まほカン

jukaito

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第125話 旧友! 少女と少女の再会の化学反応! (Bパート)

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「は、はあ……」
 梢恵は唖然とする。
「あ、あの、翠華さん……?」
「今からオフィスに行くところだったのだけど、見かけてね。ここは私に任せて」
 翠華にそう言われて頼もしさを感じる。
「あの、かなみの先輩って何の先輩ですか?」
「学外の活動よ」
「がくがい?」
「そう、かなみさんはちょっとうちの会社で手伝ってもらってるのよ」
「会社? 会社って何やってるの?」
「おもちゃの受注と管理よ」
 翠華は嘘は言っていなかった。
 株式会社魔法少女の表向きの仕事は、みあの父親が経営するおもちゃ会社の下請けのようなことをしている。当然その仕事で月給をもらっていたりする。
「へ、へえ……かなみ、そんなことしているんだ……でも、なんで、そんなことしてるの?」
「そ、それは……おこづかいが欲しくて!」
「あ~そっか、かなみって親にこづかいあんまりもらってなかったっけ?」
「う、うん……」
 あんまりどころか、まったくもらっていないのだけど、それは口に出して言えなかった。
「なんだ、バイトしてたんだ……それじゃ夜遅くなってもおかしくないし、かなみの親だったら何も言わないわよね。ずっと留守にしてるくらいだし」
「そうなの……でも、最近はよく帰ってきてるのよ」
「え、そうなの!? かなみの親って……みたことないわね」
「うん、ずっと仕事で留守にしてたから」
「ちょっと興味あるなあ」
「え、え、そう……」
「ねえ、かなみの家って今から行けないの?」
「え……?」
 確かに今アパートの部屋にいれば、母の涼美はいるのだろう。
 でも、なんだかあの母と梢恵が会うとまずいような気がする。
「ごめん、今日もバイトなの。翠華さんと!」
 かなみは急に翠華に振る。
「え、あ、あぁ、そうね……」
 翠華は慌ててそう受け答える。
「翠華さんと……翠華さんと……」
 その直後、翠華はうわ言のようにつぶやき続ける。
「それじゃ仕方ないわね。かなみの親に会えるチャンスだと思ったのに……」
「母さんに会えるのがチャンスと言われてもね……レアキャラじゃあるまいし」
 珍獣ではあるかもしれない、と、失礼なことを内心考えていた。
「かなみさんとは付き合い長いの?」
 翠華は梢恵に訊く。
「そりゃもうね!」
 何故か梢恵は自慢げに答える。
 それを聞いて、翠華は苦い顔をする。
「幼稚園の頃からの長い付き合いだよね!」
「え、えぇ……」
「長い付き合い……」
「昔はよく遊んだよね」
「何をして遊んだの?」
「うーん、おままごととかお人形遊びとかもしたけど……あ、魔法少女ごっこもしたわね!」
「魔法少女ごっこ?」
 翠華を首を傾げる。
「え、そんなことしてたっけ?」
「かなみ、憶えてないの?」
「憶えているような……憶えていないような……」
 かなみは曖昧に答える。
「なにそれ?」
 翠華は興味を示す。
「魔法少女と敵の怪獣になって戦うって遊びだったの。かなみはこれがすごく大好きでしょっちゅう私を怪人させたかったよね?」
「え、えぇ……」
 かなみは明後日の方向へ視線を泳がせる。
「だって、かなみ。その頃、魔法少女のアニメにすごくハマってて衣装も作ってもらった、とか言って魔法少女のコスプレしてなかった?」
「ええ、そうだったっけ!?」
 これは、かなみも憶えていなくて驚いた。
「かなみさんの魔法少女のコスプレ……見たかったな……」
 翠華はうっとりするような調子で言って、幼いかなみの魔法少女姿に想いを馳せる。
 きっとよく似合っただろう。ひょっとしたら今よりももっと。
 見れるものなら是非見てみたい、と、翠華は願った。
「あ、それなら写真持ってるよ」
「「えぇ!?」」
 かなみと翠華は揃って驚愕の声を上げる。
「なんで持ってるの!?」
「え、だって可愛かったから」
「見せて見せて!」
 翠華は、梢恵へ迫る。
 それはもう鬼気迫る勢いで。
「え、あ、うん、ちょっと待って……」
 梢恵は、ポーチに手を入れる。
「翠華さん、そんなに私の小さい頃の写真見たいんですか?」
 かなみは不思議そうに訊く。
「え、え、あ、いや……その……どんな魔法少女ごっこをしていたのか興味があって……」
「そ、そんな大したものじゃありませんよ……子どものお遊びですし……」
「そういう遊びが魔法の参考になるものなのよ」
「あ、みあちゃんもそんな感じのことを言ってました」
 それで、かなみは納得してくれる。
 翠華は心の中で「みあちゃん、ありがとう!!」と猛烈に感謝する。
「これです」
 そうこうしているうちに梢恵は、かなみの写真をポーチから取り出して見せる。
「――!!」
 その写真を見て、翠華は歓喜と驚愕で絶句する。
 まず、歓喜というのは幼いかなみの写真を出してくれたこととそれを見れたこと。
 驚愕というのは、その写真に写っていたかなみの幼い姿だ、
「この衣装って……!?」
 かなみが魔法少女ごっこをしているときの衣装。それは今現在かなみが魔法少女に変身している姿とほぼ同じだった。
「かなみさん、これはどういうことなの?」
「さ、さあ……私もよく憶えていなくて……」
 翠華とかなみは顔を見合わせる。
「これいつ頃の写真なの?」
 翠華は梢恵に訊く。
「うーん、小学二年生くらいかな……」
「そのくらいかしらね。今よりちょっと身体が小さくて幼いくらいで……」
「それって、あんまり変わっていないということですか?」
「あ、ううん、違うの! かなみさんは昔から魅力的で、ってことが言いたくて!」
「いいです。あんまり変わっていないってよく言われますから……」
 かなみは落ち込み気味に言う。
 翠華は、そんなつもりで言っていないのに、と狼狽する。
「いや、あたしも久しぶりにびっくりしたよ! かなみ、あんまり変わってなくて!」
「あんまり変わっていない……あんまり成長していない……」
 梢恵がさらに追い打ちをかけるように言う。
(かなみさん、どうしよう! かなみさんは今も昔も魅力的で可愛いって伝えたいのに、でもそれを言ったら、やっぱり昔から成長していないって、また落ち込んでしまうかもしれないし、第一、私がそんなことを言えるはずが! ああ、だったらどうしたら今のかなみさんを元気づけることができるのかしら!?)
 翠華は何を言っていいかわからず混乱する。
「でも、かなみが変わってなくてよかったよ」
 梢恵が言う。
「え、どうして?」
「だって、かなみだってすぐわかったから!」
「……褒められてるのかわからないから微妙なんだけど……でも、私も梢恵とまた嬉しいわ」
 かなみと梢恵は微笑み合う。
「でも、その写真は恥ずかしいから返して!」



