まほカン

jukaito

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第122話 学祭! 少女は祭りの彩りに飾りを入れる! (Aパート)

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「そういえば最近……」
 オフィスで、かなみは唐突にみあに話を切り出した。
「どうしたの?」
「翠華さんをみかけないと思って……」
「あ~そういえばそうね~」
 みあは生返事で答える。
 そのくらい気にしていなかったようだ。
「風邪でもひいたのかしら?」
「そうね」
 再びみあは生返事で答える。
「みあちゃんは心配じゃないの?」
「別に。なんか用事があるんじゃないの」
 みあのそっけない態度に、かなみはむうっとむくれる。
「大体、元からあんたみたいに毎日きてたわけじゃないじゃない」
「それはそうだけど……」
 みあの言う通り、かなみは毎日オフィスにやってきて仕事をしている。たまに魔法少女の仕事で外に出ている。
 それに比べて、みあ、翠華、紫織は毎日来ているわけではなく、二日おきだったり、三日おきだったりする。みあにいたっては週に一回しか来なかったこともある。
 翠華は一、二週間みていない。
 魔法少女の仕事で外に出て、入れ違いになっているかもしれないけど、とにかくしばらく顔を合わせていないのは事実だった。
「会えなくてさみしいの?」
 みあが指摘する。
「え、そ、それは……」
 かなみはそれは指摘されて、戸惑う。
 なんとなく顔を合わせていない、ただそれだけだったのに、そう言われてさみしいのかと自覚した。
 ただそれを口にするのはなんとなく、恥ずかしい。
「翠華に今度会ったらそれを言ってやりなさい」
「え、なんで……?」
「なんでって……そんなの、自分で考えなさいよ!」
 みあは面倒そうに答える。
「え、なんで?」
「なんでも!」
「うーん……」
 かなみは考えてみて、椅子に座った状態で上半身を振り子のように振ってみる。
「考えたけどわからないわ」
「……バカ」
 みあはそっぽ向いて、仕事を続ける。
 いつもどおりみあ宛に届いたおもちゃを使ってみて、所感をレポートで提出する仕事だ。
 今度届いたおもちゃは、UFO型のライトだった。
 UFO型のライトというのが天井にとりつけて、部屋の消すことで、UFOが天井からライトで直下をスポットライトのように照らすものだった。
「ちょっと試してみるか」
 みあはデスクの上に立って、天井にUFOをとりつけてみる。
「こんなもんね、鯖戸、灯り消して?」
 「オッケー」と鯖戸は返事して、壁際にある電灯のスイッチを押しに行く。
「かなみ、ちょっとそこ立って」
「はいはい」
 かなみはUFOの直下に立ってみる。

カチ

 鯖戸がスイッチを押して、灯りが消える。
 するとUFOからライトがついて、かなみを照らす。
「どう、みあちゃん?」
「あ、これちょっと面白いかも」
 みあは携帯電話を取り出して写真を取ろうとする。

カタン

 そこへオフィスの出入り口の扉が開く。
 やってきたのは翠華だった。
「おはようございます。灯り消してるんですか……? って、キャアアアアアアアアアアアッ、かなみさんがキャトル・ミューティレーション!?」
 翠華は突然視界に入ってきた奇抜な光景に思わず悲鳴を上げた。



