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第123話 部活! 少女の奇縁は合縁をもたらす!? (Bパート)
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「いいわよ、部活結構じゃない」
あるみに話をしたら、アリィの言った通り許可してくれた。
「は、はあ……でも、仕事はいいんですか……?」
紫織は不安げに訊く。
「いいわよ。空いた穴くらいカバーできるから」
「そ、そうですか……」
あるみが力強く言ってくれたおかげで、紫織も安心し始める。
「紫織ちゃん、頑張ってね!」
一部始終聞いていたかなみが応援してくれる。
「は、はい……」
「大丈夫よ、上手くいかなくても部活なんだし」
「そ、そうですか……」
「かなみちゃん、この仕事いける?」
「はい!」
あるみに呼ばれて、封筒を受け取る。
「いってきます!」
流れるような動作で、外回りの仕事へ行く。
「紫織ちゃん、明日からしばらく休んでいいからね」
あるみはそう言ってくれた。
なんだか、それに対して違和感を感じたけど、紫織はその違和感が何なのかわからず言葉にできないでいた。
そんなわけで翌日の放課後、紫織は和子に案内されるまま、ソフトボールの部室にやってきた。
「キャプテン、誰それ?」
すでに練習着に着替えていた部員が訊いてきた。
「助っ人だ」
和子は堂々と言う。
「助っ人? へえ~」
部員は紫織を見る。
「とてもそんな風に見えないんだけど」といった視線だ。
紫織の方も、そんな風に言われても、といった具合で困る。
「バッティングセンターで見つけたんだ。こう見えてガンガン打つんだ」
「へえ~ガンガンねえ~」
「は、はい、よろしくお願いします!」
紫織は勢いよく一礼する。
「う、うん、よろしく」
「今日から一緒に練習するからな!」
「あんたも大変ね。キャプテンに引っ張ってこられたんでしょ?」
「は、はは……」
あたっていた。
「今度の試合、どうしても勝ちたいみたいだからね。十連敗中だから」
「じゅ、十連敗……!」
「今度の試合に勝つからいいんだよ! 紫織もいるしな!」
「え、えぇ……」
そんな風に頼られても困る。
そんなわけで、体操着に着替えて外に出る。
やがて運動場で部員達が集合する。
キャプテンの和子から紫織が紹介される。
紫織は「よ、よろしくお願いします」と一礼する。
そこからランニングと準備体操をする。
準備体操が終わったら、キャッチボール。
紫織はグローブを持っていないので、部室の物を借りた。機会あったら、買ってみたいと紫織は思った。
ポトン!
キャッチボールをしてみたら、ボールをグローブに当てて落としてしまった。
「あ……すみません!」
紫織は慌ててボールを拾う。
キャッチボールでは相手にボールを投げ返さないといけない。
今度は紫織が投げる番だ。
「それ!」
距離はそれほどないけど、初めての投球。
かなみや翠華がやったように、と思い出しながら投げてみる。
ポンポン
ボールは相手に届くことなく二回ほど地面を転がって、相手が捕ってくれる。
「?」
相手は不思議そうな顔をする。
キャプテンが助っ人と紹介したのだから、さぞ上手い人なのかなと思っていただけに、初めてソフトボールに触るような雰囲気の人だったので、不思議で仕方がないのだろう。
紫織はそんな視線を感じて、緊張してくる。
ポトン!
そして、またボールをグローブに当てて落としてしまった。
ポトン、ポンポン、ポトン、ポンポン、ポトン、ポンポン……
そこから、キャッチボールをしても、上手く捕球できず、また投球も相手にまっすぐいかず地面を転がってようやくつくレベル。
(下手っていうより、初めてソフトボールに触った感じ?)
