まほカン

jukaito

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第41話 試験!少女が研修から新人になる活路 (Aパート)

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「あ、あの……私も行ってよろしいですか?」
 かなみ達三人が殺し屋の拠点へ向かう際に、紫織はあるみに申し出た。
「――ダメよ」
 あるみはそれをあっさりと断った。
「え?」
「ダメって言ったのよ」
 何を言われたのか信じられない紫織にあるみはもう一度言ってやる。
「ど、どうして……」
「あの三人なら大丈夫よ。チームワークが抜群で、下手に一人加えたら逆効果よ」
「で、でも……」
「かなみちゃんの力になりたいなら、大人しく待ってなさい」
 そう言われて紫織はしょんぼりして、席に着く。
「紫織ちゃん、自分の力の無さが悔しい?」
「え、そ、それは……」
 紫織はなんて答えていいのかわからなかった。
 かなみに協力したい。ただそれだけで、そんなことまで考えていなかった。
「……わかりません」
「まあ、そうよね。明日話したいことがあるわ」
「え、明日ですか……?」
 あるみから一体どんな話をされるのか、想像もつかなかった。
 その晩、かなみは文字通り血の気の引いた顔をして帰ってきた。
 紫織は心配になって訊くと、敵にやられたことを教えてくれた。
 自分が行けなかったばかりに……なんて自惚れるつもりはなかった。ただ、その時にかなみを庇うことぐらいは出来たと思う。
 なんで、私はダメだったのだろう。
 力が足りないから。チームワークがとれないから。
 そんな自責の念ばかり積もってくる。
「かなみさん、どうぞ」
 そんな想いからか、かなみに紙パックのトマトジュースを渡す。
「ありがとう」
 かなみは笑顔でお礼を言って受け取る。
「あ、あの……」
「なに? トマトジュース、凄く助かるわ」
「だ、大丈夫でしょうか?」
「ええ、ちょっと血が出ちゃったけど……このトマトジュースがあれば、平気よ」
「そ、そうですか……」
 それを聞いて、紫織は少しだけホッとする。
「紫織ちゃん、元気ないみたいだけど、何かあったの?」
「え……?」
「なんて、血の気の引いた私が言うのもおかしいわよね」
「あ、いえ……実は……」
 紫織はあるみから何か話を持ちかけられたことを言った。
「社長から……一体どんな話なのかしら?」
「はあ……それは……」
「まあ、社長のことだから何考えてもどうせ無駄なんだから気楽に行った方がいいんじゃないかしら?」
「き、気楽に、ですか……」
「私なんて借金のことばっか考えてると気が重くなるからなるべく考えないようにしてるの」
「そうなんですか……いつも、借金が借金が言ってるからてっきり借金のことで頭がいっぱいなのかと思ってました」
「うぅ……情けないところばっか見せてたのね。ごめんね、情けない先輩で」
「い、いいえ、そんなことありません……かなみさんは凄い先輩です」
「ありがとう……そう言われると元気が出るわ」
 かなみは笑顔でそう言ってくれた。そのおかげで元気が出てきた気がする。
(私、何もできていませんね……みなさんのために……)
 その晩、紫織は一晩中考えた。
 みあのおかげで紫織は学校で虐められることは無くなった。
 仕事ということで、色々みあ達の手伝いをすることになったし、魔法少女として一緒に戦うことができるようになった。戦いは怖いけど、かなみやみあの役に立てる。
 それが何よりも嬉しくて楽しくて、一緒にいられることが幸せだと思った。

――でも、もし私が役に立てないようなら……

 そんな不安が脳裏をよぎる。
 役に立てないなら、一緒にいられない。でも、一緒にいたい、心底思う。
(みあさん……かなみさん……翠華さん……あるみ社長……鯖戸さん……)
「やけに落ち込んでるじゃない?」
「あ、アリィ……」
 羊のマスコット・アリィは急に話かけてくる。
「社長からの話が何か不安で眠れないの?」
「え、ま、まあ……」
「はっきりしない態度ね。そういうのがよくないっていつも言ってるでしょ。そもそも、あんたは学校でも仕事でも控えめなんだから、せめて魔法少女になったときぐらい積極的に……」
「その話、長くなりますか?」
「いいえ、ほんの三十分ぐらいにするつもりよ。お話で夜更かしで美容に響いたりしたら一大事なものね、そうそう美容と言えばね――」
 十分長いと紫織は思った。
 おかげでいつ寝たかわからず、翌朝起きるともう学校に行く時間になっていた。