「なんだか変な感じがする……」
 UFOのスポットライトに照らされたかなみの姿を写真にとってみて、それを本人が見てみた感想がそれだった。
「突然、こんなの見せられたらびっくりするわよ」
 翠華は自分の席について、ホッと安堵の息をついている。
「たしかにこれはちょっとしたおもしろ画像ねよね」
 写真を見て、みあは面白そうに言う。
 UFOのスポットライトに照らされたかなみがキョトンとして立っている。その絵面はどこか間の抜けた感じがあって味わい深く、みあは保存を決めた。
 翠華もその写真を分けて欲しいと密かに思ったけど、それをみあに申し出る勇気はなかった。
「ところで、きゃっと・いるみねーしょん? って何?」
 そこへかなみは首を傾げる。
 みあと翠華はずっこける。
「なんで猫がイルミネーションしてるのよ!?」
 みあがツッコミを入れる。
「キャトル・ミューティレーションよ、かなみさん知らない」
「知りません」
「牛とかがUFOに誘拐されて、血を抜き取られて死体が発見される事件のことよ。ほら、こんな感じのやつ」
 みあが面倒くさそうにしながらも、インターネットで画像検索した結果をかなみに見せる。
 UFOの光に吸い寄せられて、UFOのいる空へと上がっていく牛のイメージ画像だった。
「あぁ……こんな感じに私、さっきなってたことなのね……」
 かなみはそれで納得する。
「一瞬、かなみさんが遠く行ってしまうんじゃないかって不安になったわ」
「そんなわけないじゃありませんか」
「借金で売り飛ばされた奴が言っても説得力ないわね」
「あ……!」
 かなみは絶句する。
「かなみさん……」
 翠華は心配そうに、かなみを見つめる。
「不安にさせてすみませんでした! で、でも、私はどこにも行きませんよ!?」
「本当!? 急に船に乗って遠くの国行っちゃったりしない!?」
「しませんよ!!」
 みあは二人のやりとりを見て、密かに笑いをこらえる。
「……それならよかった」
 とはいえ、翠華がそう言ったことでこの話は一区切りついた。
「ところで、翠華さん?」
「何、かなみさん」
「翠華さんがオフィスに来るのは久しぶりな気がします」
「そ、そう……?」
「翠華さんこそ遠くに行っちゃったんじゃないかと思っちゃいますよ」
「え、えぇ……えぇ……」
 翠華は赤面して、大いに戸惑う。
 まさか、こんな形で「遠くへ行っちゃうんじゃないか」の反撃を食らうとは思わなかった。
(え、もしかして、かなみさんは私に遠くへ行って欲しくないってこと!?)
 戸惑いとともに前向きに考えを切り替わって、喜びが募ってくる。
「私は遠くになんか行かないわ」
「本当ですか!」
 かなみの顔がパッと明るくなる。
「本当よ。最近は学校の用事でこれなくなってたけど」
「学校の用事……?」
 かなみは以前、翠華の学校へ行ったことがある。
 同級生や生徒会の人達に顔を合わせている。自然、あの人達に関係していると思う。
「学園祭の準備だよ」
 鯖戸が代わりに言う。
「学園祭? 学園祭の準備ですか!?」
「え、えぇ……生徒会に手伝いに頼まれて……」
 翠華は何故か言いづらそうにしている。
「それは大変ですね。中々来られないのも納得です」
「そ、そうなの、大変なの……」
「学園祭はいつなんですか? 私行ってみたいです!」
「え、えぇ……!? 行ってみたい……?」
「今週の土日だよ」
 言いづらそうにしている翠華に代わって、鯖戸が答える。
「すぐじゃないですか!?」
「え、えぇ、急には無理よね。かなみさんも何かと忙しいし!」
「日曜だったら休日だよ」
 マニィが助け舟を出す。
「それじゃ、ちょうどいいですね!?」
「え、えぇ……」
「日曜が楽しみです!」
 かなみが笑顔で言う。



 そして、日曜の朝になる。
 かなみ、みあ、紫織の三人はオフィスに集合していた。
 そこから翠華の高校へ行くつもりだった。
「それにしても、みあちゃんが来るなんて思わなかったわ」
「思わなかったって?」
「みあさんってお祭りとか嫌いなイメージがあります」
 紫織は、かなみが言いづらそうにしたいことを正直に言う。
「そう? 逆にあんたの方が嫌いなイメージがあるんだけど」
「そ、そんなことないですよ」
「じゃあ、あたしもそんなことないわよ」
「じゃあって……」
 かなみはみあの態度に苦笑する。
「――本当を言うとね」
 みあはそこから一転して紫織へかなみに聞こえないように小声で言う。
「翠華の態度が気になってんのよ」
「態度?」
「あんたはあのときいなかったから知らないはずだけど、かなみが行ってみたいと言った時の翠華の態度がね……来て欲しくないみたいだったのよ……」
「え?」
 紫織は不思議に思った。
 翠華は、かなみが祭りやイベントに興味を示しているときに一緒に行こうかと誘う印象がある。ましてや行ってみたいなんて、かなみの方から言えば喜ぶところなはず。
 それが逆の態度――来て欲しくないといった態度をとるのは確かに妙だった。
「あたしのカンからすると、こういうときはね……――面白いことが起きるものなのよ」
「は、はあ……」
 紫織はそう言われて、要領を得ない返事を返したけど、時間をおいてから納得していく。
(みあさんのカンってよく当たる。でも、面白いことってなんでしょうか?)
 紫織もだんだん興味が湧いてきた。
 学園祭には何が起きるのか。