相手はそんな印象を抱いた。
またそれを見ていた周囲の部員達も同じ印象だった。
「キャプテン、あの子……」
とうとうその疑問をキャプテンに訊く部員が現れた。
「ソフトやったのは初めてだったか。まあバッティングは上手かったんだよ。バッティングセンターだけどな」
「バッティングセンターって、野球の?」
「野球だな。まああれだけ打てたらソフトも結構打てるだろうなって!」
「そっか……」
果たして、キャプテンの発言が本当なのか。
ボールをグローブを弾いて、慌てて拾う紫織の姿を見て訝しむ部員達だった。
キャッチボールが終わると次はノックだった。
各自ポジションにつく。
「あの~私はどこにいけば?」
紫織は和子に訊く。
「え、紫織ちゃん、ポジションは?」
「ポジション……?」
ポジションなんて考えたことがなかった。
バッティングセンターで打つことしか、バットで敵やボールを打つことだけしかしてこなかった。
「あ、ポジションがわからないか?」
和子が察して訊く。
「あ、いえ、ポジションならわかります」
ポジションなら一応知っている。
「ただ、自分がどのポジションにつけばいいのかわからないのです……」
「そうなのか。うーん、だったら、自分がついてみたいポジションにいけばいいぞ」
「自分がついてみたいポジション、ですか……」
紫織はグラウンドを見渡してみる。
「うーん、うーん……」
紫織はどこにつきたいか、わからず右往左往する。
「あ~だったら~」
和子は見かねて、紫織のポジションを考えてみる。
「ファーストに入ってみたらどうだ?」
「ファースト、ですか? わかりました」
紫織は言われるまま、ファーストにつく。
ファーストの位置には紫織の他に三人ほどついていた。
その三人は不思議そうに紫織を見つめている。
「よーし、はじめるぞ!!」
しかし、和子が号令をかけたことで気持ちは切り替わる。
キィン!
和子がボールを打ち、サードへゴロが転がっていく。
サードの子はゴロを捕球して、ファーストへ投げる。
ファーストの子はそのボールを捕る。
(上手……)
紫織は知らないものの、サードとファーストのレギュラーの子だったので、一連の動作がスムーズだった。
次のサードはボールをこぼしたし、ファーストへ投げても、ワンバウンドしてようやく届く。ファーストもそのワンバウンドした送球をこぼした。
その様子を見て、紫織は少しだけ安心した。
みんな完璧に出来るものじゃない、と。
だったら、私が失敗しても大丈夫かと思った。
「次はあなたの番よ」
「え?」
紫織は気づかず、ノックでボールがやってくると思った。
キィン!
しかし、ボールが打たれた方向はショートだった。
「え?」
その打球を追いかけると、ショートはゴロを捕球する。
そこから、こちらにボールを投げようとしている。
「え!? あ!?」
紫織は気づいた。
ファーストは他のポジションの人がゴロを捕ったら、ファーストに向かって投げるので、ファーストベースに足をつけて、投げてきたボールを捕らなければならない。
気づいたときには、紫織はあわててファーストベースに足をつける。
慣れた人ならこの動作は足元を見ずに、ベースを踏んだ状態になれるのだけど、紫織は初めてだったので、見るのが遅れた。
「あわわ!」
紫織がショートの方へ視線を戻す。
すでにショートはゴロを捕って、ファーストへ投げていた。
「あ、ああ!?」
紫織は慌てふためいてボールを向き合う。
ポトン
紫織はグローブにボールを弾いてしまう。
「ああ……!」
紫織は慌ててボールを拾う。
そこから、紫織は平常心でいられず、自分がファーストでボールを受ける番になるとあたふたしてしまい、まともにボールを捕れずにこぼしてしまう。
当然、和子が打つノックのゴロも捕れるはずが無く、送球と同じようにグローブを弾いてしまう。
ノックで守備を一回り終わると、またサードからノックが始まる。
そうして、何周か守備を打ち続け、日が暮れだす頃になると、和子はノックを止める。
「次はバッティングだ! レギュラーはバットを持て! あと紫織ちゃんも来て!」
「は、はい!」
紫織は和子の方へ走り寄る。
「レギュラーは順番に打っていくから、紫織ちゃんは最後に打って。それまでは素振りしておいて」
「はい!」
紫織は和子からバットを渡される。
素振りなら一人で練習してきているから慣れている。
ブゥン!
紫織は一人素振りを始める。
「振りはいいんだけどな」
和子はその素振りを見て言う。
カァン!
そんな紫織達を尻目に、バッティング練習は始まる。
練習方法はピッチャー役の部員が投げた球を打って、守備についている部員達がボールを捕る、というものだ。
打者はみんなレギュラーだけあって打つのは上手で、バットの真芯にボールをあてて強い当たりを何度も打っている。
(すごい……)
紫織はその強い打球を打つ様に憧れを抱く。
「あ、ああ……私もちゃんとしないと!」
紫織は素振りを続ける。
時々大きな打球音が聞こえるものの、その打球を見つつ、素振りを続ける。
そうしているうちに、紫織の番になる。
「紫織ちゃんの番だよ、バッターボークスに立って」
和子が言う。
「は、はい!」
紫織はバッターボックスに立つ。
「よ、よろしくお願いします!」
紫織は一礼してからバットを構える。
(みんな、私を見ている……!)