「はあ」
 オフィスに入った翠華はため息をつく。
「今度はあんたか?」
 みあがやってきて、呆れたように言う。
「みあちゃん?」
「何そんなため息ついてるのよ?」
「幼なじみっていいわよね、って話」
「そんな話きいたことに後悔してきたわ」
「そんなこと言わないで聞いて!!」
 翠華はすがるようにみあに手をかける。
「わ!? わかったから、情けないこと言わないの!?」
 みあは翠華が落ち着くまで宥めた。
「まったく……だいたい予想はできてるけど、一応訊くわ。何があったの?」
「予想できてるのね……」
「あんたが正気を失うのは、いつもかなみのことじゃない」
「う……」
 的中していた。
「それにこないだ久しぶりに会った友達に会ってみて、幼なじみっていいわよね、とか思うようになったんじゃないの。かなみと友達そいつが仲良くしてるのをみてあてられた、とかね」
 まるで、見ていたかのような的中ぶりだった。
「みあちゃん、凄いわね。よくそんなことまでわかるわね」
「別に……普通それくらいわかるでしょ」
「みあちゃんの普通のレベルって結構高いわよ。自覚はないかもしれないけど」
「そんなことより、そのかなみの昔の友達ってどんなのだったの?」
 みあが興味があるのはそこだった。
「いいだったわよ。活発そうで、かなみさんともよく遊んでたそうよ」
「ふうん……そうそう変わった娘ばかりが集まってくるわけじゃないのね」
 みあは感心する。
 かなみはおかしな人や怪人を引き寄せる性質がある。というのが、みあの考えなのだ。でも、その考えでいくと、みあ自身もおかしな人ということになるのでは? と、指摘すると不機嫌になってしまう。
「あ、そうそう、さっき、かなみさんの小学生のときの写真をみせてもらったんだけど……」
「え、なにそれ?」
「かなみさん、小学生のときから可愛かったわ……」
「はいはい」
 みあは呆れ気味に応える。
「それで気になったことがあるの?」
「ん? かなみが小学生の時からあんまり変わっていないってこと?」
「みあちゃん、小学生のかなみさん知ってるの?」
 翠華は羨ましげに問う。
「知らないけど、あいつよく言ってるから、あんまり背が伸びてないとか、小学生に間違われるとか」
「そうなのね……私の前では言わないのにみあちゃんには言うのね……」
 翠華は暗い気持ちで言ってくる。
 そういうことは聞こえないように小声で言うべきよ、と、みあは言いそうになったものの面倒なので胸の内に収めた。
「って、そうじゃなくて、かなみさん、昔魔法少女ごっこしてたみたいなんだけど……」
「子供らしいわね。それがどうしたの?」
「かなみさん、魔法少女の衣装着てたんだけど」
「え、本格的じゃない」
 意外にもみあは関心を寄せてくる。
「ところがその衣装が、今魔法少女に変身しているときの衣装にそっくりだったのよ」
「え、そっくり……?」
「かなみさん、魔法少女ごっこで遊んでいたんだけど、ひょっとして……」
「あ~、それはあるかもね……」
 みあは言う。
「あの母親があんなんだからね……」
 その頃、外に出ていたかなみはくしゃみをしていた。涼美も別の場所で同じタイミングでくしゃみしていた。