 そして、電車に乗って翠華の高校へ着く。
 かなみは以前来たことがあったけど、みあと紫織は初めてだった。
「ここが翠華さんの学校ですか。すごい盛り上がってますね」
 正門をくぐってから中庭で屋台が出ていて、生徒、父兄、付近に住んでいる子供達が行き交っていて、とても盛り上がっている。
 特に、かなみは以前来たときは生徒が半分くらい下校したあとの時間だったため、静かな印象が強く残っていたので、そのギャップに驚く。
「楽しそう! 来てよかった!」
 とはいえ、第一声はそれだった。
「それで、翠華さんはどちらに?」
 紫織は訊く。
「翠華さんは……二年B組だから……」
「二年B組は、あっちの校舎みたいね」
 みあが言う。
「どうして、みあちゃんが知ってるの?」
 初めて来たはずなのに、かなみは言いたげだった。
「パンフ、門で配ってたじゃん」
 みあは手に持っている学園祭のパンフレットを出す。
 「そうだったっけ?」「憶えてません」と、かなみと紫織は顔を合わせて、そんなやりとりをする。
「それじゃ、行ってみようか。翠華のクラスに」
 そう言って先導するみあの声が少し楽しげだったことに、かなみは少しだけ不思議に思ったけど、この祭りの雰囲気を楽しんでいるものと解釈した。
――その解釈が誤りであったことにすぐ思い知らされる。