視線を自分に集中しているのを感じる。
そのせいで、自然と身体が強張ってしまう。
そんな中で、まともに打てるはずがなかった。
ピッチャーが投げたボールに慌てて反応して、ボールを打つ。
カン、ポンポン
ボールはバットをかすめて当たり、ショートへ転がっていく。
「うぅ……」
またしても失敗してしまった、と、紫織の気持ちが沈む。
そこから、バッティングもいい結果が出るはずがなかった。
来る球、来る球、バットを振っても、当たりはするもののジャストミートまでは至らない。
カン、と乾いた打球音が何度も続く。
それを見返そうと気持ちがバットともに空回りして、ろくでもない結果を生む。
「キャプテンが連れてきた助っ人っていうから」
「どんな人かと思ったら、全然……」
「ヘタ? っていうより、初めてソフトやった感じだったよね?」
「期待外れ、かな?」
部室で着替えている部員達は談笑している。
紫織はそれを外から聞き耳を立てていた。
全然、ヘタ、期待外れ、そんな言葉が妙に大きく聞こえる。
「……うぅ」
紫織はいたたまれなくなって、その場から立ち去る。
「お! 紫織ちゃん!」
和子がそんな紫織に気づいて呼び止める。
「今日はありがとうね」
「あ、あの……私、ヘタで……」
「そうだな、思ったよりヘタだったな、ハハハ!」
和子ははっきりと笑って言う。
「そうですよね、ヘタでしたよね……」
紫織は落ち込む。
「まあ、気にすることじゃないよ。今日が初めてだから緊張しただけだろ」
「い、いえ……私はヘタだから……緊張していなくても……」
そう言って、紫織は和子から逃げるように走り去る。
「はあ……」
学校から出ると、周囲に誰もいないと思ってため息をつく。
「上手くいかなかったわね」
ランドセルからアリィが声を出してくる。
「はい……」
「まあ、キャプテンも言ってたじゃない。今日は初めてだから緊張してただけよ。あんたはやればできる子なんだから」
「そうでしょうか?」
「ええ、そうよ」
「明日は上手くできますでしょうか?」
「さあわからないわね。あなた次第よ」
そこで、気休めになるようなことを言わないのがアリィの性格だった。
「そうですね……」
足取りは相変わらず重い。
明日は上手く出来るだろうか。明日も今日と同じような気がする。
ううん、もっと悪くなっているかもしれない。
明日も上手く出来なくて、明後日もまた上手く出来なくて……悪い方に気が向いてしまって、だんだん気が重たくなってくる。
「紫織ちゃん!」
「え……?」
聞き慣れた声に呼ばれて、思わず足を止める。
「かなみさん? どうして?」
声の主はかなみだった。
「たまたま近くを通りかかって……」
「通りかかって、って、仕事中ですか?」
「ううん、怪人は見つからなくて今日はもう帰るところだったの」
「そうだったんですか? それで見ていたんですか?」
「え、見ていたって何を?」
「あ、あの……恥ずかしいところというか、醜態といいますか……」
「え、そんなところあったの?」
かなみはあっけらかんとする。
「見ていなかったんですか……? 練習を……?」
「今来たばかりだから見てないけど、紫織ちゃんの練習? 見たかったわ!」
「み、見たかったですか……」
かなみは笑顔で言うと、紫織は固まる。
「ええ、紫織ちゃん、頑張ってたんでしょ?」
「は、はい……で、でも、うまくできなくて……」
「あ、そうなの……」
「かなみさんが見ていなくて、よかったです……」
「あ、そ、そうね……気持ちはわかる。私も最初の練習は全然ダメだったから、アハハ」
「え? かなみさんも?」
「キャッチボールもまともにできなくてね」
「……私もできませんでした」
「あ、そうなの。やっぱり最初はできないよね? でも、大丈夫! すぐにできるようになるから!」
「そ、そうでしょうか……?」
「ええ! 私だって、できたんだから!」
「えぇ……それは、かなみさんができる人、だったから、じゃないんですか?」
「私が、できる人? ううん、そんなこと、全然ないわよ!」
「そうでしょうか……?」
「紫織ちゃん、私のことそんなふうに思ってたのね……」
「あ、す、すみません……」
「あ、謝らなくていいから、うーん……それじゃ、紫織ちゃんもできる人になりましょう!」
「え?」
かなみの物言いに、紫織はキョトンとする。
その後、近くの公園で、かなみと紫織はキャッチボールすることにした。
かなみはグローブとボールをカバンから取り出して、紫織は部室から借りたグローブを出す。
「それじゃ、やってみましょう」
「は、はい……!」
紫織はグローブをはめて、返事をする。
身体がガタガタ震えていて、かなみの目からみてとても捕れる状態じゃない。
「紫織ちゃん、リラックス! リラックス!」
「は、はい!」
紫織は身体をピンと伸ばす。
まだ捕れる状態じゃない。
「うーん、まだ硬いわね……それだったら、えい!」