「おはようございます」
 紫織はハラハラしながらオフィスの扉を開ける。
「おはよう、紫織ちゃん」
 かなみが笑顔で迎えてくれる。
 デスクの方には紫織があげたのと同じトマトジュースが置かれている。
「社長はまだ来てないからゆっくりしていけばいいわ」
「そ、そうですか……」
「はあ、疲れたわ」
 みあは気だるそうに入ってくる。
「みあさん、おはようございます」
「おはよう」
 みあは適当に挨拶して席に着く。
「このあと出るから在庫が切れそうなこと、鯖戸に伝えておいてよ」
「え? 今日は搬入があるから大丈夫だって鯖戸が言ってたわ」
「ああ、そう。だったらいいわね」
 そんなやり取りをしながらみあは紫織を見る。
「紫織、あんたいたんだ」
「……今挨拶しましたよ」
「みあちゃん、酷いよ。紫織ちゃんはみあちゃんの後輩でしょ」
「かなみ、あんたも後輩なのよ」
「う、忘れてた」
「じゃあ、みあさんはかなみさんの先輩でもあるんですね」
「翠華さんもね。みあちゃんの方が経験長いんだって」
「おかしな話だけどね」
 みあは呆れて言う。
「みあさんが一番の先輩なんですね、凄いです」
「でも、私はみあちゃんの人生の先輩なんだよ」
 かなみは何故か対抗して言う。
「確かに借金で苦しむあんたはいい教訓になってるわ、反面教師ってやつ」
「そういう意味で言ったんじゃないんだけど!」
「クス」
 紫織は思わず笑ってしまう。
「紫織ちゃんが笑ってくれるのは嬉しいけど……借金で笑うのは……うん、嬉しいけど……」
 かなみは複雑な心境であった。
「あ、ごめんなさい」
「う、うん……いいのよ。紫織ちゃんが笑ってくれたら」
「かなみさんは強いですね、借金で大変なことになってるのに」
「ううん、私は全然強くなんかないわ。いつも精一杯やってるだけで」
「いえ、精一杯やるのが凄いんですよ」
「そ、そうかしら?」
「私なんて頑張ろうなんて気さえ起きないと思います」
「まあ、借金で感覚が麻痺してるからっていうのもありそうだけど」
「みあちゃん、酷い!」
「そう言われてもへこたれないのがかなみさんの強さですね」
「単に慣れてるだけなんじゃ?」
「みあちゃんもたまには私の事、褒めてくれてもいいのよ」
「褒めたら図に乗るでしょうが」
「……みあちゃん先輩は厳しいわ。私は後輩に優しくしよう」
「あ、あはは」
 紫織は苦笑する。

ドタン!!