「あの?」
 校舎に入って、翠華のクラスが出し物をしている教室は二階だったため、階段を上がる。
 階段を上がりきったところで、紫織は問いかける。
「翠華さんのクラスの出し物ってなんですか?」
 それはもうすぐわかるものだというのに、訊かずにはいられなかった。
 何故なら、みあはそれをパンフレットで見てすでに知っているからだ。知っていてそれを黙っている。そこに何か理由があるかもしれないと直感したからだ。
 それをみあは、もう教室が目前だからとあっさりと答えた。
「――お化け屋敷」
 それをかなみが聞いたのと翠華の教室に着いたのは同時だった。
 教室の外側の壁は障子のような幕が貼られていて、そこに血を模したペンキが塗られていて、いかにもおどろおどろしさを演出したい作り物に見えた。
 しかし、そんなものでも、かなみの顔を青ざめさせるには十分だった。
「帰らせてもらいます」
 かなみは、回れ右しそうになる。
「待ちなさい」
 みあはかなみの制服の裾を掴む。
「教室間違えちゃったのよ!」
「パンフみなさい! 間違いなく二年B組の教室よ!!」
「じゃあ、翠華さんは二年C組なのよ!」
「あんた、さっきは自信満々にB組だって言ってたじゃない!?」
「勘違いだったのよ!? 私は翠華さんと同級生じゃないんだから!!」
「だったら、そこの同級生かもしれないに聞いてみたら?」
 みあは廊下で受付をしている娘を指差す。
「え、そ、それは……」
「ほら!」
 みあはかなみの背中を押す。
「あ……!」
 受付の娘もかなみに気づく。というより、かなりもめているので、騒いでいるなくらいの認識はあった。
「この前、青木さんと一緒にいた娘ね」
「あ、はい……」
 かなみも受付の娘に見覚えがあった。
 翠華とこの高校に来た時に声をかけてきた娘だった。
「青木さんなら中でおばけ役やってるわよ」
「ひ! おばけ!?」
 かなみはそれだけですくみ上がる。
「今のリアクション、翠華さんがみてたらなんて思うか……」
 紫織はこの場にいない翠華に想いを馳せる。
「面白そうだから入ってみない?」
 みあは提案する。
 本心から面白そうだと思っているからこその提案だ。
「や、やめておきましょう……翠華さん、おばけなんだって……」
 かなみはすり足でこの場から抜けようとする。
「勝手に人をおばけ扱いするんじゃないの!」
「でも、おばけでおどかすって!?」
「大丈夫よ、所詮作り物でしょうが!?」
 みあの声は受付の娘までバッチリ聞こえてて苦笑いしてる。それを察した紫織も苦笑いしている。
「作り物だって怖いものは怖い!」
「翠華、あんたが入らずに帰っていったらガッカリするわよ」
「う……!」
 かなみはそう言われると弱かった。
「だって、おばけになっておどかすために頑張って準備したのよ。きっと、かなみにも見てほしいんじゃない?」
「うぅ……!」
 ここのところ、翠華はオフィスにやってこなかった。それはこのお化け屋敷を準備するためで、翠華のことだからきっとさぞ頑張っていただろうことは想像に難くない。それだけに無下に素通りすることが躊躇われる。
「くう~~~!!」
 かなみは歯を食いしばって、ワナワナと震わせる。
「あの、かなみさん。無理しなくていいですよ」
 紫織は心配そうに声を掛ける。
 それが、かなみにとって最後の一押しになった。
「いくわ!!」
「学園祭のお化け屋敷にそこまで勇気を振り絞る奴も珍しいわね」
 そこまでいくと、みあは感心する。
「一人ずつ入ってね。あっちの出口から人が出てきたら次の子が入るようにね」
 受付の娘は愛想笑いを浮かべながら言う。
 かなみとみあのやりとりを一部始終見てて、
「それじゃ、かなみから行きなさい。つっかえると迷惑になるから、ちゃんと進みなさいよ」
「う、うん……!」
 かなみは一瞬たじろぐものの、意を決する。
 教室への扉は空いてて、暗幕で中が見えないようになっている。かなみはそこへ入っていく。
 中の教室は電灯を消してて薄暗く、パーテーションで区切られているので、以前入ってた教室とはまた違う場所のような雰囲気が感じられる。率直にいってお化け屋敷っぽくて怖い。
 みあが入ってきたら、簡単で安っぽいつくりと冷めた意見をぼやくことだろう。しかし、かなみにとってはこれでも十分怖い。
 何か出てきやしないか、何も出てきませんように、と祈りながら一歩ずつ歩いていく。
 二年B組のお化け屋敷はパーテーションで一本道になっていて迷うことはない。
 入口に入ってから、一本道でまっすぐ窓際まで移動してから、左に曲がって教室の端まで向かう。
 教室の端から端まで歩いているだけなのにやたら広く長く感じる。
「誰か、いる……?」
 教室を中ほどまで進むと背後から人の気配を感じる。
 みあか紫織がもう入ってきて追いかけてきたのだろうか。
 それなら足音くらい聞こえてきてもいいはずなのだけど、聞こえない。
 おばけには足が無い。
 そんな考えが脳裏をよぎる。
 振り向けば誰がいるのかすぐわかるのに、怖くてそれができない。

ヒュー

 不意に風が吹く音がする。
「ヒャイッ!?」
 かなみは思わずその風が自分の首元に当たって悲鳴を上げる。
 それとともに身体は飛び上がって、反射的に後ろを見てしまう。
 そこに立っていたのは、長い髪を垂らした、真っ白な和服を着込んだ女性だった。
「――!?」
 そこで、かなみは恐怖の頂点に達した。
「キャアアアアアアアアアアアッ!? おばけえええええええええええッ!!?」
「キャアアアアアアアアアアアッ!? かなみさん、なんでえええええッ!!?」
 かなみと和服の少女・翠華は揃って悲鳴を上げる。