かなみはボールを投げる。
ボールは山なりで紫織の手前でワンバウンドしてボールはゆっくりと紫織に届く。
紫織は素手でも問題なくとれそうなそのボールをグローブへと丁寧に収める。
「あ……!」
今日の練習――キャッチボールからノックまでを合わせてはじめてボールがグローブへと収まった。
「紫織ちゃん、ボール捕れたね!」
「は、はい! かなみさんのおかげです!!」
「おめでとう!」
かなみは拍手を起こる。
紫織は嬉しさで赤面する。
「それじゃ、今度は私の方に投げて」
かなみはグローブを広げて、平手のような状態で紫織に見せる。
「は、はい……!」
紫織はボールを投げる体勢に入る。
まだ動きがガチガチで硬い。
「あ……!」
ボールを手から離した瞬間、投げ損なったのがわかる。
ポンポン……
ボールは力なくバウンドして、最後には転がっていき、ようやくかなみに辿り着く。
「ごめんなさい……」
紫織は謝る。
「どうして謝るの? ちゃんとボールが届いてるよ」
「え、でも、ちゃんと、ですか?」
「うん、ちゃんと!」
かなみは力強くそう言って、ボールを持って見せる。
「それじゃ、もう一回!」
かなみはボールを投げる。
同じようにワンバウンドして、紫織のグローブに届く。
「ナイスボール、です……」
「ほら、紫織ちゃんも!」
「は、はい!」
紫織は急かされたように、ボールを投げる。
ポンポン
今度は2回バウンドして、かなみに届く。
「ナイスボール!」
かなみは笑顔で言う。
「そ、そうでしょうか……?」
「うん! さっきよりよくなってるから!」
「そ、それは……」
さっきのあまりにも力ない投球と比べると納得するしかない。
「次はもっといい球が投げられるようになるよ。紫織ちゃん、伸び代があるよ」
「そうでしょうか? 伸び代ありますか?」
「ええ、ほら! もう一回!」
かなみはボールを投げる。
パン!
今度はノーバウンドで投げられた球を紫織はちゃんとグローブで捕る。
「あ……!」
「ナイスキャッチ!」
「は、はい……思わず……」
紫織はそう言いながら、投げる。
パン!
かなみはノーバウンドで届いたボールを捕る。
「ナイスボール!」
「あ……!」
「紫織ちゃん、本当にナイスボールよ!! ほら!」
「はい!」
それから、かなみと紫織はキャッチボールを続けた。
すぐに日が暮れてボールが、よく見えないくらい暗くなってしまったので、ベンチで休憩した。
「紫織ちゃん、ちゃんとキャッチボールできたね」
「はい、自分でも信じられませんでした……」
紫織はハンカチで汗を拭いつつ、少し興奮気味に言う。
「でも、紫織ちゃん、キャッチボール上手だったよ。練習でもこんな感じにできるようになるわよ!」
「こんな感じ……できたらいいんですけどね……」
紫織は不安げに言う。
「紫織ちゃん、まだ何かあるの?」
「私、ダメなんです……練習になると緊張してしまって……」
「緊張するとさっきみたいにガチガチになっちゃうのね」
「……はい」
紫織は縮こまってしまう。
「あ、うーん、緊張すると難しいわね。どうしたらいいのか……」
かなみは腕組みして考える。
「だったら、今日の上手くいったことを考えたらいいんじゃない?」
「上手くいったこと、ですか?」
「ほら、紫織ちゃん、私とキャッチボールしたらちゃんとボールをとって、ボールを投げられたんだから! そのことを考えてたら、きっといくわよ!」
「そ、そうでしょうか?」
「ええ、紫織ちゃんはちゃんとキャッチボールできてたんだから! できるわよ!!」
「できる……!」
かなみにそう言われると、なんだかできるような気になってくる。
「はい! 私、頑張ります!」
紫織は手をギュッと握って、少し力強く言う。
それを見たかなみは、ニコリと微笑む。
それから、紫織は帰路に着くために別れる。かなみは笑顔で見送る。
「驚いたよ」
一人になったところで、マニィがカバンから顔を出す。
「驚いたって何が?」
「君がしっかりいい先輩しているってことだよ」
「え、えぇ? 私、おかしかった?」
「別に……ただ、そういう一面もあるんだって驚いたってことだよ」
「それは、おかしいって言ってるってことじゃないの」
「褒めてるんだよ。案外、社長もそういうところを見込んでいるかもしれないね」
「そ、そうなのかしら?」
「自覚がないなら、それはそれでいいかもしれないね」
かなみは首を傾げる。
あるみに話をしたら、アリィの言った通り許可してくれた。
「は、はあ……でも、仕事はいいんですか……?」
紫織は不安げに訊く。
「いいわよ。空いた穴くらいカバーできるから」
「そ、そうですか……」
あるみが力強く言ってくれたおかげで、紫織も安心し始める。
「紫織ちゃん、頑張ってね!」
一部始終聞いていたかなみが応援してくれる。
「は、はい……」
「大丈夫よ、上手くいかなくても部活なんだし」
