来たというだけで、シリウスに手を取られ微笑まられている友梨香が許せなかった。

 今、彼女は自分の憧れの君であるシリウスとワルツを踊っている。
 誰かが幼児体系と言ったが、目の前で優雅に踊る異世界人は、先ほどとは別人のような様なスタイルをしていた。
 それもその筈である。大きめのパーカーを羽織っていたのだから体つきは寸胴に見えて当たり前。
 元々ジムにも通い、身体を動かすことが好きな友梨香だ。
 エステにも通っていた。
 友人の中でもスタイル抜群で男性から注目もされていたのだから。
 シリウスも水着の写真を見て「良い身体をしている」と無表情で言っていたのはつい先日の事。

――シリウス様のリードのお陰ではなく、きちんと異世界人は踊っているわ。
 彼女の体系によく合っているデザインのドレス。先ほどのお披露目の時には、殆どお化粧もしていなかったけれど、私達とは違う肌色にドレスのお色がぴったりと合っているし、あのお色は……シリウス様の瞳のお色ですわ。

 マリアンヌは、笑みを浮かべながら見つめ合い踊る二人の姿をじっと見つめていた。


 二人のダンスが終わり、シリウスが一旦音楽を止めるように指示を出す。

「皆聞いてくれ。本日のパーティーの料理の中に、異世界のデザートが出されている。ユリカの指導の元、パティシエが作ったものだ。テーブルの中央にある白い陶器の器に入っているものが【プリン、正式にはプティング】と言うらしい。私も試食してみたが、とても美味しいと思った。メビウスたちも試食しているが、特にマチルダ妃が気に入っていた。これから王城でのマチルダ妃の茶会には出て来ると思うので、その食感と美味しさを味わってくれたまえ」

 シリウスの言葉を聞き、女性陣は一斉にプリンに手を伸ばす。
 一口スプーンで掬い口の中に入れると、怪訝そうな顔をしていた女性たちの表情が緩んできた。

「この上のほろ苦くも甘いソースと滑らかな食感の生地が何とも言えませんでございますね」
「とても美味しゅうございますわ」
「わたくし、異世界のデザートに嵌りそうですわ!」
「このレシピは公開されるのだろうか?我が家の子供たちにも食べさせてあげたい」
「のちほど宰相殿にお尋ねしてみは如何だろうか」
「そうですな。ぜひ、我が邸でも食したいものだ」
「マチルダ妃殿下のお茶会に招待される方が羨ましいですわ」
「ええ、本当に」

 良かった。プリンよくやった!こんなおやつ的なお菓子でご貴族様たちの心を鷲掴み出来るなんて思わなかったよ。
 保存してあるお菓子のレシピを小出しにしていこうかな(笑)

 友梨香はしてやったりと微笑み、シリウスの顔を見上げた。

「良かったな、人は美味い物に弱いからな。ユリカの印象も良い方向へ向かったのではないかと思うぞ」
「ありがとう、シリウス陛下。異世界の料理をと言ってくれた陛下とドラフクターおじ様のお陰でもあるけど、いろいろ動いてくれた皆さんのお陰ね」

 そんな意味で微笑み合う二人の姿を、違う意味に捉えていたマリアンヌは手の平に後が付くほど爪を立て握り締めていた。
 同様に妃の座を狙っていた令嬢たちも悔しそうに眉を顰め顔を歪ませていたのだった。




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