「ごめんなさい、ご迷惑をかけました」
 廊下に出たかなみは深々と一礼して謝罪する。
「あ、うんうん、そこまでびっくりしてもらったらお化け屋敷冥利に尽きるよね、青木さん?」
 受付の娘は、笑って許してくれた。
「うん、そうね……私も驚いてしまってごめんなさい……」
 翠華は長い髪のカツラをつけて和服を着込んでいた。
「青木さんも気にしないで……っていうか、青木さんってあんなに大きな声出すことあるのね、意外……」
 受付の娘はそんなことを言った。
「あんた、学校だと相当ネコを被ってるみたいね」
 みあは言う。
「そ、そんなことない、つもりだけど……」
「あの……それで、翠華さん、の、その格好……?」
 かなみは翠華の格好を問いかける。
「ああ、これは雪女の衣装なの……袖のハンディ扇風機で風を送って驚かす」
 翠華は袖からハンディ扇風機を出して説明してくれる。

ヒュー

 ハンディ扇風機のほどほどな風が、かなみの髪を撫でる。
「それがさっきの風だったんですね」
 かなみは納得する。
 雪女の姿に扮した翠華が、そのハンディ扇風機をお客にあてて冷気を演出するというのがお化け屋敷での役割だった。
「それに雪女の衣装だったんですね。それじゃ怖くありませんね」
「雪女だと怖くないんですか?」
 紫織は不思議そうに訊く。
「雪女は妖怪で、おばけじゃないから大丈夫なのよ」
「そ、そうなんですか……」
 紫織には今ひとつその違いがわからなかった。
「そうだな、オラの部下に雪女はおる」
「えッ!?」
 声のした方を見る。
「メンコちゃん、それにヨロズ!?」
 和服を着た幼い少女・メンコ姫がいた。それに、ヨロズも随伴していた。
「久しぶり。また会えて嬉しい」
 メンコは口元が綻ぶ
「う、うん、それは私も嬉しいけど、どうして、ここで?」
「テンホーがここがいいと言われた」
 ヨロズが言う。
「ヨロズ、あんたまで……!」
「関東支部に九州支部長がやってきてな。親睦を深めようということになってな」
「それで、テンホーがここを教えられたって……」
 かなみは頭を抱える。
 どうして、テンホーが翠華の学園祭のことを知っているのか。ヨロズとメンコ姫を向かわせたのか。テンホーのことだから悪趣味の一言で片付けられてしまいそうなところがタチが悪い。
(それで、素直に来ちゃうこの二人もこの二人だけど……)
 ぼやくのは心中だけにしておく。
「かなみ、どうするのよ?」
 みあもこの状況に困惑して、かなみに訊く。
「どうするって言われても……なんとなく、大丈夫な気がする。うん、なんとなく……」
「なんとなく……」
 かなみの呑気といっていい返答に、みあは呆れる。
 悪の秘密結社・ネガサイドの支部長が二人揃ってここにいる。
 しかも、敵対している魔法少女もここにいる。
 もしも、この場で戦いになったら、この学校が生徒もろとも吹き飛びかねない。
 それだけの厄災といってもいい存在がこの場にいるというのに。かなみはなんとなく大丈夫だと答えた。
「翠華も久しぶり」
 メンコ姫は、翠華に歩み寄り、挨拶する。
「……久しぶり、ね。ウチの学園祭はどうかしら?」
「賑やかだ」
 メンコ姫は周囲の様子に目をやって、そう返す。
「とても好ましい」
 こぼした一言は、とても素直なものに感じた。
「そう……」
 その一言で、翠華は安心できた。
 彼女なら学園祭を壊すことはないだろう、と確信できたからだ。
「それじゃ、一緒に見て回りましょう!」
 かなみは提案する。
「かなみがそう言うなら」
「オレも断る理由はない」
 ヨロズは言う。
「あんた、暴れたりしないでよ」
 みあはヨロズに釘を刺す。
「暴れる必要も理由もない」
 ヨロズはそう答える。
「お前と戦う理由ならあるが」
「それは今このときじゃないでしょ」
「そうだ」
 かなみはそう返すと、ヨロズは肯定する。
「ね、安心でしょ?」
 かなみは、みあや紫織に呼びかける。
「そ、それは……」
「まだ油断できないわね」
 紫織が言いづらそうにしているところに、みあがはっきりと言う。
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