「そ、そうですか……」
「かなみちゃん、この仕事いける?」
「はい!」
あるみに呼ばれて、封筒を受け取る。
「いってきます!」
流れるような動作で、外回りの仕事へ行く。
「紫織ちゃん、明日からしばらく休んでいいからね」
あるみはそう言ってくれた。
なんだか、それに対して違和感を感じたけど、紫織はその違和感が何なのかわからず言葉にできないでいた。
そんなわけで翌日の放課後、紫織は和子に案内されるまま、ソフトボールの部室にやってきた。
「キャプテン、誰それ?」
すでに練習着に着替えていた部員が訊いてきた。
「助っ人だ」
和子は堂々と言う。
「助っ人? へえ~」
部員は紫織を見る。
「とてもそんな風に見えないんだけど」といった視線だ。
紫織の方も、そんな風に言われても、といった具合で困る。
「バッティングセンターで見つけたんだ。こう見えてガンガン打つんだ」
「へえ~ガンガンねえ~」
「は、はい、よろしくお願いします!」
紫織は勢いよく一礼する。
「う、うん、よろしく」
「今日から一緒に練習するからな!」
「あんたも大変ね。キャプテンに引っ張ってこられたんでしょ?」
「は、はは……」
あたっていた。
「今度の試合、どうしても勝ちたいみたいだからね。十連敗中だから」
「じゅ、十連敗……!」
「今度の試合に勝つからいいんだよ! 紫織もいるしな!」
「え、えぇ……」
そんな風に頼られても困る。
そんなわけで、体操着に着替えて外に出る。
やがて運動場で部員達が集合する。
キャプテンの和子から紫織が紹介される。
紫織は「よ、よろしくお願いします」と一礼する。
そこからランニングと準備体操をする。
準備体操が終わったら、キャッチボール。
紫織はグローブを持っていないので、部室の物を借りた。機会あったら、買ってみたいと紫織は思った。
ポトン!
キャッチボールをしてみたら、ボールをグローブに当てて落としてしまった。
「あ……すみません!」
紫織は慌ててボールを拾う。
キャッチボールでは相手にボールを投げ返さないといけない。
今度は紫織が投げる番だ。
「それ!」
距離はそれほどないけど、初めての投球。
かなみや翠華がやったように、と思い出しながら投げてみる。
ポンポン
ボールは相手に届くことなく二回ほど地面を転がって、相手が捕ってくれる。
「?」
相手は不思議そうな顔をする。
キャプテンが助っ人と紹介したのだから、さぞ上手い人なのかなと思っていただけに、初めてソフトボールに触るような雰囲気の人だったので、不思議で仕方がないのだろう。
紫織はそんな視線を感じて、緊張してくる。
ポトン!
そして、またボールをグローブに当てて落としてしまった。
ポトン、ポンポン、ポトン、ポンポン、ポトン、ポンポン……
そこから、キャッチボールをしても、上手く捕球できず、また投球も相手にまっすぐいかず地面を転がってようやくつくレベル。
(下手っていうより、初めてソフトボールに触った感じ?)
相手はそんな印象を抱いた。
またそれを見ていた周囲の部員達も同じ印象だった。
「キャプテン、あの子……」
とうとうその疑問をキャプテンに訊く部員が現れた。
「ソフトやったのは初めてだったか。まあバッティングは上手かったんだよ。バッティングセンターだけどな」
「バッティングセンターって、野球の?」
「野球だな。まああれだけ打てたらソフトも結構打てるだろうなって!」
「そっか……」
果たして、キャプテンの発言が本当なのか。
ボールをグローブを弾いて、慌てて拾う紫織の姿を見て訝しむ部員達だった。
キャッチボールが終わると次はノックだった。
各自ポジションにつく。
「あの~私はどこにいけば?」
紫織は和子に訊く。
「え、紫織ちゃん、ポジションは?」
「ポジション……?」
ポジションなんて考えたことがなかった。
バッティングセンターで打つことしか、バットで敵やボールを打つことだけしかしてこなかった。
「あ、ポジションがわからないか?」
和子が察して訊く。
「あ、いえ、ポジションならわかります」
ポジションなら一応知っている。
「ただ、自分がどのポジションにつけばいいのかわからないのです……」
「そうなのか。うーん、だったら、自分がついてみたいポジションにいけばいいぞ」
「自分がついてみたいポジション、ですか……」
紫織はグラウンドを見渡してみる。
「うーん、うーん……」
紫織はどこにつきたいか、わからず右往左往する。
「あ~だったら~」
和子は見かねて、紫織のポジションを考えてみる。
「ファーストに入ってみたらどうだ?」
「ファースト、ですか? わかりました」
紫織は言われるまま、ファーストにつく。
ファーストの位置には紫織の他に三人ほどついていた。
その三人は不思議そうに紫織を見つめている。
「よーし、はじめるぞ!!」
しかし、和子が号令をかけたことで気持ちは切り替わる。
キィン!