 そして、また翌日。
「かなみ!」
 オフィスへと向かう道の途中で四度よんたび呼び止められる。
「三度あること四度ある」
 かなみは思わず呟く。
「今日もまたバイト?」
「う、うん……」
「すごい稼いでるね。なんか買いたいものあるの?」
「別にそういうわけじゃないけど……」
「ふうん……」
「梢恵こそどうして毎日ここに?」
「え、ここにって、かなみに会えると思ったから……」
「そ、そうなの。それは嬉しいけど……」
「それに、かなみのことが心配で!」
「心配? 私のことが?」
「うん、バイトなんかいって、騙されて働かされてるんじゃないかって!」
「え、えぇ!? そんなこと……」
 ない、と言い切れなかった。
 時折、騙されているんじゃないかと思うことはままある。主にボーナスを没収されたときとか。
「でも、あの人」
「あの人? 翠華さんのこと?」
「そう! その翠華さんって人! あの人もなんだか怪しくて……」
「怪しい? 翠華さんが? そんなことないない! 翠華さんはとても良い人よ!」
「そ、そう……?」
「どうして、翠華さんが怪しいって……?」
「なんとなく」
「なんとなく? ダメよ、人をなんとなくでそんな風に言っちゃ」
「うん、わかってる……」
 梢恵はションボリする。
「……翠華さんと梢恵、仲良くやれそうだと思ったのに……」
 かなみは昨日のやり取りを思い出す。
 翠華は平静に社交的に接していて、梢恵には好印象だと思っていたのに、
それが、かえって梢恵を警戒させるとは思わなかった。
 今日もう一度会わせた方がいいのかな、なんて思う。
 でも、そうなると、梢恵をオフィスへ案内する必要が出てくる。
『部外者を案内すると魔法少女の秘密がバレる恐れがある』
 マニィの台詞が脳裏をよぎる。
 多分この場で喋れたら言っていたと思う。
 そうなると、どうしたら打ち解けられるのだろうか。
「かなみ」
 不意に自分の名前を呼ぶ声がした。
「え、翠華さん……?」
 翠華のことを考えていたから、翠華が現れたのかと一瞬錯覚した。
 声の主は全然違っていた。
「ヨ、ヨロズ!?」
 かなみは思いもよらぬ相手に飛び上がらんばかりに驚く。
「ど、どうして、こんなところに!?」
「通りかかったら見かけた」
 ヨロズはあっさり、当然のように答える。
「通りかかったらって……あんた、散歩してたの?」
 ヨロズがそんな風にブラブラ歩いているイメージがない。
 どちらかというと獲物を探して徘徊しているような獣のイメージだ。
「――この近くに怪人がいる」
「怪人? ちょっと待って!」
 ヨロズは素直に答える。
 あまりにも素直すぎるので、かなみは静止する。
「どうした?」
「そ、その話は後で……」
「何故だ? お前にも話しておいた方が」
「それこそ何故よ! もういいから、ちょっと向こうで……」
「かなみ、その娘、誰?」
 梢恵がヨロズの顔を覗く。
「あ、う、うん、この娘は……えっと……」
 なんて言って、ごまかしたらいいかとっさに言葉が出てこない。
「ねえ、あんたは?」
 梢恵はヨロズに問う。
「俺はヨロズ」
「よろず? 変わった名前ね、かなみとはどういう関係?」
「関係か、そうだな。敵対関係だな」
「敵対!?」
 梢恵は驚く。
「ちょっと、ヨロズ!? なんてことを言うの!?」
「違うのか?」
 ヨロズは悪びれもなく、かなみに問う。
「違うのか……って、そりゃ違わなくないけど……」
 かなみとヨロズ。
 魔法少女と怪人。
 それは戦うべき敵対関係であることは間違いない。
 しかし、同時に梢恵のような人には敵対どころか、魔法少女と怪人のことは秘密しておかなければならないことであった。
「敵対って、どういうことなの、かなみ?」
「あ、そ、それはね……梢恵、ちょっとこっち来て……ヨロズはそこで待ってて」
「ああ」
 ヨロズは素直に聞く。
 そこで、かなみと梢恵は距離を取ってコソコソ話を始める。
「あの娘、ちょっとアレなのよ……」
「アレって……ああ、そういう系なの……? え、かなみ、ちょっと友達選んだ方がいいんじゃないの?」
「友達じゃないけど……」
「友達じゃない? それじゃつきまとわれてるの?」
「そ、そういうわけじゃないけど……」
「私、ちょっと言ってくる!」
「え、梢恵!?」
 梢恵はかなみの静止をきかず、ヨロズに向かっていく。
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