 相変わらずのけたたましい音を立てて、あるみはオフィスに入ってくる。この入り方、毎回心臓に悪い上に扉の立て付けが悪くならないか心配になる。
「紫織ちゃん、来てるわね」
「は、はい……」
「早速昨日言ってた話をするわ」
「はい」
「あの、社長。紫織ちゃんに話ってなんですか?」
「ああ、かなみちゃんもみあちゃんも聞きたかったら聞いていいわよ、大事な話だから」
「え、大事な話だったら私が聞いてもいいんですか?」
「ええ、かなみちゃん達に関係することだから」
「それは聞き捨てならないわね」
 みあも話に加わる。
「どう関係するのか聞かせてもらうわよ」
「ええ」
 そう言って、あるみは紫織の方を見る。紫織は強張って明らかに緊張する。
「紫織ちゃん……」
「は、はい……!」
「――あなた、入社試験受けてみる?」
「にゅ、入社試験ですか?」
 それは紫織にとって意外な一言であったし、かなみやみあにとっても同じことであった。
「入社試験って何よ?」
「紫織ちゃんは私達の仲間でしょ」
「そう……でも正社員ってわけじゃなかったのよ。あくまで手伝いって形だったしね。もちろん、給料は払っていたからアルバイトって言った方が近かったわね」
「そういえば……」
 あまりにも気兼ねなく話しているせいで忘れていたことだった。そもそも、この会社自体まともではないのだから、社員とバイトの違いなんてこれまで無かったも同然だった。
 というより、気づかなかった。
 今まで紫織はかなみ達と同じように扱われたせいで、同じ社員で同僚だと思っていた。
 紫織はアルバイト……その事実を初めてしらされたような気さえした。
「じゃあ、紫織ちゃんをこれから社員にするってことなんですか?」
「ええ、そうよ。試験に受かったらね」
「社員になったら何が違うっていうのよ?」
 みあが訊く。それはかなみも知りたかったところだ。
 何しろ、社員とバイトという立場になっていたことに今まで気づかなかったぐらい違いなんてないように思えたからだ。
「うーん、仕事内容とか給料とか」
「きゅ、給料……?」
 かなみは思わず反応した。
「ま、社員になったからって特別何か変わるってわけじゃないけど」
「だったら、今すぐ社員にすればいいじゃない。試験なんてせずに」
「ああ、それ私も思いました。私の時、試験なんてありませんでしたし」
「かなみちゃんの場合、初仕事が試験みたいなものだったからね」
「え、そうだったんですか……」
 かなみは意外な事実をしらされた。
「入社試験……入社試験……入社試験……」
 紫織は何度も呟く。
「それで紫織ちゃん、どうする?」
「え……?」
「入社試験、受けるかってことよ」
「そ、それは……」
 紫織は戸惑った。別に社員になりたいわけでもないし、これまで通りみあ達と一緒にいられればそれでいいと思った。だけど、こう言われると受けないといけないような気がしてきた。
「別に受けなくてもいいんじゃないの」
「え?」
 みあは紫織に言ってくれる。
「今までそんなこと気にしたことなかったじゃない。これからだってそんなん気にしなくていいじゃない」
「う、うーん……」
 みあの言うとおりだと思った。
 社員じゃないからって、かなみ達は仲間だと思ってくれたし、これからもそれは変わらないとも思えた。
 でも、これは紫織の中の何かが受けなければならない気がする。
 あるみにせっつかれているということもある。
 だけど、それだけじゃない気もする。