和子がボールを打ち、サードへゴロが転がっていく。
サードの子はゴロを捕球して、ファーストへ投げる。
ファーストの子はそのボールを捕る。
(上手……)
紫織は知らないものの、サードとファーストのレギュラーの子だったので、一連の動作がスムーズだった。
次のサードはボールをこぼしたし、ファーストへ投げても、ワンバウンドしてようやく届く。ファーストもそのワンバウンドした送球をこぼした。
その様子を見て、紫織は少しだけ安心した。
みんな完璧に出来るものじゃない、と。
だったら、私が失敗しても大丈夫かと思った。
「次はあなたの番よ」
「え?」
紫織は気づかず、ノックでボールがやってくると思った。
キィン!
しかし、ボールが打たれた方向はショートだった。
「え?」
その打球を追いかけると、ショートはゴロを捕球する。
そこから、こちらにボールを投げようとしている。
「え!? あ!?」
紫織は気づいた。
ファーストは他のポジションの人がゴロを捕ったら、ファーストに向かって投げるので、ファーストベースに足をつけて、投げてきたボールを捕らなければならない。
気づいたときには、紫織はあわててファーストベースに足をつける。
慣れた人ならこの動作は足元を見ずに、ベースを踏んだ状態になれるのだけど、紫織は初めてだったので、見るのが遅れた。
「あわわ!」
紫織がショートの方へ視線を戻す。
すでにショートはゴロを捕って、ファーストへ投げていた。
「あ、ああ!?」
紫織は慌てふためいてボールを向き合う。
ポトン
紫織はグローブにボールを弾いてしまう。
「ああ……!」
紫織は慌ててボールを拾う。
そこから、紫織は平常心でいられず、自分がファーストでボールを受ける番になるとあたふたしてしまい、まともにボールを捕れずにこぼしてしまう。
当然、和子が打つノックのゴロも捕れるはずが無く、送球と同じようにグローブを弾いてしまう。
ノックで守備を一回り終わると、またサードからノックが始まる。
そうして、何周か守備を打ち続け、日が暮れだす頃になると、和子はノックを止める。
「次はバッティングだ! レギュラーはバットを持て! あと紫織ちゃんも来て!」
「は、はい!」
紫織は和子の方へ走り寄る。
「レギュラーは順番に打っていくから、紫織ちゃんは最後に打って。それまでは素振りしておいて」
「はい!」
紫織は和子からバットを渡される。
素振りなら一人で練習してきているから慣れている。
ブゥン!
紫織は一人素振りを始める。
「振りはいいんだけどな」
和子はその素振りを見て言う。
カァン!
そんな紫織達を尻目に、バッティング練習は始まる。
練習方法はピッチャー役の部員が投げた球を打って、守備についている部員達がボールを捕る、というものだ。
打者はみんなレギュラーだけあって打つのは上手で、バットの真芯にボールをあてて強い当たりを何度も打っている。
(すごい……)
紫織はその強い打球を打つ様に憧れを抱く。
「あ、ああ……私もちゃんとしないと!」
紫織は素振りを続ける。
時々大きな打球音が聞こえるものの、その打球を見つつ、素振りを続ける。
そうしているうちに、紫織の番になる。
「紫織ちゃんの番だよ、バッターボークスに立って」
和子が言う。
「は、はい!」
紫織はバッターボックスに立つ。
「よ、よろしくお願いします!」
紫織は一礼してからバットを構える。
(みんな、私を見ている……!)
