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第三章

11/ リディア初めての欲情?

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 王宮の私室で目覚めたリディア。

「お目覚めですか、リディア様」
「あっ、リールー。私なんでここに?」
 ベッドの傍らに立つリールーは優しい目でリディアを見下ろしていた。
「執務室で寝てしまわれたので、レオナルド様が運んで下さったのですよ」
「あっ!」
 リディアは先ほどの行為を思い出し赤面してしまう。
「レニーは何か言ってた?」
「ええ、まぁ」

――うーーーっ。

 ブランケットを引っ張り頭まで被ってしまったリディアを見て、リールーはクスッと笑ってしまう。

「今夜はこちらの寝室でおやすみになるとのことですので、湯あみは私がやらせて頂きますね」
「えっ、どうしてリールーが?」
「殿下からのご指名なので。リディア様を磨き上げたいと思います」
「ななな、なんで?」
「ずっとお傍に就いていた私の仕事をレオナルド様に取られてしまったんです。たまにはリディア様のお世話をさせて下さい」
「あ、うん。分かったわ」

 戻るのが遅くなるというレオナルドを待たずに夕食を済ませ、湯あみの時間まで一人でまったりするリディア。

――今日のレニーは何だかいつもと違っていたわ。
 深いキスだって噛みつく様にしてきたし。
 「リディが欲しい」と耳元で囁かれて首の後ろがぞくりとしたの。
 いつもお湯の中で素肌を触れているのに、服の上から胸を弄ばれたらなんだか不思議な感覚がした。
 恥ずかしかったけれど嫌ではなかった。

 リディアは服の上から自分の胸をしたから押し上げるように両手で掴んでみる。

――レニーの大きな手で包まれたら気持ち良かった…… 
――なんだったんだろう、今の気持ち……

 自分の頬が熱を持っているのが分かる。
 胸の鼓動も早くなっていた。

――どうしちゃったの私……レニー、早く戻って来て。

 大きく深呼吸をして自分を落ち着かせ、お茶を一口飲んだところで、静かな部屋に扉をノックする音が響いた。

「リディア様、リールーです」
「入って」
「失礼いたします。レオナルド様がご自分のお部屋に戻られましたので、リディア様は湯あみを致しましょう」
 リールーが優しく微笑む。
「お仕事が終わったのね。分かったわ」

◇◆◇

 リールーのお手入れがいつもより念入りにされている様な気がするのは、久しぶりだからなのだろうかと考える。
 湯船に浸かりながらふと見ると鎖骨の下、胸の膨らみのが始まる辺りにレニーの付けた印が見えた。
 それを見ただけで何故か身体が熱くなってくる。

――はぅ……まただわ……

「どうされました、ご気分が?」
「ううん、大丈夫。リールーにお手入れして貰って気持ち良くなっちゃったみたい」
 思わず笑って誤魔化してしまうが、リールーのお手入れが気持ち良いのも事実だ。
「ふふ、そうですか」
「やっぱり、レニーもリールーには敵わないわ」
「ありがとうございます。殿下に聞かれたら妬かれてしまいますね」
「ふふ、本当のことだもの」

 湯から上がったリディアは新しい下着と薄手のナイトウェアを着せられその上にガウンを羽織って部屋と戻っていく。


 寝室に置かれているソファには自室で湯あみを済ませたレオナルドがソファに座りワインを飲んでいた。

「リディ」
 レオナルドに優しい声で呼ばれる。
「どうした?おいで」
「レニー、お仕事お疲れさまでした」
「ああ、ありがとう。一緒に夕食を摂れず悪かった」

 レオナルドに手を差し出され、そっと手を置くと指先を軽く握って引かれ、ぽすんと膝の上に乗せられる。
 そこまで確認をするとリールーは一礼して静かに退室していった。

「今日はいつもより艶々だな」
 金色の髪を掬いながら口づけを落としてくる。
「リールーが湯あみを手伝うのは久しぶりだからって張り切って……」
「あはは、そうだな。私がリディを独占していたからな。ほら、喉が渇いているだろう?」
「えっ、あ、うん」

 ローテーブルの上のグラスを手に取りリディアの前まで持って来てくれたので手を伸す。
 だがレオナルドはそのグラスを自分の口元へと持っていってしまった。
「あ、」
「私が飲ませてやる」
 レオナルドは果実酒を少し口に含むと、そのままリディアに口づけ口の中へ少しずつワインを流し込んでいく。
 こくりと飲み込むも零れてしまった酒がリディアの口元から顎の方へと流れていく。レオナルドはそれをペロリと舐め取った。
「ん、自分で飲めるのに……」

「リディ」
「ん?」
「愛しているよ」
 耳元で囁く艶めいた声に体がビクリと反応する。
「レ、レニー?」
「ん、執務室での事嫌だったか?」
 紫色の瞳がリディアの顔を覗き込んできた。
「……嫌では、なかった」
「そうか、どんな気持ちだったか聞いても?」
 そう言いながら頬を優しく撫で来るレオナルド。

「どんなって……変なというか、不思議な。レニーに触れられて今までとは違う気持ちになってた」
「そうか」
 レオナルドの手が頬から唇に移り親指でリディアのぷっくりとした唇を擦る。
「それでね、その時もっと触れていて欲しいと思ったの」
 レオナルドの腕の中のリディアが恥ずかしそうに耳まで仄かに染めて俯いてしまう。
「くっ。」
 リディアから予想していなかった言葉を聞きレオナルドは全身の血が沸騰したかのような錯覚を覚えた。
 彼女の顎を持ち上げ優しく口づける。

「その続きをしても良いだろうか?」
 リディアは少し潤んだ瞳でレオナルド見つめ、こくりと頷いたのだった。

 リディアに答えを聞いたレオナルドの唇は耳を食み耳朶の溝を舌先で舐めた。リディアの体にぞくりとした感覚が走る。舌は耳から首筋へと落ちていく。

「くすぐったい」

 顔を上げたレオナルドは優しく笑みを浮かべると、何も言わずまたリディアに唇を奪った。
 口づけは徐々に深くなり、後頭部を押さえつけられ身動きが取れない。
 何時もより激しい口づけにリディアの体の力が抜けていった。
 レオナルドの手はリディアのガウンの紐を解き、肩から落とす。薄い生地のナイトウェアの上から昼間と同じように大きな手で彼女の胸を包み込まれ布越しにレナルドの体温がじんわりと伝わって来た。

「今日は可愛いのを着ているな」
 透け感のある真っ白なレースのナイトウェアは純真なリディによく似合っていた。
「リールーが……」
「そそられる」

 真っ赤になっているリディアの胸を包んでいた手が身体の線をなぞっていった。

――私の番。愛しいリディア……





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