――これを受ければ、かなみさん達と同じになれる。

 脳裏にそんな一言が浮かんだ。
「わ、私……」
 紫織は勇気を振り絞って、あるみに返答する。
「受けます、入社試験……!」
 あるみはニコリと笑った。



 入社試験の内容は至って簡単だった。
 紫織一人である場所までトランクケースを届けて帰る、ただそれだけであった。
 制限時間も無ければ、トランクケースがやたら面倒な荷物ということでもない。これなら紫織が一人でも簡単にこならせるだろう。
(大丈夫、私、一人でもちゃんとやれる……!)
 紫織はそう自分に言い聞かせながら電車に乗り込む。
 トランクケースは重いわけではなく、小学生の紫織に合わせて小さめになっているのでかなり持ちやすい。この試験のためにあるみが用意してくれたのかな、なんて紫織は思った。
「えっと、降りる駅は……」
 電車にある地図とあるみから渡された地図を見て確認する。
「あんなんで大丈夫なのかしら?」
 みあは仏頂面でかなみに言う。
「大丈夫よ、紫織ちゃんならちゃんとやれるわ」
「あんた、余裕ね。かなみのくせに」
「みあちゃん、まるで私がいつも余裕がないみたいに」
「あるの、特に財布辺り?」
「うぅ……無いけど……」
 そう言いながらみあは心配そうに紫織を別の車両から見る。
「みあちゃん、紫織ちゃんが心配なのね」
「う、うるさいわね、紫織は危なっかしくてちゃんと見てあげないといけないのよ」
「私はそう思わないんだけどね。紫織ちゃんはもうちゃんと一人でやっていけるわよ」
「それならなんでついてきたのよ」
「まあ、それでも、紫織ちゃんがちゃんとやれるか見てみたいのよ」
「野次馬みたいなものね」
「紫織ちゃんのことが心配なみあちゃんには負けるわよ」
「う、うるさいわね……」
 そんなおしゃべりをしているうちに降りる予定の駅まで着いてしまう。
「さあ、尾行再開ね」
「みあちゃんとこうしていると楽しいわね」
「なんかあんたといつもこんなことばっかやってるような気がするわ」
 なんでだろう、とみあは思った。
「そういえば、前は社長を尾行してたわよね」
「思い出さなくてよかったんだけど」
 みあは心底不快そうに言う。
「ま、あんたじゃなきゃ付き合ってくれないでしょ」
「ええ、そうね」
 あっさり答えたかなみにみあは苛立った。
「さっさといくわよ! 紫織を見失っちゃうんでしょ!」
「ええ!」
 かなみは元気よく紫織の後を追った。
「こっち、でよかったでしょうか?」
 紫織はアリィに訊く。
「そんなの地図見ればわかるでしょ。東に五百メートル、北に二百メートル、北東に七百メートル、簡単なことじゃない。とりあえずこの道を真っ直ぐよ」
「ありがとうございます」
 アリィのナビのおかげで不安は少しだけ和らぐ。
「不安ならやめておいた方がよかったんじゃないの?」
「そうかもしれませんね」
 紫織は今になってなんで受けようとしたのか、自分でも疑問に思えてならなかった。
(みあさんやかなみさんと同じ社員……)
 給料が増えるということよりも、みあ達と同じ社員になりたいと思ったから。
 そうなったら、みあは自分を見直してくれるだろうか。かなみは褒めてくれるだろうか。翠華は認めてくれるだろうか。
 そう考えると勇気が湧いてくる。
(あそこが私の居場所……)
 あそこにいられるなら、これぐらい頑張らないといけない。
 そうしないとあの人達と一緒にいる資格なんてない。
 見知らぬ街を一人で歩く。それだけで、緊張で胸が押しつぶされそうになる。
 こんな調子では入社試験を乗り切れない。

――ダメよ、弱気になってちゃ

 みあの元気づける声がする。

――紫織ちゃん、頑張って

 かなみがそう背中を押してくれた気がする。
(頑張らなくちゃ……頑張ろう……!)
 拳をぎゅっと握りしめる。
「私達に気づいたのかしら?」
 後ろから応援するかなみはそんな気がした。
「あの娘、何気にカンがいいからね」
「みあちゃん、ちょっと声大きかったじゃないの?」
「あんたほどじゃないわよ」
 実際、紫織に気づかれるんじゃないかとみあはヒヤヒヤした。
「でも、なんだかそうせずにはいられないっていうか」
「応援したくなるよね、紫織ちゃん」
「放っておけないだけでしょ」
 みあはプイッと明後日の方向を向く。照れる姿が可愛いとかなみは思った。
「それにしても入社試験ってなんだろうね?」
「今のところ、普通のおつかいって感じね……あの意地の悪い社長がそんな簡単なの用意するわけないと思うけど」
「あはは、言えてる」
 かなみは苦笑する。
 しかし、紫織がちゃんとやれるかどうか心配である。
 あるみの無茶振りで何度地獄を見たかわからない。紫織だったら下手をしたら本当に死んじゃうかもしれない。
 いざとなったら――
「言っておくけど、手を貸したらその時点で試験失格だから」
 マニィが釘を刺す。
「わかってるわよ、でも危なくなったらすぐに飛んで行くからね」
「減給するといっても?」
「う……そ、そうよ」
 言い淀んだが、かなみは間違いなく助けに入るだろうと傍で聞いていたみあは思った。
「君ならそう言うと思ったよ」
 マニィはどこか満足気にそう言った。
「危なくなったら、あくまで危なくなったらね」
「紫織のこと、大丈夫だって言ってたの忘れたの?」
 みあに言われてかなみは弱る。
「うぅ……」
「あんたの方が心配してるじゃないの」
「みあちゃんといい勝負だなんて」
「なんか聞き捨てならないわね」
「あ、紫織ちゃん、曲がったわよ!」
「ああ、ちょっと落ち着きなさいって!」
 そんなに慌てて紫織に気づかれやしないかとみあは気が気じゃなかった。