視線を自分に集中しているのを感じる。
そのせいで、自然と身体が強張ってしまう。
そんな中で、まともに打てるはずがなかった。
ピッチャーが投げたボールに慌てて反応して、ボールを打つ。
カン、ポンポン
ボールはバットをかすめて当たり、ショートへ転がっていく。
「うぅ……」
またしても失敗してしまった、と、紫織の気持ちが沈む。
そこから、バッティングもいい結果が出るはずがなかった。
来る球、来る球、バットを振っても、当たりはするもののジャストミートまでは至らない。
カン、と乾いた打球音が何度も続く。
それを見返そうと気持ちがバットともに空回りして、ろくでもない結果を生む。
「キャプテンが連れてきた助っ人っていうから」
「どんな人かと思ったら、全然……」
「ヘタ? っていうより、初めてソフトやった感じだったよね?」
「期待外れ、かな?」
部室で着替えている部員達は談笑している。
紫織はそれを外から聞き耳を立てていた。
全然、ヘタ、期待外れ、そんな言葉が妙に大きく聞こえる。
「……うぅ」
紫織はいたたまれなくなって、その場から立ち去る。
「お! 紫織ちゃん!」
和子がそんな紫織に気づいて呼び止める。
「今日はありがとうね」
「あ、あの……私、ヘタで……」
「そうだな、思ったよりヘタだったな、ハハハ!」
和子ははっきりと笑って言う。
「そうですよね、ヘタでしたよね……」
紫織は落ち込む。
「まあ、気にすることじゃないよ。今日が初めてだから緊張しただけだろ」
「い、いえ……私はヘタだから……緊張していなくても……」
そう言って、紫織は和子から逃げるように走り去る。
「はあ……」
学校から出ると、周囲に誰もいないと思ってため息をつく。
「上手くいかなかったわね」
ランドセルからアリィが声を出してくる。
「はい……」
「まあ、キャプテンも言ってたじゃない。今日は初めてだから緊張してただけよ。あんたはやればできる子なんだから」
「そうでしょうか?」
「ええ、そうよ」
「明日は上手くできますでしょうか?」
「さあわからないわね。あなた次第よ」
そこで、気休めになるようなことを言わないのがアリィの性格だった。
「そうですね……」
足取りは相変わらず重い。
明日は上手く出来るだろうか。明日も今日と同じような気がする。
ううん、もっと悪くなっているかもしれない。
明日も上手く出来なくて、明後日もまた上手く出来なくて……悪い方に気が向いてしまって、だんだん気が重たくなってくる。
「紫織ちゃん!」
「え……?」
聞き慣れた声に呼ばれて、思わず足を止める。
「かなみさん? どうして?」
声の主はかなみだった。
「たまたま近くを通りかかって……」
「通りかかって、って、仕事中ですか?」
「ううん、怪人は見つからなくて今日はもう帰るところだったの」
「そうだったんですか? それで見ていたんですか?」
「え、見ていたって何を?」
「あ、あの……恥ずかしいところというか、醜態といいますか……」
「え、そんなところあったの?」
かなみはあっけらかんとする。
「見ていなかったんですか……? 練習を……?」
「今来たばかりだから見てないけど、紫織ちゃんの練習? 見たかったわ!」
「み、見たかったですか……」
かなみは笑顔で言うと、紫織は固まる。
「ええ、紫織ちゃん、頑張ってたんでしょ?」
「は、はい……で、でも、うまくできなくて……」
「あ、そうなの……」
「かなみさんが見ていなくて、よかったです……」
「あ、そ、そうね……気持ちはわかる。私も最初の練習は全然ダメだったから、アハハ」
「え? かなみさんも?」
「キャッチボールもまともにできなくてね」
「……私もできませんでした」
「あ、そうなの。やっぱり最初はできないよね? でも、大丈夫! すぐにできるようになるから!」
「そ、そうでしょうか……?」
「ええ! 私だって、できたんだから!」
「えぇ……それは、かなみさんができる人、だったから、じゃないんですか?」
「私が、できる人? ううん、そんなこと、全然ないわよ!」
「そうでしょうか……?」
「紫織ちゃん、私のことそんなふうに思ってたのね……」
「あ、す、すみません……」
「あ、謝らなくていいから、うーん……それじゃ、紫織ちゃんもできる人になりましょう!」
「え?」
かなみの物言いに、紫織はキョトンとする。
その後、近くの公園で、かなみと紫織はキャッチボールすることにした。
かなみはグローブとボールをカバンから取り出して、紫織は部室から借りたグローブを出す。
「それじゃ、やってみましょう」
「は、はい……!」
紫織はグローブをはめて、返事をする。
身体がガタガタ震えていて、かなみの目からみてとても捕れる状態じゃない。