――この先に何があるのか。

 紫織は不安になった。
 あともう少しで目的地に着く。そこに何が待っているのか。
 試験というからには何か試験というに相応しいのが待ち受けているに違いない。
(頑張ろう……受かるように……!)
 紫織は決心して一歩一歩進む。
「さあ着いたわ」
 とうとう目的地に着いたのであった。
 紫織はその場所を見上げる。
「……え?」
 紫織は唖然とした。
 それは少しだけ時代がかった木造の建物に表札には「極道! 権藤組!!」と筆字で堂々と書かれていた。
「きょく、みち……?」
 小学四年生の紫織には難しい漢字であった。
「ごくどうって読むのよ」
「ごくどう?」
「やくざ……つまり、大人の不良ね、人を脅したり、お金をだまし取ったり、平気で簀巻にして海に沈めたりするような輩よ」
「……ひ!」
 そう言われて紫織は怯えてしまう。
「こ、ここに、これを渡さなければならないん、ですか……」
「そうね、それが入社試験なんだから、やってもらわないと合格できないわよ」
「…………………」
「やめる? 今やめてもいいのよ、社員になれないだけで、今まで通り魔法少女としていられるのだから」
 やめてもいいんじゃないか。
 紫織はそんな甘い声が聞こえてくる。
 でも、今やめたら……
 しっかりしなくちゃ、かなみ達と同じ社員になって本当の仲間になるんだって決めたんじゃなかったのか。
 自分に言い聞かせる。
 私はみあさんやかなみさんと同じになりたい。
 その想いだけで怖いのを必死に我慢する。
 大丈夫、私は魔法少女だから……きっとなんとかできる……
 胸にその言葉を握りしめて門戸を開ける。
「「えぇッ!?」」
 かなみとみあは思わず声を上げる。
「あの娘、ヤクザの家に入ってたわよ!?」
「っていうか、あのトランクの届け先ってやくざなの!?」
「そうとしかありえないでしょ! そうじゃなかったら紫織があんなところに入るわけ無いでしょ!」
「社長、何やらされてるのよ! 危なすぎるでしょ!」
 かなみはすぐに門を割ってでも入ろうとする。
「手出ししたら、その時点で不合格だよ」
「う……!」
 マニィの言葉に冷静にさせられる。
「かなみ、あんた……」
「わかってるわよ」
 かなみは反論する。
 みあだってかなみと同じ気持ちで、やはり門を叩き割ってでも入ろうとしている。
「みあちゃん、紫織ちゃんはすごく怖いと思うよ。でも、それでも、頑張って入ってるんだよ、それを応援してあげなくちゃダメなのよ」
「ああ、あんたに言われんでもそれぐらいわかってるって! でも、万が一紫織が危ない目にあったらどうするのよ! やくざって脅されたり、指を切らされたり、借金押し付けられたり、内蔵売り飛ばされたりするのよ!!」
「う、そ、それは……」
 心当たりがありすぎるかなみにとっても耳が痛いことだった。
「だけど、まだ紫織ちゃんがそうなると決まったわけじゃないわ!」
「かなみ……!」
 みあはかなみを睨みつける。
「だけど、ただここでじっと待ってるわけにはいかないけどね」
「え?」
 かなみは塀を乗り越えて侵入しようとする。
「え、ちょ! あんた、そんなことしたら!」
 やくざの根城に無断侵入しようものなら本当に生命が無いかもしれない。そんなことを平気でやろうとしているかなみをみあは引き留めようとする
「借金がちょっと増えるかもね」
「はあ!?」
「指を切られるかもしれないけど、だからどうしたってのよ?」
 かなみは平然と言って侵入する。
「あ、あいつ……!」
 紫織が心配でたまらないからって無茶しすぎる。
 だから、――一人にしておけない。
「付き合ってやるわよ、バカに!」
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