「紫織ちゃん、リラックス! リラックス!」
「は、はい!」
紫織は身体をピンと伸ばす。
まだ捕れる状態じゃない。
「うーん、まだ硬いわね……それだったら、えい!」
かなみはボールを投げる。
ボールは山なりで紫織の手前でワンバウンドしてボールはゆっくりと紫織に届く。
紫織は素手でも問題なくとれそうなそのボールをグローブへと丁寧に収める。
「あ……!」
今日の練習――キャッチボールからノックまでを合わせてはじめてボールがグローブへと収まった。
「紫織ちゃん、ボール捕れたね!」
「は、はい! かなみさんのおかげです!!」
「おめでとう!」
かなみは拍手を起こる。
紫織は嬉しさで赤面する。
「それじゃ、今度は私の方に投げて」
かなみはグローブを広げて、平手のような状態で紫織に見せる。
「は、はい……!」
紫織はボールを投げる体勢に入る。
まだ動きがガチガチで硬い。
「あ……!」
ボールを手から離した瞬間、投げ損なったのがわかる。
ポンポン……
ボールは力なくバウンドして、最後には転がっていき、ようやくかなみに辿り着く。
「ごめんなさい……」
紫織は謝る。
「どうして謝るの? ちゃんとボールが届いてるよ」
「え、でも、ちゃんと、ですか?」
「うん、ちゃんと!」
かなみは力強くそう言って、ボールを持って見せる。
「それじゃ、もう一回!」
かなみはボールを投げる。
同じようにワンバウンドして、紫織のグローブに届く。
「ナイスボール、です……」
「ほら、紫織ちゃんも!」
「は、はい!」
紫織は急かされたように、ボールを投げる。
ポンポン
今度は2回バウンドして、かなみに届く。
「ナイスボール!」
かなみは笑顔で言う。
「そ、そうでしょうか……?」
「うん! さっきよりよくなってるから!」
「そ、それは……」
さっきのあまりにも力ない投球と比べると納得するしかない。
「次はもっといい球が投げられるようになるよ。紫織ちゃん、伸び代があるよ」
「そうでしょうか? 伸び代ありますか?」
「ええ、ほら! もう一回!」
かなみはボールを投げる。
パン!
今度はノーバウンドで投げられた球を紫織はちゃんとグローブで捕る。
「あ……!」
「ナイスキャッチ!」
「は、はい……思わず……」
紫織はそう言いながら、投げる。
パン!
かなみはノーバウンドで届いたボールを捕る。
「ナイスボール!」
「あ……!」
「紫織ちゃん、本当にナイスボールよ!! ほら!」
「はい!」
それから、かなみと紫織はキャッチボールを続けた。
すぐに日が暮れてボールが、よく見えないくらい暗くなってしまったので、ベンチで休憩した。
「紫織ちゃん、ちゃんとキャッチボールできたね」
「はい、自分でも信じられませんでした……」
紫織はハンカチで汗を拭いつつ、少し興奮気味に言う。
「でも、紫織ちゃん、キャッチボール上手だったよ。練習でもこんな感じにできるようになるわよ!」
「こんな感じ……できたらいいんですけどね……」
紫織は不安げに言う。
「紫織ちゃん、まだ何かあるの?」
「私、ダメなんです……練習になると緊張してしまって……」
「緊張するとさっきみたいにガチガチになっちゃうのね」
「……はい」
紫織は縮こまってしまう。
「あ、うーん、緊張すると難しいわね。どうしたらいいのか……」
かなみは腕組みして考える。
「だったら、今日の上手くいったことを考えたらいいんじゃない?」
「上手くいったこと、ですか?」
「ほら、紫織ちゃん、私とキャッチボールしたらちゃんとボールをとって、ボールを投げられたんだから! そのことを考えてたら、きっといくわよ!」
「そ、そうでしょうか?」
「ええ、紫織ちゃんはちゃんとキャッチボールできてたんだから! できるわよ!!」
「できる……!」
かなみにそう言われると、なんだかできるような気になってくる。
「はい! 私、頑張ります!」
紫織は手をギュッと握って、少し力強く言う。
それを見たかなみは、ニコリと微笑む。
それから、紫織は帰路に着くために別れる。かなみは笑顔で見送る。
「驚いたよ」
一人になったところで、マニィがカバンから顔を出す。
「驚いたって何が?」
「君がしっかりいい先輩しているってことだよ」
「え、えぇ? 私、おかしかった?」
「別に……ただ、そういう一面もあるんだって驚いたってことだよ」
「それは、おかしいって言ってるってことじゃないの」
「褒めてるんだよ。案外、社長もそういうところを見込んでいるかもしれないね」
「そ、そうなのかしら?」
「自覚がないなら、それはそれでいいかもしれないね」
かなみは首を傾げる。
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